世界を救った勇者様に毎日告白されてるんだけどぉぉ!!

丸井まー(旧:まー)

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世界を救った勇者様に毎日告白されてるんだけどぉぉ!!

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 ハルクは意味もなく遠い山を見つめた。
 青々とした山は実に美しい。山はいいものだ。怖いところでもあるけれど、たくさんの恵みを与えてくれる。
 ハルクが現実逃避していると、目の前の金髪碧眼の美丈夫がガシッとハルクの手を握った。


「ハルク。好きだ。俺の伴侶になってくれ」

「……無理です嫌ですごめんなさい」

「何故だ! こんなに愛しているのに!」

「いやだって! あなた世界を救った勇者! 俺単なる村人! 釣り合わないでしょう!?」

「そんなもの! 愛の前では関係ない!」

「いや。その愛がないんで」

「俺は熱烈に愛している」

「俺は愛してないです。すいません。仕事の途中なんで手を離してください」

「くっ……俺は諦めない! 絶対にハルクと結ばれてみせる!」

「いい加減諦めてくださいよ……」

「嫌だ! ハルクのふかふか雄っぱいで毎日寝たいんだ!」

「そちらの騎士様も立派な胸筋してらっしゃいますよ」

「あいつは臭いから嫌だ」

「ひでぇ。騎士様に謝ってくださいよ」

「単なる事実だ」

「余計にひでぇ」

「……仕事の邪魔をするのは本意ではない。明日もまた来る!」

「いや、来なくていいですから」


 美丈夫がやっと手を離してくれた。去っていく美丈夫と気の毒なお付きの騎士を見送ってから、ハルクは溜め息を吐いて鍬を握った。

 ハルクはど田舎の小さな村で農夫をしている。歳は二十六になるが、とある理由から結婚はしていないし、するつもりもない。

 五年前に突如として魔王が現れ、世界中で魔物が活発化し、増殖した。
 魔物による被害が増え続ける中、二年前に、聖剣に選ばれた勇者が魔王を倒した。
 魔王亡き後も勇者は増殖した魔物と戦い続け、今ではすっかり平和な世の中になっている。

 ハルクが暮らす村も魔物の集団に襲撃され、甚大な被害を受けた。ハルクの両親はその時に亡くなった。
 たまたま村の若い衆と一緒に野菜などを売りに一番近くの町に行っていたので生き延びたが、両親も親戚も大事な友達も皆魔物に食われて死んでしまった。
 孤児になってしまった子ども達が多く、生き延びた者達で今も必死になって村の復興のために頑張っている。

 勇者であるジークフリートが村に訪れたのは二か月前だ。
 村の近くの山の中に温泉があり、怪我によく効く。ジークフリートは魔王との戦いや魔物討伐の旅でたくさんの深手を負っており、その傷を癒やすためにわざわざ辺鄙な村までやって来たそうだ。

 ジークフリートと出会ったのは、山の中の温泉だった。
 ハルクは疲れが溜まると温泉に入りに行く。普段はひたすら朝から晩まで農作業をしているので、山の中を歩くだけでも気分転換になるし、温泉はいつでも温かくて気持ちがいい。割と険しい山の奥深くに温泉があるので、村の者は基本的に来ない。山の中の温泉は、ハルクにとって子どもの頃からの唯一気が抜ける癒やしの場であった。

 その日もハルクはのんびり温泉に浸かっていた。山の獣達と一緒に温泉でまったりしているとジークフリートとお付きの騎士が現れた。
 ハルクが驚いて目を見開いて固まっていると、ジークフリートが丁寧に挨拶をしてから全裸になり温泉に入ってきた。
 傷だらけの身体にまた驚いていると、お湯の中で近寄ってきたジークフリートに手を握られた。


