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12:ムラムラムラムラ

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アルフレッドは本に目を落とし、紙に綴られた文字を視線でなぞりながら、口の中の飴を転がし、カリッと軽く飴に歯を当てた。浄化課の部屋には、今はアルフレッドしかいない。就業時間が終わり、コーネリーを含む王都にいる部下達は既に帰った後だ。アルフレッドは人を待っている。

目は文字列を追っているが、アルフレッドは頭の中では全く違うことを考えていた。3日前、バージルと3度目のセックスをした。バージルの唇も、舌も、手も、いっそ腹立たしい程優しかった。『一夜の夢の始まりだ』と、始める前にバージルがそう言った。堅物真面目嫌味野郎の癖に、意外とロマンチストらしい。アルフレッドは最中のバージルの熱の籠った鳶色の瞳を思い出して、またカリッと口内の飴を軽く噛んだ。久しぶりに口にする甘味は、やけに甘ったるく感じる。新人のまだ18歳の部下に貰ったものだ。カリカリと悪戯に飴を軽く噛み、アルフレッドは口内に自然と溢れる甘ったるい唾液を飲み込んだ。

朝から妙にムラムラする。いやらしい夢でもみていたのか、朝起きた時、まんこが濡れていた。トランクスにじっとりと染み込んだ自分の愛液を見て、アルフレッドは溜め息を吐いてトランクスを洗濯籠の中に放り込み、シャワーを浴びて、ぴったりとした女物のパンツを穿いた。普通に仕事をしている間は意識せずにすんでいたが、こうして1人でいると、どうにも意識してしまう。脳内にバージルとのセックスの記憶が勝手に蘇り、下腹部がじんわりと熱をもつ。惰性で文章をただ目で追いながら、アルフレッドはカシカシと噛み砕かない程度の力で飴を噛んだ。

飴が全て溶け切った頃になって、部屋のドアがノックされた。アルフレッドが入室を促す声をかけると、すぐにドアが開き、きっちりと整えている髪がほんの少し乱れたバージルが入ってきた。次に地方に派遣する部下達の護衛兼魔物討伐の為に同行する騎士達のリーダーはバージルだ。事前の打ち合わせということで、此処に来てもらった。
バージルが開口一番に謝罪の言葉を口にした。


「時間に遅れて申し訳ない。少々トラブルがあった」

「構わねぇ。この後は何の用事もない。今回のうちの面子に、新人を組み込んである。実践はまだこれで3回目だ。浄化の腕は悪くねぇ。が、如何せんビビリでな。足を引っ張ることがあるかもしれない。ベテランのトーラにフォローはさせるが、留意しておいてくれ」

「了解した。こちらも経験が浅い者を1人同行させる。剣の腕は悪くないが、猪突猛進なところがある。トーラ殿は治癒魔法も簡単な外科治療もできただろう。トーラ殿の負担になって申し訳ないが、気にかけてくれると助かる」

「トーラに伝えておくわ。まぁ、渋い顔はするだろうが、どこも若いのを育てなきゃいけないのは変わらねぇ。俺達も通ってきた道だしな」

「あぁ。経験を積ませるのが一番必要なことだ」

「旅程は紙に纏めてある。特に問題はない筈だが、念のため明日トーラと確認をして、打ち合わせてくれ。明日、そちらにトーラを向かわせる。今回のうちのリーダーはトーラだ。何かあればトーラに言ってくれ」

「了解した。今回の瘴気の規模は」

「まぁ、中の下程度だな。報告が正しく、到着までに増えなければだが」

「……中か。魔物が出るな」

「ビビリな新人君を魔物に慣れさせたいんだよ。一応、ここ数日で魔物が出現した時の対応は一から叩き込み直した。あとは実践あるのみだ」

「こちらとしても好都合だ。とはいえ、慣れぬ者が2人もいれば、それだけ危険性が高まる。今回同行する班の者達には、しっかり伝えておく」

「頼んだぜ。ビビリだが期待の新人なんだよ。上手い具合に育ててやりてぇ」

「気にかけておこう」

「よろしく」


アルフレッドは、今回の仕事の面子について纏めてある紙と、瘴気に関する事前報告書の写し、旅程や細かなことを纏めた書類をバージルに手渡した。バージルは書類の束を受け取ると、そのまま書類に目を落とし、その場で読み始めた。いくつかの質問に答え、意見を交わしながら、アルフレッドは書類を持つバージルの手をじっと見た。大きくて、ゴツく、よくよく見れば小さな傷痕がいくつもあった。剣を持って戦う男の手だ。その手が意外な程優しいことを既に知っている。下腹部がじんわりと熱い。
部下の命にも関わってくることなので、アルフレッドは真剣にバージルと話しながら、ほんの少しだけ目を細めた。

