拾いモノには要注意

丸井まー(旧:まー)

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拾いモノには要注意

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「拾った」

「元いた場所に戻してこい。馬鹿兄貴」


 ティーノは額に青筋を浮かべて、兄のヴァンニをビシッと指差した。
 ティーノがささやかな年越し祝いパーティーの準備をしていた居間兼食堂には、犬が四匹、猫がニ匹、種類の違う鳥が五羽、鼬に狸に狐に兎という捕食者と被捕食者が入り交じった動物達がいる。他にも別室には、冬眠中の亀と蜥蜴と蛇がいる。
 皆、ティーノの唯一の家族であるヴァンニが拾ってきた。

 十年前に両親が事故で亡くなり、ティーノは五つ年上のヴァンニと二人で、然程大きくもない一軒家で暮らしている。両親が亡くなった時には既に街の衛兵として働いていたヴァンニにティーノは育ててもらった。

 現在、ティーノは近所の食堂で料理人として働いている。ティーノは赤茶色の癖のある髪と茶色い瞳も持つ、どこにでもいるような極々平凡な容姿の二十二歳だ。
 ヴァンニも顔立ちはティーノとそっくりである。身体つきは鍛えているだけあって、ヴァンニの方が圧倒的に筋肉むきむきだが。

 ヴァンニは優しいが、厄介な癖がある。拾い癖だ。質が悪いことに生き物ばかりを拾ってくる。ティーノ達の家にいる動物は、怪我をしていたところをヴァンニが保護したり、捨てられていたところを拾ってきたり、たまたま見つけたからと持ち帰ってきたりと、年々増えていく。ヴァンニが主に世話をしているが、一緒に住んでいる以上、結局ティーノも世話をする羽目になる。
 なんだかんだでティーノもすぐに情が移ってしまい、今では皆大事な家族なのだが、今回のヴァンニの拾いモノは流石に許容できない。

 ヴァンニが肩に担いでいるのは人間の男である。まさかヴァンニが人間まで拾ってくるとは思わなかった。それも成人男性。もっとハッキリ言ってしまえば、小汚い痩せたおっさん。

 ヴァンニがそんなに大きくないソファーに寝かせたのは、肩より少し長めのボサボサの髪と伸びた髭で人相がいまいちハッキリしない中年の男だ。ものすごく酒臭いし、煙草臭いし、なんか臭い。とにかく臭い。
 色んな臭いが混ざってもはや異臭ともいえる臭いを放つおっさんに、ティーノの言葉を話さない家族達が嫌そうに居間から出ていった。
 ティーノも彼らと一緒に居間から出たい。そのくらい臭い。
 ティーノは自分の鼻を摘まんだ。


「ティーノ」

「あに?(なに?)」

「こいつ風呂で洗ってくる」

「はぁ?」

「名前はチルチルにする」

「名前つけんな。今すぐ元の場所に戻してこいよ」

「拾ったし、もう俺達の家族だ」

「いやいやいやいや。流石に人間拾ったらダメだろ。つーか、こいつ、おっさんじゃん。大人じゃん。単なる酔っ払いじゃん。本当になんで拾ってきたんだよ」

「落ちてたから」

「どこに」

「家の前。チルチルを風呂に入れてくる」

「酔っ払いって風呂に入れて大丈夫だっけ」

「湯船には浸からせない。洗うだけだ」

「身体冷えるじゃん。つーか、服は?」

「俺のを適当に出しといてくれ。あと毛布も」

「マジかよ」


 ヴァンニが汚いおっさん改めチルチルを横抱きにして、本当に風呂場の方へと歩いていった。
 ティーノはチルチルが少しの間だけ横になっていたソファーを見た。
 ソファーに土や細かな枯草がついている。せっかく気持ちよく新年を迎えるために一日がかりで家中掃除したのに。
 ティーノは溜め息を吐いて、ソファーの上を軽く叩いて雑にきれいにすると、ヴァンニの部屋へ着替えを取りに行った。

