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1:産卵おじさん
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リーンデルトはとある感覚で目が覚めた。大欠伸をしながら、のろのろと起き上がり、パジャマのスボンとパンツを脱いで、ベッドの上で四つん這いになる。
下腹部に力を入れれば、腹の中を硬いものが下りていく感覚がする。ぽろっとアナルから硬いものが出ていった。一つ、二つ、三つ。今朝は合計で五つだった。シーツの上を見れば、淡く緑色に光る卵が五つ落ちていた。リーンデルトは産みたての卵に浄化魔術をかけると、無造作に卵を掴み、ベッドのヘッドボードの上に置いてある籠に放り込んだ。
リーンデルトは特殊な体質をしており、余剰な魔力を卵の形で吐き出す。リーンデルトは幼い頃から魔力が多く、まだ卵の形で排出できなかった小さな子供の頃は、よく魔力過多で熱を出して寝込んでいた。10歳くらいから卵という形で余分な魔力を吐き出せるようになり、寝込むことは無くなったが、リーンデルトはそれから毎朝、魔力の塊の卵を産むようになった。毎朝毎朝、面倒だが、魔力過多で熱を出すよりマシである。
リーンデルトはフリちんのまま、ベッドから下り、1階の風呂場へと向かった。熱いシャワーを浴びて眠気を飛ばすと、全裸のまま自室に戻り、服を着る。リーンデルトは魔導具技師をしている。作業服のつなぎを着て、卵が入った籠を持ち、1階の台所を覗けば、同居人のカインが朝食を作っていた。
オムレツをひっくり返しながら、カインがリーンデルトを見て、いつものしかめっ面で口を開いた。
「おはよう」
「おはよう。今朝は五つだ」
「そうか。もうすぐ朝飯ができる」
「ん。洗濯回してくる」
「あぁ」
リーンデルトはカインに卵が入った籠を渡すと、ボリボリ頭を掻きながら、魔導洗濯機を置いている脱衣場へと向かった。2人分の洗い物を無造作に魔導洗濯機に突っ込み、洗剤を入れて、スイッチを押す。ごぅんごぅんと魔導洗濯機が動き出すのを眺めてから、居間へと向かった。
居間に行けば、テーブルの上に朝食が並べてあった。ハムとレタスのサンドイッチにオムレツ、トマトと豆のスープ、デザートにオレンジもあった。
リーンデルトが椅子に座ると、カインが珈琲が入ったマグカップを両手に持ってやって来た。カインからマグカップを受け取り、香りのいい珈琲を口に含む。珈琲のいい香りが鼻に抜け、爽やかな苦味が口の中に広がり、完全に眠気が無くなった。
先に朝食を食べ始めていたカインが、口の中のものをちゃんと飲み込んでから口を開いた。
「今日は少し遅くなる」
「おー。買い物はしとくわ」
「頼んだ。メモは書いてある」
「んー。了解」
リーンデルトがシャキシャキのレタスが美味しいサンドイッチをもぐもぐしていると、早々と食べ終えたカインが、今朝産みたてほやほやのリーンデルトの卵を無造作に口に放り込んだ。咀嚼をするでもなく、ポンポン卵を口に放り込み、全て食べきった。リーンデルトの卵は魔力の塊だから、口の中に入れると、ふわっと形が無くなり、魔力としてそのままカインに吸収される。
カインは魔力を作る器官が弱い体質で、放っておくと魔力欠乏症で倒れて、最悪そのまま死ぬ。
魔力欠乏症で倒れていたカインを拾って、一緒に暮らすようになって、気づけば20年が経とうとしている。リーンデルトは42歳、カインは39歳になる。お互いに老けたものだ。
カインは警邏学校の教官をしている。朝食の後片付けをした後、制服に着替えて家を出るカインを見送ると、リーンデルトは家に隣接している工房へと移動した。今日は依頼された魔導具の修理をしなくてはいけない。割と派手に壊れているので、夕方までかかるだろう。買い物は、昼休憩で昼食を食べに行きがてら、市場に行けばいい。
リーンデルトは工房の中に入り、早速仕事を始めた。
------
すっかり日が暮れてからカインが帰ってきた。リーンデルトは空きっ腹を抱えたまま、居間のソファーで新しい魔導具の内部機構の図面を書いていた。
「おかえり」
「ただいま」
「腹減った」
「すぐに作る」
「おー」
カインが制服の上着を脱ぎながら居間を通り抜けていくのを見送り、リーンデルトは夕食が出来上がるまで、黙々と図面を書き続けた。
リーンデルトは料理ができない。厳密に言うと、できない訳ではないのだが、何故か不味いものしかできない。変な事をしているつもりはないのだが、何度挑戦しても不味いものしか出来上がらないので、自分で料理をするのは独立した10代後半で諦めた。
カインは料理上手だ。そもそも食べるのが好きで、大食らいである。カインは毎日日課として筋トレをしているので太ってはいないが、それなりにガタイがいい。顔は厳つい方で、眉間の皺が定着しており、いつもしかめっ面をしている。これは若い頃から変わらない。
カインに呼ばれて夕食を食べると、順番に風呂に入った。寝酒を少し飲むと、2人で2階のリーンデルトの部屋に向かう。
カインは大食いだ。リーンデルトが朝に産む卵だけでは足りないらしく、リーンデルトとセックスをして、直接魔力を吸収する。リーンデルトは今日もカインを抱いてから、心地よい疲労感のまま、温かいカインの身体にくっついて、眠りに落ちた。
