おっさん寮母爆誕!〜鬼の騎士団長からお茶目で可愛い寮母になります!〜

丸井まー(旧:まー)

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19:愛をこめて短剣を

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 レオが目覚めると、珍しくルーカスがまだ眠っていた。お互いに全裸のままである。昨夜はとても盛り上がった。ルーカスがいやらしくて可愛くて、本当に最高だった。

 まだちゃんとした恋人でもないのにセックスをするのは如何なものかと思うのだが、愛しのルーカスに誘われて断れるわけがない。我ながらチョロいのだが、レオは淫らなルーカスに夢中になった。

 まだルーカスを寝かせてやりたいが、今日は武具屋に行く予定だ。夜はあまり遅くなると雪が心配なので、できたら早めに帰りたい。
 レオは背を向けているルーカスの結っていない長い黒髪を掻き分け、痕が残る白いうなじをねっとりと舐めて強く吸いついた。


「んっ……おい。普通に起こせ」

「可愛らしい悪戯ですよ。おはようございます。ルーカス様」

「おはよう。あっ、こら」


 レオが悪戯にルーカスの腹から下腹部までを触れるか触れないかのタッチで撫で下ろすと、ルーカスがもぞもぞと身動ぎしてこちらを向き、レオの鼻をやんわりと甘噛みした。可愛くて胸がきゅんきゅんする。


「悪戯をするな。朝っぱらから襲われたいのか」

「ははっ。それはそれで魅力的ですけど、今日は武具屋に行きたいので我慢します。腰は大丈夫ですか?」

「クッソ痛い」

「俺の部屋で湿布を貼りましょう。おんぶして連れて行きます」

「いい。歩ける」

「少しは甘やかさせてくださいよ」

「甘やかされる歳じゃない」

「歳は関係ありませんよ。好きな人は甘やかしたい方なんです」

「あっそ。……好きにしろ」

「はい。好きにします」


 ルーカスが起き上がろうとしたので、レオも起き上がり、起き上がったルーカスの頬にキスをした。ルーカスが無言で頬を抓ってくる。照れ隠しがかなり痛いが、とても可愛らしい。
 ルーカスに服を着せ、自分も服を着ると、レオはルーカスの着替えを用意してから、ルーカスをおんぶして部屋を出た。

 人の気配を探りながら、誰にも遭遇しないように自室へと向かう。自室に着いたら、ルーカスがシャワーを浴びている間に自分の着替えを用意した。
 全裸で出てきたルーカスにドキッとする。洗い髪が色っぽい。レオはうっかり興奮し過ぎないように色々堪えながら、ルーカスの腰に湿布を貼った。

 熱いシャワーを浴びて服を着ると部屋を出て、ルーカスと並んで歩き、まずは朝食を食べに喫茶店に向かう。今日も雪がパラついている。相合傘で二人くっついて歩ける幸せに、レオはだらしなく笑った。

 喫茶店で朝食を楽しむと、レオ達は馴染みの武具屋へと向かった。
 武具屋に入れば、顔馴染みの老爺がカウンターから声をかけてきた。


「また研ぎですかい?」

「いや。短剣を買いに来た」

「左様で。気に入るものがなければ打ちますから、お気軽にどうぞ」 

「あぁ」


 レオは老爺から見えないように、しれっとすぐ隣にいるルーカスの手を握った。ギリギリギリギリと思いっきり力を込められる。照れ隠しがかなり痛いが、幸せなので気にならない。
 レオはルーカスと手を繋いだまま、短剣を置いているコーナーへと向かった。

 この店は値段はピンキリだが、武具を作る職人の腕がよく、質がいいものしか扱っていない。
 レオは陳列してある短剣を一通り眺めて、無骨なデザインの実用的な短剣を手に取った。



「ルーカス様。ちょっと握ってみてください」

「あぁ。……いいな。これ。手に馴染む感じがする。重さも長さもちょうどいい」

「では、俺はこれにします」

「ん。ちょっと待ってろ。選ぶから」

「はい」


 ルーカスがレオに短剣を手渡し、真剣な顔で短剣を選び始めた。
 ルーカスがレオの為に贈り物を真剣に選んでくれるのがとても嬉しい。ルーカスに選んだ短剣は、飾り気はないがその分実用的で、それなりの値段がする。いざという時にルーカスの生命を守ってくれるものだと思うと安いくらいだ。

