創世の先生~抗世の物語~

真白な雪

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一時限目 浮浪者先生拾われる

そして、俺の下は安息を得る

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 食事を済ませて小一時間ほどして時刻は午前九時を指していた。
 身支度を調え終わったブリックスは既に家を出ている。

「アリステラをよろしく頼む」と言われたのでこれから学校に向かうのかと思い身支度を調え玄関で待っているのだが…………一向にアリステラが自室から降りてくる気配がない。


「あら、ソテル君そこで何をしているの?」

「アリシアさん、実は……アリステラがまだ降りてこないんです」

「ステラが? えっと、今日って何か予定あったのかな……?」

「予定って、学校の登校時刻は何時なんですか?」

「あぁ! そういえばソテル君はオディロンから来たんだっけ? それでかぁ」


 俺を置いてきぼりにして一人でウンウンと唸っているアリシア。


「ごめんなさいね。いまエンデルではフェスタをやってるから学校も休みなのよ」

「フェスタ?」

「うん。先週くらいから来週までの期間、職人通りで色んな人がお小遣い稼ぎとか自分の腕前自慢のためにバザーを開くの。その間は教師の方々もみんなと同じように自分の作った道具とか本とかを売るために出店するのよ」

「え、でも昨日学校で試験を受けたのですが」

「先生全員がいなくなるわけではないからね。でも結構な人数の先生がいなくなってしまうから授業も出来ないクラスが出てくるでしょ? そうすると学力に差が出てきてしまうし教師達も自由にフェスタを楽しめなくなっちゃうでしょ?」

「あぁ、それで学校が休みなんですね」


 そこまで言われてようやく合点がいった。つまり面接をしてもらった教師陣はフェスタに参加しなかった人達で、恐らく当直の教師だったのだろう。休みとは言っても教師はやることが沢山あるだろうし、生徒がいないこの機会にしか出来ないこともあるだろうから参加陣不参加陣の両陣営に得があるのだろう。


「それからこの期間に学校の備品とか人員補充とかもしてるみたいよ。たしか明後日までだったかな? 学長達も明後日まではいたと思うから何かあるなら早めにね」


 今はこうして雇われているのだから特にこれと言って学校には用事が無い。

 とりあえず学校が無いのであればアリステラは自室で自習でもしているのだろう。学校が無いと解ったのだから今日は自習の手伝いでもしよう。そうと決まればここで待つ意味も無い。早速俺はアリステラの部屋に向かおうとした。


「あーそれからソテル君」

「はい?」

「あのね、私も言い辛いことがあるから一応手紙に書いて置いたから……ステラの部屋に入る前に自分の部屋に一度戻ってもらってもいいかな?」

「は、はい!」


 アリシアが恥じらうように科を作って話すものだから思わずドキッとしてしまった。 しかし言い辛いこととは何だろうか。昨日の今日で態々言われるような粗相もしていないはずだし……まさかな。

 いや、部屋で確認すればいいことだ。俺は若干焦りを感じながら自室へと戻った。

 部屋に入って机の上を見ると丁寧に蜜蝋で閉じられた手紙が一通、そしてその横にある物を見てやはりそうだったのかと胸がドクンドクンと強く脈打つ。手紙を開くとそこにはアリシアの正直な気持ちと言葉が綴られていた。


「ソテル君へ、ソテル君はパンツは履かない人なのでしょうか。ソテル君の趣向を否定するつもりはありませんがこの家には私を含め三人の他人が共に住んでいます。そしてソテル君には娘の戦闘訓練も任せると旦那様から聞きました。ふとした拍子にズボンが破けたらと思うと娘の情操教育上よろしくないのではないかと心配でなりません。なので、少し窮屈かも知れませんが出来ればパンツをしっかりと履いていただけると助かります。新品ですのでご安心ください」


 と書いてあった。

 あの時アリシアが言い淀んでいた事と粗相というワードがヒントとなって予想していたが……まさか本当にそうだとは思っておらず流石に恥ずかしい。

 それと一つ言っておこう。

 俺はもし一度でも使用されていたかもしれない下着で股を締めるのが嫌だっただけだ! 決してパンツを履かない人ではない! 先程の手紙の中に新品ですと書かれていたのを見て安心したがいらぬ誤解を生んでしまったことは失敗だ。

 今度からはこうならないように何でも相談した方が良いのだろう。それから後でアリシアの誤解について解いておこう。いや解かねばなるまい。色々考えながら誤解を深めないためパンツを履くのだった。
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