 風呂場を覗けば、ヴァンニがチルチルを丸洗いしていた。チルチルはかなり痩せていて、微妙に肋が浮いていた。いつから風呂に入っていないのか、石鹸の泡がうっすら茶色になっている。
 動物を洗い慣れているヴァン二でも、人間を洗うのは流石に初めてだ。大変そうだったから結局ティーノも手伝うことにした。

 茶色でごわごわしていた髪は、三回シャンプーしたらきれいな茜色だった。垢まみれだった顔も洗えば意外な程白い肌が現れた。
 もじゃもじゃの髭で分かりにくいが、もしかしたら意外と若いのかもしれない。それでも目元に細かな皺があるので、やはりおっさんで間違いないようである。

 ティーノはヴァンニと二人がかりでチルチルの全身をキレイにすると、チルチルの身体を丁寧に拭いて、ヴァンニの服を着せた。
 ヴァンニはそこまで背が高い方じゃないが、横幅があるので、チルチルには少し服が大きいようだ。まぁ、寒くなければ問題ないだろう。身体を丸洗いしても起きないチルチルを毛布で包むと、ヴァンニが自分の部屋へとチルチルを運んだ。

 せっかく朝から掃除してきれいにした風呂場も汚れたので、ティーノはざっと風呂場を洗い、ついでに濡れた服を脱いで、熱いシャワーを浴びた。
 ティーノが全裸のまま大急ぎで自分の部屋に行き、服を着ると、ヴァンニもシャワーを浴びると言って、また風呂場へ向かった。

 なんだかちょっと疲れたが、今夜は年越し祝いパーティーである。普段は質素な生活をしているが、この日だけは毎年ささやかながらいつもよりも豪華なご馳走を作って、カードやボードゲームで遊んだりしながら、酒を飲んで楽しく過ごす。両親が生きていた頃から、ティーノの家はこうやって楽しく新年を迎える。

 ティーノは気を取り直して、気合を入れて作ったご馳走を温め直し、言葉を喋らない家族達が戻ってきた居間のテーブルに、たくさん作った料理を盛った皿を並べた。
 酒好きのヴァンニのために多めに買っておいた酒も運べば、年越しパーティーの準備完了である。

 ヴァンニが居間にやって来たので、年越しパーティーの始まりである。ティーノはグラスに酒を注いでヴァンニと乾杯をしてから、自信作のご馳走を食べ始めた。

 酒を飲みながらカードで遊んだりしていると、いよいよ日付が変わる時間帯になってきた。
 壁の時計を見ながら二人でカウントダウンをして、新年を迎えた瞬間、ハグをして新しい年を祝った。
 物言わぬ家族達も撫で回し、一番上等な酒をグラスに注いで、また乾杯をする。予想外なことがあったが、無事に楽しく新年を迎えられて嬉しい。
 ティーノはご機嫌に酒を飲み干した。

 年越しパーティーから新年祝いパーティーになって一刻くらい経った頃。
 いい感じに酔いが回ってきており、楽しくへらへら笑いながらヴァンニと酒を飲んでいると、居間にチルチルがやって来た。
 腹をぼりぼり掻きながら、眠そうな目をしたチルチルが口を開いた。


