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ずっと二人で温もりたい
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キザンナの街に冬が来た。粉雪が舞う中、ヘリオットはマフラーで鼻まで覆い、傘を片手に足早に歩いていた。ヘリオットがキザンナの街に来たのは3年前で、それまではずっと生まれ故郷の雪が降らない小さな町で暮らしていた。初めて雪を見た時は年甲斐もなく大はしゃぎして、傘も差さずに出かけ、酷い目にあった。ふわふわとした粉雪が、歩いていると鼻の穴に入ってくるし、身体に自然と積もっていく雪が溶けて、職場に着く頃には、びしょ濡れになっていた。更には帰宅途中にある石の階段で、僅かに積もった雪で足を滑らせ、尻から階段から落ちた。尻にできた青痣は中々治らず、暫くの間、椅子に座る度に痛い思いをした。以来、雪はあんまり好きじゃない。
ヘリオットは職場である商家に着くと、傘を畳んで、肩に少しついていた雪を手で払った。ヘリオットは、布を扱う商家で働いている。ヘリオットは学がないので、主に力仕事がメインだ。大きな束になった布は存外重い。しかも今は真冬だから、厚めの布地が多く、倉庫の整理をした日には全身が汗だくになる。
店主や他の従業員達に朝の挨拶をしてから、店主に頼まれて、倉庫に注文分の布地を取りに行く。店の裏にある大きな倉庫は、色とりどりの布地でいっぱいだ。渡されたメモを見ながら、布地につけてある商品番号を探し、必要な分を取り出して、布地が痛まないように慎重に店へと運ぶ。ヘリオットは何度も店と倉庫を往復しながら、日が暮れるまで働いた。
店仕舞いをした後、ヘリオットは若旦那であるリーオに呼ばれた。リーオの部屋は暖炉に火がついていて暖かい。帳簿や注文書等が山のように積み重なっている机に座って書物をしているリーオが、部屋に入ったヘリオットを見た。
リーオは今年で30歳になる美丈夫で、淡い金髪と理知的な青い瞳が美しい、とても整った精悍な顔立ちをしている。渋いハスキーな声は男の色気があり、街の女達に人気がある。未だに未婚で、誰がリーオの心を射止めるのかと、女達の間では常に話題になっている程だ。
ヘリオットは今年で26歳になる。毎日力仕事をしているし、リーオが他所の街に布地を仕入れに行く時は護衛もしているので、それなりに鍛えた身体つきをしている。顔立ちは、眉毛が下がり眉なので、気弱に見られることが多い。穏やかで優しそうな顔だと、店主の奥方に褒めてもらったことがある。
リーオが椅子に座ったまま、ヘリオットを見上げた。
「明日、トリアーノの街に行く。お前は護衛と荷物持ちだ」
「明日も多分雪ですけど、大丈夫ですか?」
「馬車で行く。吹雪かなければ問題ない」
「分かりました。準備しときます」
「あぁ。それと」
「なんです?」
「今夜は鍵を開けておけ。仕事が終わったら行く」
「……はぁい」
ヘリオットはゆるい返事をしてから、リーオの部屋を出た。底冷えする中、店の馬車の手入れと馬の世話をしてから、暗い道を自宅へと向かって歩き出す。
ヘリオットは小さな平屋の一軒家に住んでいる。本当はもっと家賃が安い集合住宅に住みたかったが、キザンナの街に来た時に、タイミング悪く空いている部屋が無かった。ヘリオットは故郷の町で、リーオに護衛としてスカウトされて、キザンナの街に来た。故郷の町では、家業である牧畜をする傍ら、退役軍人から剣を習っていた。剣を振るうのは、子供の頃からの趣味である。ヘリオットは弓も扱える。害獣退治の時には、主に弓を使う。
町の近くで盗賊に襲われていたリーオ達をたまたま見つけて助けたら、腕を買われて、雇われることになった。ヘリオットは故郷の町が好きだったが、外の世界にも興味があった。家は兄が継ぐし、ヘリオットが他所に行っても問題ない。ヘリオットはリーオの勧誘に迷い無く頷いた。
ヘリオットは雪がちらつく中、足早に家へと帰った。すぐに居間と寝室の暖炉に火をつけ、風呂の浴槽に水を貯めて風呂を沸かし始めた。
居間の暖炉の火を使って、手早くスープを作り、買い置きのパンを炙る。塊のチーズも少し火で炙って、蕩けてきたら、パンにのせる。出来たての温かい夕食を腹におさめると、ヘリオットは戸棚から煙草の箱を取り出した。暖炉の前に敷いた分厚いラグの上に腰掛け、火のついた薪を1本手に取って、煙草に火をつける。深く煙を吸い込んで、細く吐き出すと、煙草特有の酩酊感で頭が少しだけくらりとして、漸く人心地ついた気がする。職場は禁煙だ。売り物の布に煙草の匂いがついたらマズい。煙草はキザンナの街に来てから覚えた。リーオがヘリオットに教えた。煙草も、セックスも。
ヘリオットはたまにリーオとセックスをする。恋人という間柄ではない。リーオの事が好きかと聞かれれば、まぁ好きな方だと答えるが、恋や愛といった類の好きではない気がする。リーオとのセックスは、戯れ合いの延長のような遊びだ。お互い楽しく気持ちよくなれる遊びで、特に今のような冬の季節は人肌恋しくなるので、他の季節よりもリーオとセックスをする機会が増える。
今夜もリーオはセックスをして遊ぶ為にヘリオットの家に来る。ヘリオットはくゆる紫煙に目を細めて、リーオの訪れを待った。
3本目の煙草を吸い終えたタイミングで、玄関のドアが開く音がした。静かな足音と共に、鼻先を赤く染めたリーオが居間に入ってきた。ヘリオットは吸い殻をポイッと暖炉に放り込むと、立ち上がってリーオのコートを脱がせ、コートについていた僅かな雪を手で払った。
「晩飯食いました?」
「あぁ。酒はあるか」
「前にアンタが持ってきたのが残ってますよ。持ってくるんで、暖炉の前に居てください」
「あぁ」
リーオが暖炉の前に腰掛けるのを見てから、ヘリオットは台所へと移動した。酒の瓶とグラスを二つ、戸棚から取り出し、寒い台所から暖かい居間へと足早に向かう。暖炉の火に手をかざしていたリーオの隣に座り、ラグの上にグラスを置いて、酒を注ぐ。リーオにグラスを渡してから、ヘリオットは酒を一口飲んだ。喉が焼けるようなキツい蒸留酒である。飲みこめば、キツい酒精がカッと喉を焼く。腹の奥から温まっていく感じがする。
一息で酒を飲み干したリーオに、おかわりを注いでやると、リーオがまた、くっと一息で飲み干した。ふぅっと小さな息を吐いたリーオが、ヘリオットに顔を寄せ、唇を重ねてきた。ちゅくっと優しく下唇を吸われて、誘うように下唇に舌を這わされる。ヘリオットは誘われるがままに、口を開けて舌を伸ばし、リーオの舌に自分の舌を絡めた。ぬるぬると舌を絡め合うと、じんわりと気持ちがいい。ヘリオットはあまり自慰はしない。リーオとセックスをするのは二週間ぶりで、溜まっている。リーオとキスをしているだけで、じわじわと下腹部に熱が溜まり始める。
唇を触れ合わせたまま、リーオがクックッと低く笑った。
「苦い」
「煙草吸ってたんで」
「俺にも寄越せ」
「後でね」
「張り型を仕込んである。さっさとこれを寄越せ」
「アンタ張り型咥え込んだまま、此処まで来たんすか」
リーオがゆるく反応しているヘリオットの股間を優しく揉みながら、楽しそうに笑った。ヘリオットは少し呆れながらも、張り型を自分で仕込んできたリーオのいやらしさに興奮して、目を細めた。
リーオがその場でズボンのベルトを外し、下着ごとズボンをずり下ろした。中途半端にズボンを脱いだリーオが、ヘリオットに背を向け、四つん這いになる。リーオの肉付きが薄い尻の真ん中の上の方、アナルがある位置に、確かに張り型が少し顔を出していた。
リーオが力んでいるのか、リーオの尻に力が入り、張り型がゆっくりと抜けていく。ヘリオットは、リーオが張り型をひり出すところをじっと眺めながら、膝立ちになり、ズボンのベルトを外して、下着ごとズボンをずり下ろして、脱ぎ捨てた。