「あなたは俺の運命の人だ。結婚してくれ」

「あ、無理です」

「…………」

「…………」

「んんっ。出会ったばかりで結婚を申し込むのは流石に失礼だったな。申し訳ない。許してくれ」

「は、はぁ……」

「暫く麓の村に逗留する。なんなら永住してもいい。いや、永住しようかな。うん。永住する。だから気長にあなたを口説こうと思う」

「なんで!?」

「あなたのその見事な胸筋に一目惚れした!」

「胸筋に一目惚れってなに!?」

「なんて美しい胸筋なのだろう。是非とも顔をすりすりしたい。ふにふに揉みたい。雄っぱいちゅーちゅーしたい」

「すいません。この人って本当に勇者様なんですか? 単なる変態じゃないんですか?」

「……残念ながら勇者様ご本人です」


 お付きの騎士に問いかけたら、なんとも言えない微妙な顔で目の前の変態が勇者だと言われた。

 それから、毎日毎日勇者ジークフリートから口説かれている。そのせいで村の女性陣から睨まれるようになってしまった。
 ジークフリートが村にいると近隣に噂が広まったようで、近くの町の偉い人のご令嬢や領主のご令嬢なども村を訪れた。そしてジークフリートにフラれていた。
 ジークフリートが馬鹿正直にハルクに惚れているから無理だとご令嬢達に断っていたせいで、ハルクはご令嬢達から酷い嫌がらせを受けた。
 すぐに事態を知ったジークフリートがなんとかしてくれたが、そもそもジークフリートが馬鹿正直にハルクの名前を出すから嫌がらせに繋がったので、感謝の気持ちよりも『てめぇこの野郎……余計なこと言いやがって……』という気持ちの方が大きい。

 日暮れ近くまで広い畑で農作業をして、ハルクは茜色に染まる道を歩いて村はずれにある家へと帰った。





ーーーーーー
 ハルクの一日はオナニーから始まる。元々寝起きが悪い方なのだが、オナニーをすればスッキリ目が覚める。
 なんとか今日も日が昇る頃に目を覚まし、もぞもぞと布団の中でパンツを脱いだ。
 朝勃ちしているペニスをちょこっと弄ってから、膝を立てて足を広げ、股の間に手を伸ばす。
 陰嚢の下にある小さな突起をくにくに優しく擦り、じわぁっと濡れていく感じがしてきたら、まんこの孔へ指を伸ばした。
 濡れているまんこの孔に指を突っ込み、中の微かにざらついているところを指で刺激しながら、勃起しているペニスを扱く。
 はっ、はっ、と浅く速い息を吐きながら快感に腰をくねらせ、ハルクはまんことペニス同時にイッた。

 ハルクにはデカめのペニスと陰嚢があるが、同時にまんこもある。ハルクのような所謂ふたなりの者は、『女神様の祝福子』と呼ばれている。『女神様の祝福子』はこの世界を守る女神様からの祝福が色濃いから二つの性を持ち合わせていると言われている。『女神様の祝福子』は、孕むことも孕ませることもできる。

 通常だと『女神様の祝福子』が生まれると神殿に連れて行かれる。そこでかんなぎになるのが慣例らしい。
 しかし、ハルクの両親はハルクが『女神様の祝福子』だということを隠した。
 ハルクの母は身体が弱い方で、ハルク以外の子どもを産めるほどの体力はなかった。
 ハルクは自分の性を隠して男として育った。
 顔立ちは特に特徴がないのが特徴みたいな平凡なもので、身体を必死で鍛えたら筋骨隆々と言ってもいい身体つきに成長した。
 どこからどう見ても男にしか見えないので、村の者達は誰もハルクが男じゃないと疑ったりしない。

 ハルクは朝オナニーをしてスッキリ目覚めると、精液と愛液で濡れた手を手拭いで拭いて、全裸のまま家を出て裏の井戸の水で身体を流した。
 部屋に戻ってパンツだけを穿くと、庭に出て基礎鍛錬をする。筋肉を育て、維持するためだ。
 ハルクは両親が亡くなった後も、両親の言いつけを守り、男として生きている。オナニーをする時と三か月に一度の月のものの時以外はまんこがあることを意識しないので、自己認識も男だと思っている。