「どこだここ」

「あ、チルチル」

「起きたのか。おっさん」

「チルチル?」

「お前の名前。落ちてたから拾った。今日から俺達の家族だ」

「兄貴。おっさんを家族にするってマジでねぇから」

「ふぅん。じゃあ、俺は今日からチルチルってことで。将来的には介護もよろしくな!」

「任せておけ」

「いやいやいや! 待って待って! なんで普通に受け入れてんの!? ていうか、おっさん、なんで俺達の家の前に落ちてたんだよ」

「俺の名前はチルチルな。いや、色々あってな……今は詳しく話せん」

「犯罪者じゃねぇだろうな」

「安心しろ。それはない。この通りきれいなおっさんだ」

「きれいなおっさんって何!? 普通に小汚いおっさんですけど!?」

「ティーノ。チルチルはもううちの家族だ。諦めろ」

「諦めたらおっさんの介護が待ってるんですけど!? おっさん、仕事は?」

「チルチルな。仕事は黙秘する」

「無職のおっさんか」

「無職ではないが、ちょっと言えない感じだな」

「反社会的組織の人間じゃねぇよな!?」

「そこも安心しろ。まっとうな仕事してる。今はちょっと休んでるけど」

「チルチル。腹は減ってないか。ティーノの飯は特別美味いぞ。酒もある」

「食う! 飲む!」

「兄貴! おっさんを餌付けしようとすんな!」

「だから俺はチルチルだっての。二人は兄弟か? 似てるな」

「そう。俺が兄のヴァンニ。あっちは弟のティーノ。あと他にもたくさん家族がいるが、一度では覚えられないだろうから、おいおい紹介していく」

「家族って犬や猫達のことか? 多いな」

「まぁな。家族は多い方が楽しい」

「ふぅん。そんなもんか」


 ソファーに座っていたヴァンニが横にずれると、チルチルがそこに座り、ガツガツとご馳走を食べ始めた。


「うまっ! うまっ! まともな飯ばんざい! あ、酒もくれ」

「はい。ティーノの飯は最高だろう」

「ん。めちゃくちゃうめぇ。あーー。酒もうんまぁ」

「ほ、褒めてもお代わりしか出ないんだからな!!」

「このスープまだあるか? お代わりくれ」

「しょ、しょうがねぇなぁ!」


 チルチルが一気飲みのように食べきった野菜ごろごろスープは自信作だった。
 ちょっと嬉しくなったティーノは、いそいそと台所へ向かい、スープを温め直してから大盛りに注いで居間へと運んだ。
 まともな食事をしていなかったのか、チルチルが『うめぇ。うめぇ』と言いながら、どんどんご馳走を食べていく。見ていて気持ちがいい食べっぷりに、なんだか嬉しくなってくる。
 チルチルはガリガリに痩せているから、いっぱい食べさせて太らせなければと謎の使命感が湧いてきた。
 早くも絆されかけている自分に気づくことなく、ティーノはご馳走を肴に飲みかけの酒をちびちび飲みながら、ガツガツ食べるチルチルをなんとなしに眺めた。

 三人でご馳走を殆ど食べきる頃には、ティーノはかなり酔っていた。酔ってるなぁとなんとなく自覚する程度には酔っている。頭も身体も熱くてふわふわする感じがなんだか楽しい。
 普段は質素な生活をしているので、こんなに酒を飲むことはない。酒を思いっきり楽しむのは、年に一回にしている。

 ティーノが意味もなくへらへら笑っていると、チルチルが自分の腹を擦りながら、満足そうな息を吐いた。


「久しぶりのまともな飯が美味くて最高。よし! 恩返しにいいことしてやるよ!」

「いいこと?」

「何すんの?」


 ヴァンニとティーノがチルチルを見ると、チルチルがにまーっと笑って、着ていたヴァンニの服を脱ぎ始めた。


「チルチル。身体が冷えるぞ」

「あー? 今から熱くなるから問題ねぇな」

「ほんとに何する気? おっさん」

「チルチルだ。ふっふっふ。二人とも天国に連れて行ってやるぜ!」

「「天国?」」


 全裸になったチルチルが何故かドヤ顔をしている。天国に連れて行くって、まさか殺されるのだろうか。いやでも、恩返しと言っていたので、それはないだろう。多分。
 では、天国に連れて行くってなんなのか。

 ティーノが首を傾げていると、チルチルが服を脱ぐように言ってきた。
 家族に甘いヴァンニが素直に服を脱ぎ始めたので、なんとなくティーノも服を脱いだ。
 男三人が全裸になって何をするのだろうか。

