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報告書4「裏切り、不正行為について」
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「資源回収4課第2班は、本日行われた任務における班員の命令無視の結果、遺憾ながら殉職者が発生……てな」
そう言いながら俺の方を見て、不気味な笑いをする班長。他のメンバーも皆同様に薄気味悪くニヤついてる。
「それは一体、どういう意味で……」
「言っただろ、ここ駅ダンジョンでは業務上災害は日常茶飯事だってな。安心しな、この資源は俺たちで有効に使わせてもらうからよ」
武器を構えジリジリと近寄ってくる班員を前に、ようやく意味が理解できてきた。が、頭では理解できてもとてもじゃないが信じられない。
「それってつまり……!」
「ようやく分かったか。本当に物分かりが悪いグズだな。まあいい、おいヒシカリ。こいつにちょっと社会ってのを教えてやんな」
そう言うと班長は、後ろの方で突然のことでオロオロしていたヒシカリの方に首を向けた。
「え……?でも、流石にそれは……」
「いいかヒシカリ。お前ら新人2人はまだ仮採用段階で、任務の成果によって本採用されるんだ。もちろんそこのグズのサドシマよりも俺はお前を推薦するつもりだがよ、万が一って事があるだろ。だからここでよ、な。分かんだろ?」
「本採用されるには……」
顔面蒼白となるヒシカリ。
「剣術科の総合成績じゃ、あいつの方が上位だったんだろ?それじゃ俺が後押ししても厳しいかもなぁ……それで、ヒシカリ。どうするんだ?」
「俺は……俺はなんとしてもリソーサーを全て排除しなきゃならないんです……だから……スペキュレイターに……」
顔面蒼白、小刻みに震えながらヒシカリは両腰の刀をゆっくりと抜き始めた。
嘘だろヒシカリ……それを見て悲しくなり絶望で目の前が真っ暗になった。あんなに一緒だったのに、あんなに夢を語り合ったのに。2人でリソーサーを倒そうと、あんなに約束したのに……
ヒシカリは間合いに入るや、いきなり仕掛けてきた。二刀による左右袈裟斬りから連続突き、そして交差させての斬り払い。何とか攻撃を防ぎきるが、その鋭さからも明確な殺意が感じられる。こいつは本気だ、本気で俺を……
「すまないサドシマ……すまない……だが俺はここで止まるわけにはいかないんだ!」
ちくしょう、ちっくしょう!!
「うぁああ!」
俺は刀を大上段に構えとにかく滅茶苦茶に斬り込んだ。もう間合いも太刀筋もあったものじゃない。そして大きく上段に振りかぶった時、突然違和感を感じた。おかしいな、左手の感覚が急に無くなった。どうなって……
「なっ……!」
ヒシカリの一撃で機動鎧甲ごど肩下から斬り離された俺の左腕は、刀を握ったまま天高く舞い上がり、そして地に突き刺さった。
「あぐあああ!」
激痛と衝撃に思わず膝をつく。応急措置機能で血はすぐに止まり、痛みも薄らいできたが、それでも自分の左腕を失った事実は簡単には受け止められない。
「いいぞヒシカリ!一思いにやれ!」
後ろから囃し立てる班長や他の班員の声が聞こえてくる。みんな俺が死ぬ事を期待している。腕を失い、刀を失い、気力も失い、その状況に押し潰された俺の心からはすっかり闘争心が無くなり、背を向けて逃げ出した。
「あっくそ!往生際が悪いぞ!追えヒシカリ!逃すと厄介だぞ!」
それを見て騒ぐかつての仲間たち。とにかく必死に走った。それを猛然と追いかけてくる獣たち。後ろからは逃すなだとか殺せだとか聞こえてくる。ブラスターから発射された光弾が足元で炸裂し、身体のすぐ側を跳んでいく。死にたく無い、こんな所で死ぬ訳には行かないんだ!