ぬぅっと長めの張り型がどんどん抜け出て、アナルの縁が赤く捲れながら、亀頭を模した太い部分もゆっくりと出ていき、ポタッと張り型が完全に抜け落ちた。リーオのアナルはぽっかり口を開けて、大きくくぽくぽと収縮している。酷くいやらしい光景に興奮する。リーオの尻の肉付きは薄いから、四つん這いになっているだけで、アナルが丸見えになる。うっすら縦割れになっている、黒みがかった濃い赤いアナルが、香油で濡れて、てらてらと鈍く光り、ひくひくとヘリオットを誘っている。
ヘリオットは自分のゆるく勃起したペニスを扱いて、完全に勃起させると、すぐにリーオの尻肉を片手で掴み、いやらしく誘うリーオのアナルにペニスの先っぽを押しつけた。そのまま腰をゆっくりと動かしてペニスを押し込んでいけば、リーオのアナルが皺を伸ばしきりながら、従順にヘリオットのペニスを飲み込んでいく。締めつけがキツい括約筋を通り過ぎると、熱く柔らかい腸壁にペニスが包まれていく。ヘリオットのペニスは太さは普通だが、割と長い方だ。ペニスをどんどん奥へと押し込み、襞のようなところを抜け、更に奥へとペニスを押し込んでいく。肉の壁にペニスの先っぽが当たると、リーオが服を着たままの背をしならせて、大きく喘いだ。
下腹部をリーオの白い尻に打ちつけるようにして、リーオの奥深くをペニスで突き上げる。小刻みなストロークで奥だけを刺激したり、大きなストロークで、じっくりとアナルの感触を味わうように、ゆっくりと動いたり、アナルの入り口だけをくぽくぽと太い亀頭だけを抜き差しする。教えてもらった前立腺をカリで引っ掻くように腰を振れば、リーオの喘ぎ声がどんどん切羽詰まったものになっていく。リーオの普段は落ち着いた渋いハスキーな声が高く掠れて、静かな室内に響く。酷く気持ちがいい。リーオのアナルは締まりがよく、熱い腸壁がペニスにまとわりつき、奥深くの肉の壁を突く度に、キツく括約筋が締まって、ヘリオットのペニスの根元辺りを締めつけてくる。
ヘリオットもそろそろ限界である。射精したくて堪らない。ヘリオットは、リーオの奥深くをペニスの先っぽでノックするように、小刻みに強く突き上げ始めた。パンパンパンパンッと肌がぶつかり合う音が響く程強く、下腹部をリーオの尻に打ちつければ、リーオの白い尻がどんどん赤くなっていき、リーオが悲鳴じみた声を上げた。
「いいっ! イクッ! イクッ!」
「はっ、はっ、俺もっ」
「あ、あぁぁぁぁっ!!」
「はっ、あ、あぁっ……」
ヘリオットは一際強く下腹部をリーオの尻に押しつけ、リーオの奥深くに精液をぶち撒けた。尿道を勢いよく精液が飛び出していく感覚も、ペニスに絡みつき、締めつけてくるリーオのアナルの感触も、酷く気持ちがいい。ヘリオットはゆるゆると腰を振って、リーオの中に精液を出し切った。
はぁ、はぁ、と2人分の荒い吐息が室内に響いている。ヘリオットは、ゆっくりとリーオのアナルからペニスを引き抜いた。太い亀頭が抜けると、ぽっかりと口を開けたままのリーオのアナルが大きく収縮して、こぽぉっと白い精液が溢れ出てきた。赤い会陰を伝い、ずっしりと大きな陰嚢へと垂れていく自分の精液を指で掬い取り、リーオのアナルの中へと精液を戻すように、リーオの熱いアナルに指を突っ込む。慣れた手つきで前立腺を指の腹で自分の精液を塗りこむように擦れば、リーオがへなへなと体勢を崩し、尻だけを高く上げた状態になった。
ペニスに再び血液が集まり始めるが、同時に腹の奥深くが甘く疼く。ヘリオットは、ぬこぬことリーオのアナルに指を抜き差ししながら、じんわりと汗をかいているリーオの赤らんだ尻に、べろーっと舌を這わせた。
「リーオ」
「はっ、あっ、なんだ」
「交代」
「あぁ。んあっ。先に、指を抜け」
「ちんこ勃った?」
「勃ってる」
「ん」
ヘリオットはずるぅっとリーオのアナルから指を引き抜いた。荒い息を吐くリーオがゆっくりと身体を起こし、身体ごと振り返った。リーオは肌が白い。涼し気な目元が赤く染まっていると、色気がすごい。ヘリオットはリーオに胸ぐらを掴まれて引き寄せられ、貪るようなキスをされた。ヘリオットも負けじと舌を動かして、リーオの熱い口内を舐め回す。
激しいキスをしながら、リーオに押し倒された。キスをしながら、リーオの手がヘリオットのシャツのボタンを外し、下に着ている肌着ごと脱がされる。
ヘリオットの身体は筋肉質で、胸筋も盛り上がっている。リーオがヘリオットの力が入っていない胸筋を揉みしだきながら、ぴょこんと勃ったヘリオットの乳首に舌を這わせた。乳頭を擽るように舌先でチロチロと舐められ、緩急をつけて、ちゅくちゅくと吸われる。じんわりとした快感が楽しくて、ヘリオットはクックッと笑いながら、リーオの淡い金髪に指を通した。
「俺、まだ風呂に入ってない」
「今更気にせん」
「あっそ」
「腕を上げろ」
「ん。……はぁっ……」
リーオに言われるがままに両腕を上げれば、リーオがヘリオットの脇に鼻先を埋め、すぅーっと匂いを嗅ぎ、脇毛をかき混ぜるようにして、舐め回し始めた。少し擽ったくて、少し気持ちがいい。ヘリオットは笑いながら、腰をくねらせ、再び勃起したペニスをリーオの身体に擦りつけた。ヘリオットの両脇を舐めたリーオが身体を起こし、手早く自分のシャツのボタンを外して、肌着も一緒に脱ぎ捨てた。リーオはほっそりとした痩せた身体つきをしている。まるで絵本に登場する雪の妖精みたいに美しい。
リーオが再びヘリオットに覆いかぶさり、ヘリオットの肌を撫で回しながら、舌を這わせ始めた。
リーオがヘリオットの内腿に舌を這わせながら、目だけでヘリオットの顔を見上げてきた。
「浄化棒は?」
「いつもの場所」
「出しておけよ」
「ここでおっ始めるとは思わないじゃん」
「ちっ。寝室に行くぞ」
「はぁい」
浄化棒とは、アナルの中に入れると、中をキレイにしてくれる便利な魔導具だ。寝室のベッドの横に置いてある小さめのチェストの中に、香油と一緒に入れっぱなしである。
ヘリオットは立ち上がり、全裸のリーオと共に寝室に移動した。
寝室の暖炉にも火をつけておいて正解だった。廊下は凍えるように寒かったが、寝室は少し暑い程暖かい。香油と浄化棒を取り出すと、ヘリオットはすぐにリーオにベッドの上に押し倒された。リーオに言われるがままに、チンぐり返しの体勢になる。割とキツい体勢だが、リーオの興奮した顔が見えるので、かなり好きな体位である。
リーオが香油で濡らした浄化棒を、ゆっくりとヘリオットのアナルの中に差し込んだ。微かな異物感があるが、慣れたものである。数十秒そのままでいて、その後ゆっくりと浄化棒を引き抜かれた。すぐにリーオの舌がヘリオットのアナルに触れる。使っている香油は、舐めても大丈夫なものだ。リーオの舌が、ヘリオットのアナルの皺の隙間を丁寧に舐め、皺を伸ばすように動く。腰の辺りがゾワゾワする快感に、ヘリオットは口角を上げて、小さく喘いだ。真っ直ぐに見つめてくるリーオの熱の篭った青い瞳に、興奮して背筋がゾクゾクする。
リーオの舌がヘリオットのアナルの中に入り込んできて、アナルを拡げるように、上下左右に動き回る。アナルの中も外も舐め回されて、酷く気持ちがいい。でも、もっと気持ちがいいことを既に知っている。
ヘリオットは喘ぎ混じりの荒い息を吐きながら、リーオを見上げて、ねだった。
「早く」
「少し待て」
「は、あぁ……」
リーオの舌がヘリオットのアナルから離れ、香油をまとわらせたぬるつくリーオの指が、ヘリオットのアナルの中にゆっくりと入ってきた。慣れた感覚に、どんどん楽しくなっていく。ヘリオットの前立腺にリーオの指が触れ、そのままグリグリと強く刺激される。ヘリオットは自分の膝裏を強く掴み、堪らず大きく喘いだ。脳みそが痺れるような快感が堪らない。でも、もっと太くて硬いものでそこを擦り、ヘリオットの奥深くまでリーオで満たして欲しい。
