捨て猫少佐と子猫とオッサン

丸井まー(旧:まー)

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9:3人のケーキ作り

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「ドーバ。料理の本はお持ちではないですか?」


ドーバの家につくなり、スウィードが突然そう言い出した。ドーバは目をパチクリさせた。スウィードは料理とは無縁そうな感じである。ぐっすりと寝ているアンリを抱っこしているスウィードは、期待からか、サファイアのような瞳をキラキラさせていた。目付きが普段鋭いのであんまり可愛いという印象は起きないが、子供のように目をキラキラさせていると、なんだか可愛い。ドーバはスウィードの頭を撫でまわしたい誘惑にかられた。それにぐっと耐えて、頭の中で過去の記憶を手繰り寄せる。


「あー……あるよ。うちの料理人にあげたやつ。多分厨房近くの廊下の本棚にあると思う」


スウィードの顔がパァっと輝いた。スウィードは出会った頃は無表情か悲しげな顔が多かったが、最近はよく笑うし、表情が増えてきた。嬉しそうな顔をするスウィードが素直に可愛い。思いっきり撫でまわしたい。その衝動に耐えつつ、ドーバは首を傾げてスウィードに尋ねた。


「料理をするのかい?」

「あ、はい。あの、アンリとケーキを作りたいと思いまして。……アンリはあんまり食事に興味がなくて、自分から食べようとすることが少ないんです」

「確かにそうだね」

「今日はルリアのケーキを自分から食べていたし、ケーキを一緒に作ってみたら少しは食べることに興味を持ってくれるかと思ったんです」

「あー、なるほどね。うん。いいと思うよ」


アンリは基本的に未だに口元に料理を運んでやらないと食べない。以前よりも格段に素直に食べてくれるようになったらしいが、自分から進んで食べようとはしない。お腹は空くみたいだが、食事に興味関心がないようで、放っておいたら多分ずっと食べないんじゃないかな?という感じなのだ。自主的に食べるのは、フリッツの家でハイル達がおやつを食べている時に、彼らを真似して食べるくらいではないだろうか。
食事に興味を持たせる為に、自分で何かを作らせてみるというのはいい考えかもしれない。まずは遊びながらでもいいから、食べ物に興味を持ち、自発的に食べ物を食べるという発想を持たせる必要があるのだろう。多分。


「それなら早速明日やってみようか。アンリ寝てるし、今のうちに良さそうな本を探して。なんなら、うちの料理人に教えてもらったらいいし」

「いいのですか?」

「勿論。スウィードは料理ができるのかい?」

「いえ、全然。軍で教えられた野戦料理くらいです」

「へぇー。ちなみに僕は1度もしたことがないよ。一緒にやってみようか」

「はいっ!」


スウィードが目を細めて、嬉しそうに笑った。なんだか可愛くて、ついつい我慢ができずに、ドーバは手を伸ばしてスウィードの頭を撫でた。柔らかい毛の感触を楽しみながら、耳の付け根をふにふにすると、スウィードが気持ち良さそうに目を細めて、小さくゴロゴロ喉を鳴らした。スウィードはドーバが撫でても嫌がらない。ふわふわの毛並みが気持ちよくて、スウィードが寝ている時や寝起きにいつも頭を撫でている。特に寝起きだと、ゴロゴロ喉を鳴らしながら、ドーバの手に甘えるようにすり寄ってくる。普段が軍人らしい雰囲気で姿勢もよくキリッとした感じなので、寝転がって甘えるように喉を鳴らしてドーバの手に懐いてくる姿は、なんというかギャップ萌えで半端なく可愛いのだ。

ドーバはスウィードに会う度に、スウィードに惹かれていく自分を自覚していた。だって単純に可愛いのだ。それに自分の過去を省みて、ちゃんと自分の非を認め、少しでも改善していこうと努力している姿にも好感が持てる。しかし、ドーバの心に芽生えた想いはスウィードには迷惑にしかならないだろう。獣人は1度伴侶と決めたら、その相手だけを愛するという。多分、スウィードは別れた妻をまだ愛している。ドーバと1度だけセックスをしたのは、本当に心が弱っていたからだろう。アンリと3人で寝ようと言い出したのはドーバだ。確かにアンリも一緒に寝るのは楽しいし、2人まとめて本当に可愛い。でも、最近はできたらスウィードにもっと触れたいと思っている。ドーバを愛さなくてもいいから、スウィードともっと一緒に過ごしたいし、触れあいたい。キスもしたいし、セックスもしたい。しかし、それを口に出すのは躊躇われる。
ドーバは四捨五入すれば、もう50のオジサンだ。まだ30代の若いスウィードにとってみれば、たとえ別れた伴侶のことがなくても間違いなく範疇外だろう。1度だけしたセックスは、本当に想定外のことだったのだと思う。スウィードにとって都合のいい悪い大人になりたいが、多分2度目のセックスができる日はこない気がする。毎週アンリと一緒にドーバの家に来てくれるだけで幸いだと思わねば。

