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25:御披露目パーティー
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御披露目パーティーの日がやって来た。
昨日のうちに、パーティーの為に倉庫に置いていた宿屋時代に使っていた大きなテーブルを2つ、1階に運び込んでいる。埃かぶっていた椅子も多めに出して、全部キレイにしてある。近所のケリーの飲み仲間やパーシーの職場の者達、カーラの学校の友達なども来てくれることになったので、当初の予定よりも人数が多くなったから立食形式で行うことにした。
朝食を済ませた後、片付けをパーシーに任せて、ケリーは風呂場の洗面台でいつもより丁寧に気合いを入れて伸ばしている髭を櫛と鋏で整えた。頭も昨日の夜に専用魔導シェーバーで剃っている。我ながら、つるりとした頭が眩しい。自室で普段着ているものよりも上等な生地でできている襟つきのシャツに着替えた。昨日アイロンをしっかりかけたのでパリッとしている。ズボンもいつもよりも質のいいシックな黒いスラックスを履き、昨日のうちにピカピカに磨いておいた黒の革靴を履く。自分の着替えが終わったら、カーラの身支度の手伝いだ。
いつもは1階でカーラの髪を結うが、今日はパーシーをビックリさせたいのでカーラの部屋で結う。
カーラは1人じゃワンピースの背中のジッパーを上まで上げられないので、ジッパーを上げて小さなホックまでしっかり留めてやってから、いつもよりも慎重かつ丁寧にカーラの髪を編み込んで結い上げていく。小さな細いピンも使い、最後にバレッタを着けた。我ながら中々に上手くできている。首にチョーカーを着けてやり、カーラがサンダルを履いたら完成である。うむ。俺の娘ちょー可愛い。
カーラと2人で1階に降りると、まだ覚醒しきっていない、いつもよりもかっちりした服を着たパーシーがいた。
パーシーはカーラを見た途端、半目だった目をくわっと大きく見開いた。
「えぇぇぇぇぇっ!?」
「うわ。父さん、うるさい」
「えっ!?えっ!?ちょっ!?えぇっ!?」
「どうだ、パーシー。可愛いだろ」
「可愛くはない」
「ど、ど、どうしたのカーラっ!?スカート穿くなんて!てっきりスーツだと思ってたのに!」
「可愛いだろ」
「可愛くはない」
「ビ、ビックリした……。可愛くてビックリした」
「可愛くはない」
「似合ってるよ、カーラ。自分で選んだのかい?」
「まさか。親父が選んだ」
「ケリー」
パーシーがいい笑顔で、ぐっと親指を立てた。ケリーもニヤッと笑って親指を立てる。ビックリドッキリ大成功である。
3人で手を繋いで役所へと歩いていき、ケリーとパーシーの結婚届けを提出した。ケリーがパーシーの籍に入る。自分の姓にこだわりはないし、パーシーとカーラとお揃いがいい。今日からケリーは『ケリー・ブリード』になった。
3人で街外れにある墓所に行き、パーシーの父親の墓と母親の墓の前で結婚の報告をした。のんびり話ながら歩き、家へと戻る。家ではガーナ達一家が準備を始めてくれている。ケビンは間違いなく今日のカーラに驚く筈だ。ケリーはケビンのリアクションを楽しみに、ご機嫌に2人と繋いでいる手を揺らした。
ーーーーーー
「「「ただいまー」」」
「おかえり……って、は?」
テーブルに皿を並べていたケビンがカーラを見るなり固まった。ガーナも目を丸くしている。
「おぉっ!?カーラ。今日は随分と可愛いな」
「だろ?」
「可愛くはない」
「まぁまぁ!カーラちゃんったら素敵だわ!」
奥から少しふくよかな女がニコニコしながらカーラに近寄った。ケビンの母親アリアナである。
「似合ってるわ!可愛いわぁ。自分で選んだの?」
「ううん。親父」
「あらぁ。ケリーさんはセンスがいいのねぇ。本当に素敵だわ。女の子はいいわねぇ。私、息子しかいないもの。カーラちゃん、うちの息子達の誰かのお嫁さんにならない?ケビンでもいいし、他にもいるわよ?」
「大人になったら考えるよ」