ヘリオットが再びねだると、リーオの手つきが性急になった。いっそ荒々しい手つきでアナルを解され、ずるぅっとリーオの指がヘリオットのアナルから引き抜かれた。そのまま立ち上がったリーオに、串刺しにされるようにアナルの中に硬く勃起したペニスを突っ込まれる。解しても尚狭いヘリオットのアナルを抉じ開けるようにして、リーオのペニスがヘリオットのアナルの中に入ってきて、ヘリオットの中を満たしていく。
ヘリオットは不思議な満足感に震える息を吐いた。みっちりとヘリオットの中を満たしながら、リーオのペニスが前立腺を通り過ぎ、どんどん奥深くへと入ってくる。鈍い痛みを感じるところを通り過ぎれば、リーオのペニスがヘリオットの奥深くに到達した。トンッとそこをペニスで突かれると、鋭い強烈な快感が脳天へと突き抜ける。
「あぁっ!?」
「はぁ……締め過ぎだ。少し緩めろ」
「は、は、むり……ついて、ついてくれっ」
「ははっ! ほらっ。ほらっ」
「あぁっ! いいっ! いいっ!」
リーオがヘリオットの両足首を掴み、身体ごと上下に動くようにして、ヘリオットの奥深くを激しく突き下ろし始めた。気持ちよくて、気持ちよくて、本当に堪らない。ヘリオットはだらしなく涎を垂らしながら喘ぎ、リーオを見上げた。リーオの興奮しきった表情に、なんだか胸の奥が熱くなる。激しい快感が身体の中を暴れ回り、開放を求めている。
リーオが動きを止め、繋がったまま、ヘリオットの高く上げていた腰を下ろさせた。リーオがヘリオットの奥深くをペニスでグリグリと刺激しながら、噛みつくような勢いでヘリオットの唇を強く吸った。ヘリオットが舌を伸ばしてリーオの舌に絡めれば、そのまま、めちゃくちゃに腰を激しく振りながら、リーオがヘリオットの舌を舐め回し、咥えて強く吸った。
高まり続ける快感が弾け飛ぶ瞬間が、もうすぐそこまできている。ヘリオットはリーオの首に両腕を絡め、リーオの腰に両足を絡めた。間近にある青い瞳が、獲物を狙う獣のように鋭く光っている。ヘリオットは舌を絡めながら、口角を上げた。上も下も繋がって、互いの境界線が分からなくなりそうだ。
ヘリオットの絶頂の叫びは、リーオの口の中に飲み込まれた。ビクンビクンと身体を震わせるヘリオットの身体をキツく抱きしめ、リーオが一際強くヘリオットの奥深くを突き上げた。ヘリオットの中で、リーオのペニスがほんの微かに震えている感覚がする。射精しているのだろう。唇を触れ合わせたまま、リーオが気持ちよさそうな吐息をもらし、ヘリオットの唇に何度も吸いついてきた。ヘリオットもリーオの唇を吸い、汗で濡れたリーオの背中を優しく撫で回した。
「ヘリオット」
「ん?」
「もう1回」
「だめ。明日は半日馬車移動でしょ。アンタの腰が死にますよ」
「ちっ」
「舌打ちしない。物足りないなら、一緒に風呂に入った後で舐めあいっこしましょ」
「……妥協してやろう」
「はいはい。じゃあ、さっさとちんこ抜いてください」
「色気もクソもないな」
「そんなもん俺に期待しないでくださいよ」
おっさんと呼ばれてもおかしくない歳のリーオが、なんだか拗ねた子供みたいな顔をした。ヘリオットはそんなリーオが可笑しくて、クックッと笑った。
リーオがゆっくりとペニスを引き抜くと、こぽぉっと自分のアナルからリーオの熱い精液が溢れ出す感覚がした。ヘリオットはキュッとアナルに力を入れて、リーオの精液がそれ以上溢れないようにした。
風呂は沸かしてある。多めに薪を入れておいたから、まだ熱い筈だ。多分。
リーオがヘリオットの身体の上からどいたので、ヘリオットは、よっと腹筋だけで起き上がった。
ベッドから下りて、リーオに手を差し出すと、リーオは素直にヘリオットの手を握った。そのまま手を繋いで風呂場へ移動する。溜めていた風呂の湯は、まだ十分温かく、ヘリオットはリーオと戯れ合いながら身体を洗い、2人でゆっくり湯船に浸かった。
風呂から出ると、身体を拭いて、脱衣場に置きっぱなしの2人分のガウンを其々着てから、居間へと移動した。酒を飲んでる途中だったし、寝る前に煙草が吸いたい。居間の暖炉の火が少し小さくなっていたので、ヘリオットは無造作に薪を放り込んだ。
暖炉の前に腰掛け、飲みかけのキツい酒を飲み始めたヘリオットの横で、リーオがヘリオットの煙草の箱を手に取った。リーオが煙草を1本取り、口に咥えて、火のついた薪で煙草に火を着けた。ふわっと香る煙草の匂いに、ヘリオットが鼻をひくひくさせると、リーオがクックッと笑いながら、細く長く煙を吐き出した。リーオが、一口吸った煙草をヘリオットに咥えさせた。すぅっと深く煙を吸い込み、ぶはぁっと吐き出せば、リーオが声を上げて笑った。
「もう少し色っぽく吸えよ」
「俺に色気を期待しないでもらいたいです」
「ははっ」
リーオが楽しそうに笑い、また煙草を咥えて、ふぅっと細く長く煙を吐き出した。空になったままのリーオのグラスに酒を注げば、リーオが煙草を片手にグラスを手に取り、くっと一息で飲み干した。喉が焼けるようなキツい酒を、よくそんなに一気に飲めるものだ。ヘリオットは感心しながら、自分はちびりちびりも酒を飲んだ。
2人で酒瓶を1本開けると、居間の暖炉の火を始末してから、寝室へと移動した。手早く汚れたシーツを交換してから、ガウンを抜いで裸になり、2人で布団の中に潜り込む。ぴったりとくっつけば、リーオの体温がじんわり伝わってきて、心地よい。
リーオがヘリオットの唇にキスをした。酒と煙草の匂いがする。舌を絡めれば、煙草の苦味を感じて、ヘリオットは小さく笑った。
「なんだ」
「苦い」
「お互い様だろ」
「そうですね」
「明日の朝飯は店に戻る途中で適当に買うか」
「揚げパンが食べたいです。肉入りのやつ」
「好きだな」
「美味いじゃないですか」
「まぁな。ヘリオット」
「はい?」
「舐めろ」
「はぁい」
ヘリオットはクックッと笑いながら、邪魔な布団をどかし、リーオの身体を跨いで、頭が逆になるようにして、リーオの身体の上で四つん這いになった。リーオのゆるく勃起しているペニスに舌を這わせれば、ヘリオットのペニスにも熱い舌が這い始める。ヘリオットはリーオとほぼ同時に射精するまで、時折快感に腰をくねらせながら、熱心にリーオのペニスを可愛がった。
2人とも射精してスッキリすると、再び布団を被り、ヘリオットはリーオと少しだけお喋りをしてから、リーオのほっそりとした身体をゆるく抱きしめて、ストンと寝落ちた。
ーーーーーー
リーオは馬車に揺られながら、小さく溜め息を吐いた。腰が地味に痛いが、慣れているので、そこまで気にならない。溜め息の理由は、ヘリオットのことである。
ヘリオットは、今は馬に乗って、馬車に並走する形で、馬を走らせている。幸い、今日は朝から雪が降らず、予定よりも速く移動ができた。トリアーノの街は、雪で足止めを食らわなければ、二刻もあれば到着する。取引先の商家で布を仕入れ、ついでに手触りがいいラグを買って、昼過ぎにはトリアーノの街を出た。あと半刻もすれば、キザンナの街に到着するだろう。
リーオはぼんやりと窓の外のヘリオットを眺めながら、また小さく溜め息を吐いた。馬上のヘリオットは、真っ直ぐに前を見ている。弓矢と剣を装備した姿は、いつもののほほんとした雰囲気とは違い、なんとなく格好いい。リーオが気に入っている夕陽のような赤毛が風で揺れている。新緑のような瞳がこちらを見たらいいのに。リーオはそんなことを思いながら、じっとヘリオットの横顔を見つめた。ヘリオットは穏やかな優しい顔立ちをしている。特別美しい訳でも、精悍で格好いい訳でもない。しかし、ヘリオットの柔らかい笑みを見るだけで胸の奥が温かくなる。まるで熾火のような男だと思う。激しい熱はなくとも、側にいると、穏やかで心地よい温かさがある。
リーオはヘリオットのことを、もう随分と前から好いている。もしかしたら、一目惚れというやつだったのかもしれない。
3年前、盗賊に襲われ、もう駄目かと思っていた時に、ヘリオットが颯爽と現れ、あっという間に盗賊達を切り伏せ、追い払った。剣を振るうその姿は普段のゆるい雰囲気とはまるで違い、鋭い眼差しや靭やかに動く身体は、まるで野生の獣のような美しさがあった。