 ルーカスが一本の短剣を手に取った。柄に青色の魔石らしきものがついている。刃をじっくりと見たルーカスが、レオに短剣を手渡してきた。
 握ってみれば、手にしっくりと馴染む。重さも長さもちょうどいい。


「柄についている魔石の効果で血や脂がついても切れ味が鈍らないらしい」

「へぇ。いいですね。俺も魔石付きのやつを選び直そうかなぁ」

「さっきのでいい。手に馴染んだから」

「分かりました」

「それはどうだ」

「すごくしっくりきます。重さもいいですし、長さも使いやすいくらいで」

「ならば、それにする」

「魔石付きのものなら、俺が選んだものより値が張りますよ」

「構わん。お前の身を守るものだ」

「……ありがとうございます」


 真剣にレオの身を守るものを選んでくれたルーカスの心遣いが本当に嬉しい。
 会計をしてから、その場で短剣を贈りあった。短剣を身に着けるのに便利そうな革のベルトをそれぞれ見繕い、革のベルトも買って、早速短剣を身に着ける。腰のあたりに下げた短剣の重さがなんとも嬉しくて、年甲斐もなくはしゃぎたくなってしまう。

 レオはだらしなく笑いながらルーカスと一緒に武具屋を出ると、相合傘で近くにある飲食店へと向かった。

 最近新しくできたという店は、揚げ物専門の店だった。食い道楽の部下が美味しいと言っていたので期待できる。ルーカスに美味しいものを食べさせたい。
 店内に入ると、なんとなくほっとする暖かさだった。
 客がまばらにいる中、二人がけのテーブル席に座って、メニュー表を二人で眺める。


「ここは揚げ物専門店なんです。どれからいきます?」

「牛肉と豚肉と鶏肉。あ、チーズもいいな。卵も食いたい」

「これも美味しそうですよ。豚肉のチーズ巻き。野菜も色々ありますね。芋と玉ねぎが食いたいです。あと南瓜」

「魚もあるな。魚も頼もう」

「いいですね。魚って揚げると身がふわふわで美味いんですよねぇ」

「飲み物……へぇ。酒の種類が多いな。とりあえずこの蒸留酒」

「俺も同じものにします。最近できた店らしいんですけど、中々にいいですね」

「あぁ」


 機嫌がいいルーカスが小さく笑った。
 近くにいた店員に注文をして、すぐに運ばれてきた蒸留酒で乾杯をする。昼間から蒸留酒を出している店は少ないので、割と嬉しい。ルーカスが気に入ったようなので、揚げ物が美味しかったらお気に入りの店に追加しよう。

 蒸留酒を飲みながら他愛の話をしていると、揚げたての肉や野菜が運ばれきた。どれも美味しい。熱々の揚げた牛肉は下味がついているようで、かかっているソースも美味しい。蒸留酒にも合う。


「美味いですね」

「あぁ。いい店だな。美味い」

「あ、デザートも置いてますね。お腹に余裕があれば、林檎のパイなんてどうです? これも揚げてあるみたいですね」

「へぇ。食べる。玉ねぎ美味い。南瓜もいいな」

「芋もイケますよ。シンプルに塩だけなのがいいです。あ、魚美味いです。ふわっふわですよ。卵ソースがこれまた美味いです」

「食う。……美味い。チーズはどうだ? あちっ。んっ。チーズ美味い。酒がすすむ」

「あっつ。……あー。確かにこれは酒がすすみますねぇ。美味いです」

「メニューを全制覇したくなるな」

「ははっ。楽しそうですね。暫く通いますか?」

「あぁ。寮からも割と近いから、雪が多い日でも大丈夫だろう」

「腹の中から温まるものが多いですしね。多分、夕方から雪が激しくなるので、今夜の晩飯は寮の食堂で食いますか? 酒と肴を買っておいて、部屋で飲みましょうよ」

「いいぞ。干し肉とチーズが食いたい」

「蒸留酒ならナッツや干した果物もいいですよね。せっかくなので、ちょっといい蒸留酒を買っちゃいましょう」

「あぁ」


 ルーカスがなんだか楽しそうに笑った。レオはルーカスの控えめな笑顔が嬉しくて、でれっとだらしなく笑った。
 ルーカスと一緒にいると楽しくて、何気ない仕草にドキドキする。
 愛を込めた短剣を受け取ってもらえたし、今日は本当にいい日だ。ルーカスから貰った短剣は家宝にする。

 レオはのんびり揚げ物を楽しみ、店から出ると、ルーカスと相合傘で酒と肴を買いに行った。
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