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第一章 黒い髪のメイド
メイドの日常(4)
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今日は私のナーシャの彼氏を紹介します。
その顔は鼻筋が通っていて、流れるような瞳に、スリムな身体、そして全身黒のスタイルに、かわいい尻尾。
私はその姿に毎日癒しを得るのです。
黒猫のクロです・・・・・・。
黒いからクロって名づけたんじゃないですよ。
ちゃんと何個か名前をいってみて、自分で返事をくれた名前をえらんだのですから。
クロとの出会いは突然でした。
このお屋敷で働き出してしばらくがたったある日のこと、冬の寒さが少し和らぐ季節。いつものように私は日の出の少し前に眼を覚ましました。
すると、どこから入ってきたのか、見知らぬ黒猫がベットの横におびえたようにたたずんでいて、そしてなんだか涙目で震えているようにも見えました。
あまりのけなげさに、思わず抱きしめてしまったのを覚えています。
ただ、私はこのお屋敷のメイドです、その時はペットを飼うなどお許しをいただけるはずもないと思っておりました。
「おうちにお帰り」
といって扉を開けて外に逃がそうとするも、私のまわりから離れようとしません。
その時はお屋敷のお仕事の時間が迫っておりましたから、クロに部屋にいるようにお願いして仕事に向かうことにしました。
そしてお昼のお休みに、おなかでもすかしているだろうからと、お昼の食事をすこし取り分けて部屋に持って帰ることにしました。
でも、クロはまったく食事をとろうとしません。
このまま衰弱して死んでしまうのではないかと考えた私は、意を決してメイド長のマリアさんへ相談に向かいました。
・・・・・・話を聞いてくださったマリアさんは、時間のあるときにお館様であるケネス様にはお話しておくから、ひとまず離れにいる獣魔使いにみせにいきなさいとおっしゃってくれたのです。
獣魔使いとは警備のための魔物を調教している方です。魔物だけでなく一般の動物達についても深く学んでおり、魔物、動物を問わず、その生態について非常にお詳しい方なのです。
獣魔使いの方は驚いたようにクロをみて、これは魔物の一種だよと説明してくれました。
魔物とは通常の生物と違い、マナを食事としています。
生物は生物を、植物は光や水から、魔物はマナを身体に取り入れてその生命をつないでいます。
魔物といってもとくに他の生き物と変わりなく、温和な魔物は人に飼われたり、また凶悪な魔物は生物を襲ったりとその生態はあまりかわりがありません。
その他に魔物が他の生物と違う部分は、体内に在る魔石とよばれるマナの結晶部分があることです。
このマナの塊である魔石を利用した魔術の研究はおこなわれているのですが、魔石の構造は非常に緻密で複雑なため、ほんの一部しか解明が進んでいないと聞いています。
ある程度大型の魔獣はその魔石を維持するために大地から得られるマナだけでは足らず、他のマナを保有している生物や魔物などからマナを得るそうなのです。
しかし小型の魔物であるクロくらいのサイズなら、大地などより得られるマナだけで大丈夫と、獣魔使いの方にお墨付きをいただくことができました。
後日、マリアさんより、なんとそのまま飼ってもよいとのお言葉がいただけました。
私はクロと一緒に、大はしゃぎで喜びました。
あとで知ったのですが、このお屋敷には獣魔使いの方もおりますし、また敷地の一角に犬や猫などを飼っているスペースなどもあり、比較的動物を飼うというのは許されやすい環境ではあったようです。
こうしてクロは私の素敵な彼氏として、一緒に暮らし始めることになったのです。
ご飯代もいらないなんて、なんて飼い主孝行なのでしょう。
クロ、私の愛情をご飯代わりにしてくださいね。
その顔は鼻筋が通っていて、流れるような瞳に、スリムな身体、そして全身黒のスタイルに、かわいい尻尾。
私はその姿に毎日癒しを得るのです。
黒猫のクロです・・・・・・。
黒いからクロって名づけたんじゃないですよ。
ちゃんと何個か名前をいってみて、自分で返事をくれた名前をえらんだのですから。
クロとの出会いは突然でした。
このお屋敷で働き出してしばらくがたったある日のこと、冬の寒さが少し和らぐ季節。いつものように私は日の出の少し前に眼を覚ましました。
すると、どこから入ってきたのか、見知らぬ黒猫がベットの横におびえたようにたたずんでいて、そしてなんだか涙目で震えているようにも見えました。
あまりのけなげさに、思わず抱きしめてしまったのを覚えています。
ただ、私はこのお屋敷のメイドです、その時はペットを飼うなどお許しをいただけるはずもないと思っておりました。
「おうちにお帰り」
といって扉を開けて外に逃がそうとするも、私のまわりから離れようとしません。
その時はお屋敷のお仕事の時間が迫っておりましたから、クロに部屋にいるようにお願いして仕事に向かうことにしました。
そしてお昼のお休みに、おなかでもすかしているだろうからと、お昼の食事をすこし取り分けて部屋に持って帰ることにしました。
でも、クロはまったく食事をとろうとしません。
このまま衰弱して死んでしまうのではないかと考えた私は、意を決してメイド長のマリアさんへ相談に向かいました。
・・・・・・話を聞いてくださったマリアさんは、時間のあるときにお館様であるケネス様にはお話しておくから、ひとまず離れにいる獣魔使いにみせにいきなさいとおっしゃってくれたのです。
獣魔使いとは警備のための魔物を調教している方です。魔物だけでなく一般の動物達についても深く学んでおり、魔物、動物を問わず、その生態について非常にお詳しい方なのです。
獣魔使いの方は驚いたようにクロをみて、これは魔物の一種だよと説明してくれました。
魔物とは通常の生物と違い、マナを食事としています。
生物は生物を、植物は光や水から、魔物はマナを身体に取り入れてその生命をつないでいます。
魔物といってもとくに他の生き物と変わりなく、温和な魔物は人に飼われたり、また凶悪な魔物は生物を襲ったりとその生態はあまりかわりがありません。
その他に魔物が他の生物と違う部分は、体内に在る魔石とよばれるマナの結晶部分があることです。
このマナの塊である魔石を利用した魔術の研究はおこなわれているのですが、魔石の構造は非常に緻密で複雑なため、ほんの一部しか解明が進んでいないと聞いています。
ある程度大型の魔獣はその魔石を維持するために大地から得られるマナだけでは足らず、他のマナを保有している生物や魔物などからマナを得るそうなのです。
しかし小型の魔物であるクロくらいのサイズなら、大地などより得られるマナだけで大丈夫と、獣魔使いの方にお墨付きをいただくことができました。
後日、マリアさんより、なんとそのまま飼ってもよいとのお言葉がいただけました。
私はクロと一緒に、大はしゃぎで喜びました。
あとで知ったのですが、このお屋敷には獣魔使いの方もおりますし、また敷地の一角に犬や猫などを飼っているスペースなどもあり、比較的動物を飼うというのは許されやすい環境ではあったようです。
こうしてクロは私の素敵な彼氏として、一緒に暮らし始めることになったのです。
ご飯代もいらないなんて、なんて飼い主孝行なのでしょう。
クロ、私の愛情をご飯代わりにしてくださいね。
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