リーオは一目でヘリオットを気に入って、自分の護衛として雇うことにした。ヘリオットを雇って半年もしないうちに身体を重ねるようになったが、どうもヘリオットはそれを遊びだと思っているようだ。リーオとしては、愛のある行為だと思っている。わざわざ愛を囁いたことはないが、多少は伝わらないかと期待しているのに、ヘリオットは鈍いので、全然リーオの想いに気づかない。未だに遊びだと思っていやがる。
ヘリオットにどうリーオの想いを気づかせればいいのか。散々セックスをしまくっておいて、今更『好き』だの『愛してる』だの言うのは、気恥ずかしくてリーオには無理だ。そもそもリーオは商売事以外では口下手な方である。ヘリオットをどう口説けばいいのか、全然分からない。ヘリオットと出会うまでは、色恋にまるで興味がなく、たまに娼婦を買って性欲処理をしていた。男はヘリオットが初めてだった。ヘリオットに惚れてから、男専門の娼館に行って、男同士のセックスの仕方を座学で教えてもらい、自分で道具を使って拡張して、ヘリオットを誘った。ヘリオットは最初はキョトンとしていたが、男娼に聞いた手練手管を披露してやれば、すぐに流されてくれた。ヘリオットは真っさらだった。リーオはヘリオットのどちらの初めても欲しくて、ヘリオットを抱いて、ヘリオットに抱かれた。
リーオがじっとヘリオットの横顔を見つめていると、ヘリオットがふいにリーオの方を見て、小さくゆるく笑った。とくん、と胸が小さく高鳴る。昨夜のヘリオットの熱を思い出して、身体の奥深くが甘く疼き出す。今夜もヘリオットの家に押しかけると勝手に決めて、リーオは小さくヘリオットに手を振った。
キザンナの街に到着し、自分の家の店に仕入れた商品を運び込み、事務仕事をしていると、父親が部屋に入ってきた。
「リーオ。また見合いの話がきた」
「断ってくれ」
「そろそろ結婚しないか」
「結婚する気はない。店は甥っ子達の誰かに継がせればいい」
「リーオ。お前は長男だぞ。店を継ぐのはお前だし、その次はお前の息子が継ぐのが筋というものだ」
「知らん。俺は俺のしたいようにする」
「頑固者め」
「親父に似たからな」
「はぁ……とりあえず見合いは断っておく」
「あぁ」
リーオの父親は大きな溜め息を吐いてから、部屋から出ていった。こういうやり取りをするのは、もう何回目だろうか。いい加減煩わしくなってきた。いっそ、ヘリオットが好きだと、父親に言ってしまおうか。しかし、その前にヘリオット本人に好きだということを知らしめねば。リーオは機械的に手を動かしながら、頭の中でヘリオット攻略の為の作戦を考えた。
仕事が終わるなり、リーオは、まだ居残って倉庫の整理をしていたヘリオットに声をかけ、一緒にヘリオットの家へと向かった。途中で夕食を仕入れ、ついでに酒も買った。ヘリオットの家に着くと、ヘリオットがすぐに暖炉に火をつけた。冷え込んでいた室内がじわじわと温かくなる。リーオは汚れたままだったラグをどかして、買ったばかりの新しいラグを敷いた。柔らかい手触りで、分厚いので床からの冷気もしっかり防いでくれる。中々いい買い物ができた気がする。
ヘリオットと暖炉の前で夕食を食べ、酒を飲みながら、煙草を吹かす。リーオが指で口に咥えた煙草を摘み、口元から外して、細く長く煙を吐き出すと、ヘリオットが小さく笑った。
「なんだ」
「ん?いや、アンタの煙草を吸う仕草がなんか格好いいなって思って。男前は得ですね」
「そうか」
ヘリオットの唐突な褒め言葉に、胸が高鳴る。リーオはヘリオットを指でちょいちょいと手招きして、素直に近寄ってきたヘリオットの唇にキスをした。
唇を触れ合わせたまま、ヘリオットの新緑のような色合いの瞳を見つめて囁く。
「寝室に行くぞ」
「ははっ。はぁい」
笑って、ゆるい返事をしたヘリオットに目を細め、リーオは吸いかけの煙草を暖炉の中に放り込んだ。
寝室のベットの上で夢中で絡み合って、快感と熱を分け合った。リーオは荒い息を吐きながら、跨がっているヘリオットを見下ろした。リーオの中には、まだヘリオットのペニスが入ったままだ。ヘリオットの逞しい胸元を撫で回しながら、リーオは口を開いた。
「ヘリオット」
「なんです?」
「お前、俺がついてこいと言ったら、ついてくるか?」
「そりゃ、勿論。俺を雇ってるのはアンタですよ」
「……ヘリオット。一生俺についてこい」
リーオの言葉に、ヘリオットがキョトンとした顔をした。リーオが勇気を振り絞って言った言葉に、ヘリオットがゆるく笑って頷いてくれた。ぶわっと嬉しさが胸の中に溢れてきて、いっそ泣いてしまいそうだ。
リーオはヘリオットの唇に噛みつくような勢いで吸いついた。何度もヘリオットの唇を吸って、唇を触れ合わせたまま囁く。
「浮気をしたら監禁してやる」
「マジっすか」
「あぁ。お前は俺だけを見ていろ」
「ふはっ。リーオ。俺が好きなんすか?」
「……さぁな」
「好きなら素直に好きって言えばいいのに」
「知らん」
「リーオ」
「なんだ」
「顔真っ赤ですよ」
「……うるさい」
「リーオ。なんなら一緒に此処に住みます?」
「ん」
「旦那様には何て言い訳したらいいかな……」
「そこら辺は俺が適当にどうにかする」
「はぁい。お任せします。ところで、リーオ。お気づきかと思いますが」
「あぁ」
「なんかまた勃っちゃった」
「全部俺の中に出せよ。ほら」
「は、あ……リーオ。きもちいい」
「は、は、あぁっ……んぅっ……」
リーオは腰を振ってヘリオットの勃起したペニスをアナルで扱きながら、ヘリオットの逞しい胸に額をつけた。今、自分は絶対にだらしない緩んだ顔をしている。ヘリオットが受け入れてくれたことが、嬉しくて堪らない。リーオの胸の高鳴りに連動するように、アナルが勝手にキュッとヘリオットのペニスを締めつける。ヘリオットの大きな硬い手がリーオの尻肉を掴み、下から突き上げてきた。
リーオは脳天へと突き抜ける快感に喘ぎながら、ヘリオットに見られないように、ポロッと涙を一つ零した。
ーーーーーー
ヘリオットは羊の世話を終えると、リーオがいる部屋へと向かった。部屋に入ると、帳簿をつけていたリーオがすぐに顔を上げた。
「終わったか」
「うん。少し休憩しに来た」
「そうか」
ヘリオットはリーオの側に行き、椅子に座るリーオの唇に触れるだけのキスをした。
リーオは現在、ヘリオットの実家で暮らしている。リーオが、ヘリオットと一生を共にすると自分の父親に宣言したら、見事に勘当された。ヘリオットは、リーオを自分の故郷の小さな町に連れて帰った。ヘリオットの家族には、自分の生涯の伴侶だとリーオを紹介した。ヘリオットの家族は最初は驚いていたが、『まぁいいか』と、ゆるくリーオを受け入れてくれた。
リーオは力仕事は大してできないので、主に数字関係の事や売買交渉をしている。ヘリオットの父親も跡継ぎの兄も人が良すぎて、育てた家畜を頻繁に安くで買い叩かれていたのだが、リーオが売買交渉をするようになってから、それが無くなり、暮らしぶりが少し豊かになった。
ヘリオットの家族はリーオに感謝して、一緒に暮らし始めて1年もすれば、リーオは完全にヘリオットの家族の大事な一員になった。
ヘリオットはリーオと2人で離れの小さな家で暮らしている。実家の家は大きいが、ヘリオットの両親と兄一家と弟一家が暮らしていて、空いている部屋が無かった。そこで、父親が実家の庭の一角に、2人で暮らせるような小さめの家を建ててくれた。家が建つまでは実家で暮らしていたが、2人の家が出来上がると、すぐにそっちに引っ越した。実家では小さな子供達が何人もいるし、セックスどころか、ちょっとしたイチャイチャもできなかったので、離れを造ってくれた父親に感謝しまくった。
ヘリオットは多分リーオのことを愛している。多分がつくのは、まだ完全に自分の心が分かっていないからだ。それでも、リーオと一生離れる気はないので、愛しちゃってるんだと思う。ヘリオットのことを『愛してる』と言えない意外と不器用なリーオは、年上だけど、なんだか可愛く思える。