「ふふふっ。もうちょっと大きくなったらお化粧もするし、どんどんキレイになっていくんでしょうね。楽しみねぇ。ちょっとケビン。カーラちゃん、こんなに素敵なのよ?褒め言葉の1つくらい言いなさいな」
「へぁっ!?」
固まってカーラに見とれていたケビンがビクッとなった。しどろもどろに小さな声で『似合ってる』とボソッと言った。微妙にケビンの頬が赤い。ケリーはそんなケビンを眺めながらニヤニヤした。
次々と御披露目パーティーの参加者達がやって来た。いつも行く宿屋の主人も酒と大量の料理を持って来てくれた。資料館でよく会うパーシーの職場の人達も、近所の飲み仲間も集まり、すぐに賑やかになってきた。キャシーやカーラの担任のハボックも来てくれた。キャシーはカーラを見るなり目を輝かせた。ちなみにキャシーは今日はタイトな淡い黄緑の袖無しのワンピースを着ている。露出している肩から腕の筋肉が眩しい。
「あらぁ!カーラちゃん素敵ぃ!いいわぁ!似合うわぁ!チョーカーも可愛いぃ!」
「どーも」
「自分で選んだのぉ?」
「ううん。親父」
「まぁまぁ!ケリーちゃんたら趣味がいいのねぇ!とってもカーラちゃんに似合ってるわぁ」
ニコニコしながらキャシーが手作りの生クリームと苺たっぷりのケーキと林檎のパイをくれた。他にも結婚の祝いとして、ケリーに包丁をくれた。
「いいのか?こんなに」
「いいのよぉ。この包丁ねぇ、すっごく使いやすいしぃ、お手入れもしやすいのよぉ。ケリーちゃんも随分お料理が上達したしねぇ」
「ありがとな。大切に使わせてもらうよ」
「ふふふっ。ケリーちゃんの旦那さん、中々素敵じゃなぁい!背が高いしぃ、優しそうねぇ」
「まぁな」
「いいわねぇ。あたしもそろそろ結婚したいわぁ」
「そんときゃ祝いに駆けつけるよ」
「ふふふっ。頑張ってお相手探さなきゃねぇ」
ハボックやハボックの周りにいたカーラの学校の友達は皆カーラを見るなり、目を丸くして驚いた。普段カーラが学校で遊んでいるのは男の子ばかりだ。今日来ているのも皆男の子である。普段、男友達として認識しているカーラが可愛く着飾っているので、皆揃ってあんぐりと口を開けている。
「やぁ。これは驚いた。カーラさん、可愛いね」
「可愛くはない」
「可愛いだろ」
「可愛くはない」
「おめでとうございます。ケリーさん」
「ありがとう。わざわざ来てくれてありがとうな」
「ほら、君達。いつまで固まってるんだい」
男友達達はしどろもどろにケリーに祝いを告げ、うち1人が照れくさそうにカーラを褒めた。他にも、普段のカーラを知っている者達は皆今日のカーラに驚き、そして『可愛い』と褒めてくれた。ケリーは鼻高々である。どうだ。俺達の娘可愛いだろう。
皆で乾杯をして、パーティーが始まった。思い思いに美味しい料理を食べつつ、わいわいとお喋りに花を咲かせる。ケリーはパーシーとカーラと共に、来客達に挨拶して回った。
結婚の祝いにと、ガーナ一家からは椅子を3脚貰った。ケビンの祖父とガーナが椅子自体を作り、ケビンが装飾の彫り物をしたそうだ。繊細な模様は中々に上手く彫られており、ケリーはケビンの頭をわしゃわしゃ撫で回して手放しで褒めた。マートル親子からは3人お揃いの小さめの指輪がついたネックレスを貰った。マイキーも指輪を作るのを手伝ったらしい。シンプルな指輪の内側には3人の名前が彫られている。早速ネックレスを着けてみたが、長さもちょうどよく、普段つけても邪魔にならない。ケリーも嬉しかったが、特にパーシーが喜び、笑顔でマートルの手を両手で握ってブンブン上下に振り回した。
他にも飲み仲間達やパーシーの職場の者達から、様々な祝いの品を貰った。皆、基本手作りのものである。編み物が趣味の者から3人お揃いのひざ掛けを貰ったり等様々である。カーラの男友達からも、皆で作ったという小さな鉢植えを貰った。鉢を体験教室で作り、別の体験教室で可愛らしい花を植えたらしい。中々に素敵な出来映えである。ケリーはわしゃわしゃと全員の頭を笑顔で撫で回した。