お互いに確認し合うべきことを話し終えると、バージルが自分の足元に置いていた黒い鞄に書類を入れた。アルフレッドはそれを見ながら、左手で頬杖をついて、右手の人差し指でトントンと軽く机を叩いた。


「バージル」

「なんだ」

「この後の予定は?」

「直帰だ」

「じゃあ、俺ん家に来いよ。種馬のお仕事だ」


バージルが驚いたように鋭い目を見開き、真っ直ぐにアルフレッドを見つめた。


「お前は明日も仕事だろう。休みの前日にしかしない約束だ」

「お前が加減すれば問題ねぇ」

「いやしかし……」

「ムラムラすんだよ」

「……は?」

「ムラムラしてしょうがねぇ。つーことで、子作りだ。今日の俺は濡れまくること必至だぞ」


バージルが呆れた顔をして、小さく溜め息を吐いた。深い皺の寄った自分の眉間を指先でぐりぐりと押しながら、バージルが口を開いた。


「もう少し言い方を考慮したらどうだ。此処はお前の職場だぞ」

「みんな帰ってるし。細けぇことは気にすんな」

「細かくない。……食事をして帰ろう。今日はバタついていて、昼飯をまともに食べていないんだ」

「いいぜ。んじゃ、帰ろう」

「あぁ」


アルフレッドは右の口角だけ上げて笑い、机の下に置いていた通勤用の鞄を手に取った。椅子から立ち上がり、バージルと共に部屋から出る。ついでだからと、新人のより詳しい話や特に気にかけて欲しいことを話しながら、魔法省の建物から出た。

帰り道にある庶民的な定食屋で夕食を食べ、アルフレッドは早歩きでバージルと共に自宅に帰った。
玄関から家の中に入るなり、アルフレッドは鼻歌混じりに制服の上着のボタンを外し始めた。バージルが呆れたような溜め息を吐いた。


「此処で脱ぐな。痴女野郎」

「うるせぇ。むっつり野郎。面倒だ。一緒にシャワーを浴びるぞ」

「待てないのか」

「待たない」


制服の上着を脱ぎ落し、アルフレッドは呆れた顔を隠さないバージルの胸倉を掴んで引き寄せ、噛みつく勢いでバージルの唇にキスをした。至近距離で鳶色の瞳を見つめながら、アルフレッドは低く笑った。


「俺を楽しませろよ。夢の時間の始まりだ」


バージルが鋭い目を細めて、アルフレッドの腰に腕を回し、荷物のように肩に担ぎあげた。アルフレッドはクックッと笑いながら、歩き出したバージルの固い尻をぱふんぱふんと叩いた。