多分、そのうち、ヘリオットはリーオに『愛してる』と胸を張って言えるようになると思う。2人でいると、それだけで胸の奥が温かくなる。きっとこれが幸せってやつなのかもしれない。
ヘリオットは機嫌よく目を細めるリーオに再びキスをして、穏やかに笑った。
(おしまい)
ヘリオットは職場である商家に着くと、傘を畳んで、肩に少しついていた雪を手で払った。ヘリオットは、布を扱う商家で働いている。ヘリオットは学がないので、主に力仕事がメインだ。大きな束になった布は存外重い。しかも今は真冬だから、厚めの布地が多く、倉庫の整理をした日には全身が汗だくになる。
店主や他の従業員達に朝の挨拶をしてから、店主に頼まれて、倉庫に注文分の布地を取りに行く。店の裏にある大きな倉庫は、色とりどりの布地でいっぱいだ。渡されたメモを見ながら、布地につけてある商品番号を探し、必要な分を取り出して、布地が痛まないように慎重に店へと運ぶ。ヘリオットは何度も店と倉庫を往復しながら、日が暮れるまで働いた。
店仕舞いをした後、ヘリオットは若旦那であるリーオに呼ばれた。リーオの部屋は暖炉に火がついていて暖かい。帳簿や注文書等が山のように積み重なっている机に座って書物をしているリーオが、部屋に入ったヘリオットを見た。
リーオは今年で30歳になる美丈夫で、淡い金髪と理知的な青い瞳が美しい、とても整った精悍な顔立ちをしている。渋いハスキーな声は男の色気があり、街の女達に人気がある。未だに未婚で、誰がリーオの心を射止めるのかと、女達の間では常に話題になっている程だ。
ヘリオットは今年で26歳になる。毎日力仕事をしているし、リーオが他所の街に布地を仕入れに行く時は護衛もしているので、それなりに鍛えた身体つきをしている。顔立ちは、眉毛が下がり眉なので、気弱に見られることが多い。穏やかで優しそうな顔だと、店主の奥方に褒めてもらったことがある。
リーオが椅子に座ったまま、ヘリオットを見上げた。
「明日、トリアーノの街に行く。お前は護衛と荷物持ちだ」
「明日も多分雪ですけど、大丈夫ですか?」
「馬車で行く。吹雪かなければ問題ない」
「分かりました。準備しときます」
「あぁ。それと」
「なんです?」
「今夜は鍵を開けておけ。仕事が終わったら行く」
「……はぁい」
ヘリオットはゆるい返事をしてから、リーオの部屋を出た。底冷えする中、店の馬車の手入れと馬の世話をしてから、暗い道を自宅へと向かって歩き出す。
ヘリオットは小さな平屋の一軒家に住んでいる。本当はもっと家賃が安い集合住宅に住みたかったが、キザンナの街に来た時に、タイミング悪く空いている部屋が無かった。ヘリオットは故郷の町で、リーオに護衛としてスカウトされて、キザンナの街に来た。故郷の町では、家業である牧畜をする傍ら、退役軍人から剣を習っていた。剣を振るうのは、子供の頃からの趣味である。ヘリオットは弓も扱える。害獣退治の時には、主に弓を使う。
町の近くで盗賊に襲われていたリーオ達をたまたま見つけて助けたら、腕を買われて、雇われることになった。ヘリオットは故郷の町が好きだったが、外の世界にも興味があった。家は兄が継ぐし、ヘリオットが他所に行っても問題ない。ヘリオットはリーオの勧誘に迷い無く頷いた。
ヘリオットは雪がちらつく中、足早に家へと帰った。すぐに居間と寝室の暖炉に火をつけ、風呂の浴槽に水を貯めて風呂を沸かし始めた。
居間の暖炉の火を使って、手早くスープを作り、買い置きのパンを炙る。塊のチーズも少し火で炙って、蕩けてきたら、パンにのせる。出来たての温かい夕食を腹におさめると、ヘリオットは戸棚から煙草の箱を取り出した。暖炉の前に敷いた分厚いラグの上に腰掛け、火のついた薪を1本手に取って、煙草に火をつける。深く煙を吸い込んで、細く吐き出すと、煙草特有の酩酊感で頭が少しだけくらりとして、漸く人心地ついた気がする。職場は禁煙だ。売り物の布に煙草の匂いがついたらマズい。煙草はキザンナの街に来てから覚えた。リーオがヘリオットに教えた。煙草も、セックスも。
ヘリオットはたまにリーオとセックスをする。恋人という間柄ではない。リーオの事が好きかと聞かれれば、まぁ好きな方だと答えるが、恋や愛といった類の好きではない気がする。リーオとのセックスは、戯れ合いの延長のような遊びだ。お互い楽しく気持ちよくなれる遊びで、特に今のような冬の季節は人肌恋しくなるので、他の季節よりもリーオとセックスをする機会が増える。
今夜もリーオはセックスをして遊ぶ為にヘリオットの家に来る。ヘリオットはくゆる紫煙に目を細めて、リーオの訪れを待った。
3本目の煙草を吸い終えたタイミングで、玄関のドアが開く音がした。静かな足音と共に、鼻先を赤く染めたリーオが居間に入ってきた。ヘリオットは吸い殻をポイッと暖炉に放り込むと、立ち上がってリーオのコートを脱がせ、コートについていた僅かな雪を手で払った。
「晩飯食いました?」
「あぁ。酒はあるか」
「前にアンタが持ってきたのが残ってますよ。持ってくるんで、暖炉の前に居てください」
「あぁ」
リーオが暖炉の前に腰掛けるのを見てから、ヘリオットは台所へと移動した。酒の瓶とグラスを二つ、戸棚から取り出し、寒い台所から暖かい居間へと足早に向かう。暖炉の火に手をかざしていたリーオの隣に座り、ラグの上にグラスを置いて、酒を注ぐ。リーオにグラスを渡してから、ヘリオットは酒を一口飲んだ。喉が焼けるようなキツい蒸留酒である。飲みこめば、キツい酒精がカッと喉を焼く。腹の奥から温まっていく感じがする。
一息で酒を飲み干したリーオに、おかわりを注いでやると、リーオがまた、くっと一息で飲み干した。ふぅっと小さな息を吐いたリーオが、ヘリオットに顔を寄せ、唇を重ねてきた。ちゅくっと優しく下唇を吸われて、誘うように下唇に舌を這わされる。ヘリオットは誘われるがままに、口を開けて舌を伸ばし、リーオの舌に自分の舌を絡めた。ぬるぬると舌を絡め合うと、じんわりと気持ちがいい。ヘリオットはあまり自慰はしない。リーオとセックスをするのは二週間ぶりで、溜まっている。リーオとキスをしているだけで、じわじわと下腹部に熱が溜まり始める。
唇を触れ合わせたまま、リーオがクックッと低く笑った。
「苦い」
「煙草吸ってたんで」
「俺にも寄越せ」
「後でね」
「張り型を仕込んである。さっさとこれを寄越せ」
「アンタ張り型咥え込んだまま、此処まで来たんすか」
リーオがゆるく反応しているヘリオットの股間を優しく揉みながら、楽しそうに笑った。ヘリオットは少し呆れながらも、張り型を自分で仕込んできたリーオのいやらしさに興奮して、目を細めた。
リーオがその場でズボンのベルトを外し、下着ごとズボンをずり下ろした。中途半端にズボンを脱いだリーオが、ヘリオットに背を向け、四つん這いになる。リーオの肉付きが薄い尻の真ん中の上の方、アナルがある位置に、確かに張り型が少し顔を出していた。
リーオが力んでいるのか、リーオの尻に力が入り、張り型がゆっくりと抜けていく。ヘリオットは、リーオが張り型をひり出すところをじっと眺めながら、膝立ちになり、ズボンのベルトを外して、下着ごとズボンをずり下ろして、脱ぎ捨てた。
ぬぅっと長めの張り型がどんどん抜け出て、アナルの縁が赤く捲れながら、亀頭を模した太い部分もゆっくりと出ていき、ポタッと張り型が完全に抜け落ちた。リーオのアナルはぽっかり口を開けて、大きくくぽくぽと収縮している。酷くいやらしい光景に興奮する。リーオの尻の肉付きは薄いから、四つん這いになっているだけで、アナルが丸見えになる。うっすら縦割れになっている、黒みがかった濃い赤いアナルが、香油で濡れて、てらてらと鈍く光り、ひくひくとヘリオットを誘っている。
