284 / 288
第8部 妄執のハーデス
#133 蜜の檻②
しおりを挟む
それは、ある種の感動だった。
これまで、鏡の中でしか会うことのできなかった自分自身。
それが、紛れもなくひとつくの肉体を備えて、目の前にいる…。
どんな非現実感も、どんな悲哀も、その魂の底が震えるような感動の前には、あまりにも無力であるようだった。
薄布を間に、唇の先を触れ合わせるだけの短いキスを終えると、
「来て」
ベール越しに、もうひとりの杏里が甘えるように言った。
杏里は誘い込まれるようにしてベールをめくり、己の分身が待つ部屋の奥へと足を踏み入れた。
「やっと会えたね」
杏里の目を慈しむように見つめ、少女が微笑んだ。
自室の三面鏡に映し、これまで数え切れぬほど欲情を迸らせた肢体が、目と鼻の先にある。
釣り鐘型の、頂がツンと上を向いた豊満な乳房。
きゅっと締まったウエストと、滑らかな腹。
肉づきのいい太腿の間からは、可憐なピンク色の恥丘の一部が覗いている。
「杏里…」
少女に向かって、杏里は無意識に自分の名を呼んでいた。
「あなたは、本当に、私なの…?」
「そうよ」
少女の笑みが大きくなる。
卵型の顔もそっくりなら、笑い方もそっくりだ。
「杏里は、ずっと昔から、こうしたかったんだよね?」
両腕を伸ばし、少女が杏里を引き寄せる。
「あなたが本当に愛しているのは、あなた自身。あなたが一番感じるのは、自分自身を思って自慰に耽る時」
「それは…」
頬が急速に熱くなる。
心に秘めた性癖を言い当てられた恥ずかしさに、鳥肌が立つ。
でも、と思う。
この子が私の分身なら、知っていて当然なのだ。
なぜって、この子も、超がつくほどのナルシストに違いないのだから…。
自分好みの貌が近づいてきた。
杏里はこれほどまでにそそられる顔立ちには会ったことがない。
顔のどのパーツをとってみても、杏里の趣味なのだ。
食べてしまいたいくらい可愛らしいし、見つめるだけであそこが濡れてくるほど淫蕩だ。
この顔が、快楽に歪むところを見てみたい。
自分のこの手で、愉悦の叫びを上げさせてみたい。
いや、違う。
私は、されたいのだ。
これまで、どんなに願ってもかなわなかったこと。
すなわち、自分自身に、この火照った狂おしい体を、蹂躙してもらうこと…。
その夢が、今、実現しつつあった。
少女が再び、キスをしようとしているのだ。
鼻先で、かぐわしい吐息が薫った。
唇同士が触れ合うと同時に、繊細な指先が極薄の下着の上から杏里の乳首に触れた。
艶やかに張った乳房の頂で、それはすでに硬くなり、期待に細かく震えている。
痺れるような快感が、一瞬、乳首から背筋へと走り抜けた。
「ああ…」
反射的に開いた杏里の唇を、少女の柔らかな唇が更に大きく割って押し広げる。
熱い舌が入ってきた。
うねりながら入ってくると、器用に杏里の舌を絡め取る。
唾液があふれてきた。
杏里の口腔内にあふれた唾液を、少女が吸った。
その間も、少女の指先は乳首への刺激をやめようとはしない。
ブラはいつのまにかずらされ、毬のように大きく丸い乳房がふたつ、プルンとこぼれ出ている。
しこった肉の突起を親指と人差し指で挟み、紙でこよりをつくるようにしきりに弄り回している。
杏里の好きな前戯のひとつだった。
これをされると杏里は動けなくなる。
まるで金縛りに遭ったかのように、全身の筋肉が硬直してしまう。
「く…」
喘ぎが漏れた。
半ば開いた脚の間で、恥丘の奥がひくつき始めるのがわかった。
少女の片手が乳首を離れ、滑らかな下腹をなぞって股間へと下りていく。
極めて面積の狭いのパンティは、クロスの部分がすでにじっとりと湿り気を帯びている。
その上を、じらすように少女の指が上下した。
杏里の意志に関係なく、勝手に股が開き始める。
腰を半ば突き出すような格好で、積極的に少女の愛撫を受け入れた。
やがて指が布切れの端をめくり上げ、中に侵入し始めた。
2本に増えた指が、大きいほうの唇をじわりじわりとなぞっていく。
その外側の肉襞を指で挟んでしばらく弄んだ後、内側の二枚を押し広げ、肉底を指の腹でぬめりと撫で上げる。
とたんに蜜口の周囲の括約筋が収縮し、透明な淫汁をじゅるりと絞り出す。
「あん…」
突き抜ける快感に、思わず腰を引く杏里。
遊ばれているのは自分なのに、少女の貌にもうっとりした表情が浮かんでいるのを見て、杏里は恍惚となった。
「もっと…」
知らぬ間に、その言葉が口をついて出た。
「あふ…お願い。して…もっと」
これまで、鏡の中でしか会うことのできなかった自分自身。
