草臥れオッサンの攻略方法

丸井まー(旧:まー)

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第一部

16:湖で遊ぼう(アレックス)

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翌日。
アレックス達3人は乗り合い馬車に揺られ、湖へとやってきた。湖はかなり大きく、まだそこそこ朝早い時間だというのに、水着の男女や子供達で賑わっている。畔には屋台が立ち並び、腹が減るいい匂いが辺りに漂っていた。
男女分かれている更衣スペースで水着に着替える。
アレックスは水着に着替えてから、何気なくヒューブ局長を見た。ヒューブ局長は中背中肉のアレックスよりも少し背が高いが、アレックスよりも痩せている。うっすら肋も浮いていた。
更衣スペースを出て、フィオナを待つ。然程待たずに水着に着替えたフィオナがやってきた。
フィオナは青色の可愛らしい腹部を出した水着を着ていた。水着だけ見れば可愛らしいと言えよう。しかし……。


「お待たせしました」

「お前腹筋ヤバい」


腹筋がバッキバキに6つに割れていた。顔だけ見れば美少女そのものなので、違和感が半端ない。


「なんですか、急に。アレックス先輩もヤバいですよ。贅肉で」

「そこまで贅肉ついてねぇよ」

「そうでもないですよ。ぽっちゃり先輩」

「黙れ筋肉後輩」

「ははっ。フィオナちゃん腹筋すごいねー。羨ましい」

「さ、触ってみますかっ!」

「いや、いいよ。流石に問題だし」


期待に顔を赤らめたフィオナに、ヒューブ局長は即答で断った。フィオナがガッカリした顔をする。嫁入り前の娘の素肌の腹に触るわけがないだろ。当然だ。

木陰のベンチに移動して、まずは日焼け止めを塗ることになった。普段から顔や首など服から露出している部分には塗っているが、それ以外のところにも塗らねばならない。


「ヒューブ局長!お背中塗りますっ!」


フィオナが赤い顔で鼻息荒く、日焼け止め片手にヒューブ局長ににじりよった。本当荒い鼻息どうにかしろよ。美少女が台無しになっている。


「あ、いいよいいよ。アレックスに塗ってもらうから」

「……あ、はい」


フィオナが露骨にガッカリ……な顔をした。アレックスは、よろしくー、と日焼け止めを渡してきたヒューブ局長の背中に日焼け止めを塗った。交代、とヒューブ局長が言ったので、ヒューブ局長に背中に日焼け止めを塗ってもらう。フィオナの視線が痛い。


「うっ、羨ましいっ……!」


心の声が漏れてるぞ後輩。


「アレックス。フィオナちゃんの背中に日焼け止め塗ってやれよ。俺ちょっとトイレ行ってくるから」

「えっ」

「えっ」


トイレの方向に立ち去ったヒューブ局長の背中を見つめる。マジかよ。
呆然としていたフィオナが据わった目でアレックスを見た。


「……変なとこ触ったら、ぽっちゃり先輩の贅肉を削いで強制的に痩せてもらいますから」

「そもそも触りたくない」

「ヒューブ局長に塗ってもらうはずだったのにっ!!」


フィオナが悔しそうに歯噛みした。
いやだから、アレックスとしてはフィオナに触りたくないのだが。
嫌そうな顔でフィオナが日焼け止めをアレックスに押しつけてきた。……本当に塗らねばならないのか。


「……はぁ……お願いします……」

「……あぁ」


心底嫌だが仕方あるまい。アレックスは嫌々フィオナの背中に日焼け止めを塗った。






ーーーーーー
アレックスは湖の中で仰向けにプカプカ浮いていた。日差しは暑いが、冷たい湖の水が心地いい。泳ぐのは子供の頃以来だったが、問題なく泳げた。意外と忘れていないものだ。
ヒューブ局長らの方を見ると、借りた浮き輪を使ったヒューブ局長をフィオナが泳いで引っ張っていた。すごいなアイツ。
2人とも楽しそうである。

昼食を屋台で済ませて、夕方まで湖で遊び、乗り合い馬車で街まで帰った。
身体は疲れているが、満足している。いい気分転換になった。宿に戻る途中で服屋に行き、仕事用の私服を買い足してから、荷物を抱えて宿に戻った。荷物を置いて、夕食の為に部屋の外に出る。
自分の部屋のドアに寄りかかって廊下の窓の外をぼんやり眺めていると、先にフィオナが出てきた。何気なくチラッとフィオナの顔を見れば、この短時間で化粧をしたらしい。


「ヒューブ局長は?」

「まだ」

「そうですか」

「あぁ」

「アレックスぽっちゃり先輩」

「ぽっちゃりじゃねぇよ。名前の一部みたいにするな」

「楽しかったですか?」

「まぁな」

「じゃあ、また行きましょう。サンガレアの夏は長いので」

「……あぁ」

「あ、次はヒューブ局長に日焼け止め塗ってもらうんで」

「……塗ってもらいたかったら、鼻息どうにかしろよ」

「鼻息?」

「荒いんだよ。お前」

「そんなことないですよ」

「そんなことあるんですよ」

「可愛い乙女に対して失礼な」

「どこに可愛い乙女がいるんだ」

「ぽっちゃり先輩の目は節穴ですか」

「ぽっちゃりじゃない。すっとんとん体型後輩」

「誰がすっとんとんですか」

「お前」

「ぽっちゃり先輩程、無駄肉がついてないだけです」

「そうだな。本来あるはずの胸にも尻にもないだけだな」

「……ぽっちゃり先輩の無駄な尻の肉を削いでやりましょうか?」

「やめろ」


目が据わったフィオナがじりじりとアレックスに近づいてきた。本気でやめろ。アレックスもじりじりと下がってフィオナから離れていると、ヒューブ局長の部屋のドアが開いた。助かった。


「悪い。待たせたか?」

「「いえ、全然」」

「お、そうか」

「ヒューブ局長。今日は何を食べますか?」

「んー。こないだ行った夏バテ予防の店がいいな。苦瓜気に入ったし」

「分かりました!」

「アレックスもそこでいいか?」

「はい」


苦瓜はアレックスも気に入っている。確かに苦いが、爽やかな苦さが癖になる。
3人で歩いて店に向かう。道中、フィオナが嬉しそうに顔を赤らめてヒューブ局長に話しかけていた。来週も湖に行くことになりそうだ。
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