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第三章 上を目指して
第百二十一話 バイアント王国のギルマスからのお願い
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僕たちが聞く体勢になるとエントルギルマスが話し出した。
「聞きたいことの一つは、魔人の事だ。それを先に聞きたいのだが……」
あ~、一番初めの問いか。
「じゃあ私が説明しよっかラウール?」
「ん~、僕たちよりは話をまとめるのも上手いし、ソフィアに任せよっかな? いいソフィア?」
「良いですよ。私がまとめて話しますね。」
ソフィアが了解してくれて話し出した。
「先に言っておきますが、質問は後にしてくださいね。話の流れが悪くなりますから……」
ソフィアが先にそう言って話し出した。
はじめに魔人は魔物か人が何かによって魔人に変わるというところから話が始まった。そこから赤の旅団、魔人の強さ、組織だった動きをしている事、組織の中枢となる存在がいる事、四天王の事……
他の国の冒険者ギルドとプッチモ王子やラーバンスト王子にも情報を伝えてほしいと付け加え、四天王の存在とジャックと言う名の更に上の存在がいることも伝えた。
この地に関する事では、ここからはルビックが言うことを信じるなら、一気にゴブリンが増えることはない。
だから順にゴブリンを討伐していくと良いと思うが、強いゴブリンもそのまま置いていったようだから油断しないようにと話した。
ソフィアの予想では、魔素が多いところからゴブリン以外の魔物が産まれて成長できたり、魔物や獣が流れてバイアント王国に入ってくるようになると生態系がもとに戻ったと言えそうだとの事だ。
……
……
ソフィアの話が終わってからしばらくは皆が無言だった。
まー僕たちは念話で楽しんでいたけど……
「……ふ~。……黒猫に指名依頼を出しても良いか?」
指名依頼? 面倒なことだが……
「内容によるわね。私たちは貴族みたいな人のためでなくて、弱い人のための依頼なら考えなくもないわ!」
「……おそらく弱き者のためになるぞ……。貴族のためにもなってしまうが……。――強いゴブリンを倒してほしい! どれくらいいるかもわからないが、出来るだけ多くの奴を……」
「――騎士として私からもお願いだ!」
「俺も――この国の冒険者として!」
……三人が深々と頭を下げている。一生懸命さは感じられるが……
「ラウール、受けてあげましょう。私たち以外では無理だと思いますよ。もし面倒であれば、クロウとヤマトだけでも大丈夫ですけどね。」
ソフィアがそう言うと、驚いた顔で僕の肩を三人が見た。
「流石にそんなひもみたいな事はしないよ……僕も外に出るよ。」
「当然私もよ!」
そんな感じで僕たちが次にすることが決まった。
良いのか悪いのか、国王が持ち出せた金銭が少なくて、国からも莫大な報酬が出るように交渉してくれるそうだ。
冒険者ギルドでは、王都周辺から徐々に討伐範囲を拡げて行くそうだ。それは通信できる生き残った都市などにも方針が伝えられるそうだ。
国についても話し合いしだいだが、出来るだけゴブリンの集落を発見し、殲滅していく作戦を考えると言っていた。
「じゃあ一応他の国にも注意を促しておいてね。他の国はこのバイアント王国よりはまともな人が先に立っているから……まーー今はここも前よりはましなんだろうけど。」と僕が言ってギルドマスターの部屋を出た。
……
冒険者ギルド内にはまだ冒険者が多く残っていて、僕たちの姿が皆から見える所まで来ると、冒険者たちは静かになった。
だが「ありがとうございました!」と冒険者ギルドの受付の方向から声がかかった。
「……ありがと「ラウールに話しかけてもいいけど、私のものだからね!」――」と僕は返礼も出来ない……
それが良かったのか、冒険者ギルド内は不思議な雰囲気となった。何か苦笑いしている人や、本気で笑い出した強そうな人までいた。
……
僕たちは冒険者ギルドを出ると、今日は休むことにして、王国バイアントに初めて入った時から泊まっている宿に戻った。
この宿でも食料の入手が難しいらしく、食事は質素だが僕たちは満足だった。何か作り手の気持ちが伝わって来るような優しい味だからだ。
……
一泊休み、早速僕たちはゴブリン狩りに出掛けることにした。
王都周辺は他の人たちが頑張るだろうから、王都から離れた場所でゴブリンを探していく。
クロウとヤマトに任せきるつもりはないが、効率を考えて別れて行動することにした。
僕とサクラは一緒になり、クロウとヤマト、ソフィアは自由に行動することにした。だけど討伐証明のために、死体だけは必ず回収して、討伐証明以外にも作物のための肥料として活用しようと考えていた。
「じゃあ我は魔人を狙うからね! 近くにいなかったら遠くまで行ってくるから、心配しないでね!」
……クロウがやられるビジョンが見えない……
「じゃあ俺は反対側に行く! 邪魔をするなよクロウ!」
……反対側にいるのに邪魔をどうやって……でもクロウなら出来る気もする……
「私はのんびりと近くを探していますね。皆が戻ってきたら姿を見せますのでご心配なく……」
……ソフィアが一番普通だ……
「じゃあ私たちは無理をしないで一日ごとに帰って来ようねラウール! それくらいのんびり構えましょ。この国も広いからね!」