それが、紛れもなくひとつくの肉体を備えて、目の前にいる…。
どんな非現実感も、どんな悲哀も、その魂の底が震えるような感動の前には、あまりにも無力であるようだった。
薄布を間に、唇の先を触れ合わせるだけの短いキスを終えると、
「来て」
ベール越しに、もうひとりの杏里が甘えるように言った。
杏里は誘い込まれるようにしてベールをめくり、己の分身が待つ部屋の奥へと足を踏み入れた。
「やっと会えたね」
杏里の目を慈しむように見つめ、少女が微笑んだ。
自室の三面鏡に映し、これまで数え切れぬほど欲情を迸らせた肢体が、目と鼻の先にある。
釣り鐘型の、頂がツンと上を向いた豊満な乳房。
きゅっと締まったウエストと、滑らかな腹。
肉づきのいい太腿の間からは、可憐なピンク色の恥丘の一部が覗いている。
「杏里…」
少女に向かって、杏里は無意識に自分の名を呼んでいた。
「あなたは、本当に、私なの…?」
「そうよ」
少女の笑みが大きくなる。
卵型の顔もそっくりなら、笑い方もそっくりだ。
「杏里は、ずっと昔から、こうしたかったんだよね?」
両腕を伸ばし、少女が杏里を引き寄せる。
「あなたが本当に愛しているのは、あなた自身。あなたが一番感じるのは、自分自身を思って自慰に耽る時」
「それは…」
頬が急速に熱くなる。
心に秘めた性癖を言い当てられた恥ずかしさに、鳥肌が立つ。
でも、と思う。
この子が私の分身なら、知っていて当然なのだ。
なぜって、この子も、超がつくほどのナルシストに違いないのだから…。
自分好みの貌が近づいてきた。
杏里はこれほどまでにそそられる顔立ちには会ったことがない。
顔のどのパーツをとってみても、杏里の趣味なのだ。
食べてしまいたいくらい可愛らしいし、見つめるだけであそこが濡れてくるほど淫蕩だ。
この顔が、快楽に歪むところを見てみたい。
自分のこの手で、愉悦の叫びを上げさせてみたい。
いや、違う。
私は、されたいのだ。
これまで、どんなに願ってもかなわなかったこと。
すなわち、自分自身に、この火照った狂おしい体を、蹂躙してもらうこと…。
その夢が、今、実現しつつあった。
少女が再び、キスをしようとしているのだ。
鼻先で、かぐわしい吐息が薫った。
唇同士が触れ合うと同時に、繊細な指先が極薄の下着の上から杏里の乳首に触れた。
艶やかに張った乳房の頂で、それはすでに硬くなり、期待に細かく震えている。
痺れるような快感が、一瞬、乳首から背筋へと走り抜けた。
「ああ…」
反射的に開いた杏里の唇を、少女の柔らかな唇が更に大きく割って押し広げる。
熱い舌が入ってきた。
うねりながら入ってくると、器用に杏里の舌を絡め取る。
唾液があふれてきた。
杏里の口腔内にあふれた唾液を、少女が吸った。
その間も、少女の指先は乳首への刺激をやめようとはしない。
ブラはいつのまにかずらされ、毬のように大きく丸い乳房がふたつ、プルンとこぼれ出ている。
しこった肉の突起を親指と人差し指で挟み、紙でこよりをつくるようにしきりに弄り回している。
杏里の好きな前戯のひとつだった。
これをされると杏里は動けなくなる。
まるで金縛りに遭ったかのように、全身の筋肉が硬直してしまう。
「く…」
喘ぎが漏れた。
半ば開いた脚の間で、恥丘の奥がひくつき始めるのがわかった。
少女の片手が乳首を離れ、滑らかな下腹をなぞって股間へと下りていく。
極めて面積の狭いのパンティは、クロスの部分がすでにじっとりと湿り気を帯びている。
その上を、じらすように少女の指が上下した。
杏里の意志に関係なく、勝手に股が開き始める。
腰を半ば突き出すような格好で、積極的に少女の愛撫を受け入れた。
やがて指が布切れの端をめくり上げ、中に侵入し始めた。
2本に増えた指が、大きいほうの唇をじわりじわりとなぞっていく。
その外側の肉襞を指で挟んでしばらく弄んだ後、内側の二枚を押し広げ、肉底を指の腹でぬめりと撫で上げる。
とたんに蜜口の周囲の括約筋が収縮し、透明な淫汁をじゅるりと絞り出す。
「あん…」
突き抜ける快感に、思わず腰を引く杏里。
遊ばれているのは自分なのに、少女の貌にもうっとりした表情が浮かんでいるのを見て、杏里は恍惚となった。
「もっと…」
知らぬ間に、その言葉が口をついて出た。
「あふ…お願い。して…もっと」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
51
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる