部下に秘密を知られたから口止めとしてセフレになったのに思ってたのとなんか違う!

丸井まー(旧:まー)

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12:思考の迷走

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 アルノーはずるぅっとアナルからバイブを引き抜くと、はぁーっと大きな息を吐いて、ぐでーっとベッドに寝転がった。
 つい最近買ったばかりのバイブは中々によかったのだが、なんとなく物足りない気がする。ちょこんと勃っている乳首がむずむずする。
 アルノーは自分の乳首を指で摘み、くりくりと弄りながら、物憂げな溜め息を吐いた。

 ダミアンとセフレになってから早半年近くになる。ダミアンがアルノーの家に来たのは、まだ10回ちょっとだが、ここ最近はダミアンとのセックスに慣れきってしまっている感がある。これは非常に由々しき事態だ。

 ダミアンが半端なく気持ちがいいセックスをして、アルノーを甘やかすからいけない。ダミアンのことを恋愛的な意味で好きなわけではないのだが、ここ最近はアナニーだけではいまいち満足しきれないようになっている。
 ダミアンに全身を優しく愛撫されて、あの大きな硬く熱いペニスをアナルに咥え込んで、頭がぶっ飛びそうな程の強烈な快感を与えられないと、なんだか満足できない。

 自分が快感に弱いのは自覚していたが、これはかなりマズい気がする。アルノーのアナルが弱々過ぎるのと、ダミアンが無駄にテクニシャンなのがいけない。1人でバイブやディルドで遊ぶのも確かに楽しいのだが、終わった後にちょっと虚しさを感じるようになってしまった。

 少し前にダミアンの前でアナニーショーをした時は、やる前は割と嫌々だったが、いざやり始めたら、ぶっちゃけかなり楽しかった。アナニーショーの後に、いつものような濃厚なセックスもして、大変満足した夜だった。正直アナニーをダミアンに見られるのも興奮していつもより気持ちよかったし、なんかちょっと新しい扉を開いてしまった感がある。

 自分で乳首を弄っても、ダミアンがしてくれる程の快感は得られない。アルノーは諦めて乳首から手を離し、ぼーっと天井を見上げた。乳首用の玩具も買ってみるか。大人の玩具専門店には、尿道開発用の玩具もあった。アナルだけではなく、乳首や尿道を開発したら、1人でももっと気持ちよくなれるのではないだろうか。

 ダミアンが飽きたら、セフレ関係はお終いだ。熱く絡み合う最高に気持ちがいいセックスができなくなる。アルノーは眉間に皺を寄せ、んーーっと唸った。
 本当にダミアンとのセックスにハマっちゃってしまっている気がする。これはちょっと……いやかなりマズい。

 男に抱かれるのは今でも気持ちが悪いと思う。だが、ダミアンならまぁいいかと思ってしまう自分がいる。ダミアンがセックスが上手くて、巨根な上に、絶倫なのがよろしくない。ダミアンの手はいつだって優しくて、セックスの時以外はとことん甘やかしてくるから、変な勘違いをしてしまいそうになる。
 ダミアンって実はアルノーのことが好きなんじゃないかと。多分違うと思うのだが、そんなことを考えてしまう程度には、二人きりで会う度に甘やかされまくっている。

 アルノーは大きな溜め息を吐いて、のろのろと起き上がり、ベッドから下りてシャワーを浴びた。使ったバイブを隣の小部屋に陳列してから、アルノーはぐるっと小部屋の中を見回した。
 20年近くかけて集めたコレクションは、中々に壮観である。

 アルノーは陳列しているバイブやディルドを一つ一つ眺めながら、ふと思った。
 ダミアンとのセックスは、いつも一方的に喘がされている。騎乗位はまだしたことがない。基本的に正常位かちんぐり返しの状態で突っ込まれることが多い。
 次のダミアンとのセックスで、騎乗位をしてみるのはどうだろうか。底に吸盤がついているディルドで模擬騎乗位をやりまくっているから、それなりに自信はある。
 いっそのことダミアンをアルノーの腰振りテクニックに夢中にさせたら、まだ暫くはダミアンがアルノーに飽きないのではないだろうか。

 アルノーは一瞬いいことを思いついた! と思ったが、これではまるでダミアンとのセフレ関係をずっと続けたいみたいな感じではないか。
 アルノーは底に吸盤がついている太めのディルドを手に取り、むぅと唇を尖らせた。

 ダミアンのことは部下として、人として、可愛いと思っている。公私共に気遣い上手で、特に私生活では甘やかしたがりだ。ダミアンに甘やかされるのが心地よくなってしまっているのが、本当にマズい気がする。

 完全に引き返せないところまでいってしまう前に、セフレを解消した方がいいかもしれない。ダミアンもそれなりに楽しんだ筈だから、アルノーの秘密を口外することはないだろう。
 ダミアンとのセフレ関係を解消して、ひたすらアナニーしまくっていたら、きっとこの物足りなさもなくなると思う。なくなると信じたい。

 ダミアンは、アルノーとのセフレ関係を解消したら、また男専門のバーに行って、男と遊んだり、恋人をつくったりするのだろうか。若干、うーっすら、ほんのすこーーし、もやっとする。別にアルノーはダミアンのことが恋愛的な意味で好きなわけではないが、ダミアンの優しい手が他の誰かに触れるのは、なんかもやっとする。

 アルノーはディルドを元の位置に戻すと、溜め息を連発しながら小部屋を出て、ベッドに上がり、頭から布団を被った。
 なんだかちょっともやもやする。アナニーした筈なのに、全然スッキリしていない。

 アルノーはぼんやりとダミアンのゆるい笑みを思い浮かべて、セックスがしたいなぁと思い、次の瞬間、ハッとした。これでは本当にダミアンとのセックスにハマってしまっているようではないか。それは色々とマズい。

 仮にである。ダミアンと恋人になったとする。そうすれば、ダミアンはアルノーだけを見て、アルノーだけとセックスをして、アルノーを今以上に甘やかしまくるだろう。それは別に構わない気がする。が、色々と問題がある。

 同性愛者はかなり少数派で、奇異な目や白い目で見られるものだ。魔術師長という立場にあるのに、男同士で恋人関係になったことが周囲に知られるのは割とマズい。それに、実家の両親や兄も絶対に交際を反対してくるだろう。基本的に貴族はゴシップ大好きな生き物だから、下手したら数年は社交界で噂の種になる。そうなると、肩身が狭い思いをするのは、母や兄嫁、姪っ子達だ。

 ダミアンが自分の母親に同性愛者だということを告げているのかは知らないが、きっとダミアンの母親もアルノーのことは歓迎しないだろう。
 アルノーは貴族で、ダミアンは平民だ。身分差も少しだけ歳の差もある。仮に恋人になってしまったら、苦労をするのはきっとダミアンの方だ。

 アルノーは、ダミアンとは絶対に恋人にはなれないと思った。セフレくらいなら、まぁまだ誤魔化しがきくが、仮に恋人になったとしても、それを堂々と公言することはできない。ダミアンを一生日陰者扱いしてしまうことになる。それは駄目だ。
 ダミアンは魔術師としても、魔導具研究者としても優秀だ。これからが更に期待できる優秀な人材なのに、アルノーのせいでよからぬ評判がつくのはよくない。

 アルノーはぐるぐると考えて、大きな溜め息を吐いた。
 なんだか考えるのに疲れてきた。このまま現状維持できれば、それでいいような気もしてくる。
 ダミアンがアルノーに飽きるまではセフレ関係でいよう。ダミアンがアルノーに飽きたら、その時はその時で何かしら考えればいい。

 アルノーは思考を放棄して、不貞寝するようにぎゅっと目を閉じた。


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