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22. 初対面

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今やほぼ隠居状態の私は、明希が家にいるのが嬉しくて毎日慣れない手料理を作りかけては

「俺がやるから姉貴は座ってて!」

と止められ、慣れた様子でご飯を作ってくれてる。
料理とかするようになったんだなぁと思って、素直に弟の成長を喜んだ。

「姉貴、電話鳴ってるよ」

渡瀬からだった。

「はるさん、調子はいかがですか?」

「んー?最っ高よ」

「?なにかいい事ありましたか?」

「今から家来ない?」

「え、」

私は明希に小声で人を呼んで料理が足りるかを聞いたら、大丈夫とジェスチャーが返ってきた。

「ご自宅までお伺いすればいいですか?」

「うん、ご飯食べよ」

「はぁ…」

渡瀬はあんまり納得いってなさそうな返事で、電話を切った。

しばらくして

「ご自宅前まで着きました」

とまた電話があった。
玄関まで迎えに行って自宅へ案内した。
渡瀬と知り合って結構経つけど家に招くことってなかったなって初めて気が付いた。

「お邪魔します……ほんとに広いですね」

「紹介したい人がいて。……ねぇ!明希!この人が渡瀬!」

「あっ、どうも初めまして!お噂はかねがね…付き合っては……ないか。姉貴にこんないい男は……ないな」

「何ブツブツ言ってんのよ。秘書だってば。渡瀬ごめんね、この子お調子者でさ」

「弟……さん?弟さんは確か…」

「え、もしかして死んだとかって聞いてます?」

「あぁ……は、はい。10年前にお亡くなりになられたと…」

「まじでひどいっすよねー。久しぶりに会ったと思ったら俺の骨壷まで置いてんすよ!勝手に殺すなっての」

明希と渡瀬が同い年だと分かって、二人は意気投合してた。
三人でテーブルを囲んで、談笑してるこの状況がすごく面白い。

「えーっと、つまり、10年間海外を回っていただけで元気でいらっしゃると」

「だからそうですって!この通りピンピンしてます、死んでないっす!近々結婚するんで、その報告とかなんやらで泊めてもらってるって感じで」

「はるさん、どうして私に亡くなったと?朝比奈教授もきっとそう聞いてますよ」

と、小声で聞かれた。

「私さ、すんごいブラコンなのよ。家族、この子しかいないし。突然会えなくなって寂しすぎて、私にとっては死んじゃったみたいな感じだったから」

「それで骨壷を?」

撤去というか、雑に床に置いた骨壷を渡瀬が見た。

「おかしいですよね?!しかも秘書にまで死んだことにしてたとかさ、ブラコンっていうけどほんとに俺のこと好きなのかそれ」

「好き過ぎるからじゃん!寂しくて、怒っちゃったの」

わいわいと笑い合いながら食卓を囲んで、久しぶりに心から声を上げて笑えた。

「朝比奈教授には私から説明しておきます」

と渡瀬がまた小声で言ってきた。

「弟さんは、病気のことは?」

「絶対黙ってて」

「でしょうね。承知しました」
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