 せっせとパンツいっちょで腕立て伏せをしていると、なんとなく視線を感じた。
 そちらを見てみると、ジークフリートがちょこんとしゃがんでこちらをガン見していた。


「あ、俺のことは気にせず続けてくれ」

「こんな朝早くになんの用ですか?」

「あなたを口説きに来たついでに鍛錬の様子を堪能しようかと」

「ちょっと立ってもらえます?」

「すまない。それはできない」

「……勃起してるでしょ」

「……いや?」

「じゃあ立って」

「無理だ」

「勃起してんじゃねぇか」

「俺は紳士でありたいのだよ」

「紳士はパンツいっちょ姿で鍛錬してる様子をガン見したりしないですよ」

「胸筋も美しいが、背筋も見事だな。舐め回したい」

「心底キモいです。紳士はどこにいった」

「男は時に狼になるのだよ。ということで、狼さんになってもいいかな? 羊さん」

「駄目に決まってるでしょ。ていうか、誰が羊だ。もー。お付きの騎士様はどうしたんですか」

「宿に置いてきた」

「騎士様も振り回されて気の毒な……」

「振り回してなんかいない。ただ、俺はあなたと愛を育みたいだけだ」

「むーりーでーすー」

「何故だ! こんなに愛しているのに!」

「いや、変態さんはちょっと……」

「人は誰しもがなんらかの性癖を持っている。俺はそれが雄っぱい大好きってだけだ」

「雄っぱい言うな。せめて胸筋と言ってください」

「ハルクの胸筋だいしゅきーー!」

「なんて残念な美形なんだろ。この人」

「魔王や魔物との戦いの中で思ったのだよ」

「あ、はい。なにを?」

「戦いが終わったら勇者としてではなく、自分のために生きようと」

「はぁ……」

「ということで、俺は愛に生きる。ハルク! 結婚してくれ!」

「お断りします」

「むぅ。手強いな……あ、こうしよう! ハルク! 一緒に暮らそう! 俺も一緒に農作業をする。家事も覚える。二人の愛の巣で共に過ごそう!」

「はぁ? 普通に嫌ですけど」

「今日のうちにここに引っ越してくるな!」

「勘弁しろください」

「嫌だ! 絶対にハルクと一緒に暮らす!」

「身体目当ての人と一緒に暮らすとか嫌すぎる」

「身体だけじゃない。ハルクの心も欲しい」

「なんで?」

「ハルクは優しい。それに近くにいると不思議と安心する。ハルクのことをもっと知りたいし、俺のことをもっと知ってほしい。初めての恋なんだ。簡単に諦めたくない」

「……そう言われてもなぁ……」

「頼む。ハルク。一緒に暮らしてくれないか。ハルクがいいよって言うまで、指一本触れないことを約束するから」


 ハルクは眉間に皺を寄せて考えた。
 広い畑を一人で管理して野菜を作っているので、人手が増えるのは単純にありがたい。家に一人ぼっちじゃなくなるのも嬉しい気がする。ジークフリートは多分約束を守る人だ。朝オナニーを知られなければ、ハルクが『女神様の祝福子』だということがバレない気もする。

 ハルクはうんうん唸りながら悩んで、最終的に一緒に暮らすことを了承した。
 手早く作った質素な朝食を食べていると、背嚢と剣だけを持ったジークフリートがいい笑顔で家の中に入ってきた。ど田舎の村に鍵をかける習慣はない。


「今日からよろしく頼む!」

「空き部屋を適当に使ってください。両親の部屋にはベッドがあるんで。古いものですけど」

「そういえば、ご両親は?」

「亡くなっています」

「そうか……あなたも一人ぼっちなんだな」

「あなた『も』?」

「俺は孤児だ。孤児院の前に捨てられていたらしい。神託を受けた巫が迎えに来るまでは花街で用心棒の真似事をしていた」

「あ、そうだったんですね」

「ふふっ。誰かと『普通の家』で一緒に暮らすのは初めてだ。ずっと憧れていたんだ」

「…………」


 ジークフリートがあんまりにも幸せそうに笑うから、ハルクは少しだけ切ないような気分になった。
 孤児だったのなら、きっと苦労が多かっただろう。その上、勇者に選ばれて、否応なく魔王や魔物と戦うことになってしまった。
 もしかしたら、ジークフリートの心はずっと孤独だったのかもしれない。
 ハルクは小さく溜め息を吐き、色々諦めてジークフリートを受け入れることにした。
 今のところジークフリートに『女神様の祝福子』だと明かすつもりはないが、一緒に暮らしてジークフリートの『家族』になろう。

 ハルクは嬉しそうに笑っているジークフリートに手を伸ばした。


「今日からよろしく。『ジーク』って呼んでいい? それから敬語もなしでいい?」

「……っ! あぁ! 勿論構わないとも! その、改めてよろしく。ハルク」

「うん。朝ご飯は?」

「宿で済ませてきた」

「そ。明日からは質素な朝ご飯だからそのつもりでね」

「あなたと一緒に食べるのなら、なんだってご馳走だ」

「あっそ。じゃあ、部屋に荷物を置いたら早速仕事に行こう。今日は種蒔きをする予定なんだ」

「やり方を教えてくれ。一発で覚えてみせる」

「ゆっくり覚えてくれたらいいよ。先は長いんだし」

「そっ! そうだな!」


 ハルクはジークフリートを両親の部屋に案内すると、手早く食べ終わった朝食の後片付けをして、やる気満々なジークフリートと農作業に使う道具を分けて持ち、ハルクが担当している広い畑へと向かって歩き始めた。

 昼食は朝に焼いたパンが一つだけだ。
 村は働き手がかなり減ったし、孤児も多いので、できるだけ子ども達に優先して食料を与えている。
 食べられるだけありがたいので、パン一つを齧ったら、水を飲んでから種蒔きの続きを始める。

 ジークフリートは種蒔きの仕方を教えたらすぐにコツを掴んだ。手早くやってくれるので、前倒しで他の農作業に取り掛かれそうだ。
 助かるなぁと思いながら、ハルクは日暮れが近くなるまで、黙々と種蒔きをした。

