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第40話 名物に旨い物なし
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ボスゴブリンの小屋の中へと足を踏み入れると、そこはひんやりと薄暗く、陽の光がほとんど差し込んでいなかった。
建物の中には家畜小屋のような臭気が漂っており、どうやらココが生活の場だったのは間違いなさそうだ。
近くの壁には、使い込まれた革鎧が一着ぶら下がっている。これは冒険者から奪ったものだろうか。
部屋の奥には、毛皮が幾重にも積まれた寝床のような場所があった。何の動物のものか断定はできないが、血や泥でかなり汚れている。とてもじゃないが、そのままでは触れたくない。
床には壺や樽、木箱がいくつも転がっており、それらの中身をひとつずつ確認していくことにした。
「よし。いったんこれを全部外に運び出そう。ココだと暗すぎる」
そう提案して、長良さんと二人で小屋の入口まで荷物を運ぶと、すぐに他のメンバーたちがやってきた。
三人衆は、テントの中から金属製の包丁や鍋などの調理器具を見つけたようだ。金属鍋はこの探索で一番の当たりかもしれない。
「もうその小屋ん中には、何もないんすか?」
そう尋ねてきたのは大島さんだ。
「うーん、もう金目のものは、あの革鎧くらいか──」
そう返そうとした矢先、小屋の奥から声が響いた。
「これまだ使えるじゃないっすかー!」
中村さんの声だった。
「これにも聖魔法してよ」
「おけおけー」
小野さんがそう返事をすると、小屋の中が一瞬、ぼうっと白く光った。
「んーー! ギリいけるか? ちょい外で払ってくるわ」
そう言いながら、中村さんが大量の毛皮を抱えて小屋の外へ出てきた。
これは寝床にあった毛皮か。
少し離れた場所でバサバサと埃を払いながら、毛皮の状態を確かめている。
あの汚い毛皮まで持ち帰るつもりとは、とことんまで奪い尽くすつもりだな……。
「よっこい…………っせ」
マキマキさんが壺を抱えて、テントの中から現れた。
「それ何が入ってるの?」
「それを今から確かめようかと……」
そう言ってマキマキさんは壺の蓋をゆっくりと開く。
すると──
「ひっ!!!」
彼女は即座に蓋を閉じ、目を丸くしてこちらを振り返ると、頭をブンブンと横に振った
「なに? ヤバいもの入ってた?」
「虫……の漬物? でいいんですかね……」
興味半分で、蓋を少し開けて壺を覗き込むと、中にはカブトムシの幼虫のような大きめの芋虫が、油に漬けられてギッシリと満たされていた。
「うっ……。これ、食べ物なの……」
そんな言葉を口にすると、すぐに長良さんから注意が飛んできた。
「伊吹くん、食べたいなら一度、判断石で確認してからにしてください」
「いやいや、食べんけど……」
今現在、野営に持ち込める食料が、魚やワニの燻製と、そこら辺で捥いだ果物類しかない。
今後、さらに地下へ潜るとなると、日持ちする食料のバリエーションを増やしたいと思っていたのだが、さすがに虫の漬物は無理がある。
「えーっと、この樽はお酒ですね」
長良さんが、小屋から持ち出した樽の匂いを嗅いでいた。
「需要あるのかな?」
「どうでしょう? 置かれていた環境は不衛生でしたが、お酒自体は腐りませんし、もしかしたら売れるかもしれませんね」
「あれ? お酒なんてあったんすね」
革鎧を手に、小野さんが小屋の中から出てきた。
「飲んでみます?」
「んー、どうしましょう。少しだけ興味はありますね……」
「飲んでみるのでしたら、それも判断石で確認してからにしましょうか。まだ帰りの道もありますし」
「了解っす。じゃあ、それ台車に積んどきますね」
「よろしくお願いします」
さて残るはボス小屋から持ち出した壺と箱だが……。