ヘリオットは自分のゆるく勃起したペニスを扱いて、完全に勃起させると、すぐにリーオの尻肉を片手で掴み、いやらしく誘うリーオのアナルにペニスの先っぽを押しつけた。そのまま腰をゆっくりと動かしてペニスを押し込んでいけば、リーオのアナルが皺を伸ばしきりながら、従順にヘリオットのペニスを飲み込んでいく。締めつけがキツい括約筋を通り過ぎると、熱く柔らかい腸壁にペニスが包まれていく。ヘリオットのペニスは太さは普通だが、割と長い方だ。ペニスをどんどん奥へと押し込み、襞のようなところを抜け、更に奥へとペニスを押し込んでいく。肉の壁にペニスの先っぽが当たると、リーオが服を着たままの背をしならせて、大きく喘いだ。
下腹部をリーオの白い尻に打ちつけるようにして、リーオの奥深くをペニスで突き上げる。小刻みなストロークで奥だけを刺激したり、大きなストロークで、じっくりとアナルの感触を味わうように、ゆっくりと動いたり、アナルの入り口だけをくぽくぽと太い亀頭だけを抜き差しする。教えてもらった前立腺をカリで引っ掻くように腰を振れば、リーオの喘ぎ声がどんどん切羽詰まったものになっていく。リーオの普段は落ち着いた渋いハスキーな声が高く掠れて、静かな室内に響く。酷く気持ちがいい。リーオのアナルは締まりがよく、熱い腸壁がペニスにまとわりつき、奥深くの肉の壁を突く度に、キツく括約筋が締まって、ヘリオットのペニスの根元辺りを締めつけてくる。
ヘリオットもそろそろ限界である。射精したくて堪らない。ヘリオットは、リーオの奥深くをペニスの先っぽでノックするように、小刻みに強く突き上げ始めた。パンパンパンパンッと肌がぶつかり合う音が響く程強く、下腹部をリーオの尻に打ちつければ、リーオの白い尻がどんどん赤くなっていき、リーオが悲鳴じみた声を上げた。
「いいっ! イクッ! イクッ!」
「はっ、はっ、俺もっ」
「あ、あぁぁぁぁっ!!」
「はっ、あ、あぁっ……」
ヘリオットは一際強く下腹部をリーオの尻に押しつけ、リーオの奥深くに精液をぶち撒けた。尿道を勢いよく精液が飛び出していく感覚も、ペニスに絡みつき、締めつけてくるリーオのアナルの感触も、酷く気持ちがいい。ヘリオットはゆるゆると腰を振って、リーオの中に精液を出し切った。
はぁ、はぁ、と2人分の荒い吐息が室内に響いている。ヘリオットは、ゆっくりとリーオのアナルからペニスを引き抜いた。太い亀頭が抜けると、ぽっかりと口を開けたままのリーオのアナルが大きく収縮して、こぽぉっと白い精液が溢れ出てきた。赤い会陰を伝い、ずっしりと大きな陰嚢へと垂れていく自分の精液を指で掬い取り、リーオのアナルの中へと精液を戻すように、リーオの熱いアナルに指を突っ込む。慣れた手つきで前立腺を指の腹で自分の精液を塗りこむように擦れば、リーオがへなへなと体勢を崩し、尻だけを高く上げた状態になった。
ペニスに再び血液が集まり始めるが、同時に腹の奥深くが甘く疼く。ヘリオットは、ぬこぬことリーオのアナルに指を抜き差ししながら、じんわりと汗をかいているリーオの赤らんだ尻に、べろーっと舌を這わせた。
「リーオ」
「はっ、あっ、なんだ」
「交代」
「あぁ。んあっ。先に、指を抜け」
「ちんこ勃った?」
「勃ってる」
「ん」
ヘリオットはずるぅっとリーオのアナルから指を引き抜いた。荒い息を吐くリーオがゆっくりと身体を起こし、身体ごと振り返った。リーオは肌が白い。涼し気な目元が赤く染まっていると、色気がすごい。ヘリオットはリーオに胸ぐらを掴まれて引き寄せられ、貪るようなキスをされた。ヘリオットも負けじと舌を動かして、リーオの熱い口内を舐め回す。
激しいキスをしながら、リーオに押し倒された。キスをしながら、リーオの手がヘリオットのシャツのボタンを外し、下に着ている肌着ごと脱がされる。
ヘリオットの身体は筋肉質で、胸筋も盛り上がっている。リーオがヘリオットの力が入っていない胸筋を揉みしだきながら、ぴょこんと勃ったヘリオットの乳首に舌を這わせた。乳頭を擽るように舌先でチロチロと舐められ、緩急をつけて、ちゅくちゅくと吸われる。じんわりとした快感が楽しくて、ヘリオットはクックッと笑いながら、リーオの淡い金髪に指を通した。
「俺、まだ風呂に入ってない」
「今更気にせん」
「あっそ」
「腕を上げろ」
「ん。……はぁっ……」
リーオに言われるがままに両腕を上げれば、リーオがヘリオットの脇に鼻先を埋め、すぅーっと匂いを嗅ぎ、脇毛をかき混ぜるようにして、舐め回し始めた。少し擽ったくて、少し気持ちがいい。ヘリオットは笑いながら、腰をくねらせ、再び勃起したペニスをリーオの身体に擦りつけた。ヘリオットの両脇を舐めたリーオが身体を起こし、手早く自分のシャツのボタンを外して、肌着も一緒に脱ぎ捨てた。リーオはほっそりとした痩せた身体つきをしている。まるで絵本に登場する雪の妖精みたいに美しい。
リーオが再びヘリオットに覆いかぶさり、ヘリオットの肌を撫で回しながら、舌を這わせ始めた。
リーオがヘリオットの内腿に舌を這わせながら、目だけでヘリオットの顔を見上げてきた。
「浄化棒は?」
「いつもの場所」
「出しておけよ」
「ここでおっ始めるとは思わないじゃん」
「ちっ。寝室に行くぞ」
「はぁい」
浄化棒とは、アナルの中に入れると、中をキレイにしてくれる便利な魔導具だ。寝室のベッドの横に置いてある小さめのチェストの中に、香油と一緒に入れっぱなしである。
ヘリオットは立ち上がり、全裸のリーオと共に寝室に移動した。
寝室の暖炉にも火をつけておいて正解だった。廊下は凍えるように寒かったが、寝室は少し暑い程暖かい。香油と浄化棒を取り出すと、ヘリオットはすぐにリーオにベッドの上に押し倒された。リーオに言われるがままに、チンぐり返しの体勢になる。割とキツい体勢だが、リーオの興奮した顔が見えるので、かなり好きな体位である。
リーオが香油で濡らした浄化棒を、ゆっくりとヘリオットのアナルの中に差し込んだ。微かな異物感があるが、慣れたものである。数十秒そのままでいて、その後ゆっくりと浄化棒を引き抜かれた。すぐにリーオの舌がヘリオットのアナルに触れる。使っている香油は、舐めても大丈夫なものだ。リーオの舌が、ヘリオットのアナルの皺の隙間を丁寧に舐め、皺を伸ばすように動く。腰の辺りがゾワゾワする快感に、ヘリオットは口角を上げて、小さく喘いだ。真っ直ぐに見つめてくるリーオの熱の篭った青い瞳に、興奮して背筋がゾクゾクする。
リーオの舌がヘリオットのアナルの中に入り込んできて、アナルを拡げるように、上下左右に動き回る。アナルの中も外も舐め回されて、酷く気持ちがいい。でも、もっと気持ちがいいことを既に知っている。
ヘリオットは喘ぎ混じりの荒い息を吐きながら、リーオを見上げて、ねだった。
「早く」
「少し待て」
「は、あぁ……」
リーオの舌がヘリオットのアナルから離れ、香油をまとわらせたぬるつくリーオの指が、ヘリオットのアナルの中にゆっくりと入ってきた。慣れた感覚に、どんどん楽しくなっていく。ヘリオットの前立腺にリーオの指が触れ、そのままグリグリと強く刺激される。ヘリオットは自分の膝裏を強く掴み、堪らず大きく喘いだ。脳みそが痺れるような快感が堪らない。でも、もっと太くて硬いものでそこを擦り、ヘリオットの奥深くまでリーオで満たして欲しい。
ヘリオットが再びねだると、リーオの手つきが性急になった。いっそ荒々しい手つきでアナルを解され、ずるぅっとリーオの指がヘリオットのアナルから引き抜かれた。そのまま立ち上がったリーオに、串刺しにされるようにアナルの中に硬く勃起したペニスを突っ込まれる。解しても尚狭いヘリオットのアナルを抉じ開けるようにして、リーオのペニスがヘリオットのアナルの中に入ってきて、ヘリオットの中を満たしていく。
ヘリオットは不思議な満足感に震える息を吐いた。みっちりとヘリオットの中を満たしながら、リーオのペニスが前立腺を通り過ぎ、どんどん奥深くへと入ってくる。鈍い痛みを感じるところを通り過ぎれば、リーオのペニスがヘリオットの奥深くに到達した。トンッとそこをペニスで突かれると、鋭い強烈な快感が脳天へと突き抜ける。