 茜色に染まる道を歩いて家に帰る。予定していたよりも倍近く種蒔きが終わったので、数日中には完全に種蒔きが終わりそうだ。
 ジークフリートが粗末な昼食にも種蒔きにも文句一つ言わずに頑張ってくれたからである。
 家に帰り着くと、ハルクは貯蔵庫から干し肉を取り出した。
 いつもは野菜と豆のスープとパンが一つだけだが、今夜は干し肉と野菜のスープにする。ちょっとしたジークフリートの歓迎会だ。

 台所についてきたジークフリートに竈の使い方を教えながら、一緒にスープを作り、朝に焼いたパンを軽く焼き直す。
 ジークフリートは目をキラキラと輝かせて、楽しそうに野菜や干し肉を切っていた。
 野外料理はしたことがあるが、一般家庭の台所で料理をしたことがなかったらしい。
 出来上がった料理を居間に運び、食前の祈りを捧げてから食べ始める。

 干し肉と野菜、豆がいつもより多いスープは食べごたえがあって美味しい。パンもパリッと焼けていて、スープに浸して食べると更に美味しくなる。とっておきの葡萄酒を一杯ずつ飲みながら、ハルクは両親が亡くなってから初めて誰かと一緒にお喋りをしながら食事を楽しんだ。

 家に風呂はあるが、薪が勿体ないのでお湯を沸かすのは特に寒い時期だけだ。
 今は冬が終わって暖かくなっているので、裏の井戸で身体を拭く。
 ハルクが身体を拭きに井戸へ行くと、ジークフリートもついてきた。
 まんこを見せなければ男にしか見えないし、まぁ大丈夫だろうと思って、好きにさせることにした。
 井戸の水を桶に汲み、全裸になってから手拭いを水に浸してゆるく絞り、身体を拭いていく。

 ハルクは身体を拭きながら、傷痕だらけのジークフリートを見た。


「ジーク。こんな田舎の村じゃなくて、王都とか都会に行けば、もっと楽な暮らしができるよ」

「王都にはあなたがいない。それに、王都に帰れば、姫君の誰かと結婚させられる」

「お姫様と結婚っていいことだと思うけど?」

「女にはまるで興味がない。柔らかいだけの乳房なんて無駄の塊だ。筋肉がいいんだ。筋肉が」

「男が好きなの?」

「結果的にそうなった。女は好きじゃない。どれだけきれいに着飾っても、内面はどろどろしている」

「それは花街で色々見たから思うこと?」

「あぁ。勿論、心がきれいな女もいるのだろう。だが、女というものに反応できないくらい嫌悪感を抱いてしまっているから、どんなに心が美しい女でも無理だ。あれだ。生理的に無理ってやつだ」

「なんだか気の毒な話だなぁ」

「……ハルクは男が好きなのか? 女が好きなのか?」

「別にどっちも特別好きじゃないよ。恋なんてしたことがないし、するつもりもない」

「何故だ?」

「それは内緒」

「むぅ。いつか教えてくれると嬉しい」

「気が向いたらね」


 喋っていたら身体を拭き終えたので、服を着て家の中に入る。お湯を沸かして母直伝の寝付きがよくなる香草茶を飲み、それぞれの部屋の前で『おやすみ』を言ってから自室に入った。
 ハルクは寝る前にもオナニーするのが日課だ。
 うっかり声を出さないように気をつけながらこっそりオナニーをして、スッキリすると手拭いで手を拭いて粗末な布団の中に潜り込んだ。
 一日ずっと動いていたので疲れている。ハルクはすやぁっと寝落ちた。





ーーーーーー
 ジークフリートと一緒に暮らし始めて早くも半年が経つ。ハルクはすっかりジークフリートとの生活に慣れている。
 ジークフリートの気の毒なお付きの騎士は村一番の美女と恋仲になり、つい最近結婚した。お付きの騎士もこの村に定住することになった。

 なんとか気合で日が昇る頃に目覚めて、朝オナニーをして完全に覚醒すると、家の外に出た。
 庭ではジークフリートが剣の素振りをしていた。


「おはよう。ジーク」

「おはよう。ハルク。今日も素敵な胸筋だ。愛してる」

「ありがとう?」

「一緒に鍛錬をしよう」

「うん」


 剣の素振りを終えたジークフリートと一緒に日課の鍛錬をしてから、汗を井戸の水で流して家の中に入り、服を着てから朝食を作る。
 毎日質素な食事だが、ジークフリートが文句を言ったことはない。いつだって嬉しそうに食べてくれる。他愛のないお喋りをしながら朝食を食べ終えると、今日の仕事の予定を確認してから道具を持って畑に向かう。
 朝から晩まで働く日々なのだが、ジークフリートはずっと楽しそうで、穏やかに笑うことが多い。『都会よりも田舎でのんびり暮らす方が性に合ってたみたいだ』と言っていた。