大人達は持ち寄った酒も飲み、夕方まで賑やかに過ぎていった。窓から夕陽が差し込む頃に解散となり、ガーナ一家に手伝ってもらって後片付けをした。皆で持ち寄った料理の数々は全てキレイに無くなっている。
片付けをだいたい終えると、ケビンの祖母がケリーに手作りのエプロンをくれた。
「ケリーさん。男2人で娘を育てるんですもの。それなりに大変よ?これからカーラちゃんはどんどん大きくなって、キレイになっていくわ。女には女特有のものもあるもの。ほんの少しのことでもいいから、気にせず頼ってちょうだいな。私もアリアナも毎月1週間はこっちの家にいるからね」
「ありがたいよ」
「ふふふっ。パーシーもよかったわねぇ。こんな素敵な人が伴侶だなんて。パラモアにも見せたかったわ」
「あー。パーシーのお袋さんだよな」
「えぇ、そうよ。パラモアとは親友だったの。まさかあんなに早く逝ってしまうなんて思ってなかったわ。今日のカーラちゃんを見たら大喜びしてたでしょうね」
「そうだな。墓参りには3人で行ってきたんだ。見てくれてるといい」
「ふふふっ。お空の上で大喜びしてるわ」
ケビンの祖母は穏やかに嬉しそうに笑って、ケビンの祖父と手を繋いで帰っていった。
その日の夜は、3人で風呂に入り、片付けた1階の空いたスペースにマットレスを運び込んで、3人で一緒に寝た。疲れたのだろう。カーラは横になるなり、ケリーにくっついてすぐに眠ってしまった。
パーシーと手を繋いだまま、小声で話す。
「今日は楽しかったね」
「あぁ。本当にあんなに人が来てくれるとは思ってなかったわ」
「ふふふっ。皆カーラにビックリしてた」
「可愛かったからな」
「でもちょっと寂しいかな。きっとこうやって、どんどん大人の女性になっていくんだ」
「まぁな。こうして一緒に風呂に入ったり、寝たりできるのも、今だけだろうな」
「んー……やっぱり寂しい」
「子供は大きくなるもんだもんなぁ」
「ケリー」
「ん?」
「ありがとう。僕達と家族になってくれて」
「……おう」
なんだか改まって言われると照れくさい。ケリーはパーシーと指を絡めて、初めてパーシーと触れるだけのキスをした。
昨日のうちに、パーティーの為に倉庫に置いていた宿屋時代に使っていた大きなテーブルを2つ、1階に運び込んでいる。埃かぶっていた椅子も多めに出して、全部キレイにしてある。近所のケリーの飲み仲間やパーシーの職場の者達、カーラの学校の友達なども来てくれることになったので、当初の予定よりも人数が多くなったから立食形式で行うことにした。
朝食を済ませた後、片付けをパーシーに任せて、ケリーは風呂場の洗面台でいつもより丁寧に気合いを入れて伸ばしている髭を櫛と鋏で整えた。頭も昨日の夜に専用魔導シェーバーで剃っている。我ながら、つるりとした頭が眩しい。自室で普段着ているものよりも上等な生地でできている襟つきのシャツに着替えた。昨日アイロンをしっかりかけたのでパリッとしている。ズボンもいつもよりも質のいいシックな黒いスラックスを履き、昨日のうちにピカピカに磨いておいた黒の革靴を履く。自分の着替えが終わったら、カーラの身支度の手伝いだ。
いつもは1階でカーラの髪を結うが、今日はパーシーをビックリさせたいのでカーラの部屋で結う。
カーラは1人じゃワンピースの背中のジッパーを上まで上げられないので、ジッパーを上げて小さなホックまでしっかり留めてやってから、いつもよりも慎重かつ丁寧にカーラの髪を編み込んで結い上げていく。小さな細いピンも使い、最後にバレッタを着けた。我ながら中々に上手くできている。首にチョーカーを着けてやり、カーラがサンダルを履いたら完成である。うむ。俺の娘ちょー可愛い。
カーラと2人で1階に降りると、まだ覚醒しきっていない、いつもよりもかっちりした服を着たパーシーがいた。
パーシーはカーラを見た途端、半目だった目をくわっと大きく見開いた。
「えぇぇぇぇぇっ!?」
「うわ。父さん、うるさい」
「えっ!?えっ!?ちょっ!?えぇっ!?」
「どうだ、パーシー。可愛いだろ」
「可愛くはない」
「ど、ど、どうしたのカーラっ!?スカート穿くなんて!てっきりスーツだと思ってたのに!」
