18 / 51
17:穏やかな時間
豪華で美味しい朝食をがっつり食べた後、本当に朝寝をして、昼前の時間に目が覚めた。
リードが目覚めた時には、デイビッドはまだ穏やかな寝息を立てていた。
いつもは一つの三つ編みにしている髪を下ろしていると、ちょっと新鮮である。癖のない長い髪に触れると、意外と毛質が柔らかくてサラサラしており、触っていて地味に楽しい。
リードは静かに起き上がり、眠るデイビッドの髪を弄り始めた。
なんとなく細めの三つ編みを量産していると、デイビッドが目を覚ました。
「おはよ。何してんだ?」
「おはよう。髪で遊んでる」
「楽しい?」
「割と」
「んー。じゃあ、編んでくれよ」
「うん。いつもの三つ編み?」
「うん。それが一番楽」
デイビッドが起き上がって、ベッドのヘッドボードに置いていた髪紐を手渡してきた。
こちらに背を向けたデイビッドの髪をできるだけ丁寧に三つ編みにする。地味に楽しい。
ちょっと年季の入った青い髪紐を結ぶと、リードはふと思いついたことを口に出した。
「髪紐買わない?」
「俺の?」
「うん。僕が買う」
「んー。じゃあ、よろしく」
「何色がいい?」
「あれば水色?」
「うん。どこで売ってるのかな」
「雑貨屋とかだな。昼飯食いがてら覗いてみよう。あ、足湯とやらも試してみようぜ」
「うん」
デイビッドとベッドから下りて、服を着る。朝寝も裸で一緒に寝ていた。特に深い理由はない。なんとなくである。
財布だけをズボンのポケットに入れて、デイビッドに手を引かれて寝室を出た。
デイビッドに手を握られるのは嫌じゃない。不思議となんとなく落ち着く。
そのまま宿屋を出ると、地図を見ながらお目当ての店へと向かい歩き始めた。
美味しくて珍しい昼食を楽しんでから、雑貨屋に向かう途中で足湯とやらを試してみた。
ズボンの裾を折って、足だけを温泉に浸けると、不思議とじわじわ身体全体がぽかぽかしてくる。
今は夏の盛りで暑いのだが、汗をかくのが逆に気持ちがいい。今日は風もあるし、普段暮らしている街よりも風が涼しくて心地いい。
のんびり足湯を堪能してから、雑貨屋へと入った。
土産物屋も兼ねている雑貨屋は色んなものがたくさんあった。珍しいものが多くて、眺めているだけでも楽しい。
髪紐が置いてあるコーナーがあり、見てみれば、残念ながら水色の髪紐はなかった。
「リードは何色が好き?」
「え? んーー。考えたことがなかったなぁ。なんだろ。青?」
「じゃあ、青色のやつ選んでくれよ」
「うん。濃いめのと鮮やかなの、どっちがいいかな……」
「リードが好きな方でよろしくー」
「んーー。こっちの鮮やかなのが好き」
「じゃあ、それで! 暑いからこの後かき氷なるものを食べに行かないか?」
「いいね。氷をそのまま食べるのかな?」
「気になるだろ?」
「うん」
「ははっ! 次の『楽しい』へ行ってみようぜ!」
デイビッドが楽しそうに笑った。
会計をしてから店を出ると、デイビッドに頼まれて髪紐を付け替えた。
デイビッドが嬉しそうに笑い、元々着けていた髪紐はズボンのポケットに入れていた。
するっと手を握られたので、なんとなく指を絡める。そのままデイビッドが歩き始めたので並んで歩き、かき氷なるものが食べられる店へと向かった。
喫茶店っぽい店に入り、二人がけのテーブル席に座ると、メニュー表を眺めた。
「へぇー。削った氷にシロップがかかってるんだ」
「何種類もシロップがあるな。んーー。俺は苺にする」
「僕は桃かなぁ」
「一口くれよ」
「いいよ。デイビッドも一口ちょうだい」
「いいとも! 氷を食べるなら腹が冷えるだろうし、熱い香草茶も頼もう」