 チルチルがボードゲームで使うコインを手に取り、ぴんっと親指で弾いて天に向かって飛ばし、ぱしっと手の甲でコインを受け止めた。


「表か裏か選べよ。表の方が先な」

「んー。じゃあ、表」

「えー。じゃあ、裏」

「結果は……おっ。ヴァンニが先だな。俺のテクで昇天させてやんよぉ」

「何をするんだ? チルチル」


 ヴァンニの問いかけに、チルチルがにたーっと笑った。


「めちゃくちゃ気持ちいいこと」


 酔いで濁った頭で考えても、男三人で気持ちいいことをするってなんなのかが分からない。
 ティーノはとりあえず様子を見ることにした。

 全裸でソファーに座っているヴァンニの前にチルチルが移動して、ヴァンニの広げた足の間におさまり、なんとヴァンニのペニスを舐め始めた。


「うぉっ!? チルチル!?」

「なにやってんの!? おっさん!」

「んー? 気持ちよーくなれること。つーか、でけぇな。最高かよ」


 ティーノはなんとなく顔を両手で覆った。指の隙間からばっちり兄がおっさんにフェラチオされているところを見ちゃっているが。
 じゅるっと品のない音を立て、チルチルがヴァンニのペニスを舐めまくったり咥えたりしている。ヴァンニが堪えるように眉間に皺を寄せた。

 チルチルがヴァンニのペニスを舐めながら、自分の腰に手を当てた。それから肉付きが薄い尻に手を伸ばし、なにやら手を動かし始めた。
 ここまでくれば流石に分かる。チルチルがやろうとしていることはセックスだ。
 男同士でセックスをするなんてありえないが、童貞のティーノには生フェラチオだけでも既に刺激が強い。男同士なのに、なんか妙にエロい。

 ぷはぁっとヴァンニのペニスから口を離したチルチルが、立ち上がってこちらを向き、勃起したヴァンニのペニスを掴んで自分の尻を押しつけ、ゆっくりと腰を下ろしていった。


「う、あ……ちょっ、チルチル、やばいっ……」

「ははっ! ほら! 締めてやんよぉ」

「はぅっ!?」

「好きに動けよ。ティーノ。こっち来い」

「うぇっ!?」


 ヴァンニがチルチルの細い腰を掴んで、そのまま腰を動かし始めた。すごく気持ちよさそうな顔をしている。
 ティーノは見ちゃいけないものを見ちゃっている気がして、あわあわしながらもチルチルに言われるがままに揺さぶられているチルチルの顔の前に立った。
 チルチルが大きく口を開け、赤い舌を伸ばした。
 何をしろというのは言わなくても分かってしまう。ティーノはごくっと唾を飲み込んでから、何故かゆるーく勃起しちゃっているペニスをチルチルの口内に入れた。


「んっ! んっ! んふっ! んんっ!」

「う、あぁ……お、おっさん、それやべぇって!」

「はっ、はっ、やばっ……チルチル、出るっ!」

「んっんー!」


 ティーノはペニスのサイズは大きめだが仮性包茎だ。チルチルがティーノのペニスの皮を器用に唇で剥き、普段は皮に覆われている敏感な亀頭をべろんべろんと舌で円を描くように舐め始めた。
 半端なく気持ちがいい。初めての快感に腰が揺れてしまう。
 チルチルを見下ろせば、チルチルは楽しそうに目を爛々と輝かせていた。
 ティーノはチルチルの頭を両手で掴むと、喉奥を突いてしまわないように気をつけながら、ゆるく腰を振り始めた。
 完全に勃起したペニスにチルチルの熱くぬるついた舌が這い、じゅるじゅると絶妙な力加減で吸われる。気持よすぎて、もう駄目だ。


「いくっ! 出るっ! チルチル!」

「あ、あ、俺もっ、出るぅっ!」

「んっ! んーーっ!!」


 じゅるっと強めにペニスを吸われて、ティーノは呆気なくチルチルの口内に精液を吐き出した。
 はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら半分萎えたペニスをチルチルの口から引き抜けば、チルチルがごくんとティーノの精液を飲み込んだのが分かった。嚥下に合わせて微かに動く喉仏がなんかエロい。

 チルチルがゆっくりと身体を動かして立ち上がった。ソファーの前のローテーブルを雑にずらし、チルチルがティーノの方へ尻を向け、誘うようにふりふりと肉付きが薄い白い尻を振った。
 チルチルの尻を見れば、赤黒い縦に割れているアナルが微かに口を開け、ひくひくと物欲しそうに収縮している。こぽぉっと中から白い精液が溢れ出てきて、赤い会陰を伝い、陰嚢まで垂れて、ぽたっと床へ落ちていく様子がばっちり見えた。