 日暮れまで野菜の収穫や草むしりをした。
 収穫した野菜の殆どは明日町へ売りに行くので、専用の場所に置きに行く。残った分は孤児院に持っていく。売り物にならないような野菜は、自分の家で食べるので持って帰る。
 薄暗くなりかけている道を歩いて帰りながら、ふと久しぶりに温泉に行きたいなと思いついた。

 温泉まではカンテラがあれば夜でも行ける。明日も朝早くから動き回るのだが、たまには夜更かしして温泉でのんびりしてもいいだろう。
 ハルクは隣を歩くジークフリートに声をかけた。


「ジーク。温泉に行かない?」

「今からか? もう暗くなるが」

「カンテラがあれば問題ないよ。通い慣れてるから」

「いっ、一緒に浸かるのか!?」

「え? うん」

「そっ、そうか! では! 温泉に行こう!」

「あ、うん」


 ジークフリートの日焼けした頬が何故か赤く染まった。
 家に帰って手早く夕食を作って食べると、手拭いとカンテラを持って暗くなった道を歩き、山を目指した。
 今夜はよく晴れているので月明かりもあり、山に入ってもカンテラのぼんやりした明かりもあって問題なく温泉へ到着した。

 早速服を脱ぎ、温泉に浸かる。じわぁっと温かいお湯で身体が解れていく感覚が心地いい。
 ジークフリートは何故か股間を手で隠したまま、温泉に浸かっていた。
 もしかして、勃起しているのだろうか。
 毎朝ジークフリートから朝の挨拶と共に『好きだ』とか『愛してる』とか言われているが、ハルクとしてはいつものことなので普通に流していた。
 ジークフリートに性的に見られているということをすっかり忘れていた。

 ハルクは温泉に浸かりながらふと思った。
 ジークフリートに『女神様の祝福子』だということを教えたら、ジークフリートはハルクを性的に見なくなるのではないだろうか。
 ハルクにはまんこがある。多分、ジークフリートはまんこを受けつけない筈だ。
 性的に見られないようになると、単なる『家族』として一緒に暮らせるのではないだろうか。
 ハルクはジークフリートに『女神様の祝福子』だということを教えることにした。


「ジーク」

「なんだ?」

「実は俺、『女神様の祝福子』なんだよね」

「……は?」


 ジークフリートがぽかんと間抜けに口を開けた。
 ハルクは立ち上がり、温泉から出て、カンテラでぼんやり照らされている柔らかい草の上に腰を下ろし、ジークフリートに見えるように膝を立てて足を大きく広げた。


「ハルク!? なっ、なっ、なにしてっ……!?」

「はい。証拠。ちゃんとまんこがあるでしょ」


 ハルクはペニスと陰嚢を左手で下腹部にくっつけ、右手でぷにっとしたまんこの肉厚の肉襞をくぱぁと開いた。
 まんこの孔に外気が触れる感覚が新鮮で、ちょっぴり興奮する。とろぉっと愛液が溢れ出る感覚がした。
 ジークフリートがまじまじとハルクのまんこを見ている。
 これで単なる『家族』になれるなぁと思っていると、ざばぁと勢いよくジークフリートが立ち上がった。

 何気なくジークフリートの股間を見れば、ご立派なサイズのペニスが勃起しており、下腹部にくっつきそうな勢いで反り返っていた。


「あれ?」

「ハ、ハルク! その! そ、そこを見せてくれたということは! 俺の想いに応えてくれるということか!?」

「え? なんでそうなるの? まんこだよ? 生理的に無理じゃないの?」

「ハルクならばまんこがあろうがなかろうが関係ない!」

「うそーん」

「嘘じゃない! ああああの! あなたに触れてもいいだろうか!?」

「……ちょっとだけなら……」

「ありがとう!」


 予想外な展開に驚いたが、ハルクとて誰かと性的に触れ合うことに興味がないわけではない。まんこに挿れさせなければ大丈夫だろうと思って、ハルクは頷いた。

 温泉から出てきたジークフリートがハルクに近寄り、ハルクの頬をゴツい手で撫でて、唇に触れるだけのキスをした。
 ジークフリートが何故だか泣きそうな顔をした。


「初めて、好きな人とキスをした」

「……そっか」

「もっと触れたい」 

「……いいよ」


 ジークフリートは勇者になる前は花街にいたと言っていた。ジークフリートは誰もが認める美丈夫だ。きっとたくさん酷い目に合ってきたのかもしれない。
 ジークフリートが恐る恐るといった様子でやんわりとハルクの頬を撫で、首筋を撫で、むっきり盛り上がった胸筋を撫で回した。
 何度も触れるだけのキスして、ハルクの頬に頬擦りしてから、ジークフリートがハルクの胸筋に顔を埋めて熱い溜め息を吐いた。

