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#147 魔王軍基地潜入計画⑦
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異世界に戻るためには、まず名古屋駅に行かねばならない。
ラーメン屋を出ると、私たち一行は、稲沢駅から再び各駅停車に乗り込んで、帰路についた。
名古屋駅に到着するなり、ラルクは何を思ったか、キオスクに足を運んだ。
なぜかカードで、名古屋名物の『ういろう』を買っている。
それも1本ではなく、10本近く。
『ういろう』というのは、羊羹の親戚みたいな生菓子である。
形も羊羹そっくりで、味も似ている。
ただ、口当たりが少しセルロイドっぽいというか、コクがないというか…。
正直、ここだけの話だけど、昔から存在する土産にしては、あまりいい評判を聞かない。
私自身は子供の頃から食べているので好物なのだけど、お土産であげてもみんなあまり喜んでくれないのだ。
「ういろう、そんなに買い込んで、どうするの? 非常食にでもするつもり?」
戻ってきたラルクにたずねると、意外な答えが返ってきた。
「これは賄賂だ。いいか? 怪獣島へ行く正規のルートはない。当然、密航船をチャーターすることになる。その時の袖の下に、この異界土産を使おうと思う」
「ういろうで、密航船を?」
私はあんぐりと口を開かずにはいられなかった。
そんなたわけた話、聞いたことがない。
誰がたかが名古屋名物『ういろう』で、命を賭ける気になるというのだろう?
「うまくいくかなあ…」
半信半疑の私に、ラルクが力強くうなずいた。
「心配するな、交渉は俺がする。翔子はただ、怪獣tと戦うことに専念してくてれればいい」
会話を交わしているうちにも、周囲に人垣ができ始めている。
むろん、私のエッチ極まりない服装にひかれて男どもが集まってきたのだ。
「早く、元の世界へ」
切羽詰まった私の言葉に、
「こっちみたい」
改札のほうを指で示して、ソフィアが反応した。
なるほど、ひとつだけゲートの色が違う。
なんだか光り輝いていて、上の電光掲示板には、親切にも『ポラリス行き』と表示されている。
ICカードを持つ人はほかにいないらしく、そのゲートだけ、誰も通らない。
「行くぞ。みんな、手をつなげ」
ラルクが言った。
「密着していないと、取り残される。くれぐれも注意しろ」
ラーメン屋を出ると、私たち一行は、稲沢駅から再び各駅停車に乗り込んで、帰路についた。
名古屋駅に到着するなり、ラルクは何を思ったか、キオスクに足を運んだ。
なぜかカードで、名古屋名物の『ういろう』を買っている。
それも1本ではなく、10本近く。
『ういろう』というのは、羊羹の親戚みたいな生菓子である。
形も羊羹そっくりで、味も似ている。
ただ、口当たりが少しセルロイドっぽいというか、コクがないというか…。
正直、ここだけの話だけど、昔から存在する土産にしては、あまりいい評判を聞かない。
私自身は子供の頃から食べているので好物なのだけど、お土産であげてもみんなあまり喜んでくれないのだ。
「ういろう、そんなに買い込んで、どうするの? 非常食にでもするつもり?」
戻ってきたラルクにたずねると、意外な答えが返ってきた。
「これは賄賂だ。いいか? 怪獣島へ行く正規のルートはない。当然、密航船をチャーターすることになる。その時の袖の下に、この異界土産を使おうと思う」
「ういろうで、密航船を?」
私はあんぐりと口を開かずにはいられなかった。
そんなたわけた話、聞いたことがない。
誰がたかが名古屋名物『ういろう』で、命を賭ける気になるというのだろう?
「うまくいくかなあ…」
半信半疑の私に、ラルクが力強くうなずいた。
「心配するな、交渉は俺がする。翔子はただ、怪獣tと戦うことに専念してくてれればいい」
会話を交わしているうちにも、周囲に人垣ができ始めている。
むろん、私のエッチ極まりない服装にひかれて男どもが集まってきたのだ。
「早く、元の世界へ」
切羽詰まった私の言葉に、
「こっちみたい」
改札のほうを指で示して、ソフィアが反応した。
なるほど、ひとつだけゲートの色が違う。
なんだか光り輝いていて、上の電光掲示板には、親切にも『ポラリス行き』と表示されている。
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「行くぞ。みんな、手をつなげ」
ラルクが言った。
「密着していないと、取り残される。くれぐれも注意しろ」
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