「あぁっ!?」
「はぁ……締め過ぎだ。少し緩めろ」
「は、は、むり……ついて、ついてくれっ」
「ははっ! ほらっ。ほらっ」
「あぁっ! いいっ! いいっ!」
リーオがヘリオットの両足首を掴み、身体ごと上下に動くようにして、ヘリオットの奥深くを激しく突き下ろし始めた。気持ちよくて、気持ちよくて、本当に堪らない。ヘリオットはだらしなく涎を垂らしながら喘ぎ、リーオを見上げた。リーオの興奮しきった表情に、なんだか胸の奥が熱くなる。激しい快感が身体の中を暴れ回り、開放を求めている。
リーオが動きを止め、繋がったまま、ヘリオットの高く上げていた腰を下ろさせた。リーオがヘリオットの奥深くをペニスでグリグリと刺激しながら、噛みつくような勢いでヘリオットの唇を強く吸った。ヘリオットが舌を伸ばしてリーオの舌に絡めれば、そのまま、めちゃくちゃに腰を激しく振りながら、リーオがヘリオットの舌を舐め回し、咥えて強く吸った。
高まり続ける快感が弾け飛ぶ瞬間が、もうすぐそこまできている。ヘリオットはリーオの首に両腕を絡め、リーオの腰に両足を絡めた。間近にある青い瞳が、獲物を狙う獣のように鋭く光っている。ヘリオットは舌を絡めながら、口角を上げた。上も下も繋がって、互いの境界線が分からなくなりそうだ。
ヘリオットの絶頂の叫びは、リーオの口の中に飲み込まれた。ビクンビクンと身体を震わせるヘリオットの身体をキツく抱きしめ、リーオが一際強くヘリオットの奥深くを突き上げた。ヘリオットの中で、リーオのペニスがほんの微かに震えている感覚がする。射精しているのだろう。唇を触れ合わせたまま、リーオが気持ちよさそうな吐息をもらし、ヘリオットの唇に何度も吸いついてきた。ヘリオットもリーオの唇を吸い、汗で濡れたリーオの背中を優しく撫で回した。
「ヘリオット」
「ん?」
「もう1回」
「だめ。明日は半日馬車移動でしょ。アンタの腰が死にますよ」
「ちっ」
「舌打ちしない。物足りないなら、一緒に風呂に入った後で舐めあいっこしましょ」
「……妥協してやろう」
「はいはい。じゃあ、さっさとちんこ抜いてください」
「色気もクソもないな」
「そんなもん俺に期待しないでくださいよ」
おっさんと呼ばれてもおかしくない歳のリーオが、なんだか拗ねた子供みたいな顔をした。ヘリオットはそんなリーオが可笑しくて、クックッと笑った。
リーオがゆっくりとペニスを引き抜くと、こぽぉっと自分のアナルからリーオの熱い精液が溢れ出す感覚がした。ヘリオットはキュッとアナルに力を入れて、リーオの精液がそれ以上溢れないようにした。
風呂は沸かしてある。多めに薪を入れておいたから、まだ熱い筈だ。多分。
リーオがヘリオットの身体の上からどいたので、ヘリオットは、よっと腹筋だけで起き上がった。
ベッドから下りて、リーオに手を差し出すと、リーオは素直にヘリオットの手を握った。そのまま手を繋いで風呂場へ移動する。溜めていた風呂の湯は、まだ十分温かく、ヘリオットはリーオと戯れ合いながら身体を洗い、2人でゆっくり湯船に浸かった。
風呂から出ると、身体を拭いて、脱衣場に置きっぱなしの2人分のガウンを其々着てから、居間へと移動した。酒を飲んでる途中だったし、寝る前に煙草が吸いたい。居間の暖炉の火が少し小さくなっていたので、ヘリオットは無造作に薪を放り込んだ。
暖炉の前に腰掛け、飲みかけのキツい酒を飲み始めたヘリオットの横で、リーオがヘリオットの煙草の箱を手に取った。リーオが煙草を1本取り、口に咥えて、火のついた薪で煙草に火を着けた。ふわっと香る煙草の匂いに、ヘリオットが鼻をひくひくさせると、リーオがクックッと笑いながら、細く長く煙を吐き出した。リーオが、一口吸った煙草をヘリオットに咥えさせた。すぅっと深く煙を吸い込み、ぶはぁっと吐き出せば、リーオが声を上げて笑った。
「もう少し色っぽく吸えよ」
「俺に色気を期待しないでもらいたいです」
「ははっ」
リーオが楽しそうに笑い、また煙草を咥えて、ふぅっと細く長く煙を吐き出した。空になったままのリーオのグラスに酒を注げば、リーオが煙草を片手にグラスを手に取り、くっと一息で飲み干した。喉が焼けるようなキツい酒を、よくそんなに一気に飲めるものだ。ヘリオットは感心しながら、自分はちびりちびりも酒を飲んだ。
2人で酒瓶を1本開けると、居間の暖炉の火を始末してから、寝室へと移動した。手早く汚れたシーツを交換してから、ガウンを抜いで裸になり、2人で布団の中に潜り込む。ぴったりとくっつけば、リーオの体温がじんわり伝わってきて、心地よい。
リーオがヘリオットの唇にキスをした。酒と煙草の匂いがする。舌を絡めれば、煙草の苦味を感じて、ヘリオットは小さく笑った。
「なんだ」
「苦い」
「お互い様だろ」
「そうですね」
「明日の朝飯は店に戻る途中で適当に買うか」
「揚げパンが食べたいです。肉入りのやつ」
「好きだな」
「美味いじゃないですか」
「まぁな。ヘリオット」
「はい?」
「舐めろ」
「はぁい」
ヘリオットはクックッと笑いながら、邪魔な布団をどかし、リーオの身体を跨いで、頭が逆になるようにして、リーオの身体の上で四つん這いになった。リーオのゆるく勃起しているペニスに舌を這わせれば、ヘリオットのペニスにも熱い舌が這い始める。ヘリオットはリーオとほぼ同時に射精するまで、時折快感に腰をくねらせながら、熱心にリーオのペニスを可愛がった。
2人とも射精してスッキリすると、再び布団を被り、ヘリオットはリーオと少しだけお喋りをしてから、リーオのほっそりとした身体をゆるく抱きしめて、ストンと寝落ちた。
ーーーーーー
リーオは馬車に揺られながら、小さく溜め息を吐いた。腰が地味に痛いが、慣れているので、そこまで気にならない。溜め息の理由は、ヘリオットのことである。
ヘリオットは、今は馬に乗って、馬車に並走する形で、馬を走らせている。幸い、今日は朝から雪が降らず、予定よりも速く移動ができた。トリアーノの街は、雪で足止めを食らわなければ、二刻もあれば到着する。取引先の商家で布を仕入れ、ついでに手触りがいいラグを買って、昼過ぎにはトリアーノの街を出た。あと半刻もすれば、キザンナの街に到着するだろう。
リーオはぼんやりと窓の外のヘリオットを眺めながら、また小さく溜め息を吐いた。馬上のヘリオットは、真っ直ぐに前を見ている。弓矢と剣を装備した姿は、いつもののほほんとした雰囲気とは違い、なんとなく格好いい。リーオが気に入っている夕陽のような赤毛が風で揺れている。新緑のような瞳がこちらを見たらいいのに。リーオはそんなことを思いながら、じっとヘリオットの横顔を見つめた。ヘリオットは穏やかな優しい顔立ちをしている。特別美しい訳でも、精悍で格好いい訳でもない。しかし、ヘリオットの柔らかい笑みを見るだけで胸の奥が温かくなる。まるで熾火のような男だと思う。激しい熱はなくとも、側にいると、穏やかで心地よい温かさがある。
リーオはヘリオットのことを、もう随分と前から好いている。もしかしたら、一目惚れというやつだったのかもしれない。
3年前、盗賊に襲われ、もう駄目かと思っていた時に、ヘリオットが颯爽と現れ、あっという間に盗賊達を切り伏せ、追い払った。剣を振るうその姿は普段のゆるい雰囲気とはまるで違い、鋭い眼差しや靭やかに動く身体は、まるで野生の獣のような美しさがあった。
リーオは一目でヘリオットを気に入って、自分の護衛として雇うことにした。ヘリオットを雇って半年もしないうちに身体を重ねるようになったが、どうもヘリオットはそれを遊びだと思っているようだ。リーオとしては、愛のある行為だと思っている。わざわざ愛を囁いたことはないが、多少は伝わらないかと期待しているのに、ヘリオットは鈍いので、全然リーオの想いに気づかない。未だに遊びだと思っていやがる。