 胸筋をふにふに揉まれながら、胸筋の下の方にあるちょこんとした濃い茶褐色の乳首吸いつかれる。乳首は自分で弄ったことがない。気持ちいいというよりも擽ったい。
 ハルクが擽ったくて小さく笑いながらジークフリートの頭をやんわりと撫でると、ジークフリートが乳首をちゅーちゅー吸いながら目だけでこちらを見て、嬉しそうに目を細めた。
 反対側の乳首もちゅーちゅー吸われたが、やっぱり気持ちいいというより擽ったい。
 ちゅぽっと乳首から口を離したジークフリートがハルクの肌を舐めながら下へと下がっていく。

 ころんと背中から倒れて仰向けに寝転がると、ジークフリートがゆるーく勃起したペニスと陰嚢を押さえている手の甲にキスをした。
 手をどけると、ジークフリートがペニスの根元から先っぽまで、べろーっと裏筋を舐め上げた。
 熱くぬるついた舌の感触が気持ちよくて、一気に下腹部が熱くなる。すぐに完全に勃起したペニスをジークフリートがぺろぺろと舐め回してくる。

 ハルクは仮性包茎だ。普段は亀頭の半分が皮で覆われている。指で皮を完全に剥かれて剥き出しになった敏感な亀頭を舌で円を描くように舐め回される。気持ちよくて、どっと先走りが溢れ出た。
 愛液がとろとろと溢れ出る感覚もしている。まんこがうずうずして堪らない。今すぐに指を突っ込みたい。

 はぁー、はぁー、と荒い息を吐きながら、ハルクは夢中でハルクのペニスを舐め回しているジークフリートの頭をやんわりと撫でた。
 ジークフリートがこちらを見つめながら、じゅるっと強めに亀頭を吸い、ペニスを吸いながら頭を上下に動かして唇でペニスを扱き始めた。


「は、はっ、でるっ、でちゃうっ……口、離してっ……」

「んっ!」

「あぁっ! ちょっ、吸うのっ、だめっ、ほんとっ、でるっ……! あぁっ!!」


 射精を促すようにペニスの根元あたりを手で扱かれながら、亀頭をじゅるじゅる吸われたら我慢なんてできなかった。
 ハルクはジークフリートの頭をくしゃくしゃ撫で回しながら、ジークフリートの口内に精液をぶち撒けた。

 射精したせいか、まんこがうずうずして堪らない。ハルクはまんこのうずうずをなんとかしたくて、ジークフリートの頭をやんわりとペニスから離させ、半分萎えているペニスと陰嚢を下腹部に押しつけ、濡れ濡れのまんこの肉襞をくばぁと開いた。


「舐めて」

「喜んでっ!」

「あっ! はぁっ……あ、あ、すごい、気持ちいいっ……ジーク、もっと、もっと舐めて……あ、あぁ、いいっ、いいっ……」


 ひくひくしている感じがするまんこの孔や陰嚢の下にある小さな突起をねっとりと舐められると、初めての快感に襲われる。自分の指で弄るよりもずっと気持ちがいい。
 ハルクはイクことしか考えられなくなって、喘ぎながらジークフリートにねだった。


「もっと、なめて、いかせて、あ、あ、いい、いい、あ、あ、あ、い、いくっ! ん! ん! あ、あーーーー!」


 まんこの孔の表面をぺちゃぺちゃと舐め回され、陰嚢の下の敏感な突起をちろちろと舐められてちゅーっと吸われた瞬間、身体の中で高まり続けていた快感と不思議な興奮が弾け飛んだ。
 ハルクがビクンッと腰を突き上げてイクと、とろとろと愛液を垂れ流しているまんこの孔にゴツい指がゆっくりと入ってきた。

 中を探るように動いている指の感触も、再びペニスに這い始めた熱い舌の感触も、気持ちよくて堪らない。
 ハルクが喘ぎながらジークフリートの頭をなんとなく撫でると、ジークフリートが嬉しそうに目を細めて、ちゅうっと敏感な亀頭を吸った。
 まんこの中の気持ちがいいところにジークフリートの指が触れた。


「あっ! そこっ! そこ! 弄って!」

「んっ。はぁ……ハルク。淫らで美しい」

「あっ! あぁっ! いいっ! すごい! きもちいいっ! も、も、いくっ! またっ、いくぅ! あ、あ、あぁぁぁぁっ!」

「ハルクの精液をもっと飲ませて」

「んぁぁぁぁっ!? いっ、いってりゅ! あ、あ、でるっ! でるっ! あーーーーっ!」


 まんこでイッたかと思えば、また亀頭をじゅるじゅる吸われて呆気なくジークフリートの口内に精液を吐き出した。
 射精を終えたペニスから口を離したジークフリートが、ごくんとハルクの精液を飲み下し、うっとりとした顔をした。
 ジークフリートが覆いかぶさってきて、乳首をちゅーちゅー吸いながら、熱くて硬いものでまんこの孔の表面をすりすりし始めた。