眠るアンリを抱っこしたスウィードを厨房近くの本棚に案内して、一緒にケーキの作り方が載っている本を探す。比較的初心者向けっぽい料理本は10冊以上あり、どの本がいいのか2人で小声で話していると、厨房から料理人のグルーが顔を出した。


「旦那様。料理をなさるんですか?」

「うん。スウィードとアンリと一緒にケーキを作ろうかと思ってね」

「ケーキですか……んー……簡単なものがよろしいですか?」

「うん」

「私がお教えしましょうか?」

「いいのかい?」

「はい。……そうですね。ミルクレープなんて如何でしょうか?クレープを焼いて、生クリームを作って、あとは重ねるだけですから簡単ですよ。膨らませる系のケーキよりも失敗しにくいです」

「おぉ!いいね!スウィード。ミルクレープでいいかい?」

「はい。お願いします」

「じゃあ、明日の午前中にやってみようか。グルー。材料はある?」

「ございますよ。明日の午前中にいつでも始められるよう、準備しておきますね」

「よろしくー」

「よろしくお願いします」


穏やかに笑うグルーに、スウィードも嬉しそうに微笑んだ。なんだかドーバまで嬉しくなってくる。明日が楽しみだ。







ーーーーーー
翌朝。
ドーバはいつもよりも少し早く目が覚めた。年甲斐もなく、はしゃいでいる自覚がある。アンリにはまだケーキを作ることを言っていない。少し驚かせてやりたいので、始めるまで黙っていようと昨日のうちにスウィードと話したからだ。
寝返りをうって、仰向けだった身体をスウィードとアンリに向けて、肘をついて少しだけ身体を起こした。
穏やかな寝息を立てて眠る赤毛の猫親子の姿になんとも癒される。スウィードは俯せで寝ていることが多い。今も俯せで顔だけドーバの方を向いていた。ドーバはスウィードを起こさないように、手を伸ばして静かに優しくスウィードのふわふわの毛が生えている頭を撫でた。無意識なのだろう。ドーバの手にすり寄るように頭を少し動かし、眠りながらゴロゴロと喉を鳴らしている。スウィードの頬も撫でると、ピクピク耳を動かした。気持ち良さそうに眠るスウィードはかなり可愛い。ほわほわした気分でスウィードの頭や頬を撫で回していると、アンリがドーバの胸元にすりすり自分の額を擦りつけた。実に愛い。ドーバはスウィードから手を離して、アンリの小さな頭を優しく撫でた。まだ殆んど眠っている状態のアンリが小さくゴロゴロ喉を鳴らす。可愛くて堪らない。
ドーバは2人が自然に起きるまで、飽きることなくスウィードとアンリを交互に撫でつつ、可愛らしい猫獣人親子の寝顔を堪能した。

朝食を3人で済ませると、ドーバはご機嫌にアンリを抱っこしてスウィードと共に厨房へと向かった。実は厨房に入るのは今回が初めてである。厨房に入ると、抱っこしているアンリが不思議そうに目をキョロキョロさせた。
スウィードが嬉しそうに笑いながら、アンリに話しかけた。


「アンリ。ケーキを作ろう」


アンリがスウィードの言葉に目をパチクリさせた。


ドーバはスウィードとアンリと共に、シャツの袖を捲って、手を洗い、グルーの予備のエプロンを着けた。スウィードはやせ形のドーバや中背中肉のグルーよりも体格がいいので、エプロンがパツパツになっている。流石に子供用のエプロンは急に用意はできなかったので、アンリはエプロンなしだ。
グルーが用意してくれた材料をアンリがふんふん小さく鼻を鳴らしながら匂いを嗅いでいる。アンリは小さくて厨房の台に届かないから、使っていない椅子を持ってきて厨房の台のすぐ近くに置き、その上に立っている。


「アンリ。これは小麦粉だよ。これが卵で、これが牛乳。あとバターと塩と砂糖。グルー。使う材料はこれだけなのかい?この瓶は何?」

「それはバニラエッセンスです。クレープの材料はこれだけです。生クリームは保冷庫に入れてありますよ」

「だって」

「……うん」

「じゃあ早速やってみよう!」

「うん」

「はい!」


作り方を説明してくれるグルーの話を最初に聞き、まずはクレープの生地を作っていく。小麦粉をふるい、砂糖と塩を混ぜる。アンリが自分の手には大きいふるいを使い、スウィードがアンリの動きに合わせて少しずつ小麦粉をふるいに入れていく。小麦粉がボールの外にも飛び出し、どんどん辺りに散らばっていくが、アンリは初めてのふるいが楽しいようで、細い尻尾はご機嫌に揺れているし、サファイアのような瞳がキラキラ輝いている。
最初に計量した小麦粉がそこそこ減ってしまっているのでグルーが追加し、計量した砂糖と塩をアンリが混ぜた。アンリが卵と溶かしたバターを入れて泡だて器で混ぜ、スウィードが横から少しずつ牛乳を入れていく。ドーバが横からバニラエッセンスも入れると、スウィードとアンリが同じタイミングで鼻をヒクヒクさせた。可愛い。
グルーにお手本を見せてもらい、クレープを焼いていく。アンリが火を使うのは流石にまだ危ないので、興味津々なアンリをドーバが抱っこして、スウィードがクレープを焼く。スウィードは真剣な表情で生地を温めたフライパンにお玉で流し、丸く広げた。スウィードか薄いクレープを恐る恐るフライパン返しでひっくり返す。少し失敗して、クレープがぐちゃっと丸くなった。スウィードの耳がへにゃっと下がった。