 チルチルが顔だけで振り返って、ニヤニヤ笑った。


「突っ込めよ。俺の中は最高だぞ。なぁ? ヴァンニ。俺の中は気持ちよかっただろう?」

「はぁ、はぁ、最高だった」

「ははっ! 素直で結構。お前ももっとよくしてやるよ。ほら。ティーノ。一緒に天国へ行こうぜ」

「う、うん……」


 頭の片隅でおっさんのケツで童貞卒業するのか……と思いつつも、ティーノはやたらいやらしく見えるチルチルの尻に負けて、ゆるゆると自分のペニスを扱いて完勃ちにすると、ひくつくアナルにペニスの先っぽを押しつけた。
 ゆっくりと腰を動かしてペニスをアナルの中に押し込んでいくと、入り口のキツい締めつけでペニスの皮が自然と剥かれ、敏感な亀頭や竿が熱くてぬるついた柔らかいものに包まれていく。

 ティーノはあまりの気持ちよさに我慢できず、チルチルのほっそりとした腰を掴んで夢中で下腹部をチルチルの尻に打ちつけ始めた。
 パァンッと深くペニスを押し込むと、ペニスの先っぽが肉の壁にぶつかる。そこを突くと、入り口あたりがきゅっ、きゅっとキツく竿を締めつけてくる。
 長いストロークでめちゃくちゃに腰を振りまくる。気持よすぎて、イクことしか頭にない。
 パンパンパンパンッと下腹部を白い尻に打ちつけていると、じわじわと尻が赤く染まっていく。なんだか妙にエロい。

 ヴァンニのペニスを口で咥えているチルチルがくぐもった喘ぎ声をもらしている。低いくぐもった喘ぎ声もなんかエロい。
 無我夢中で腰を振っていると、すぐに限界が訪れた。


「はっ、はっ、やば、出るっ、出るっ!」

「あ、あぁ……チルチルッ、また出るっ……!」

「んっ! んっ! んっんんーー!!」


 パァンと一際強く下腹部を尻に打ちつけ、肉の壁をペニスの先っぽでぐりぐりしながら精液をぶち撒けた。肉の壁をぐりぐりすると、射精しているペニスを更に締めつけられる。あまりにも気持ちよくて頭がくらくらする。
 ティーノが再び腰を振り始めると、チルチルがヴァンニのペニスから口を離し、こちらを向いて、ニヤニヤと笑った。


「ティーノ。交代だ。抜け。順番に気持ちよーくしてやるよ」

「う、うん」

「ヴァンニ。立てよ。ほら。また気持ちよくなりたいだろ? 突っ込めよ。ティーノは俺の前に来い。お口で天国見せてやるよ」

「あぁ。チルチル」

「う、うん」


 チルチルが床に四つん這いになった。ペニスが勃起して元気いっぱいに反り返っているヴァンニが、チルチルの背後で膝立ちになり、ペニスをチルチルのアナルの中へと押し込んでいった。
 ティーノもとろんとした顔をしているチルチルの前で膝立ちになった。
 すかさずチルチルがティーノのペニスをぱくんと咥えた。イッて間がない敏感になっているペニスの亀頭に熱い舌が這う。

 ティーノはチルチルの頭を掴み、ぬるゆると腰を振り始めた。チルチルが頬を窄めるようにしてティーノのペニスを吸いながら、唇で竿を扱いてくれる。めちゃくちゃ気持ちがいい。
 はっ、はっ、と荒い息を吐きながらヴァンニの方を見れば、ヴァンニが気持ちよさそうな顔でめちゃくちゃに腰を振っている。
 パンパンパンパンッと肌同士がぶつかり合ういやらしい音が居間に響いている。

 ティーノは力尽きて寝落ちるまで、ヴァンニと共に夢中でチルチルの痩せた身体を貪り、初めての快感に酔いしれた。




ーーーーーー
 ティーノは寒くて目が覚めた。
 なんだか疲れている身体で起き上がると、そこは居間の床だった。
 何気なく隣を見れば、ヴァンニとチルチルが全裸でくっついて寝ていた。
 ティーノも全裸である。昨夜の記憶が蘇ってきて、ティーノは頭を抱えた。