先ほどの虫漬けが再び出てくるのを恐れ、壺の蓋をそっとずらすと、中には見覚えのある芋虫が大量に詰まっていた。
「うっ、これもじゃん! なんなのこれ。ゴブリンの主食?」
急いで蓋を戻し、壺を建物の影へと押しやった。
「こちらは、どうやら財宝のようですね」
長良さんの方が当たりだったか。
「お宝きた?」
その言葉を聞いて、すぐに三人衆が駆けつけてきた。
「遊んで暮らせます?」
「あ、ネックレスだ」
「指輪もありますね」
誰もが目を輝かせながら箱の中身を吟味している。
流石にこの程度の財宝では、遊んで暮らすには足りなさそうだが、いくつかの宝石と、宝飾品が数点、箱の中には入っている。
「これも全て鑑定ですね。……ただのアクセサリーかもしれませんが」
財宝の確認も終わったことで、集落の中にあった金目のものは粗方奪い尽くしたようなので、その全てを台車に乗せ、ダンジョンの入り口へと戻ることになった。
◻︎◻︎◻︎
「すっごく見られてますね……」
仮面を付けたマキマキさんがそう呟く。
しかしそれは仕方がない。
一応は革布で覆ってはいるものの、台車の上には壺や樽、木箱に革袋、各種武器防具が顔を覗かせており、一見すると夜逃げのようにも見える。
辺りは既に暗く、今日の探索を終えた冒険者たちが買取窓口前に屯っており、その一貫性のない戦利品を山盛り持ち帰ってきた怪しげな集団を、遠慮のない視線で見つめていた。
「……なんだあいつら? 引越しか?」
「廃品回収じゃね?」
「村でも襲ってきたのか?」
……言いたい放題だ。
あんまり失礼なことを言うと、マキマキさんの鞭が飛んでいくからな! 気をつけろよ!
「んじゃ、順番に鑑定していきますか」
判断石の前に台車を停め、被せていたシートを剥がす。
「まずはこれからっと……」
マキマキさんが判断石の上に『ドンッ』と壺を置いた。
こ、これは……。
【アイテム名】
ゴブリンの田舎料理
【詳細】
ミナミツネリムシの幼虫を乾燥させ、油に漬け込んだ郷土料理。祝いの席で供されることが多い。日持ちする。
「………………」
「今日って何か、おめでたいことあったっけ?」
「いや、誰も食べんでしょ……」
「何で持って帰ってきちゃった?」
説明文を読む限り毒はなく、食べられないこともなさそうだ。だからと言って口にする勇気は湧かない。
「研究所なんかが買ってくれるかな?」
「マテ買さんに持ち込んでみましょうか。ダメなら廃棄で」
長良さんはそう言うが、これを持っていったら窓口のお兄さんに嫌がられそうだな……。
続いて乗せられたのは酒の入った樽だ。
【アイテム名】
ゴブリン酒
【詳細】
ゴブリン族が作り出した酒。何種類かの果物から作られている。
「何とも判断しづらいっすね……」
小野さんが眉を顰めた。
「飲まないのであれば売ってしまいましょうか」
「法的に大丈夫なの?」
「あっ、失念しておりました……。お酒は許可なく売れませんね」
お酒に関しての決まりは、色々と細かいと聞く。
せっかくダンジョンで手に入れたお酒なのに、少し勿体無い。
「売らずに飲んでしまえば問題ないんすよね? ならちょっと聖魔法を掛けてから試してみますよ」
小野さんがそう名乗り出た。
捨てるくらいなら、一度試してみるのは良いが、お腹を壊したりしないだろうか?
「でしたらこのポーションをお持ちください。体調に変化があればすぐに服用を」
「分かりました。じゃあちょっと、3人で飲んできます」
「ええ!? 俺らも?」
三人衆は樽を抱え、休憩スペースの方へ移動していった。
「お酒かー……」
去って行く3人を見て、マキマキさんがポツリと呟いた。
「二十歳になるまで我慢してくださいね?」
「大丈夫です!」
選挙や結婚は十八歳からだけど、飲酒とギャンブルは二十歳からだよな。どういう基準なんだろう?