 これ以上はマズい気もするが、頭の中はもっと気持ちよくなることでいっぱいで、ハルクはジークフリートの腰に足を絡めた。
 メリメリと狭い孔を押し拡げるようにしてまんこの孔の中にジークフリートのペニスが入ってくる。痛いが、同時に不思議と気持ちがいい。
 腹の中をみっちりと満たされていく感覚が堪らない。トンッと腹の奥深くに硬いものが当たると、鋭い痛みと共に経験したことがない強烈な快感が脳天を突き抜けた。


「ひぎぃっ!?」

「はぁ……ハルク、ハルク……」


 ジークフリートがうわ言のようにハルクの名前を呼びながら、ぎゅっとハルクの身体を抱きしめて激しく腹の奥深くを突き上げてくる。痛いのに気持ちがいい。
 ハルクはジークフリートに縋りついて喘ぎながら啜り泣いた。
 気持ちいい。痛い。でも気持ちいい。何故か分からないけど満たれていく感覚がする。

 トントントントンッと小刻みに強く腹の奥深くを突き上げられて、身体の中を暴れ回る強烈な快感がパァンと弾け飛んだ。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ハルクッ! ……っ、あぁ……」


 一際強く突き上げられたかと思えば、硬いもので腹の奥深くをぐりぐりされる。腹の中で、ほんの微かにジークフリートのペニスがぴくぴく震えているのがなんとなく分かった。中に射精されてしまった。
 快感の余韻でぼんやりする頭の片隅でマズいなぁと思うが、後の祭りである。

 ずるぅっと射精したのに硬いペニスがまんこの孔から抜け出ていった。
 こぽぉっとまんこの孔からジークフリートの精液が溢れ出て垂れ落ちていく感覚がする。
 これで終わりかと少し残念に思っていると、ジークフリートに四つん這いになるように言われた。
 言われたとおりに四つん這いになると、むっきりむっちりした尻肉をジークフリートが揉みしだき、ぐにぃっと大きく広げて、露わになったアナルを舐め始めた。


「ちょっ、そこは! だめっ! きたない!」

「はぁっ……汚くなんてない。すごくきれいだ」

「ちょっ、う、あ……あぁっ! あっ! 待って! まんこと! 同時はっ! だめっ!」

「駄目? 何故?」

「きもちいいからっ! だめぇ!」

「もっと気持ちよくなって。一緒にもっと高みを目指そう」

「ひゃあ!?」


 べろーっとアナルの表面を舐めたジークフリートが、まんこの孔に指を突っ込み、すぐに引き抜いたかと思えば、まんこの孔とアナルに、同時に指を挿れてきた。
 アナルは排泄孔だ。それなのに不思議と気持ちがいい。まんこと同時に弄られると、気持ちよくてイクことしか考えられなくなる。
 ジークフリートの熱くて硬いペニスが欲しい。中に挿れたらもっと気持ちよくなれる。
 ハルクはビクンビクンッと身体を震わせながら、ジークフリートにねだった。


「ちんこっ! ちょーだいっ! いきたいっ! いきたいっ!」

「ハルクッ!!」


 ずるぅっとアナルとまんこの孔から指が抜け出ていったかと思えば、ひくひくしている感じがするアナルに熱くて硬いものが触れ、狭いアナルをメリメリと抉じ開けるようにしてアナルの中にジークフリートのペニスが入ってきた。
 アナルも痛いのに気持ちがいい。腹の中がジークフリートのペニスでみっちりで、酷く痛むところを通り過ぎ、入っちゃやばいんじゃないかってくらい腹の奥深くまで入り込んできた。
 トンッと腹の奥深くを硬いペニスの先っぽで突かれると、脳天へ鋭い痛みと強烈な快感が突き抜ける。まんことは微妙に違った快感に、ハルクは吠えるように喘いだ。


「ははっ! こちらには全部入った」


 嬉しそうに笑ったジークフリートがハルクの腰を強く掴み、パンパンパンパンッと肌同士がぶつかり合う音が響くほど強く激しく尻に下腹部を打ちつけ、腹の奥深くを突き上げてくる。
 あまりの痛みと強烈な快感に泣きじゃくりながら、一際強く腹の奥深くを突き上げられた瞬間、ハルクは触れていないペニスからたらたらと精液を漏らした。