ヘリオットにどうリーオの想いを気づかせればいいのか。散々セックスをしまくっておいて、今更『好き』だの『愛してる』だの言うのは、気恥ずかしくてリーオには無理だ。そもそもリーオは商売事以外では口下手な方である。ヘリオットをどう口説けばいいのか、全然分からない。ヘリオットと出会うまでは、色恋にまるで興味がなく、たまに娼婦を買って性欲処理をしていた。男はヘリオットが初めてだった。ヘリオットに惚れてから、男専門の娼館に行って、男同士のセックスの仕方を座学で教えてもらい、自分で道具を使って拡張して、ヘリオットを誘った。ヘリオットは最初はキョトンとしていたが、男娼に聞いた手練手管を披露してやれば、すぐに流されてくれた。ヘリオットは真っさらだった。リーオはヘリオットのどちらの初めても欲しくて、ヘリオットを抱いて、ヘリオットに抱かれた。
リーオがじっとヘリオットの横顔を見つめていると、ヘリオットがふいにリーオの方を見て、小さくゆるく笑った。とくん、と胸が小さく高鳴る。昨夜のヘリオットの熱を思い出して、身体の奥深くが甘く疼き出す。今夜もヘリオットの家に押しかけると勝手に決めて、リーオは小さくヘリオットに手を振った。
キザンナの街に到着し、自分の家の店に仕入れた商品を運び込み、事務仕事をしていると、父親が部屋に入ってきた。
「リーオ。また見合いの話がきた」
「断ってくれ」
「そろそろ結婚しないか」
「結婚する気はない。店は甥っ子達の誰かに継がせればいい」
「リーオ。お前は長男だぞ。店を継ぐのはお前だし、その次はお前の息子が継ぐのが筋というものだ」
「知らん。俺は俺のしたいようにする」
「頑固者め」
「親父に似たからな」
「はぁ……とりあえず見合いは断っておく」
「あぁ」
リーオの父親は大きな溜め息を吐いてから、部屋から出ていった。こういうやり取りをするのは、もう何回目だろうか。いい加減煩わしくなってきた。いっそ、ヘリオットが好きだと、父親に言ってしまおうか。しかし、その前にヘリオット本人に好きだということを知らしめねば。リーオは機械的に手を動かしながら、頭の中でヘリオット攻略の為の作戦を考えた。
仕事が終わるなり、リーオは、まだ居残って倉庫の整理をしていたヘリオットに声をかけ、一緒にヘリオットの家へと向かった。途中で夕食を仕入れ、ついでに酒も買った。ヘリオットの家に着くと、ヘリオットがすぐに暖炉に火をつけた。冷え込んでいた室内がじわじわと温かくなる。リーオは汚れたままだったラグをどかして、買ったばかりの新しいラグを敷いた。柔らかい手触りで、分厚いので床からの冷気もしっかり防いでくれる。中々いい買い物ができた気がする。
ヘリオットと暖炉の前で夕食を食べ、酒を飲みながら、煙草を吹かす。リーオが指で口に咥えた煙草を摘み、口元から外して、細く長く煙を吐き出すと、ヘリオットが小さく笑った。
「なんだ」
「ん?いや、アンタの煙草を吸う仕草がなんか格好いいなって思って。男前は得ですね」
「そうか」
ヘリオットの唐突な褒め言葉に、胸が高鳴る。リーオはヘリオットを指でちょいちょいと手招きして、素直に近寄ってきたヘリオットの唇にキスをした。
唇を触れ合わせたまま、ヘリオットの新緑のような色合いの瞳を見つめて囁く。
「寝室に行くぞ」
「ははっ。はぁい」
笑って、ゆるい返事をしたヘリオットに目を細め、リーオは吸いかけの煙草を暖炉の中に放り込んだ。
寝室のベットの上で夢中で絡み合って、快感と熱を分け合った。リーオは荒い息を吐きながら、跨がっているヘリオットを見下ろした。リーオの中には、まだヘリオットのペニスが入ったままだ。ヘリオットの逞しい胸元を撫で回しながら、リーオは口を開いた。
「ヘリオット」
「なんです?」
「お前、俺がついてこいと言ったら、ついてくるか?」
「そりゃ、勿論。俺を雇ってるのはアンタですよ」
「……ヘリオット。一生俺についてこい」
リーオの言葉に、ヘリオットがキョトンとした顔をした。リーオが勇気を振り絞って言った言葉に、ヘリオットがゆるく笑って頷いてくれた。ぶわっと嬉しさが胸の中に溢れてきて、いっそ泣いてしまいそうだ。
リーオはヘリオットの唇に噛みつくような勢いで吸いついた。何度もヘリオットの唇を吸って、唇を触れ合わせたまま囁く。
「浮気をしたら監禁してやる」
「マジっすか」
「あぁ。お前は俺だけを見ていろ」
「ふはっ。リーオ。俺が好きなんすか?」
「……さぁな」
「好きなら素直に好きって言えばいいのに」
「知らん」
「リーオ」
「なんだ」
「顔真っ赤ですよ」
「……うるさい」
「リーオ。なんなら一緒に此処に住みます?」
「ん」
「旦那様には何て言い訳したらいいかな……」
「そこら辺は俺が適当にどうにかする」
「はぁい。お任せします。ところで、リーオ。お気づきかと思いますが」
「あぁ」
「なんかまた勃っちゃった」
「全部俺の中に出せよ。ほら」
「は、あ……リーオ。きもちいい」
「は、は、あぁっ……んぅっ……」
リーオは腰を振ってヘリオットの勃起したペニスをアナルで扱きながら、ヘリオットの逞しい胸に額をつけた。今、自分は絶対にだらしない緩んだ顔をしている。ヘリオットが受け入れてくれたことが、嬉しくて堪らない。リーオの胸の高鳴りに連動するように、アナルが勝手にキュッとヘリオットのペニスを締めつける。ヘリオットの大きな硬い手がリーオの尻肉を掴み、下から突き上げてきた。
リーオは脳天へと突き抜ける快感に喘ぎながら、ヘリオットに見られないように、ポロッと涙を一つ零した。
ーーーーーー
ヘリオットは羊の世話を終えると、リーオがいる部屋へと向かった。部屋に入ると、帳簿をつけていたリーオがすぐに顔を上げた。
「終わったか」
「うん。少し休憩しに来た」
「そうか」
ヘリオットはリーオの側に行き、椅子に座るリーオの唇に触れるだけのキスをした。
リーオは現在、ヘリオットの実家で暮らしている。リーオが、ヘリオットと一生を共にすると自分の父親に宣言したら、見事に勘当された。ヘリオットは、リーオを自分の故郷の小さな町に連れて帰った。ヘリオットの家族には、自分の生涯の伴侶だとリーオを紹介した。ヘリオットの家族は最初は驚いていたが、『まぁいいか』と、ゆるくリーオを受け入れてくれた。
リーオは力仕事は大してできないので、主に数字関係の事や売買交渉をしている。ヘリオットの父親も跡継ぎの兄も人が良すぎて、育てた家畜を頻繁に安くで買い叩かれていたのだが、リーオが売買交渉をするようになってから、それが無くなり、暮らしぶりが少し豊かになった。
ヘリオットの家族はリーオに感謝して、一緒に暮らし始めて1年もすれば、リーオは完全にヘリオットの家族の大事な一員になった。
ヘリオットはリーオと2人で離れの小さな家で暮らしている。実家の家は大きいが、ヘリオットの両親と兄一家と弟一家が暮らしていて、空いている部屋が無かった。そこで、父親が実家の庭の一角に、2人で暮らせるような小さめの家を建ててくれた。家が建つまでは実家で暮らしていたが、2人の家が出来上がると、すぐにそっちに引っ越した。実家では小さな子供達が何人もいるし、セックスどころか、ちょっとしたイチャイチャもできなかったので、離れを造ってくれた父親に感謝しまくった。
ヘリオットは多分リーオのことを愛している。多分がつくのは、まだ完全に自分の心が分かっていないからだ。それでも、リーオと一生離れる気はないので、愛しちゃってるんだと思う。ヘリオットのことを『愛してる』と言えない意外と不器用なリーオは、年上だけど、なんだか可愛く思える。
多分、そのうち、ヘリオットはリーオに『愛してる』と胸を張って言えるようになると思う。2人でいると、それだけで胸の奥が温かくなる。きっとこれが幸せってやつなのかもしれない。
ヘリオットは機嫌よく目を細めるリーオに再びキスをして、穏やかに笑った。
(おしまい)
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