「……さて、どんどん鑑定していこうか」
「はい、お願いします」
一応は特殊な効果はないかと、柱や毛皮を乗せてみるが全然そんなことはなく、金属製の調理器具や武器なども残念な結果に。
ただ、ゴブリンのボスが手にしていた杖には特殊な効果が付いていた。
【アイテム名】
獣の杖
【詳細】
魔法を強化する効果が付与された杖。
魔法射程+2%
「…………微妙……だね」
「ま、まぁ初めて手に入れた魔法武器ですし、効果は微量でも喜ばしいことかと……」
「ですね……」
地下三階で手に入るような代物だ。魔法効果が付与されているだけでも希少といえよう。
続いて、箱に入っていた宝石類を鑑定して行くと、その中に一つだけ魔法効果のある宝石が混ざっていた。
【アイテム名】
魔法の宝石(水晶)
【詳細】
身体能力を強化する効果が付与された宝石。
嗅覚+2%
「んーーーーー」
「これって体感出来るのでしょうか?」
「その宝石を、ポッケに入れておけばイイんです?」
ゲームなんかだと、こういった宝石を武器に埋め込んで効果を得たりするが、ポケットに入れておくだけでも大丈夫なんだろうか?
手に持っていた魔法の宝石を、マキマキさんに手渡してみる。
「どう?」
マキマキさんは宝石を手に、スンスンと鼻を動かした。
「……全然わかんないです」
「だよね……」
これもまた、計測機器をダンジョン内に持ち込めないので、実際の効果を確かめる術が思いつかない。
プラス150%くらい付いていたら体感できそうなもんだが。
「でしたらそれは、中村さんにお渡しして、何かの道具に取り付けてもらってはどうでしょう?」
「包丁の柄に埋め込んでもらえば、傷んでる食材に気づけるかもね」
どうせ売っても二束三文だろう。だったら付与実験に使った方が良さそうだ。
「じゃあ残るはアクセサリー類か」
「ワクワクしますね!」
装飾品がマジックアイテムである確率は高い。マキマキさんも期待で両拳を握りしめている。
まずはゴブリンの腕に嵌められていた腕輪を、判断石の上に乗せてみる。
すると──
【アイテム名】
愛の腕輪
【詳細】
異性からの好感度が上がる腕輪。
魅力+2%
「………………」
「……い、伊吹くんは、そのようなアイテムを使わなくとも魅力的ですよ」
「そ、そうです! 先輩は大丈夫です!」
「ちょっ! なんで俺がこのアイテムに頼る前提なの!?」
あのゴブリンめ……。なんてものを装備してやがったんだ……。
◻︎◻︎◻︎◻︎◻
建物の中には家畜小屋のような臭気が漂っており、どうやらココが生活の場だったのは間違いなさそうだ。
近くの壁には、使い込まれた革鎧が一着ぶら下がっている。これは冒険者から奪ったものだろうか。
部屋の奥には、毛皮が幾重にも積まれた寝床のような場所があった。何の動物のものか断定はできないが、血や泥でかなり汚れている。とてもじゃないが、そのままでは触れたくない。
床には壺や樽、木箱がいくつも転がっており、それらの中身をひとつずつ確認していくことにした。
「よし。いったんこれを全部外に運び出そう。ココだと暗すぎる」
そう提案して、長良さんと二人で小屋の入口まで荷物を運ぶと、すぐに他のメンバーたちがやってきた。
三人衆は、テントの中から金属製の包丁や鍋などの調理器具を見つけたようだ。金属鍋はこの探索で一番の当たりかもしれない。
「もうその小屋ん中には、何もないんすか?」
そう尋ねてきたのは大島さんだ。
「うーん、もう金目のものは、あの革鎧くらいか──」
そう返そうとした矢先、小屋の奥から声が響いた。
「これまだ使えるじゃないっすかー!」
中村さんの声だった。
「これにも聖魔法してよ」
「おけおけー」
小野さんがそう返事をすると、小屋の中が一瞬、ぼうっと白く光った。
