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2章 ガーディアン襲撃編
20話 絶望 side ミナミ
しおりを挟むーーside ミナミ
私は半倒壊したテントに息を殺し潜む。
あまりの恐怖に逃げを選んだんだ。
耳奥に突き刺さる泣き声、悲鳴
そして、それさえも掻き消すほどの奇声と笑い声
一緒に暮らしていたガーディアンの皆が殺されていく。
同年代の女友達は屈強な男共に組み敷かれ、泣き叫び助けを呼ぶが、私はそれに応えられない。
怖いんだ……
私は見ていられず目をそらす。
身体が震える。腰に力が入らない。
ガーディアンのみんなは弱いわけではなかった。
戦闘系のスキルを持ち、強力な武器を持つ人たちもいた。
ーーだが、賊達の迅速で冷徹で卑怯な攻撃で殺された。
それを見た瞬間、私の勇気は脆く散った。
あぁ、私はクズだ。
あいつの事も何も考えず、信じる事すらせず殺してしまった。
私は既に人殺しの卑怯者
あの賊と何が違うというのか?
私がこうして息を殺す間にどんどんガーディアンのみんなは殺され、踏みにじられていく。
襲撃した賊は15人。
未だ全員が無傷で生きている。
「ヒヒヒヒヒヒッ!死ね死ね死ね!!」
地獄と化した空間に高らかに響きわたる狂気の女性声
その声の主は私が知っている人間で、仲間だと信じてた人で……この襲撃の黒幕だ。
「あぁ~楽しい……私を助けたのが貴方達の運の尽き。それにしても場所だけはいいわよね」
賊から逃げてきたという女。この女がこいつら賊をこの地下まで導いた。
「さすが姉貴だぁ!俺たちだけじゃ絶対わからなかったぜ!若い女は最高だしよぉ!」
「それにしても見てたか?姉貴が俺らの仲間とわかった瞬間のこいつらの滑稽な姿」
「ふふふふふ、本当に馬鹿な奴らだったわ。私を信じて、特にここのリーダーなんて私の嘘の好意にまんまと騙されて、後ろから一刺しで終わり、すぐイっちゃうんだから」
沸き起こる賊達の笑い声
怒り、憎しみが心の中で暴れ狂い、血が沸騰する。
殺してやりたい!
全員殺してやりたい!
でも、でも身体は 動かない。
私は死にたくないのだ。
だから私は息を潜め続ける。
仲間の助けを無視して、
ーーゾワッ
身体に悪寒が奔った。
「あーら、そこのテントに反応があるわよ~」
女が私の方を指し示した。
ーーバレた。男達がこっちに向かってくる。
女は索敵系の能力を持っていたんだ。
近づいてくる足音、下卑た男達の笑み
脳裏に浮かぶ同世代の女の子達の悲惨な姿
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……。
あんな目に合うくらいなら自ら死のう
私はベルトから銃を取ろうと
「見ーつけた」
「ーーひぃっ」
テントがめくられ、男と目が合う。
口元をニヤリと緩ませ、私を舐めるように見る。
身体が恐怖で硬直する。
銃でこいつを撃つべきなのに動かない
「はぁ、はぁ、はぁ、可愛いなぁ」
汚い醜悪な男の両の手が私の腕を地面に縫い付ける。
生臭く、荒い息が首元に近づいてくる。
嫌だ、怖い、嫌だよ
「ぉね…がい、、たずけてぇーー!」
私は叫んだ。助けは来ないとわかっていても叫ばずにはいられなかった。もうどうしようもないんだ。
「へへへ、興奮するねぇ!おらぁっ!」
私の上の服が簡単に引きちぎられる。
目からは涙が流れ出てくる。必死で抵抗するが男の力は強くびくともしない
男の顔が私の胸元に近づいてくる。
嫌だ、もう嫌だ。
「や、やめて……お願いやめてください…」
「へへへ、それは無理だ。お前はこれから俺たち全員に回されるんだからよー。楽しいぜ」
私は死ぬことも許されず、女としての尊厳を踏みにじられるんだ。もう嫌……
私の心が完全に砕けた音がした。
私は現実から目を瞑った。
「じゃー、頂きまーっ//」
男の声が突然途絶えた。
代わりに肌に何か液体のようなものがかかった。
何も起きない……
恐る恐る目を開けると
口から血を吹き出し、絶命する男と
血に濡れたナイフを片手に怒りと殺意の奔流を纏う秋がいた。
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