 おっさんとセックスしてしまった。それもヴァンニも一緒に。倫理的に駄目なやつじゃないか。
 二日酔い以外でも頭が痛くなってくる。
 あぁぁぁぁ……と意味のない声を上げながら頭を抱えていると、ぶえっくしょんと大きなくしゃみをして、ヴァンニが起きた。

 のろのろと起き上がったヴァンニが大きな欠伸をしてから、こちらを向いて口を開いた。


「やっちまったな。ティーノ。こうなったら責任を取ろう」

「責任って何!?」

「チルチルを俺達の嫁にしよう」

「はぁっ!? チルチルはおっさんですけど!?」

「おっさんでもセックスしちゃったし、それ以前に拾ってるからもう家族だ。嫁にしても問題ないな」

「問題ありありだよ!?」

「んぁー。うるせぇ」

「あ、チルチル。おはよう」

「あ、おっさん。おはよう」

「おー。おはよう。眠い。腰いてぇ。腹減った」

「ティーノ。とりあえず朝飯頼む。チルチル。腰が痛いのなら湿布を貼ろう。その前に風呂に入れる」

「あ、うん。朝飯作ってくる」

「おー。よろしくー」


 ティーノは現実逃避がてら台所へと向かった。
 全裸のまま手早く朝食を作り上げると、服を着た二人が台所へやって来た。


「ティーノ。先に風呂に入ってこいよ」

「あ、うん」

「あー。うまそうな匂いがするー」

「チルチル。朝飯はティーノが風呂から出てからだ」

「はいよ」


 自室に寄って着替えを取ってから風呂場へ向かい、冷えた身体を洗ってのんびりと温かいお湯に浸かる。
 身体が温まってくると、じわじわ冷静になってきた。
 おっさんのチルチルを嫁にするって、ヴァンニは本気なのだろうか。多分本気な気がする。ヴァンニは有言実行タイプだ。

 おっさんが嫁か……できたら可愛い女の子がよかったな……でもチルチルの尻は最高に気持ちよかったな……。
 ティーノは溜め息一つで色々諦めた。
 ヴァンニを説得するのは経験上無理だと分かっているし、家族が増えるだけである。
 チルチルは犯罪者や反社会的組織の人間ではないらしいので、まぁなんとかなるだろう。

 風呂から出て、三人と他の家族と一緒に朝食を食べると、玄関の呼び鈴が鳴った。
 新年を迎えたばかりの朝に誰だろうか。ティーノがパタパタと玄関に向かうと、疲れた顔をした魔法使いが立っていた。
 全く知らない人である。魔法使いがなんの用だろうか。
 ティーノがこてんと首を傾げると、魔法使いが口を開いた。


「朝っぱらからすいません。ここにディエリード様はいらっしゃいますか?」

「誰ですか? それ」

「魔法使い協会の会長です。この家の中からディエリード様の魔力を感じます。申し訳ないのですが、中に入れていただいてもよろしいでしょうか」

「はぁ……どうぞ? 兄とおっさんと動物しかいませんけど」


 魔法使い協会の会長だなんて偉い人はこの家にいない。ティーノは不思議に思いながらも、疲れた顔をしている魔法使いを家の中に入れた。
 魔法使いを連れて居間に戻れば、チルチルが『うげっ!?』と声を上げ、露骨に顔を顰めた。


