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ジャファーという男
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ジャファーは機嫌よく愛馬のプルートに乗り、中央の街の郊外にある自分の家へと向かっていた。
人生初の生まんこを見てしまった。絵で見るよりずっとキレイで生々しく、なんとも興奮した。
ジャファーには沢山の家族がいる。身内には男と結婚している男も多いが、ジャファーは女にしか興味がない。ジャファーはほんの3ヶ月前に精通を迎えたばかりだった。神子の子供には精通や初潮が普通よりも遅い者がでたりするらしい。具体的な理由は分からない。神子の子供も王族と同じく500年の寿命がある。普通の人よりも寿命が長いから普通の人よりも少し身体の成長が遅いのかな、とジャファーは思っている。
ジャファーは精通を迎えたことで、それまでほんのり興味があった女体に興味津々になった。オナニーによる性的快感を知ったことが大きいと思われる。母である自称・愛とエロスの伝道師土の神子マーサが大量に持っているエロ本を借りて読むようになった。あと、春画と呼ばれる女の裸や性行為の様子を描いた絵を自分でも買って眺めるようにもなった。どちらかと言えば春画を眺めてオナニーすることの方が多い。子供の頃から身体を動かすことが好きで、本を読むのはそんなに好きじゃない。エロ本の中身は好きだが、それを脳内に展開する為に文章を読むという行為がぶっちゃけ面倒で、手っ取り早く興奮できる春画の方が楽だ。花街にある春画専門店の存在をマーサに教えてもらって、およそ2ヶ月。比較的安価な春画を何枚も買い、なんなら分厚い春画集も買って、毎日のように寝る前にオナニーに励んでいる。しかし、春画を見れば見る程、本物の女体、より具体的に言うと、生のまんこを見てみたくて仕方がなくなった。
カミロに会ったのは3回。
元々、妹のアイーシャが高等学校の試験の度にカミロの名前を口に出していたから、実際どんな人間なのかと微かに興味を抱いていた。高等学校の寮で少し遠目に見かけたことはあるが、ジャファーは土の神子の息子ということで無駄に目立っていたから、唯でさえ『色なし』ということで露骨に嫌そうな目で周囲に見られて浮いていたカミロに目立つジャファーが声をかけて、カミロが悪い意味で注目を集めるようになってしまってはなんだか悪いな、と思い、高等学校に在籍している間にカミロに近づいたことはなかった。
1回目は中央の街のパンケーキ屋で見かけて、その時は3人も連れがいたし、好奇心が抑えきれずにカミロに近づいた。
近くで見たカミロは本当に白かった。かなり年老いた老人のような混じりけのない白い髪、まるで人形みたいに白い肌、眉毛も睫も白く、白目をむいているような目、赤みのかなり薄い唇、顔立ちそのものが結構美しく整っているのが逆に不気味な印象を与えるような見た目だった。身体も身長は普通にあるがかなり細身で、腕なんて折れそうな程細かった。何の心構えもなく深夜の暗いトイレで遭遇したら思わず悲鳴を上げてしまいそうな位、色味が無さすぎて生きている人間っぽい感じがしない。『色なし』を忌避する者が多い理由がなんとなく分かった。一体どんな人間なのだろう。好奇心がうずうずするままに一緒のテーブルでパンケーキを食べることを提案した。カミロは無口だった。もう少しカミロの話が聞きたいと思ったが、サンガレアに住んでいるのならばまた機会もあるだろうとすんなり別れた。
2回目は手伝いに駆り出されていた『公的機関交流会』で。真正面から見たカミロの目は、よくよく見れば全部白目なのではなくて、ちゃんと瞳もあった。
3回目はたまたま中央の街で見かけたから、時間潰しに付き合ってもらおうと思って声をかけた。友人兼同居人ディオに最近できたばかりの恋人が家を訪ねてくるからだ。その恋人は同い年の甥っ子で、元は甥っ子の方が高等学校時代にディオに惚れて、遠回しにアピールをしまくって漸く最近その努力が実った、という感じである。甥っ子は王都の高等学校の更に上、研究院に通っており、夏休みや年末年始の休みにしかサンガレアにゆっくり帰ってこれない。今は甥っ子が夏休みに入ったばかりで、今日が初のお泊まりである。絶対セックスをする。絶対だろ。ディオにその気はなくても、散々恋人になるまでおあずけされていた甥っ子はヤる気な筈。ということで、若干気まずいし、2人きりで過ごさせてやろうと気を利かせて日付が変わる頃、もしくはいっそ朝まで、街でなんとか時間を潰そうと1人で家を出てきたのだ。たまたまカミロと遭遇できて、正直助かった。カミロは口数がかなり少ないが、それでもジャファーに付き合ってダーツバーで一緒にダーツで遊んだり、酒に付き合ってくれた。結構いい奴だな、とジャファーは思った。