「んーー! ギリいけるか? ちょい外で払ってくるわ」
そう言いながら、中村さんが大量の毛皮を抱えて小屋の外へ出てきた。
これは寝床にあった毛皮か。
少し離れた場所でバサバサと埃を払いながら、毛皮の状態を確かめている。
あの汚い毛皮まで持ち帰るつもりとは、とことんまで奪い尽くすつもりだな……。
「よっこい…………っせ」
マキマキさんが壺を抱えて、テントの中から現れた。
「それ何が入ってるの?」
「それを今から確かめようかと……」
そう言ってマキマキさんは壺の蓋をゆっくりと開く。
すると──
「ひっ!!!」
彼女は即座に蓋を閉じ、目を丸くしてこちらを振り返ると、頭をブンブンと横に振った
「なに? ヤバいもの入ってた?」
「虫……の漬物? でいいんですかね……」
興味半分で、蓋を少し開けて壺を覗き込むと、中にはカブトムシの幼虫のような大きめの芋虫が、油に漬けられてギッシリと満たされていた。
「うっ……。これ、食べ物なの……」
そんな言葉を口にすると、すぐに長良さんから注意が飛んできた。
「伊吹くん、食べたいなら一度、判断石で確認してからにしてください」
「いやいや、食べんけど……」
今現在、野営に持ち込める食料が、魚やワニの燻製と、そこら辺で捥いだ果物類しかない。
今後、さらに地下へ潜るとなると、日持ちする食料のバリエーションを増やしたいと思っていたのだが、さすがに虫の漬物は無理がある。
「えーっと、この樽はお酒ですね」
長良さんが、小屋から持ち出した樽の匂いを嗅いでいた。
「需要あるのかな?」
「どうでしょう? 置かれていた環境は不衛生でしたが、お酒自体は腐りませんし、もしかしたら売れるかもしれませんね」
「あれ? お酒なんてあったんすね」
革鎧を手に、小野さんが小屋の中から出てきた。
「飲んでみます?」
「んー、どうしましょう。少しだけ興味はありますね……」
「飲んでみるのでしたら、それも判断石で確認してからにしましょうか。まだ帰りの道もありますし」
「了解っす。じゃあ、それ台車に積んどきますね」
「よろしくお願いします」
さて残るはボス小屋から持ち出した壺と箱だが……。
先ほどの虫漬けが再び出てくるのを恐れ、壺の蓋をそっとずらすと、中には見覚えのある芋虫が大量に詰まっていた。
「うっ、これもじゃん! なんなのこれ。ゴブリンの主食?」
急いで蓋を戻し、壺を建物の影へと押しやった。
「こちらは、どうやら財宝のようですね」
長良さんの方が当たりだったか。
「お宝きた?」
その言葉を聞いて、すぐに三人衆が駆けつけてきた。
「遊んで暮らせます?」
「あ、ネックレスだ」
「指輪もありますね」
誰もが目を輝かせながら箱の中身を吟味している。
流石にこの程度の財宝では、遊んで暮らすには足りなさそうだが、いくつかの宝石と、宝飾品が数点、箱の中には入っている。
「これも全て鑑定ですね。……ただのアクセサリーかもしれませんが」
財宝の確認も終わったことで、集落の中にあった金目のものは粗方奪い尽くしたようなので、その全てを台車に乗せ、ダンジョンの入り口へと戻ることになった。
◻︎◻︎◻︎
「すっごく見られてますね……」
仮面を付けたマキマキさんがそう呟く。
しかしそれは仕方がない。
一応は革布で覆ってはいるものの、台車の上には壺や樽、木箱に革袋、各種武器防具が顔を覗かせており、一見すると夜逃げのようにも見える。
辺りは既に暗く、今日の探索を終えた冒険者たちが買取窓口前に屯っており、その一貫性のない戦利品を山盛り持ち帰ってきた怪しげな集団を、遠慮のない視線で見つめていた。
「……なんだあいつら? 引越しか?」
「廃品回収じゃね?」
「村でも襲ってきたのか?」
……言いたい放題だ。
あんまり失礼なことを言うと、マキマキさんの鞭が飛んでいくからな! 気をつけろよ!