そんなサクラの言葉で、バイアント王国のゴブリン狩りが始まった。
「聞きたいことの一つは、魔人の事だ。それを先に聞きたいのだが……」
あ~、一番初めの問いか。
「じゃあ私が説明しよっかラウール?」
「ん~、僕たちよりは話をまとめるのも上手いし、ソフィアに任せよっかな? いいソフィア?」
「良いですよ。私がまとめて話しますね。」
ソフィアが了解してくれて話し出した。
「先に言っておきますが、質問は後にしてくださいね。話の流れが悪くなりますから……」
ソフィアが先にそう言って話し出した。
はじめに魔人は魔物か人が何かによって魔人に変わるというところから話が始まった。そこから赤の旅団、魔人の強さ、組織だった動きをしている事、組織の中枢となる存在がいる事、四天王の事……
他の国の冒険者ギルドとプッチモ王子やラーバンスト王子にも情報を伝えてほしいと付け加え、四天王の存在とジャックと言う名の更に上の存在がいることも伝えた。
この地に関する事では、ここからはルビックが言うことを信じるなら、一気にゴブリンが増えることはない。
だから順にゴブリンを討伐していくと良いと思うが、強いゴブリンもそのまま置いていったようだから油断しないようにと話した。
ソフィアの予想では、魔素が多いところからゴブリン以外の魔物が産まれて成長できたり、魔物や獣が流れてバイアント王国に入ってくるようになると生態系がもとに戻ったと言えそうだとの事だ。
……
……
ソフィアの話が終わってからしばらくは皆が無言だった。
まー僕たちは念話で楽しんでいたけど……
「……ふ~。……黒猫に指名依頼を出しても良いか?」
指名依頼? 面倒なことだが……
「内容によるわね。私たちは貴族みたいな人のためでなくて、弱い人のための依頼なら考えなくもないわ!」
「……おそらく弱き者のためになるぞ……。貴族のためにもなってしまうが……。――強いゴブリンを倒してほしい! どれくらいいるかもわからないが、出来るだけ多くの奴を……」
「――騎士として私からもお願いだ!」
「俺も――この国の冒険者として!」
……三人が深々と頭を下げている。一生懸命さは感じられるが……
「ラウール、受けてあげましょう。私たち以外では無理だと思いますよ。もし面倒であれば、クロウとヤマトだけでも大丈夫ですけどね。」
ソフィアがそう言うと、驚いた顔で僕の肩を三人が見た。
「流石にそんなひもみたいな事はしないよ……僕も外に出るよ。」
「当然私もよ!」
そんな感じで僕たちが次にすることが決まった。
良いのか悪いのか、国王が持ち出せた金銭が少なくて、国からも莫大な報酬が出るように交渉してくれるそうだ。
冒険者ギルドでは、王都周辺から徐々に討伐範囲を拡げて行くそうだ。それは通信できる生き残った都市などにも方針が伝えられるそうだ。
国についても話し合いしだいだが、出来るだけゴブリンの集落を発見し、殲滅していく作戦を考えると言っていた。
「じゃあ一応他の国にも注意を促しておいてね。他の国はこのバイアント王国よりはまともな人が先に立っているから……まーー今はここも前よりはましなんだろうけど。」と僕が言ってギルドマスターの部屋を出た。
……
冒険者ギルド内にはまだ冒険者が多く残っていて、僕たちの姿が皆から見える所まで来ると、冒険者たちは静かになった。
だが「ありがとうございました!」と冒険者ギルドの受付の方向から声がかかった。
「……ありがと「ラウールに話しかけてもいいけど、私のものだからね!」――」と僕は返礼も出来ない……
それが良かったのか、冒険者ギルド内は不思議な雰囲気となった。何か苦笑いしている人や、本気で笑い出した強そうな人までいた。
……
僕たちは冒険者ギルドを出ると、今日は休むことにして、王国バイアントに初めて入った時から泊まっている宿に戻った。
この宿でも食料の入手が難しいらしく、食事は質素だが僕たちは満足だった。何か作り手の気持ちが伝わって来るような優しい味だからだ。
……
一泊休み、早速僕たちはゴブリン狩りに出掛けることにした。
王都周辺は他の人たちが頑張るだろうから、王都から離れた場所でゴブリンを探していく。
クロウとヤマトに任せきるつもりはないが、効率を考えて別れて行動することにした。
僕とサクラは一緒になり、クロウとヤマト、ソフィアは自由に行動することにした。だけど討伐証明のために、死体だけは必ず回収して、討伐証明以外にも作物のための肥料として活用しようと考えていた。
「じゃあ我は魔人を狙うからね! 近くにいなかったら遠くまで行ってくるから、心配しないでね!」
……クロウがやられるビジョンが見えない……
「じゃあ俺は反対側に行く! 邪魔をするなよクロウ!」
……反対側にいるのに邪魔をどうやって……でもクロウなら出来る気もする……
「私はのんびりと近くを探していますね。皆が戻ってきたら姿を見せますのでご心配なく……」
……ソフィアが一番普通だ……
「じゃあ私たちは無理をしないで一日ごとに帰って来ようねラウール! それくらいのんびり構えましょ。この国も広いからね!」
そんなサクラの言葉で、バイアント王国のゴブリン狩りが始まった。
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