カミロを完全に男だと思っていたし、むしろ女である可能性など欠片も想像していなかったので、普通に泊めてって頼んだし、カミロが頷いてくれたからカミロの家に行った。
カミロの家は殆んど何もなかった。それなりに広い部屋にはベッドと古びた衣裳箪笥、天井近くの壁に空調があるだけだ。テーブルや椅子すらもない。家の中に入るなりカミロがベッドに倒れこんで、そのまま寝てしまったので、水をもらおうと台所に移動した。台所も魔導冷蔵庫も魔導コンロもなく、備えつきっぽい感じの食器棚にコップが1つあるだけ。なんとなく気になって風呂場を覗けば、脱衣場に魔導洗濯機はあり、洗濯籠にはタオルだけが山積みになっていた。風呂場を見れば黴だらけで、少しだけ風呂を借りようかと思っていた気持ちが完全に萎えた。トイレも見てみて、風呂場よりもマシだったことに少しだけほっとした。そのままトイレを借りて用を足して、部屋に戻って部屋の灯りをつけた。ベッドのヘッドボードに何冊かの本がある以外、本当に極端に物が少ない。そして汚い。床は埃で白っぽくなっているし、カミロが眠るベッドのシーツや枕カバーは微妙に黄ばんでいる気がする。洗濯したのいつだよ。ジャファーは普通に引いたが、よくよく考えればカミロは魔術師だ。魔術研究所に勤める魔術師は変人が多いと聞いている。カミロもその1人なのだろう。と、納得して、寝ているカミロと同じベッドに横になった。埃まみれの床よりも、いつ洗濯したのか分からないシーツの方が若干マシな気がして。ジャファーもそこそこ飲んでいたので、もう眠くて仕方がなかったし。カミロは男だから、単なる雑魚寝みたいなもんだし。ということで、ジャファーも普通にカミロの隣で寝た。
カミロはまさかの女であった。事情を聞いてなんとなく納得して、ちょっとした悪戯心で朝勃ちしたまま全裸になった。カミロは真顔だったがどこか不思議そうな雰囲気でジャファーの裸やぺニスを見た。流れでカミロのまんこを見せてもらい、興奮しすぎてその場でオナニーをしたが、カミロには指一本触れていない。
流石にその場で殆んど性的な知識がないカミロに手を出すのはどうかと思うし、そもそもジャファーは尻がたゆんたゆんな肉付きがいい女が好みだ。カミロは痩せすぎて、おっぱいなんてない貧乳通り越した絶壁だし、肋も浮いていて、まんこを見なければ勃起しない程、ジャファーにとっては性的魅力がなかった。
カミロの生まんこで一発抜かせてもらって、トイレに精液を捨てに行って脱衣場の洗面台で手を洗って戻ったら、カミロは全裸のまま寝ていた。
寝かせてやりたい気もしたが、午後からは農作業をする予定である。もう日がかなり高くなっている。ベッドのヘッドボードに置いてある目覚まし時計を見れば、そろそろここを出ないと昼食に間に合わない。帰らなければならないので、内心悪いな、と思いながらカミロを起こし、一応服を着させてから、半分眠っているカミロにジャファーが家から出たら必ず鍵をかけるようにと言い含めて、カミロの家を出た。
カミロは男じゃなくて女だったし、女だけど恋愛対象や性的対象にはならなそうだが、元々あった興味が益々大きくなった。
単純になんだか面白い奴だな、と思った。また一緒に酒を飲んだりしたい。
家を知ったが、別にわざわざ訪ねずとも、いずれまた中央の街辺りで遭遇することもあるだろう。
ジャファーはご機嫌に鼻歌を歌いながら、プルートに揺られて自宅へと帰った。
ーーーーーー
ジャファーは小さな子供の頃から土いじりが大好きだった。毎日のように畑に行くマーサについていって草むしりをしたり作物の収穫を手伝っていた。小学校に入学する頃になると、マーサが管理する畑の片隅にジャファーが好きに使っていい区画をもらった。ジャファーはそこにトマトの苗を植えた。雑草を抜いたり、水や肥料をまいたり、トマトにつく虫を駆除したりと毎日世話をして、大きく甘い立派なトマトを収穫することができた。将来農夫になると決めたのは、初めてジャファー1人で育てた瑞々しいトマトを収穫して、その場で食べた瞬間だった。美味しい。楽しい。嬉しい。野菜を育てることはなんて素晴らしいのか。ジャファーは野菜作りの魅力にとりつかれた。
ジャファーは身体を動かすのが好きだが、子供の頃から兄妹と一緒に習っている剣はそんなに好きじゃない。父曰く、ジャファーには才能があるらしいが、ジャファーにはやる気がなかった。実家住まいの時は家族でやっている朝夕の稽古に出ていたが、街の郊外の家にディオと住み始めてからは、剣の稽古は完全にサボっている。
本を読むのは好きじゃないから勉強も嫌いだし、剣も好きじゃない。身内には薬師や魔術師、教師、軍人が多いが、ジャファーはものすごく勉強しなければならない職業や軍人になる気など欠片もなかった。大好きな農作業をして暮らしていきたかったので、マーサに相談して、それまでは近くの農夫達に頼んでいた郊外の公爵家の畑の管理をする者として雇ってもらうことにした。
