異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

戸影絵麻

文字の大きさ
59 / 246

#58 ジャングルへ

しおりを挟む
 私が開けた穴の向こうで暴れまわっているもの。

 それはピンク色した巨大な芋虫だった。

 しかも、芋虫ならすべすべしていればいいものを、身体中にこぶみたいなものが無数にできている。

 芋虫というより、そう、人間の大腸そっくりだ。

 そいつには先端に丸い口があった。

 びっしりと鋭い歯の並んだその口で、次々にアリ人間たちを血祭りにあげていく。

 あのディスポーザーみたいな口に飲みこまれたら、それこそおしまいだ。

 ここはなんとしてでも脱出せねば。

 スカートがめくれ上がるのもかまわず、脚をバタバタさせて、なんとかカマドウマの背中に這い上がる。

 鞍に跨って手綱を取ったはいいが、どうしたらいいかわからない。

 私はお嬢様でもなんでもないから、乗馬の経験なんて皆無なのだ。

「あれはおそらく、女王アリの体内に巣くっていた寄生虫に違いない。それが、卵と一緒に出てきたんだ」

「なんでもいいから、早く逃げようよ。って、これ、どうやって運転すればいいわけ?」

 のんびり解説するラルクをさえぎって、必死の口調で私はたずねた。

「馬と同じだと思うよ。こうやって、かかとで横っ腹を蹴ってやるだけ」

 ソフィアが言って、先に走り出す。

「動き出したら、その手綱で行きたい方向に頭を向けてやる。ただそれだけだ」

 そう言い残して、ラルクも出発してしまう。

 ええい、ままよ!

 よくわかんないけど、動け!

 スニーカーで腹をけ飛ばすと、なるほど、カマドウマがのそのそ歩き出した。

 格納庫の向こうは、木の枝や葉で巧妙に隠された出口になっているようだ。

 私は苦労して、なんとかカマドウマの頭部をそっちの方向に向けることに成功した。

「早く走ってよ! でないと食われるって!」

 かかとで蹴ってもスピードが上がらないので、手のひらでぺちぺち尻を叩いてやった。

「むほっ」

 変な声を出して上半身を持ち上げたかと思うと、次の瞬間、ぴょんとカマドウマがジャンプした。

 すごい。

 なんというジャンプ力。

 ひと跳び10メートル。

 2、3回跳ねただけで、アリ塚の外に出た。

 いったん走り出すと、カマドウマはおそろしく速かった。

 時速60キロは出てるんじゃないかと思う。

 見る間にラルクたちに追いついた。

「は、はやいのは、いいけど」

 横に並んだラルクに、私は息も絶え絶えに話しかけた。

「の、乗り心地は、さ、最悪だね」

 まったく、この便所コオロギときたら。

 跳ねながら走るので、遊園地の木馬なみに身体がぴょんぴょん跳ね上がるのである。

 これではまるで、サスペンションのぶっこわれた自動車だ。

「わ、わたし、なんだか、酔いそうなんだけど」

 顔をしかめてみせると、

「ぜいたく言うな。こんなとこ、徒歩では10分と持たないぞ。例えば、見ろ」

 ラルクが進行方向の草むらを指さした。

 地面から肉の厚い葉を直接生やした、茶色っぽい野草の群生である。

「あれは草に見えるが、実はそうじゃない」

「え? どう見ても、雑草でしょ?」

「すぐにわかる」

 私の便所コオロギが、その横をすり抜けようとした時だった。

 ふいに草むらが動いた。

「ぎゃ」
 
 私は悲鳴を上げた。

 むき出しの太腿に、何かが貼りついてきたのだ。

「ひええええっ!」

 その正体に気づくと同時に、喉から悲鳴がほとばしった。

「いやあ! 嫌すぎ! だれか取ってえ!」


 
 






しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

放課後の保健室

一条凛子
恋愛
はじめまして。 数ある中から、この保健室を見つけてくださって、本当にありがとうございます。 わたくし、ここの主(あるじ)であり、夜間専門のカウンセラー、**一条 凛子(いちじょう りんこ)**と申します。 ここは、昼間の喧騒から逃れてきた、頑張り屋の大人たちのためだけの秘密の聖域(サンクチュアリ)。 あなたが、ようやく重たい鎧を脱いで、ありのままの姿で羽を休めることができる——夜だけ開く、特別な保健室です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...