「うん。香草茶って美味しいよね」
「だな。ばあちゃんの土産に買って帰る」
「すごく喜んでくれそう」
「多分な」
店員に注文して暫し待っていると、大きめのグラスに山盛りの氷が運ばれてきた。淡いピンク色の桃のジャムみたいなシロップがかかっており、おずおずと一口食べてみれば、ふわっと桃の香りが鼻に抜け、とても細かく削られた氷が冷たくて甘くてすごく美味しい。
リードは自然と笑っていた。
「美味しい! 冷たくて甘い。なんかすごく新鮮」
「んまー。桃、一口くれ」
「いいよ。苺も一口。……ん! 苺も美味しい!」
「あ、桃も美味い! 暑い時にはいいな。かき氷」
「うん。口の中がひんやりするー」
氷が溶けないうちにとちょっと急いで食べきると、二人揃って頭がきーんっとなった。
なんとなく可笑しくて顔を見合わせて笑い、熱い香草茶を飲んでまったりした。
喫茶店を出て二人でぶらぶらと歩いていると、『湖はあちら』という看板を見つけた。
湖を見てみようということになり、そのまま歩いて湖へと向かった。
初めて見た湖はとてもきれいで、周りに生えている木々の緑が水面に映っていた。
「ほぁー。すごくきれいだ」
「だなぁ。思ってたよりデカいんだな。湖って。船が浮いてるし。あれって船だよな?」
「船だと思う。本の挿絵でしか見たことないけど」
「魚を獲ってるのかも」
「魚も食べてみたいなぁ」
「今夜の晩飯が楽しみだな。宿屋で魚が出なかったら、明日の昼飯は魚を食おうぜ」
「うん。楽しみにしとく」
「そろそろ宿屋に戻るか。汗かいたから温泉に入ってから晩飯食おう」
「うん。あ、ねぇ」
「ん?」
「デイビッドの髪、洗ってみていい?」
「いいぞー。なに? 俺の髪気に入った?」
「うん。サラサラしてるし、弄って楽しい」
「ははっ! そっか! 好きに弄るがいいわー!」
デイビッドがどこか嬉しそうに笑った。
宿屋に戻り、内風呂の洗い場でデイビッドの髪を洗って結い上げてから、自分の身体も洗って外の露天風呂へ移動した。
内風呂も気持ちいいが、露天風呂の方が楽しくて気持ちいい。
ほぁーと気の抜けた声を出しながら、ふと、昨日はあんなに罪悪感で苦しかったのに、今日はそこまでないなと思った。
ちらっと隣でリラックスしているデイビッドを見て、間違いなくデイビッドのお陰だよなぁと思った。
溜まり溜まったものを吐き出して、思いっきり泣いて、オナニーをしてスッキリして、がっつり寝て、美味しいものを食べたら、なんとなく気分が上向きになってきた気がする。
旅行中か旅行が終わった後にでも、デイビッドに何かお礼がしたい。何をすればお礼になるだろうか。
うーんと考え始めると、デイビッドがつんつんとリードの頬を突いた。
「なに? また考え事? 吐けー。今すぐに吐き出せー」
「あ、いや。……君に何かお礼がしたいと思って」
「ん? リードが『楽しい!』って笑ってくれたらそれだけで十分すぎるぞ?」
「それだけじゃお礼にならないよ。何かこう……欲しいものとか、して欲しいことってない?」
「んーー。今は思いつかない」
「あ、オナニーの時にちんちん舐める?」
「……いや、それは駄目だ。狼さんになっちゃう!」
「狼さんになるとどうなるのさ」
「もれなくリードが美味しくいただかれるな」
「よく分かんないんだけど」
「あーー。あれだ。なんだ」
「どれだ」
「……セックスしちゃうってこと」
「デイビッド。知らないの?」
「ん? 何が?」
「男同士はセックスなんてできないよ? 挿れる穴がないじゃない」
デイビッドがきょとんとした顔をした後で、何故か眉間に皺を寄せて唸った。