「可愛いだろ」
「可愛くはない」
「ビ、ビックリした……。可愛くてビックリした」
「可愛くはない」
「似合ってるよ、カーラ。自分で選んだのかい?」
「まさか。親父が選んだ」
「ケリー」
パーシーがいい笑顔で、ぐっと親指を立てた。ケリーもニヤッと笑って親指を立てる。ビックリドッキリ大成功である。
3人で手を繋いで役所へと歩いていき、ケリーとパーシーの結婚届けを提出した。ケリーがパーシーの籍に入る。自分の姓にこだわりはないし、パーシーとカーラとお揃いがいい。今日からケリーは『ケリー・ブリード』になった。
3人で街外れにある墓所に行き、パーシーの父親の墓と母親の墓の前で結婚の報告をした。のんびり話ながら歩き、家へと戻る。家ではガーナ達一家が準備を始めてくれている。ケビンは間違いなく今日のカーラに驚く筈だ。ケリーはケビンのリアクションを楽しみに、ご機嫌に2人と繋いでいる手を揺らした。
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「「「ただいまー」」」
「おかえり……って、は?」
テーブルに皿を並べていたケビンがカーラを見るなり固まった。ガーナも目を丸くしている。
「おぉっ!?カーラ。今日は随分と可愛いな」
「だろ?」
「可愛くはない」
「まぁまぁ!カーラちゃんったら素敵だわ!」
奥から少しふくよかな女がニコニコしながらカーラに近寄った。ケビンの母親アリアナである。
「似合ってるわ!可愛いわぁ。自分で選んだの?」
「ううん。親父」
「あらぁ。ケリーさんはセンスがいいのねぇ。本当に素敵だわ。女の子はいいわねぇ。私、息子しかいないもの。カーラちゃん、うちの息子達の誰かのお嫁さんにならない?ケビンでもいいし、他にもいるわよ?」
「大人になったら考えるよ」
「ふふふっ。もうちょっと大きくなったらお化粧もするし、どんどんキレイになっていくんでしょうね。楽しみねぇ。ちょっとケビン。カーラちゃん、こんなに素敵なのよ?褒め言葉の1つくらい言いなさいな」
「へぁっ!?」
固まってカーラに見とれていたケビンがビクッとなった。しどろもどろに小さな声で『似合ってる』とボソッと言った。微妙にケビンの頬が赤い。ケリーはそんなケビンを眺めながらニヤニヤした。
次々と御披露目パーティーの参加者達がやって来た。いつも行く宿屋の主人も酒と大量の料理を持って来てくれた。資料館でよく会うパーシーの職場の人達も、近所の飲み仲間も集まり、すぐに賑やかになってきた。キャシーやカーラの担任のハボックも来てくれた。キャシーはカーラを見るなり目を輝かせた。ちなみにキャシーは今日はタイトな淡い黄緑の袖無しのワンピースを着ている。露出している肩から腕の筋肉が眩しい。
「あらぁ!カーラちゃん素敵ぃ!いいわぁ!似合うわぁ!チョーカーも可愛いぃ!」
「どーも」
「自分で選んだのぉ?」
「ううん。親父」
「まぁまぁ!ケリーちゃんたら趣味がいいのねぇ!とってもカーラちゃんに似合ってるわぁ」
ニコニコしながらキャシーが手作りの生クリームと苺たっぷりのケーキと林檎のパイをくれた。他にも結婚の祝いとして、ケリーに包丁をくれた。
「いいのか?こんなに」
「いいのよぉ。この包丁ねぇ、すっごく使いやすいしぃ、お手入れもしやすいのよぉ。ケリーちゃんも随分お料理が上達したしねぇ」
「ありがとな。大切に使わせてもらうよ」
「ふふふっ。ケリーちゃんの旦那さん、中々素敵じゃなぁい!背が高いしぃ、優しそうねぇ」
「まぁな」
「いいわねぇ。あたしもそろそろ結婚したいわぁ」
「そんときゃ祝いに駆けつけるよ」
「ふふふっ。頑張ってお相手探さなきゃねぇ」
ハボックやハボックの周りにいたカーラの学校の友達は皆カーラを見るなり、目を丸くして驚いた。普段カーラが学校で遊んでいるのは男の子ばかりだ。今日来ているのも皆男の子である。普段、男友達として認識しているカーラが可愛く着飾っているので、皆揃ってあんぐりと口を開けている。
「やぁ。これは驚いた。カーラさん、可愛いね」