 ジークフリートがハルクの名前を呼びながら腹の奥深くを硬いペニスの先っぽでぐりぐりしてくる。腹の中、アナルの方でも、ジークフリートが射精した。
 ぜぇ、ぜぇ、と掠れた息を吐きながら、長引く快感の余韻にうっとりしていると、ゆっくりとジークフリートのペニスがアナルから抜け出て、ころんと仰向けにされた。

 ジークフリートが覆いかぶさってきて、何度も何度も優しく唇を吸ってくる。ハルクも応えてジークフリートの唇を吸うと、まんこの孔に熱くて硬いものがまた触れた。
 もうどうにでもなれ! と思い、ハルクは腕をジークフリートの太い首に絡め、足をジークフリートの腰を絡めた。




ーーーーーー
 ハルクがはっと気がつくと、ジークフリートにおんぶされていた。
 どうやら寝落ちていたらしい。誰かにおんぶされるなんて小さな子どもの頃以来だ。
 ジークフリートの背中は温かくて、不思議と安心する。
 ハルクは家に着くまで、ジークフリートの肩に頬をつけ、うとうとと微睡んだ。

 家に帰り着くと、ジークフリートの背中から降りた。
 ジークフリートがハルクの手を握り、真っ赤な顔で口を開いた。


「その! いっ、一緒に寝てもいいだろうか!」

「……いいよ」


 ジークフリートがパァッと顔を輝かせ、嬉しそうなはにかんだ笑みを浮かべた。
 なし崩しにセックスをしちゃったし、いつの間にかジークフリートに情が湧いていたみたいだ。
 ハルクがジークフリートの唇に触れるだけのキスをすると、ジークフリートがきょとんとした後で泣きそうな顔をした。


「あなたに俺を受け入れてもらえて嬉しい」

「なんだかねー。情が湧いちゃった感じ。俺が『女神様の祝福子』だってことは他の人に知られるわけにはいかないから、今度からまんこの中に出すのは駄目だよ」

「それなら問題ない。俺は子どもがつくれない身体だ」

「え?」

「その……昔、色々あって……」

「そっか。なら、好きなだけ中に出していいよ。二人でずっと一緒に生きよう」

「あ、あぁ!」

「うーん。なんで泣くの?」

「……っ、嬉しくてっ……」

「よーしよしよし。ジークが大好きな胸を貸してあげる」


 本格的に泣き出したジークフリートを抱きしめて、ハルクはジークフリートの背中を優しく擦りながら、ジークフリートの頭に頬ずりをした。
 ずっと一人で生きて、一人で死んでいくのだと思っていた。
 村の者達とは普通に仲がいいが、『家族』ではない。ハルクだけの『家族』ができた。
 多分、そのうち『愛してる』とか言っちゃうんじゃないだろうか。

 ジークフリートが泣き止むと、ハルクはジークフリートの手を引いて自分の部屋に向かい、ジークフリートと一緒にベッドに上がった。
 布団の中でくっついて手を繋ぎ、ハルクはある意味大事なことをジークフリートに告げた。


「俺、朝起きたらすぐにオナニーするから」

「……は?」

「寝起きが悪くてオナニーしないと覚醒しないの。日課だから気にしないでね」

「えぇっ!?」

「じゃあ、おやすみ」

「いや待ってくれ! それは俺はどうしたら!?」

「気にしないでねって言ったじゃないか」

「隣でオナニーされたら興奮するに決まっているだろう!?」

「朝からセックスはしないよ」

「生殺し確定っ!?」

「おやすみー」

「お、おやすみ……」


 ジークフリートの温もりを感じながら、ハルクはすやぁと寝落ちた。
 翌朝、いつも通り朝オナニーをしたら、もれなく興奮したジークフリートにペニスを突っ込まれて結局セックスしちゃうのはご愛嬌ということで。




ーーーーーー
 ジークフリートとは何十年も一緒にいた。
 二人で暮らし始めて十年目の春に初めて『愛してる』と囁いたら、ジークフリートはまた泣いた。
 泣き止むまでジークフリートが大好きな胸を貸してやり、ハルクはやんわりと背中を撫でてやった。

 ジークフリートとの色んな思い出が詰まった家の中の窓際に座り、ハルクはこほっと嫌な咳をした。
 ジークフリートは去年の冬に先に逝ってしまった。
 多分だけど、自分もそう長くない。きっとジークフリートが迎えに来てくれるから、怖くなんてない。
 ハルクは窓の外を見て穏やかな笑みを浮かべた。
 ジークフリートといつも一緒に見上げていた空の色だ。もし、次の世で出会えたのなら、また手を繋いで一緒に空を見上げたい。

 ハルクはまた咳を一つして、静かに目を閉じた。



(おしまい)
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