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12話 初換金
しおりを挟む今日はダンジョンで集めたスライムの魔石を売りにいこう
一体どれくらいになるか気になるしな。
スライムの魔石をまとめたが、かなりの量になった。
総量で80kgくらいありそうだ。
6つの米袋に小分けし、車の荷台に積み込み、近くの換金センターに向かうとする。
ダンジョンで得た魔石やアイテムなどを買い取りはダンジョン管理局でも行えるが、民間企業の換金センターでも買い取ってもらえる。
民間企業の換金センターは街中でも結構あるから便利だ。
ちなみに俺の車は箱バンと呼ばれるタイプだ。
中古でかなり安く買ったが俺の愛車である。
いっぱい積めるというが一番のポイントだ。
ナビを見ながら到着。
この窓が一つもない白い横長の建物が換金センターらしいな。
今まで知ってはいたが、これが換金センターだったのか
冒険者でないと入れない為、入るのは初めてだ。
少し緊張するな。
俺は駐車場の近くに置いてある巨大なカートに車内の魔石を載せ替える。若干キャスターが軋んでいるが何とか載せきった。
それにしても案外賑わっているな。
普段着の人もいるがゲームのようなかっこいい鎧を着ている人もいる。換金場にまで鎧着てくる必要あるかはやや疑問だが
とりあえず建物の入り口に着いたため、警備員に冒険者ライセンスを提示し中に入る。
中に入ると発券機があり、整理券を取る。
なんか銀行みたいなだな。
建物内は入ってみるとカウンターが横一列に並んでおり、各カウンターはパーテーションによって仕切られているみたいだ。
店内を見ているうちに俺の整理券の番号と対応するカウンターの番号が前の掲示板に映し出された。
早速、俺の番が来たみたいだ。
俺はカートを押してパーテーションの中に入っていく。
「ご来店ありがとうございます。今日はどういったご用件でしょうか?」
紺色の制服を着たお姉さんが凛とした姿勢で座っている。
かなりマニュアルと指導を徹底しているんだろうな
まるでキャビンアテンダントのようだ。
「今日は魔石を売りに来たんですが、利用は今回が初めてです。」
「初めてのお客様ですね。当店のご利用カードをお作り致しますので冒険者ライセンスカードをお預かり致していいでしょうか?」
「お願いします。」
俺は冒険者ライセンスを渡す。
「ありがとうございます。ちなみにですが、そちらの米袋?が魔石でしょうか?」
「はい、持ってきた魔石です。」
「えーと、6つありますが全てですか?」
少しだけ怪訝な表情なお姉さん
米袋は田舎者感が出過ぎてたかもな。反省だ。
「はい。全てスライムの魔石です。」
俺が答えるとお姉さんは僅かに驚いた表情になった。
やはりスライムの魔石だけをわざわざ売る奴なんていないのだろうか?
俺は今更ながら少し不安になる。
「やっぱりスライムの魔石は売れないでしょうか?」
「いえいえ!そんな事ありませんよ。スライムの魔石は確かに安いですが、それだけあれば結構な価格になりますよ。」
お姉さんは慌てて訂正する。
「そうですか、良かったです。」
「はい。では換金のためカートをお預かり致します。」
「よろしくお願いします。」
さて、いくらになるか楽しみだな。
「では店舗裏の鑑定所に運んできますので、少々お待ちください」
受付のお姉さんは俺のカートを重そうに運んで裏へと消えていった。
ーー数分後、受付のお姉さんが帰ってきた。
「お待たせしました。少し時間かかりますので、よろしければダンジョンアイテムの換金について説明いたしましょうか?」
ありがたい提案だ。
「ぜひお願いします。」
「はい。では、まず、ダンジョンアイテムで換金されるアイテムって何があると思いますか?」
まさかの質問式の説明だと…
だがこの質問は簡単だ。
冒険者についてはかなり調べたからな。
「ダンジョンで取れる鉱石、魔物を倒した際に必ずドロップされる魔石。ごく稀に落とす魔物のドロップアイテム、そして、ダンジョンのお宝、ダンジョンアイテムです。」
ネットで学んだ内容をそのまま答える。
「完璧ですね!ちなみに換金場で交換される大半は魔石で、その次にドロップアイテムです。ダンジョンアイテムなど高価値な物はオークションに出品されるので、持ち込みはほとんどありません。当店としては売って頂けるとありがたいんですがね」
「なるほど」
「では、次に買取価格についてですが、魔石から説明しますと魔石の価値は3つの項目で決まります。一つ目は色です。色はダンジョンのドアと違い、何色だから強い魔物だ!みたいなのはありません。しかし、強い魔物ほど色の透明度や深み、艶があるというデータがあります。そして、2つ目は大きさ。これは魔石が内包する魔力量と関係があり、強力な魔物ほど大きくなり、価値も上がります。最後3つ目は形状です。魔石の形状は基本的には楕円形の石ころみたいな形です。ですが変異体の魔物、俗に言う"ユニーク"の魔石の形状は球体であったり、四角であったり、特別な形となっており、非常に価値が上がります。以上3点が魔石の価値を決めるポイントです。ざっくりな説明でしたがご質問などございますか?」
なるほど、魔石って結構奥深いな。
それにしても質問かぁ、
聞いてすぐって基本的に質問出ないんだよなぁ
そうだなぁ…うーん。
それにしても思い出してしまうな
質問ないかと聞かれ、ありませんと答える。
その後から〇〇の内容は聞かなくて良かったのか?と言われ、理解が足りないから質問が出ないのだと怒られる。
俺のサラリーマン時代あるあるだ。
だからこそ、質問を絞り出す癖は身についている。
「魔石は関係ないのですが店舗に持ち込めないくらいのアイテム量の場合とかってどうすればいいですか?」
「その場合は訪問サービスがありますよ!訪問料で10万円と買値の1%は頂きますが、とても便利ですよ。特に企業やギルドは団体でダンジョンを探索する場合があるので、このサービスをよく利用されます。」
「なるほど、ありがとうございます。めっちゃよく分かりました。」
「ご理解頂けて良かったです。」
笑顔で微笑むお姉さん。
最高に可愛い笑顔だ。俺くらいになると女性の笑顔で簡単に惚れてしまう。
"ピコン"
お姉さんの手元のランプが光った。
「どうやら査定が終わったみたいです。少々お待ちください」
そういうとお姉さんは再び、バックヤードへと消えていき、何か書類を持って戻ってきた。
どうやら金額が出たのだろう
さて、いくらだろうか
「お待たせしました。査定額が出ました。こちらの用紙を見てください」
机の上に置かれた用紙には、うん?
「……7万3210円」
マジか、これは思った以上に多くないか?
これはすごい!
「もう一桁UPです。73万2100円ですよ」
「え!73万!?そんなに高く売れるんですか?」
「そんな事ありませんよ。スライムの魔石は個体差はありますが平均100円です。桜山さんが持ち込まれたのは約7000個でしたのでこの金額になっています。正直、驚きの量ですよ。普通は大体多くても100個とかですしね。」
通常100個?
確かに俺のダンジョンは特殊だしな
「かなり頑張りましたよ」
「頑張るレベルではありませんが…もし、この価格でよろしければ換金いたしますが、どうでしょうか?」
「ぜひ、よろしくお願いします。」
こうして俺は73万円を手に入れた。
お金は冒険者ライセンスの口座に入れてもらう事にした。
まさか退職金の6割を1日で稼げるとは……
よし!成金道を進むとするか
応援ありがとうございます!
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