「あーー。男女のセックスもふわっとしか知らない感じだもんなーー」
「それは知ってるよ。……一応」
「あのね。リードさん」
「なに」
「男同士でもセックスできちゃうのだよ」
「まっさかー。できるわけないじゃない。どこに挿れるんだよ」
「ケツ」
「……は?」
「ケツの穴にちんこ挿れます」
「……お尻は挿れちゃ駄目だろ!? その、うんちまみれになっちゃうよ!? ていうか! 痔になりそう!」
「中をきれいにする便利道具はあるし、なくても俺の場合は魔術でなんとかなる。切れて痔にならないように、ちゃんと念入りに解せば入るんだな、これが」
「え、えぇ……デイビッドはしたいの? セックス」
「……いや?」
「正直に」
「……めちゃくちゃしたいけど、今はしない」
「なんで?」
「弱っているお前につけ込むような真似はしない。俺は紳士だ! 狼さんにはならないぞ!」
「あ、うん?」
「そろそろ出よう。晩飯が運ばれてくる」
「うん」
露天風呂から出て脱衣場で身体を拭きながら、ふと、ハルーアの言葉が頭の中に蘇ってきた。『娼館で働け』。てっきり、女性客の相手をしろという意味かと思っていたが、あれはもしかして男とセックスしろという意味だったのだろうか。
よく知りもしない男に触れられることを想像するだけで、ぶわっと鳥肌が立った。
ハルーアはなんであんなことを平気で言えるのだろうか。きっと自分のことしか考えていないからだと思うが、それにしても改めて酷いなと思った。
なんとなくデイビッドの手を握ると、ささくれだった心がちょっと落ち着いた。
「リード?」
「なんでもない。晩ご飯食べに行こう」
温かいデイビッドの手を握ったまま居間みたいな部屋に行き、夕食が運ばれてきたら、何も考えないようにしながら、デイビッドと一緒に美味しい魚料理を楽しんだ。
リードが目覚めた時には、デイビッドはまだ穏やかな寝息を立てていた。
いつもは一つの三つ編みにしている髪を下ろしていると、ちょっと新鮮である。癖のない長い髪に触れると、意外と毛質が柔らかくてサラサラしており、触っていて地味に楽しい。
リードは静かに起き上がり、眠るデイビッドの髪を弄り始めた。
なんとなく細めの三つ編みを量産していると、デイビッドが目を覚ました。
「おはよ。何してんだ?」
「おはよう。髪で遊んでる」
「楽しい?」
「割と」
「んー。じゃあ、編んでくれよ」
「うん。いつもの三つ編み?」
「うん。それが一番楽」
デイビッドが起き上がって、ベッドのヘッドボードに置いていた髪紐を手渡してきた。
こちらに背を向けたデイビッドの髪をできるだけ丁寧に三つ編みにする。地味に楽しい。
ちょっと年季の入った青い髪紐を結ぶと、リードはふと思いついたことを口に出した。
「髪紐買わない?」
「俺の?」
「うん。僕が買う」
「んー。じゃあ、よろしく」
「何色がいい?」
「あれば水色?」
「うん。どこで売ってるのかな」
「雑貨屋とかだな。昼飯食いがてら覗いてみよう。あ、足湯とやらも試してみようぜ」
「うん」
デイビッドとベッドから下りて、服を着る。朝寝も裸で一緒に寝ていた。特に深い理由はない。なんとなくである。
財布だけをズボンのポケットに入れて、デイビッドに手を引かれて寝室を出た。
デイビッドに手を握られるのは嫌じゃない。不思議となんとなく落ち着く。
そのまま宿屋を出ると、地図を見ながらお目当ての店へと向かい歩き始めた。
美味しくて珍しい昼食を楽しんでから、雑貨屋に向かう途中で足湯とやらを試してみた。
ズボンの裾を折って、足だけを温泉に浸けると、不思議とじわじわ身体全体がぽかぽかしてくる。