「んじゃ、順番に鑑定していきますか」
判断石の前に台車を停め、被せていたシートを剥がす。
「まずはこれからっと……」
マキマキさんが判断石の上に『ドンッ』と壺を置いた。
こ、これは……。
【アイテム名】
ゴブリンの田舎料理
【詳細】
ミナミツネリムシの幼虫を乾燥させ、油に漬け込んだ郷土料理。祝いの席で供されることが多い。日持ちする。
「………………」
「今日って何か、おめでたいことあったっけ?」
「いや、誰も食べんでしょ……」
「何で持って帰ってきちゃった?」
説明文を読む限り毒はなく、食べられないこともなさそうだ。だからと言って口にする勇気は湧かない。
「研究所なんかが買ってくれるかな?」
「マテ買さんに持ち込んでみましょうか。ダメなら廃棄で」
長良さんはそう言うが、これを持っていったら窓口のお兄さんに嫌がられそうだな……。
続いて乗せられたのは酒の入った樽だ。
【アイテム名】
ゴブリン酒
【詳細】
ゴブリン族が作り出した酒。何種類かの果物から作られている。
「何とも判断しづらいっすね……」
小野さんが眉を顰めた。
「飲まないのであれば売ってしまいましょうか」
「法的に大丈夫なの?」
「あっ、失念しておりました……。お酒は許可なく売れませんね」
お酒に関しての決まりは、色々と細かいと聞く。
せっかくダンジョンで手に入れたお酒なのに、少し勿体無い。
「売らずに飲んでしまえば問題ないんすよね? ならちょっと聖魔法を掛けてから試してみますよ」
小野さんがそう名乗り出た。
捨てるくらいなら、一度試してみるのは良いが、お腹を壊したりしないだろうか?
「でしたらこのポーションをお持ちください。体調に変化があればすぐに服用を」
「分かりました。じゃあちょっと、3人で飲んできます」
「ええ!? 俺らも?」
三人衆は樽を抱え、休憩スペースの方へ移動していった。
「お酒かー……」
去って行く3人を見て、マキマキさんがポツリと呟いた。
「二十歳になるまで我慢してくださいね?」
「大丈夫です!」
選挙や結婚は十八歳からだけど、飲酒とギャンブルは二十歳からだよな。どういう基準なんだろう?
「……さて、どんどん鑑定していこうか」
「はい、お願いします」
一応は特殊な効果はないかと、柱や毛皮を乗せてみるが全然そんなことはなく、金属製の調理器具や武器なども残念な結果に。
ただ、ゴブリンのボスが手にしていた杖には特殊な効果が付いていた。
【アイテム名】
獣の杖
【詳細】
魔法を強化する効果が付与された杖。
魔法射程+2%
「…………微妙……だね」
「ま、まぁ初めて手に入れた魔法武器ですし、効果は微量でも喜ばしいことかと……」
「ですね……」
地下三階で手に入るような代物だ。魔法効果が付与されているだけでも希少といえよう。
続いて、箱に入っていた宝石類を鑑定して行くと、その中に一つだけ魔法効果のある宝石が混ざっていた。
【アイテム名】
魔法の宝石(水晶)
【詳細】
身体能力を強化する効果が付与された宝石。
嗅覚+2%
「んーーーーー」
「これって体感出来るのでしょうか?」
「その宝石を、ポッケに入れておけばイイんです?」
ゲームなんかだと、こういった宝石を武器に埋め込んで効果を得たりするが、ポケットに入れておくだけでも大丈夫なんだろうか?
手に持っていた魔法の宝石を、マキマキさんに手渡してみる。
「どう?」
マキマキさんは宝石を手に、スンスンと鼻を動かした。
「……全然わかんないです」
「だよね……」
これもまた、計測機器をダンジョン内に持ち込めないので、実際の効果を確かめる術が思いつかない。
プラス150%くらい付いていたら体感できそうなもんだが。
「でしたらそれは、中村さんにお渡しして、何かの道具に取り付けてもらってはどうでしょう?」
「包丁の柄に埋め込んでもらえば、傷んでる食材に気づけるかもね」
どうせ売っても二束三文だろう。だったら付与実験に使った方が良さそうだ。
「じゃあ残るはアクセサリー類か」
「ワクワクしますね!」
装飾品がマジックアイテムである確率は高い。マキマキさんも期待で両拳を握りしめている。
まずはゴブリンの腕に嵌められていた腕輪を、判断石の上に乗せてみる。
すると──
【アイテム名】
愛の腕輪
【詳細】
異性からの好感度が上がる腕輪。
魅力+2%
「………………」
「……い、伊吹くんは、そのようなアイテムを使わなくとも魅力的ですよ」
「そ、そうです! 先輩は大丈夫です!」
「ちょっ! なんで俺がこのアイテムに頼る前提なの!?」
あのゴブリンめ……。なんてものを装備してやがったんだ……。
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