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神の弓-アポロンの弓編-

転生者と記憶

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「待て」

「今度あった時は、がっかりさせるなよ。
僕の気まぐれで君は死ななかったんだよ
今の君じゃあ役に立たないし」

「なぜ転生者と言ったんだ。」

「何故って知っていたからだよ。
君はなぜこの世界に来たのか、
いつから来たのかも、
マガタマに入れば真実が分かるはずだよ」

「俺はお前とは会ってねえ。」

「いや、忘れているだけだよ。
僕は覚えているよ。
いつぐらいから僕たちの前から姿を消し
まさか記憶が無くなるとはね。
それと君が転生者だと言われないのはね
それぐらい君は転生してから、
時間が経ったんだよ。


「よく喋るな」

「だって、久々に会ってねえ、
話したいじゃないか。 
それともう一つ君の転生前の記憶は
本当に正しいとは思うかい?
誰かに植え付けられた記憶だとしたら」

「あり得ない」

「あり得ないは君の考えだろう
どっちだろうね。
どっちでもいいけど、
僕が言ったことは嘘かもしれないし
本当かもしれない
次会ったときは殺しちゃうかもな。
精々殺されないように強くなってよ」
歪んで笑いながらナイル・ブラッドは、
姿を消した。
(俺が転生者だと気付いたのは、
あれ?俺はいつからこの世界にいるんだ?
何か記憶が飛んでいるのか?
転生された後、何かあったのか。
俺はアイツらとは違う。)
健一が我に帰ると、
ハロメアとロタが震えながら動けずにいる。
2人ともものすごい息をして、
呼吸がおかしくなっている。
「ハロメア、ロタしっかりしろ」
2人の手を握り落ち着かせる
ゆっくり呼吸を取り戻した
ハロメアは眠りにつき、
ロタは
「よく平気ね。助かったわ。
恐怖で体が動く事を拒否反応して、
何度も何度も殺されるイメージが
脳内に駆け回ってでも、
手を握ってもらったお陰で落ちついたわ」

「何か急いで向かったが、
ここにいつ戻るかはわからない。
それに次は殺しに来るかもな。
早く封印を解かないともうここに来れる
チャンスはない。
次は殺される」
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