「可愛くはない」
「可愛いだろ」
「可愛くはない」
「おめでとうございます。ケリーさん」
「ありがとう。わざわざ来てくれてありがとうな」
「ほら、君達。いつまで固まってるんだい」
男友達達はしどろもどろにケリーに祝いを告げ、うち1人が照れくさそうにカーラを褒めた。他にも、普段のカーラを知っている者達は皆今日のカーラに驚き、そして『可愛い』と褒めてくれた。ケリーは鼻高々である。どうだ。俺達の娘可愛いだろう。
皆で乾杯をして、パーティーが始まった。思い思いに美味しい料理を食べつつ、わいわいとお喋りに花を咲かせる。ケリーはパーシーとカーラと共に、来客達に挨拶して回った。
結婚の祝いにと、ガーナ一家からは椅子を3脚貰った。ケビンの祖父とガーナが椅子自体を作り、ケビンが装飾の彫り物をしたそうだ。繊細な模様は中々に上手く彫られており、ケリーはケビンの頭をわしゃわしゃ撫で回して手放しで褒めた。マートル親子からは3人お揃いの小さめの指輪がついたネックレスを貰った。マイキーも指輪を作るのを手伝ったらしい。シンプルな指輪の内側には3人の名前が彫られている。早速ネックレスを着けてみたが、長さもちょうどよく、普段つけても邪魔にならない。ケリーも嬉しかったが、特にパーシーが喜び、笑顔でマートルの手を両手で握ってブンブン上下に振り回した。
他にも飲み仲間達やパーシーの職場の者達から、様々な祝いの品を貰った。皆、基本手作りのものである。編み物が趣味の者から3人お揃いのひざ掛けを貰ったり等様々である。カーラの男友達からも、皆で作ったという小さな鉢植えを貰った。鉢を体験教室で作り、別の体験教室で可愛らしい花を植えたらしい。中々に素敵な出来映えである。ケリーはわしゃわしゃと全員の頭を笑顔で撫で回した。
大人達は持ち寄った酒も飲み、夕方まで賑やかに過ぎていった。窓から夕陽が差し込む頃に解散となり、ガーナ一家に手伝ってもらって後片付けをした。皆で持ち寄った料理の数々は全てキレイに無くなっている。
片付けをだいたい終えると、ケビンの祖母がケリーに手作りのエプロンをくれた。
「ケリーさん。男2人で娘を育てるんですもの。それなりに大変よ?これからカーラちゃんはどんどん大きくなって、キレイになっていくわ。女には女特有のものもあるもの。ほんの少しのことでもいいから、気にせず頼ってちょうだいな。私もアリアナも毎月1週間はこっちの家にいるからね」
「ありがたいよ」
「ふふふっ。パーシーもよかったわねぇ。こんな素敵な人が伴侶だなんて。パラモアにも見せたかったわ」
「あー。パーシーのお袋さんだよな」
「えぇ、そうよ。パラモアとは親友だったの。まさかあんなに早く逝ってしまうなんて思ってなかったわ。今日のカーラちゃんを見たら大喜びしてたでしょうね」
「そうだな。墓参りには3人で行ってきたんだ。見てくれてるといい」
「ふふふっ。お空の上で大喜びしてるわ」
ケビンの祖母は穏やかに嬉しそうに笑って、ケビンの祖父と手を繋いで帰っていった。
その日の夜は、3人で風呂に入り、片付けた1階の空いたスペースにマットレスを運び込んで、3人で一緒に寝た。疲れたのだろう。カーラは横になるなり、ケリーにくっついてすぐに眠ってしまった。
パーシーと手を繋いだまま、小声で話す。
「今日は楽しかったね」
「あぁ。本当にあんなに人が来てくれるとは思ってなかったわ」
「ふふふっ。皆カーラにビックリしてた」
「可愛かったからな」
「でもちょっと寂しいかな。きっとこうやって、どんどん大人の女性になっていくんだ」
「まぁな。こうして一緒に風呂に入ったり、寝たりできるのも、今だけだろうな」
「んー……やっぱり寂しい」
「子供は大きくなるもんだもんなぁ」
「ケリー」
「ん?」
「ありがとう。僕達と家族になってくれて」
「……おう」
なんだか改まって言われると照れくさい。ケリーはパーシーと指を絡めて、初めてパーシーと触れるだけのキスをした。
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