「やっと見つけましたよ! ディエリード会長!」

「知らんな。俺はチルチルだ。この家の嫁」

「はぁ!? 何を仰っているのですか! 半年も逃げ回りやがったせいで、僕がどれだけ大変な思いをしたかっ!!」

「そいつぁ、ご苦労さん。会長はお前に譲るわ。俺はこの家の嫁だからな。名前もチルチルになった」

「はぁぁぁぁぁぁっ!?」

「あ、あのー、すいません。もしかして、このおっさんが魔法使い協会の会長なんですか?」

「そうですよ! 稀代の天才と言われている魔法使いです!!」

「……えぇぇぇぇぇぇっ!?」

「へぇ。チルチルはすごい奴だったんだな」

「まぁな。でももう会長は辞める。仕事はうんざりだし、お前達の嫁になったからな。拾った責任はちゃんと取れよ」

「分かっている。拾った上にセックスをした以上、ちゃんと責任は取る。ティーノと二人で一生大切にする」

「ははっ! いい男だなぁ。ヴァンニ」

「……ということなんですけど、あの、大丈夫ですか?」


 魔法使いが頭を抱えて唸っている。理解できないみたいな顔をしている。
 ティーノはちょっと心配になって、とりあえず落ち着いてもらおうと紅茶を淹れに台所へ向かった。
 普段は安い香草茶を飲んでいるが、新年を迎えた日とお客さんが来た時には紅茶を淹れるようにしている。
 ティーノ達の分も淹れると、居間に戻った。

 チルチルと魔法使いが話し合いを始めたので、ティーノはとりあえず犬達の散歩に行くことにした。
 魔法使いはチルチルに戻って欲しいらしいが、チルチルはティーノ達の家から出る気はないみたいだ。
 ヴァンニが家族認定しちゃっているし、チルチルはこのままティーノ達の家族になるだろう。

 散歩から帰ると、魔法使いが更に疲れた顔をしてぐったりと項垂れていた。
 チルチルが楽しそうにニヤニヤ笑っているので、チルチルが望む形になったのだろう。
 意気消沈して帰っていく魔法使いを玄関先で見送ると、居間に戻って、改めてチルチルに問いかけた。


「おっさん。魔法使い協会の会長なのに、なんでうちの前に落ちてたの?」

「あー? 仕事に嫌気が差して姿くらましの魔法をかけた状態で逃げまくってたんだが、あちこちで酒を飲みまくってたら金が尽きてな。更に魔法を使えば居場所がバレるから、適当な日雇いの仕事をして金を稼いでたんだわ。で、稼いだ金でしこたま飲んで眠くなったから寝た。そしたらヴァンニに拾われてた」

「え、えぇ……駄目なおっさんじゃん」

「ふははは! 仕事はもう辞めた! 今日から俺はお前らの嫁だ! 精々甘やかせよ!」

「マジか。ほんとにいいの? 兄貴」

「拾った生命の責任は取る。それにセックスしたしな」

「そう言うと思った……じゃあ、これからよろしく。チルチル」

「あぁ。ふふっ。でかちんが二人……お前達の性欲は俺の尻でがっつり受け止めるから任せておけ!」

「あ、はい」

「よろしくな。チルチル」


 こうして、チルチルが本当に家族になった。
 ヴァンニは衛兵として働き、ティーノは料理人として働き、チルチルは物言わぬ家族の世話をして過ごすようになった。
 チルチルの魔法のお陰で、古くてあちこち傷んでた家が住みやすくなった。
 頻繁に三人でセックスをしちゃった結果、ティーノもすぐにチルチルに情が湧いてしまった。

 何十年も共に家族として暮らし、チルチルを見送ってからも、ティーノの心にはチルチルがいたままだった。
 自由奔放だったチルチルの墓の前で、ヴァンニがぼそっと呟いた。


「俺が死んだらチルチルと一緒にしてくれよ」

「まだ気が早いよ。兄貴。あんまり早く逝くと、チルチルに尻を蹴り飛ばされるよ」

「それもそうか。とことん長生きしてやるか」

「うん。そうして。そろそろ帰ろう。子犬達のご飯の時間だ」

「あぁ。ティーノ」

「ん?」

「家族が多いっていいな」

「そうだね」


 墓に背を向け歩き始めたティーノ達の頬を、柔らかい風がそっと撫でた。


(おしまい)
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みんなの感想(1件)

まきまき
2025.12.30 まきまき
ネタバレ含む
2025.12.30 丸井まー(旧:まー)

感想をありがとうございますっ!!
本当に嬉しいです!!

温かくも嬉しすぎるお言葉をいただけて、感無量であります!(泣)
全力で!ありがとうございますっ!!
家族って一つの型に嵌まらずに、色んな形があってもいいよなーと思いながら楽しく執筆いたしました!
お楽しみいただけたのでしたら、何よりも嬉しいです!!
看取りBLが大好きなので、隙あらばしれっとぶっこみたい私であります!

お読みくださり、本当にありがとうございました!!

解除

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