今は夏の盛りで暑いのだが、汗をかくのが逆に気持ちがいい。今日は風もあるし、普段暮らしている街よりも風が涼しくて心地いい。
のんびり足湯を堪能してから、雑貨屋へと入った。
土産物屋も兼ねている雑貨屋は色んなものがたくさんあった。珍しいものが多くて、眺めているだけでも楽しい。
髪紐が置いてあるコーナーがあり、見てみれば、残念ながら水色の髪紐はなかった。
「リードは何色が好き?」
「え? んーー。考えたことがなかったなぁ。なんだろ。青?」
「じゃあ、青色のやつ選んでくれよ」
「うん。濃いめのと鮮やかなの、どっちがいいかな……」
「リードが好きな方でよろしくー」
「んーー。こっちの鮮やかなのが好き」
「じゃあ、それで! 暑いからこの後かき氷なるものを食べに行かないか?」
「いいね。氷をそのまま食べるのかな?」
「気になるだろ?」
「うん」
「ははっ! 次の『楽しい』へ行ってみようぜ!」
デイビッドが楽しそうに笑った。
会計をしてから店を出ると、デイビッドに頼まれて髪紐を付け替えた。
デイビッドが嬉しそうに笑い、元々着けていた髪紐はズボンのポケットに入れていた。
するっと手を握られたので、なんとなく指を絡める。そのままデイビッドが歩き始めたので並んで歩き、かき氷なるものが食べられる店へと向かった。
喫茶店っぽい店に入り、二人がけのテーブル席に座ると、メニュー表を眺めた。
「へぇー。削った氷にシロップがかかってるんだ」
「何種類もシロップがあるな。んーー。俺は苺にする」
「僕は桃かなぁ」
「一口くれよ」
「いいよ。デイビッドも一口ちょうだい」
「いいとも! 氷を食べるなら腹が冷えるだろうし、熱い香草茶も頼もう」
「うん。香草茶って美味しいよね」
「だな。ばあちゃんの土産に買って帰る」
「すごく喜んでくれそう」
「多分な」
店員に注文して暫し待っていると、大きめのグラスに山盛りの氷が運ばれてきた。淡いピンク色の桃のジャムみたいなシロップがかかっており、おずおずと一口食べてみれば、ふわっと桃の香りが鼻に抜け、とても細かく削られた氷が冷たくて甘くてすごく美味しい。
リードは自然と笑っていた。
「美味しい! 冷たくて甘い。なんかすごく新鮮」
「んまー。桃、一口くれ」
「いいよ。苺も一口。……ん! 苺も美味しい!」
「あ、桃も美味い! 暑い時にはいいな。かき氷」
「うん。口の中がひんやりするー」
氷が溶けないうちにとちょっと急いで食べきると、二人揃って頭がきーんっとなった。
なんとなく可笑しくて顔を見合わせて笑い、熱い香草茶を飲んでまったりした。
喫茶店を出て二人でぶらぶらと歩いていると、『湖はあちら』という看板を見つけた。
湖を見てみようということになり、そのまま歩いて湖へと向かった。
初めて見た湖はとてもきれいで、周りに生えている木々の緑が水面に映っていた。
「ほぁー。すごくきれいだ」
「だなぁ。思ってたよりデカいんだな。湖って。船が浮いてるし。あれって船だよな?」
「船だと思う。本の挿絵でしか見たことないけど」
「魚を獲ってるのかも」
「魚も食べてみたいなぁ」
「今夜の晩飯が楽しみだな。宿屋で魚が出なかったら、明日の昼飯は魚を食おうぜ」
「うん。楽しみにしとく」
「そろそろ宿屋に戻るか。汗かいたから温泉に入ってから晩飯食おう」
「うん。あ、ねぇ」
「ん?」
「デイビッドの髪、洗ってみていい?」
「いいぞー。なに? 俺の髪気に入った?」
「うん。サラサラしてるし、弄って楽しい」
「ははっ! そっか! 好きに弄るがいいわー!」
デイビッドがどこか嬉しそうに笑った。
宿屋に戻り、内風呂の洗い場でデイビッドの髪を洗って結い上げてから、自分の身体も洗って外の露天風呂へ移動した。