下腹部に力を入れれば、腹の中を硬いものが下りていく感覚がする。ぽろっとアナルから硬いものが出ていった。一つ、二つ、三つ。今朝は合計で五つだった。シーツの上を見れば、淡く緑色に光る卵が五つ落ちていた。リーンデルトは産みたての卵に浄化魔術をかけると、無造作に卵を掴み、ベッドのヘッドボードの上に置いてある籠に放り込んだ。
リーンデルトは特殊な体質をしており、余剰な魔力を卵の形で吐き出す。リーンデルトは幼い頃から魔力が多く、まだ卵の形で排出できなかった小さな子供の頃は、よく魔力過多で熱を出して寝込んでいた。10歳くらいから卵という形で余分な魔力を吐き出せるようになり、寝込むことは無くなったが、リーンデルトはそれから毎朝、魔力の塊の卵を産むようになった。毎朝毎朝、面倒だが、魔力過多で熱を出すよりマシである。
リーンデルトはフリちんのまま、ベッドから下り、1階の風呂場へと向かった。熱いシャワーを浴びて眠気を飛ばすと、全裸のまま自室に戻り、服を着る。リーンデルトは魔導具技師をしている。作業服のつなぎを着て、卵が入った籠を持ち、1階の台所を覗けば、同居人のカインが朝食を作っていた。
オムレツをひっくり返しながら、カインがリーンデルトを見て、いつものしかめっ面で口を開いた。
「おはよう」
「おはよう。今朝は五つだ」
「そうか。もうすぐ朝飯ができる」
「ん。洗濯回してくる」
「あぁ」
リーンデルトはカインに卵が入った籠を渡すと、ボリボリ頭を掻きながら、魔導洗濯機を置いている脱衣場へと向かった。2人分の洗い物を無造作に魔導洗濯機に突っ込み、洗剤を入れて、スイッチを押す。ごぅんごぅんと魔導洗濯機が動き出すのを眺めてから、居間へと向かった。
居間に行けば、テーブルの上に朝食が並べてあった。ハムとレタスのサンドイッチにオムレツ、トマトと豆のスープ、デザートにオレンジもあった。
リーンデルトが椅子に座ると、カインが珈琲が入ったマグカップを両手に持ってやって来た。カインからマグカップを受け取り、香りのいい珈琲を口に含む。珈琲のいい香りが鼻に抜け、爽やかな苦味が口の中に広がり、完全に眠気が無くなった。
先に朝食を食べ始めていたカインが、口の中のものをちゃんと飲み込んでから口を開いた。
「今日は少し遅くなる」
「おー。買い物はしとくわ」
「頼んだ。メモは書いてある」
「んー。了解」
リーンデルトがシャキシャキのレタスが美味しいサンドイッチをもぐもぐしていると、早々と食べ終えたカインが、今朝産みたてほやほやのリーンデルトの卵を無造作に口に放り込んだ。咀嚼をするでもなく、ポンポン卵を口に放り込み、全て食べきった。リーンデルトの卵は魔力の塊だから、口の中に入れると、ふわっと形が無くなり、魔力としてそのままカインに吸収される。
カインは魔力を作る器官が弱い体質で、放っておくと魔力欠乏症で倒れて、最悪そのまま死ぬ。
魔力欠乏症で倒れていたカインを拾って、一緒に暮らすようになって、気づけば20年が経とうとしている。リーンデルトは42歳、カインは39歳になる。お互いに老けたものだ。
カインは警邏学校の教官をしている。朝食の後片付けをした後、制服に着替えて家を出るカインを見送ると、リーンデルトは家に隣接している工房へと移動した。今日は依頼された魔導具の修理をしなくてはいけない。割と派手に壊れているので、夕方までかかるだろう。買い物は、昼休憩で昼食を食べに行きがてら、市場に行けばいい。
リーンデルトは工房の中に入り、早速仕事を始めた。
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すっかり日が暮れてからカインが帰ってきた。リーンデルトは空きっ腹を抱えたまま、居間のソファーで新しい魔導具の内部機構の図面を書いていた。
「おかえり」
「ただいま」
「腹減った」
「すぐに作る」
「おー」
カインが制服の上着を脱ぎながら居間を通り抜けていくのを見送り、リーンデルトは夕食が出来上がるまで、黙々と図面を書き続けた。
リーンデルトは料理ができない。厳密に言うと、できない訳ではないのだが、何故か不味いものしかできない。変な事をしているつもりはないのだが、何度挑戦しても不味いものしか出来上がらないので、自分で料理をするのは独立した10代後半で諦めた。
カインは料理上手だ。そもそも食べるのが好きで、大食らいである。カインは毎日日課として筋トレをしているので太ってはいないが、それなりにガタイがいい。顔は厳つい方で、眉間の皺が定着しており、いつもしかめっ面をしている。これは若い頃から変わらない。
カインに呼ばれて夕食を食べると、順番に風呂に入った。寝酒を少し飲むと、2人で2階のリーンデルトの部屋に向かう。
カインは大食いだ。リーンデルトが朝に産む卵だけでは足りないらしく、リーンデルトとセックスをして、直接魔力を吸収する。リーンデルトは今日もカインを抱いてから、心地よい疲労感のまま、温かいカインの身体にくっついて、眠りに落ちた。
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