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第4章 魔獣地帯
action 11 奇策
ゾウの軍団の中心は、3頭のアフリカゾウだった。
象と言えば、本来は草食動物のはずである。
それがゾンビ化すると肉食に変わって更に凶暴性を増すのだろうか。
とにかく、あの爆走ぶりは普通ではなかった。
そもそもゾンビは視力が弱い。
白目を剥いているくらいだから、あまり物がよく見えていないのだ。
ということは、聴覚と嗅覚が彼らの頼りであるわけで、あのゾウたちもおそらく風に漂う僕ら人間の匂いを嗅ぎつけたというところなのだろう。
だから、視力の弱いゾウたちは、匂いを頼りに獲物めざしてとにかく突進する。
それが、仇になった。
まず、先頭の3頭の前足が、そろってするっとスライスされた。
次に、後ろ足。
先頭の3頭が頭から地面に突っ込むと、第2集団がそれに続いた。
足を次々に切断され、折り重なって崩れるゾウの群れ。
光と一平がそれぞれ両端を持ち、道に張ったナノカーボン繊維の糸。
それが走り来るゾウの脚を片っ端から切断したのだった。
「うひょひょひょ! もういいだろ? ワニがそこまで来てるって!」
一平が池の中から飛び出してきた。
「OK」
光が腰を上げた。
「頑張ったね! 一平ちゃん」
さっき登山靴で踏みつけたことなど忘れたかのように、あずみが駈け出して一平とハイタッチ。
「さ、今のうちに抜けるよ。遊園地に入ればもう安全だから」
光の号令で、みんな一斉に走り出す。
血まみれになって蠢くゾウたちの横を駆け抜けて広場を突っ切り、遊園地の門にたどり着いた。
閂棒がかかって閉まっていたけれども、あずみの回し蹴り一発で右の扉がぶっ飛んだ。
目の前に開けたのは、文字通り、死の世界だった。
死体を乗せて、止まったままの観覧車。
コースのてっぺんで軌道を外れ、宙づりになったジェットコースターも死体でいっぱいだ。
メリーゴーランドとコーヒーカップに乗っている死体は、どれも皆無残に食い散らかされていた。
ゾンビ化した客たちの仕業に違いなかった。
ここは不気味なだけで、特に何もないようだった。
一度、切符売り場の中から従業員の制服を着たゾンビが出てきて襲いかかってきたけれど、あずみのナックルに瞬殺され、事なきを得ていた。
「着いたぜ」
正門を見上げて、感慨深げに一平が言った。
「後は、坂を下って、次の小山を登るだけか」
僕のつぶやきに、光がうなずいた。
「そうだね。あのふたつめの山の山頂から向こうが大学の敷地だから、研究センターまではもうすぐのはず。お目当てのリバース線虫、見つかるといいけど」
「待って」
あずみが歩みを止めたのは、その時だった。
「ケロヨンのサイトが、復活してる。『工事中』じゃなくなってる」
どうやらあずみは、スマホを操作しながら歩いていたらしい。
「ダンジョンクリアのご褒美か」
僕は言った。
「何だよ、それ?」
一平が片方の眉を吊り上げて僕を見た。
「これがゲームだとでもいうのかよ?」
「たぶん」
僕はうなずいた。
「いくらモブを倒しても、ギルも経験値も入らない。ギルドも宿屋もジョブチェンジもない。もちろんパーティにはヒーラーも魔導士もいやしない。なのにやられると即ゲームオーバー。これはそんなシビアな条件の、リアルRPGみたいなものなんだよ」
象と言えば、本来は草食動物のはずである。
それがゾンビ化すると肉食に変わって更に凶暴性を増すのだろうか。
とにかく、あの爆走ぶりは普通ではなかった。
そもそもゾンビは視力が弱い。
白目を剥いているくらいだから、あまり物がよく見えていないのだ。
ということは、聴覚と嗅覚が彼らの頼りであるわけで、あのゾウたちもおそらく風に漂う僕ら人間の匂いを嗅ぎつけたというところなのだろう。
だから、視力の弱いゾウたちは、匂いを頼りに獲物めざしてとにかく突進する。
それが、仇になった。
まず、先頭の3頭の前足が、そろってするっとスライスされた。
次に、後ろ足。
先頭の3頭が頭から地面に突っ込むと、第2集団がそれに続いた。
足を次々に切断され、折り重なって崩れるゾウの群れ。
光と一平がそれぞれ両端を持ち、道に張ったナノカーボン繊維の糸。
それが走り来るゾウの脚を片っ端から切断したのだった。
「うひょひょひょ! もういいだろ? ワニがそこまで来てるって!」
一平が池の中から飛び出してきた。
「OK」
光が腰を上げた。
「頑張ったね! 一平ちゃん」
さっき登山靴で踏みつけたことなど忘れたかのように、あずみが駈け出して一平とハイタッチ。
「さ、今のうちに抜けるよ。遊園地に入ればもう安全だから」
光の号令で、みんな一斉に走り出す。
血まみれになって蠢くゾウたちの横を駆け抜けて広場を突っ切り、遊園地の門にたどり着いた。
閂棒がかかって閉まっていたけれども、あずみの回し蹴り一発で右の扉がぶっ飛んだ。
目の前に開けたのは、文字通り、死の世界だった。
死体を乗せて、止まったままの観覧車。
コースのてっぺんで軌道を外れ、宙づりになったジェットコースターも死体でいっぱいだ。
メリーゴーランドとコーヒーカップに乗っている死体は、どれも皆無残に食い散らかされていた。
ゾンビ化した客たちの仕業に違いなかった。
ここは不気味なだけで、特に何もないようだった。
一度、切符売り場の中から従業員の制服を着たゾンビが出てきて襲いかかってきたけれど、あずみのナックルに瞬殺され、事なきを得ていた。
「着いたぜ」
正門を見上げて、感慨深げに一平が言った。
「後は、坂を下って、次の小山を登るだけか」
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「そうだね。あのふたつめの山の山頂から向こうが大学の敷地だから、研究センターまではもうすぐのはず。お目当てのリバース線虫、見つかるといいけど」
「待って」
あずみが歩みを止めたのは、その時だった。
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僕は言った。
「何だよ、それ?」
一平が片方の眉を吊り上げて僕を見た。
「これがゲームだとでもいうのかよ?」
「たぶん」
僕はうなずいた。
「いくらモブを倒しても、ギルも経験値も入らない。ギルドも宿屋もジョブチェンジもない。もちろんパーティにはヒーラーも魔導士もいやしない。なのにやられると即ゲームオーバー。これはそんなシビアな条件の、リアルRPGみたいなものなんだよ」
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