内風呂も気持ちいいが、露天風呂の方が楽しくて気持ちいい。
ほぁーと気の抜けた声を出しながら、ふと、昨日はあんなに罪悪感で苦しかったのに、今日はそこまでないなと思った。
ちらっと隣でリラックスしているデイビッドを見て、間違いなくデイビッドのお陰だよなぁと思った。
溜まり溜まったものを吐き出して、思いっきり泣いて、オナニーをしてスッキリして、がっつり寝て、美味しいものを食べたら、なんとなく気分が上向きになってきた気がする。
旅行中か旅行が終わった後にでも、デイビッドに何かお礼がしたい。何をすればお礼になるだろうか。
うーんと考え始めると、デイビッドがつんつんとリードの頬を突いた。
「なに? また考え事? 吐けー。今すぐに吐き出せー」
「あ、いや。……君に何かお礼がしたいと思って」
「ん? リードが『楽しい!』って笑ってくれたらそれだけで十分すぎるぞ?」
「それだけじゃお礼にならないよ。何かこう……欲しいものとか、して欲しいことってない?」
「んーー。今は思いつかない」
「あ、オナニーの時にちんちん舐める?」
「……いや、それは駄目だ。狼さんになっちゃう!」
「狼さんになるとどうなるのさ」
「もれなくリードが美味しくいただかれるな」
「よく分かんないんだけど」
「あーー。あれだ。なんだ」
「どれだ」
「……セックスしちゃうってこと」
「デイビッド。知らないの?」
「ん? 何が?」
「男同士はセックスなんてできないよ? 挿れる穴がないじゃない」
デイビッドがきょとんとした顔をした後で、何故か眉間に皺を寄せて唸った。
「あーー。男女のセックスもふわっとしか知らない感じだもんなーー」
「それは知ってるよ。……一応」
「あのね。リードさん」
「なに」
「男同士でもセックスできちゃうのだよ」
「まっさかー。できるわけないじゃない。どこに挿れるんだよ」
「ケツ」
「……は?」
「ケツの穴にちんこ挿れます」
「……お尻は挿れちゃ駄目だろ!? その、うんちまみれになっちゃうよ!? ていうか! 痔になりそう!」
「中をきれいにする便利道具はあるし、なくても俺の場合は魔術でなんとかなる。切れて痔にならないように、ちゃんと念入りに解せば入るんだな、これが」
「え、えぇ……デイビッドはしたいの? セックス」
「……いや?」
「正直に」
「……めちゃくちゃしたいけど、今はしない」
「なんで?」
「弱っているお前につけ込むような真似はしない。俺は紳士だ! 狼さんにはならないぞ!」
「あ、うん?」
「そろそろ出よう。晩飯が運ばれてくる」
「うん」
露天風呂から出て脱衣場で身体を拭きながら、ふと、ハルーアの言葉が頭の中に蘇ってきた。『娼館で働け』。てっきり、女性客の相手をしろという意味かと思っていたが、あれはもしかして男とセックスしろという意味だったのだろうか。
よく知りもしない男に触れられることを想像するだけで、ぶわっと鳥肌が立った。
ハルーアはなんであんなことを平気で言えるのだろうか。きっと自分のことしか考えていないからだと思うが、それにしても改めて酷いなと思った。
なんとなくデイビッドの手を握ると、ささくれだった心がちょっと落ち着いた。
「リード?」
「なんでもない。晩ご飯食べに行こう」
温かいデイビッドの手を握ったまま居間みたいな部屋に行き、夕食が運ばれてきたら、何も考えないようにしながら、デイビッドと一緒に美味しい魚料理を楽しんだ。
あなたにおすすめの小説
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。