「俺は荷物かよ」

「横抱きの方がいいか」

「素直にきめぇわ」


アルフレッドはバージルに雑に運ばれながら、早くもじわじわ広がる下腹部の熱に、小さく熱い息を吐いた。





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ということで、現在、アルフレッドはバージルの無駄にデカいペニスを頬張っている。今まで合わせて3回もバージルにいいように喘がされまくったのが非常に癪に触るので、とことん開き直り、アルフレッドはバージルのペニスを弄ることにした。男のペニスを弄るなんて素直に気持ち悪いが、いつまでもやらっれぱなしというのは、どうにも腹が立つ。服を脱いで風呂場に入るなり、アルフレッドは有無を言わさずバージルのペニスを掴んで洗い、まだ萎えていたペニスを口に含んだ。バージルがかなり慌てていたのが、してやった感があって、とても気分がいい。
他人のペニスを弄るのは当然初めてなのだが、自分にもついていたものなので、どこをどうすればいいのか、なんとなくは分かる。一応、元恋人に口でしてもらったこともある。その時の記憶を掘り返しながら、舌先で尿道をつつき、口に入りきらない部分を手でしごきつつ、じゅるっと品のない音を立てて亀頭全体を吸う。バージルの掠れた溜め息のような小さな喘ぎ声が上から降ってきた。ペニスを吸いながら、嘔吐かない程度に深くペニスを飲み込み、頭を前後に動かしてバージルのペニスを唇でしごく。バージルがアルフレッドの頭を掴み、くしゃっと髪をかきまぜた。目だけで見上げれば、バージルが堪えるように眉間に皺を寄せ、熱の籠った瞳でペニスを頬張るアルフレッドを見つめていた。口の中は、青臭いような生臭いような、初めて感じる先走りの味でいっぱいである。素直に不味い。だが、バージルが感じて興奮している証である。どんどん濃くなるその味に、アルフレッドは目を細めた。
バージルの前で膝をつき、熱く固いペニスを夢中でしゃぶる。カリをなぞるように舌を這わせ、円を描くように舌を動かして亀頭全体を舐め回し、先走りが溢れる尿道口を尖らせた舌先で抉るようにつつく。射精を促すようにペニスの根元近くを中心に手でしごき、ずっしりとした陰嚢も片手でふにふにと優しく揉み転がす。どんどん顎が疲れて怠くなってくるが、バージルをひゃんひゃん喘がせることが目的なので、堪えて頑張る。時折、バージルのガチガチに割れている腹筋がビクッとなるのを見て内心ニヤニヤしながら、アルフレッドは大きく頭を動かし、じゅるじゅるとバージルのペニスを吸った。


「……は、あぁ……アルフレッド……っ、離せ。出る」

「ん!」

「う、あ……」


アルフレッドはバージルを目だけで見上げながら、陰嚢から手を離し、バージルに見えるように、ぐっと親指を立てた。ここまでやったのだ。むっつり野郎をイカせてやろうではないか。アルフレッドはペニスの根元近くを強めにしごき、舌先で尿道口を擽りながら、敏感な亀頭を強く吸った。バージルの掠れた声が降ってきたかと思えば、口内に勢いよく熱い液体が飛び込んできた。鼻に濃い精液の匂いが抜ける。アルフレッドは眉間に深い皺を寄せながら、精液を吐き出しているバージルのペニスの尿道口を、精液を吸い取るように吸った。ゆるゆるとペニスを根元からしごき、クソ不味い精液の味に吐き気を感じながら、それでも射精が完全に終わってバージルのペニスが萎えるまで、アルフレッドはバージルのペニスから口を離さなかった。
バージルの荒い呼吸音が風呂場に響く。アルフレッドは萎えたバージルのペニスから口を離し、おえっとそのまま口内の精液を吐き出した。精液がクッソ不味い上に、やっといてなんだが素直にキモい。男のペニスを舐めまくった上に、口内で精液を受け止めてしまった。
バージルが嘔吐いているアルフレッドの頭を、大きな手でわしゃわしゃと撫でた。


「無理をするなと言っただろう」

「うっせぇ。男には引けない時があるんだよ」

「それは絶対に今ではないな」

「はん。上手に出せましたねー。俺のお口は気持ちよかったかなー?」


アルフレッドが萎えたペニスを握ったまま、バージルを見上げてニヤニヤ笑うと、バージルが顔を顰めて優しい力加減でアルフレッドの頭を叩いた。


「交代だ。今度は俺が舐める」

「既に濡れ濡れなので結構だ」

「どれだけ濡れているか見てやろう」

「素直にきめぇわ。むっつり野郎」


引いた顔をするアルフレッドの両脇を抱えて軽々と持ち上げ、バージルが浴槽の縁にアルフレッドを座らせた。アルフレッドの前に跪き、手で足を大きく広げさせられる。バージルが内腿の際どい所に強く吸いつき、目線だけでアルフレッドを見上げて、口を開いた。


「泣かす」

「やってみろ。むっつり野郎」


アルフレッドは右の口角を少し持ち上げて不敵に笑い、バージルの挑発を真正面から受け止めた。

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