「しまった!」
しかし、どうやら運命は俺に死ねと、それが決定事項だと言っているようだ。目の前の地面には、深く大きな亀裂が走り、底は全く見えない深淵となっていたのだから。
「すまないサドシマ……会社のために……俺の夢のために死んでくれ!」
後ろからリソーサーよりもたちの悪い獣共の声がする。ちくしょう、最も信頼していた友の手に掛かって俺は死ぬのか?それが運命なのか?もはや俺の心には絶望しかなかった。向き直り、思い切り叫んだ。
「ヒシカリ!俺はお前を!お前ら全員もBH社も、絶対許さない!」
「すまない……」
ヒシカリが切り掛かってくるのを見て、俺は跳んだ。断崖に向かって。
何が運命だ。死は運命の帰結じゃ無い、選択の帰結だ。
そう言いながら俺の方を見て、不気味な笑いをする班長。他のメンバーも皆同様に薄気味悪くニヤついてる。
「それは一体、どういう意味で……」
「言っただろ、ここ駅ダンジョンでは業務上災害は日常茶飯事だってな。安心しな、この資源は俺たちで有効に使わせてもらうからよ」
武器を構えジリジリと近寄ってくる班員を前に、ようやく意味が理解できてきた。が、頭では理解できてもとてもじゃないが信じられない。
「それってつまり……!」
「ようやく分かったか。本当に物分かりが悪いグズだな。まあいい、おいヒシカリ。こいつにちょっと社会ってのを教えてやんな」
そう言うと班長は、後ろの方で突然のことでオロオロしていたヒシカリの方に首を向けた。
「え……?でも、流石にそれは……」
「いいかヒシカリ。お前ら新人2人はまだ仮採用段階で、任務の成果によって本採用されるんだ。もちろんそこのグズのサドシマよりも俺はお前を推薦するつもりだがよ、万が一って事があるだろ。だからここでよ、な。分かんだろ?」
「本採用されるには……」
顔面蒼白となるヒシカリ。
「剣術科の総合成績じゃ、あいつの方が上位だったんだろ?それじゃ俺が後押ししても厳しいかもなぁ……それで、ヒシカリ。どうするんだ?」
「俺は……俺はなんとしてもリソーサーを全て排除しなきゃならないんです……だから……スペキュレイターに……」
顔面蒼白、小刻みに震えながらヒシカリは両腰の刀をゆっくりと抜き始めた。
嘘だろヒシカリ……それを見て悲しくなり絶望で目の前が真っ暗になった。あんなに一緒だったのに、あんなに夢を語り合ったのに。2人でリソーサーを倒そうと、あんなに約束したのに……
ヒシカリは間合いに入るや、いきなり仕掛けてきた。二刀による左右袈裟斬りから連続突き、そして交差させての斬り払い。何とか攻撃を防ぎきるが、その鋭さからも明確な殺意が感じられる。こいつは本気だ、本気で俺を……
「すまないサドシマ……すまない……だが俺はここで止まるわけにはいかないんだ!」
ちくしょう、ちっくしょう!!
「うぁああ!」
俺は刀を大上段に構えとにかく滅茶苦茶に斬り込んだ。もう間合いも太刀筋もあったものじゃない。そして大きく上段に振りかぶった時、突然違和感を感じた。おかしいな、左手の感覚が急に無くなった。どうなって……
「なっ……!」
ヒシカリの一撃で機動鎧甲ごど肩下から斬り離された俺の左腕は、刀を握ったまま天高く舞い上がり、そして地に突き刺さった。
「あぐあああ!」
激痛と衝撃に思わず膝をつく。応急措置機能で血はすぐに止まり、痛みも薄らいできたが、それでも自分の左腕を失った事実は簡単には受け止められない。
「いいぞヒシカリ!一思いにやれ!」
後ろから囃し立てる班長や他の班員の声が聞こえてくる。みんな俺が死ぬ事を期待している。腕を失い、刀を失い、気力も失い、その状況に押し潰された俺の心からはすっかり闘争心が無くなり、背を向けて逃げ出した。
「あっくそ!往生際が悪いぞ!追えヒシカリ!逃すと厄介だぞ!」
それを見て騒ぐかつての仲間たち。とにかく必死に走った。それを猛然と追いかけてくる獣たち。後ろからは逃すなだとか殺せだとか聞こえてくる。ブラスターから発射された光弾が足元で炸裂し、身体のすぐ側を跳んでいく。死にたく無い、こんな所で死ぬ訳には行かないんだ!
「しまった!」
しかし、どうやら運命は俺に死ねと、それが決定事項だと言っているようだ。目の前の地面には、深く大きな亀裂が走り、底は全く見えない深淵となっていたのだから。
「すまないサドシマ……会社のために……俺の夢のために死んでくれ!」
後ろからリソーサーよりもたちの悪い獣共の声がする。ちくしょう、最も信頼していた友の手に掛かって俺は死ぬのか?それが運命なのか?もはや俺の心には絶望しかなかった。向き直り、思い切り叫んだ。
「ヒシカリ!俺はお前を!お前ら全員もBH社も、絶対許さない!」
「すまない……」
ヒシカリが切り掛かってくるのを見て、俺は跳んだ。断崖に向かって。
何が運命だ。死は運命の帰結じゃ無い、選択の帰結だ。
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