「大丈夫ですよ。スウィード様。生地は多めに作ってありますから」

「はい」

「熱さが大丈夫なら手を使っていただいてもいいですよ」

「その……毛が混じらないだろうか」

「大丈夫だよ。食べるのは僕達だけだもん」

「ドーバ。でも……」

「いいからいいから。別にそんなにもっさり毛が抜けたりしないだろ?」

「あ、はい」


スウィードは頷いて、2枚目のクレープを焼き始めた。今度はフライパン返しで少し浮かせた生地を手を使ってそっと持ち上げてひっくり返した。今度はうまくいった。歪な円形だし、少し生地の厚みにムラがあるが、焼けていたら問題ない。そもそも食べるのはドーバ達だけだ。細かいことは気にしない。スウィードは何枚もクレープを焼くうちに早くも要領を掴んだのか、後半になるとそこそこキレイな円形の厚みのムラが減ったクレープを焼き上げた。
クレープのほんのり甘い匂いがする。アンリはずっと目をキラキラさせてスウィードの手元を見ていた。

クレープが焼き上がると、クレープを冷ましている間にアンリとドーバが生クリームを泡立てる。アンリは楽しそうに泡だて器でぐるぐる生クリームをかき混ぜたが、中々ホイップ状態にならない。グルーのお手本通りにやっているはずのドーバの生クリームも中々ホイップ状態にならない。何故だ。
最終的にスウィードが2つのボールの生クリームを泡立ててホイップクリームにした。スウィードも初めての筈なのに、明らかにドーバよりも手つきがいい。スウィードがやったら、あっという間にホイップクリームになった。少し釈然としない。

完成したホイップクリームと冷めたクレープを重ねていく。アンリがホイップクリームが入ったボールに手を突っ込んで派手に摘まみ食いしたりもしたが、なんとか少し歪な形のミルクレープができた。保冷庫で冷やして落ち着かせたら完成である。

3人とも小麦粉や飛び散った生クリームで服も身体も汚れている。ミルクレープを冷ましている間に風呂に入ることにした。
食べるのが楽しみなのか、ソワソワしているアンリを洗ってやる。ふわふわの毛に覆われた顔は小麦粉で白っぽくなってしまっているし、生クリームががっつり毛に絡みついていた。ドーバはクスクス笑いながらアンリを洗い、スウィードと並んで湯船に浸かった。アンリはドーバの膝の上である。


「結構楽しかったね」

「はい。食べるのが楽しみです」


スウィードが本当に楽しそうに目を細めて笑った。アンリが急かすように湯船から出ようとするので、お湯に浸かるのもそこそこに風呂から上がり、身体を拭いて着替えた。ミルクレープが待ちきれないのか、服を着た途端、アンリが走って脱衣場から出て、厨房の方へと走っていった。慌ててスウィードと2人で追いかける。
なんとかスウィードが厨房に入る直前にアンリを確保した。アンリだけで厨房に入るのはまだ危ない。いつになくソワソワしている楽しそうなアンリを見て、ドーバはスウィードと目を合わせて笑った。

きっちり1時間冷やしたミルクレープを食堂へとグルーに運んでもらった。ドーバの膝の上に座っているアンリが、目を輝かせてテーブルに身を乗り出して見つめる中、グルーがミルクレープを切ってくれた。
皿の上にのせたミルクレープを差し出されたアンリは、すぐに手を伸ばしてミルクレープを掴んで自分から大きくかぶりついた。アンリはフォークがまだ使えない。そもそも普段自分から食べようとはしないので、基本的にまだ誰かに食べさせてもらっている。手づかみで目をキラキラさせながらミルクレープを食べるアンリを見て、スウィードが嬉しそうに笑った。ドーバも自分の分をフォークを使って一口食べてみた。自画自賛かもしれないが、初めて作ったにしては、かなり美味しい。


「美味しいね。アンリ。スウィード」

「うん」

「はい」


スウィードも自分の分を食べて、目を輝かせた。キラキラ輝くサファイアのような瞳は、本当に宝石のようだ。ご機嫌な雰囲気で細くて長いスウィードの尻尾が揺れている。アンリも普段の食への無関心っぷりが嘘のように夢中でミルクレープを食べている。


「スウィード」

「はい」

「大成功だね!」

「はい!」


ドーバが笑いかけると、スウィードが本当に嬉しそうに微笑んだ。
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