異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

戸影絵麻

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#117 浮遊都市ポラリスの秘密⑰

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 ふと我に返って前方に目を凝らす。

 コボちゃんはすでに出撃していて、ゆっくりと宙を進んでいくところだ。

 カタツムリのように遅いのは、嬉しそうに周囲の光景を観察しているからだろう。

 コボちゃんの真下は、数十、いや数百の裸体が絡まり合った買い物客たちのオブジェだった。

 まるで乱歩描くところのパノラマ島を実写化したみたいな光景なのだ。

 私のレベルが上がっているせいだろう、エクスタシー・ハリケーンの効果がまだ切れていないのである。

 あのエロ幽霊のことである。

 これを見過ごす手はないと、内心大喜びしているに決まっている。

「この魔法、射程は?」

 コボちゃんの遅さにため息をつき、手持ち無沙汰ついでにもう一度訊いてみると、

 再び頭の中に女神が戻ってくる気配がして、

 -38メートルですー

 と即答された。

「1レベルで1メートルってことね?」

 -その通りです。ちなみに、もうひとつ言い忘れてましたが、発動させるには、乳を揉む必要がありますー

「乳を揉む?」

 -ええ、名前からわかる通り、このラブ・トレの正体は、愛液です。カラカラに干からびた状態では、発動しないのですー

 ラブ・トレって、勝手に省略しないでよ。

 それって、日本人の悪い癖だよ。

 ジョニー・デップをジョニデっていうのとおんなじじゃない。

 っていうか、ひょっとして、この女神、元は日本人だったりして?

 でも、まあ、いいか。

 ラブジュース・トルネードはいくらなんでも長すぎる。

 それなら、エクスタシー・ハリケーンは、今後、エクハリってことでどうかな。

 -しばらく乳を揉んで、気持ちよくなってきたら、母乳をしぼる要領で、乳房をしぼりあげましょうー

「あの、それって、どこから出るの? ミサイルみたいにまた乳首から?」

 ーそうではありません。射出孔はあくまで会陰部、膣口です。ただ、照準を合わせるのに、乳房を使用するというだけですー

 会陰部とか膣口とか、今度はいきなり解剖学的用語ですか。

 なんか、中学校の保健体育の授業みたい。

「じゃあ、敵に向けておっぱいで狙いを定めるってわけね?」

 -そうです。そのあたりは、乳首ミサイルと同じ要領です。ただ、ミサイルより射出角度が低いので、多少の微調整が必要になりますがー

「わかった。なんとかやってみる」

 女神が退場するのを見計らい、私はスケスケの赤いスキャンティに手をかけた。

「おいおい、何をしている?」

 突然の私の奇行に、目を丸くするラルク。

「新魔法を覚えたんだけど、それ使うには、パンツ脱がなきゃいけないの」

「なんだと?」

「ちょうどいいや。ラルク、これ持ってて」

 長い脚を交互に抜き取ると、私はその湯気が立ちそうにホカホカしているセクシー下着をラルクに押しつけた。

「うひゃあ、目の毒っていうか目の保養っていうか、翔子の生尻たまんねーよ! おいらもう、完全にスタンダップしちまってるよ! ついでに前も見せておくれよお!」

 子ザルのように前へ回り込もうとする一平。

「1000年早い」

 私は左手で股間を隠したまま、右手でそのイガクリ頭を張り飛ばした。

「いいか、翔子。気づいてるとは思うが」

 私のあられもない姿にも眉ひとつ動かさず、朴念仁のラルクが言った。

「さっきアラクネが自分から暴露したように、あの3人娘は人形だ。性感を刺激するエロ魔法は効かないぞ。たとえば”エクハリ”、あれはだめだ。アラクネには効果あるかもしれないが、人形たちに効くとは思えない。こんなふうに、場内を更なる混乱に陥れるだけだろう。ここは、乳首ミサイルのような物理攻撃でないと」

  やだ。ラルクまで、略語使ってる。

 これでエクスタシー・ハリケーンは、エクハリで決定だな。
 
 それにしても、と思う。

 目の前で、喘ぎ、絡み合う裸身の山。

 そう。ラルクの言う通り。

 ここでエクハリをまた使ったら、この人たちは丸一日、ここでセックスし続けるに違いない。

 おそらく、中に埋もれているソフィアともども。

「大丈夫。新魔法は、どうやら物理魔法っぽいから」

「そうか。それならいいが。で、おい、どこへ行く?」

 歩き出した私に向かい、ラルクが言う。

「射程距離がさ、まだ38メートルしかないのよ。だからもっとステージに近づかないと」

「この混乱に引き込まれないよう、くれぐれも注意しろ。今のおまえ、とてつもなくもエロいことを忘れるな」

 当然である。

 B92、W48、H90のミラクルボディのきれいなお姉さんが、上半身はSM女王様ふうの真っ赤なビスチェ、下半身は何もつけない状態で、イオンの店内を闊歩していくのである。

 ひとりやふたり、理性を失って襲いかかってくる男がいたとしても、誰もその痴漢や暴行魔を責められまい。

 しかも今は、みんな私のエクハリのせいで、ただでさえ飢えた性奴と化しているのだ。

 まず、ステージの近くまでたどり着くのがひと仕事。

 間違いなく、そう言えそうだった。

 間合いを図ってしばし逡巡していると、裸体の山からひとりの少女が現れた。

 ブラをはぎ取られ、小ぶりな乳房をふたつともあらわにしたソフィアである。

「あー、イイ気持ちだった」

 銭湯から出てきたばかりのように、ひどくさっぱりした面持ちだ。

 ヒマワリみたいな笑顔を私たちに向けると、ソフィアがにっこり微笑んだ。

 どうやら、一般人よりひと足早く、エクハリの効果が切れたらしい。

「あ、ソフィア、ちょうどいい」

 ソフィアの手を取ると、私は言った。

「ちょっと、ついでに私を護衛してくれない? あのステージの、38メートル手前まで」



 





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