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第5章 屑肉と化した女戦士は魔王討伐の夢を見るか
#19 禁断の地⑥
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サトは大して驚かなかった。
「やはり…」
とひと言つぶやくと、すぐにマリウスに向かって疑問をぶつけてきた。
「でも、なぜ王さまが? 王には私が渡した丸薬を飲ませたはずなのでしょう?」
「ああ。それは間違いない。俺も、おかしいとは思ったんだが…」
一人称が”私”から”俺”に変わったことにも、マリウスは気づかない。
サトの前に出ると、王族としての虚飾はどんどんはがされ、ただのつまらない男に堕していくような気がする。
「おかしいと思ったけれど、手足のないルビイさまを凌辱する誘惑には勝てなかった。そういうことですね?」
「そ、その通りだ…」
無抵抗のルビイを犯したい。
それは調教される側に回ったマリウスがひそかに熱望していたことである。
共犯者のサトを無抵抗にするのは至難の技だが、ルビイ相手ならそれが可能だ。
義手と義足を外したところを狙えばいいのだから…。
「それで、あなたと王は無抵抗のルビイさまの死体を犯し続けた。そして、弾がなくなるまで射精し続けた。そのこととルビイさまの蘇生の因果関係は不明です。しかし、気になるのは、なぜ王が意識を取り戻したのかということ。あなたが王に飲ませた薬は、私の故郷に伝わる劇薬です。呪う相手を半年間脳死状態にする、強力な睡眠薬なのですが…」
「そのことなんだが…実は、父上、王は、意識を取り戻したという感じでは全然なかったんだ。まるで、本能だけで動いているような感じで…。それに、あの無数の触手のようなもの…あれは…」
「触手?」
サトの眉が吊り上がった。
「以前、俺に憑りついた”あれ”に似ていた…。淫夢魔と、おまえが言っていた、アレに…」
「なるほど。王の身体から、無数の触手が湧き出て、あなたにも憑りついたというわけですね?」
サトがうなずいた。
「予想はついていました。ルビイさまの身体を調べた時に。付着した精液に、淫夢魔のものらしき体液が混じっていましたから。あなたが、父上を目の当たりにしても淫行をやめられなかったのは、半分はそのせいだったのですね」
「たぶんな…。しかし、今思えば…あれは、もともと父上に憑りついていたということか…」
納得した。
あの時、マリウスの身体から追い出された淫夢魔は、老王ディオニスの身体に逃げ帰っていたというわけだ。
もしかしたら、とマリウスは思う。
あれは、アグネスの置き土産なのかもしれない。
アグネスは、自分がいなくなった後も王宮に混乱を来たすためにちょっとした時限爆弾を仕掛けていったのだ。
「王の病室はどこです?」
意を決したように、サトがたずねた。
「ルビイと同じ北棟だ。出口で分かれた後、父上は確かにそのほうへ歩いて行ったようだ…」
マリウスの返事を聞くと、サトは離れた所に所在なげに佇んで爪を噛んでいるエリスに声をかけた。
「エリスさま、お待たせしました。ようやく出番が回ってきましたよ」
「やはり…」
とひと言つぶやくと、すぐにマリウスに向かって疑問をぶつけてきた。
「でも、なぜ王さまが? 王には私が渡した丸薬を飲ませたはずなのでしょう?」
「ああ。それは間違いない。俺も、おかしいとは思ったんだが…」
一人称が”私”から”俺”に変わったことにも、マリウスは気づかない。
サトの前に出ると、王族としての虚飾はどんどんはがされ、ただのつまらない男に堕していくような気がする。
「おかしいと思ったけれど、手足のないルビイさまを凌辱する誘惑には勝てなかった。そういうことですね?」
「そ、その通りだ…」
無抵抗のルビイを犯したい。
それは調教される側に回ったマリウスがひそかに熱望していたことである。
共犯者のサトを無抵抗にするのは至難の技だが、ルビイ相手ならそれが可能だ。
義手と義足を外したところを狙えばいいのだから…。
「それで、あなたと王は無抵抗のルビイさまの死体を犯し続けた。そして、弾がなくなるまで射精し続けた。そのこととルビイさまの蘇生の因果関係は不明です。しかし、気になるのは、なぜ王が意識を取り戻したのかということ。あなたが王に飲ませた薬は、私の故郷に伝わる劇薬です。呪う相手を半年間脳死状態にする、強力な睡眠薬なのですが…」
「そのことなんだが…実は、父上、王は、意識を取り戻したという感じでは全然なかったんだ。まるで、本能だけで動いているような感じで…。それに、あの無数の触手のようなもの…あれは…」
「触手?」
サトの眉が吊り上がった。
「以前、俺に憑りついた”あれ”に似ていた…。淫夢魔と、おまえが言っていた、アレに…」
「なるほど。王の身体から、無数の触手が湧き出て、あなたにも憑りついたというわけですね?」
サトがうなずいた。
「予想はついていました。ルビイさまの身体を調べた時に。付着した精液に、淫夢魔のものらしき体液が混じっていましたから。あなたが、父上を目の当たりにしても淫行をやめられなかったのは、半分はそのせいだったのですね」
「たぶんな…。しかし、今思えば…あれは、もともと父上に憑りついていたということか…」
納得した。
あの時、マリウスの身体から追い出された淫夢魔は、老王ディオニスの身体に逃げ帰っていたというわけだ。
もしかしたら、とマリウスは思う。
あれは、アグネスの置き土産なのかもしれない。
アグネスは、自分がいなくなった後も王宮に混乱を来たすためにちょっとした時限爆弾を仕掛けていったのだ。
「王の病室はどこです?」
意を決したように、サトがたずねた。
「ルビイと同じ北棟だ。出口で分かれた後、父上は確かにそのほうへ歩いて行ったようだ…」
マリウスの返事を聞くと、サトは離れた所に所在なげに佇んで爪を噛んでいるエリスに声をかけた。
「エリスさま、お待たせしました。ようやく出番が回ってきましたよ」
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