1度くらいサンガレアから出てみなさい、とマーサ達に言われ、王都国立高等学校の農学科に入学することになり、そこでディオと出会った。ディオは王都から少し離れた領地にある畜産と農業が盛んな村の村長の家の子供で、男しか好きになれない性質だった。ディオは穏やかな雰囲気の男前だから、それなりに女にモテるし、女の許嫁がいた。ディオの故郷では自然に子供ができない男夫婦は忌避されている。サンガレアが寛容すぎるだけで、法的に同性婚が認められていても、同性愛者が白い目で見られる所の方が多い。ディオは故郷から逃げ出したかった。ジャファーはディオを助けてやることにした。ディオはすごくいい奴で、気が利く働き者だから、仕事の相棒にちょうどいい。あと単純に友人としてディオのことを気に入っている。サンガレアは常に移住希望者が多いので、普通に移住しようと思ったら公的機関に就職するか、サンガレア在住の者と結婚するかでもしないと、それ以外の方法では中々難しい。移住希望者を全て受け入れるわけにもいかないからだ。
ジャファーもだが、ディオもサンガレアの農学研究所に入って研究者になれる程頭がいいわけではない。そもそも農作業がしたいのであって、研究がしたいわけではない。そこでジャファーはディオと結婚することにした。所謂偽装結婚というやつである。マーサの許可はとってあるので偽装結婚でも問題ないし、ジャファーの甥っ子はディオが好きで、研究院を卒業したらサンガレアで教師として働く予定である。もしかしたら本当にサンガレア在住の者と結婚するかも、ということで、ディオはジャファーと高等学校卒業と同時に結婚してサンガレアに移り住んだ。いずれ離婚する予定なので、結婚式などはしなかった。甥っ子がサンガレアで教師として働きだしたら、多分その時くらいに離婚することになるだろう。
ーーーーーー
帰宅したら砂を吐きそうなくらい甘い雰囲気の2人に出迎えられた。絶対セックスをした。確信して言える。昨日別れる前よりも、なんだか距離感が段違いに近い。
ジャファーは一応大人だし、マイペースとよく言われるが一応空気は読めるので、そこら辺には何も突っ込まなかった。
料理上手な甥っ子が作ってくれた昼食を2人と一緒に食べて、作業着に着替えてから家の外に広がる畑へと出る。
今日は畑の回りの草刈りをする。収穫は大体いつも午前中にしている。今日は午前中にしなかったので、草刈りが終わってから収穫できるものは収穫する予定である。終わったら涼しくなってから畑の水やりだ。もう1週間近く雨が降っていない。折角育った野菜が水不足で枯れてはいけない。
毎日、午前中に収穫作業をして、そのまま荷馬車に収穫した野菜をのせて、マーサ達が住む母屋と呼んでいる家に運ぶ。保有する魔力が多いと大食いになる傾向があり、膨大な魔力を有する土の神子の血を引く家族は皆かなりの大食漢である。大食いの家族がものすごく多いため、1度マーサの元に沢山の野菜を届けてから、マーサの管理する畑で採れた野菜も一緒にマーサがざっと分配する。サンガレアの領館に住む家族用、王都の邸に住む家族用、サンガレアで自分の家を構えている家族用、それからサンガレア住まいの他の神子の子供一家へのお裾分け用に分ける。
ジャファー達は毎日ではないが、サンガレアで自分の家を構えて住んでいる家族や他の神子の子供達に野菜を届けたりもする。
畑の手入れに、野菜の収穫その他、なんだかんだでジャファー達は朝早くから毎日働いている。基本的に朝早い分、夜は寝るのが早い。休日はやることがあんまりない日にとっていて、固定休などあるわけがない。野菜という生き物相手の仕事だからだ。
忙しいといえば忙しい日々だが、それ以上に楽しくて仕方がない毎日である。時間に余裕がある時には中央の街に住む家族へ野菜を届けたついでに飲食店に寄ったり、芝居を観たりもしているし、翌朝に響かない程度に酒を飲みに行ったりもしている。結構気楽なものだ。
これで可愛いお嫁さんがいてくれたら最高である。正直セックスをしてみたいし。ぽよんぽよんの尻が大きいエロ可愛いお嫁さんが欲しい。料理上手でおっとり癒し系な感じの女が理想である。
ジャファーの毎日は穏やかでそれなりに満ち足りている。
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ジャファーには沢山の家族がいる。身内には男と結婚している男も多いが、ジャファーは女にしか興味がない。ジャファーはほんの3ヶ月前に精通を迎えたばかりだった。神子の子供には精通や初潮が普通よりも遅い者がでたりするらしい。具体的な理由は分からない。神子の子供も王族と同じく500年の寿命がある。普通の人よりも寿命が長いから普通の人よりも少し身体の成長が遅いのかな、とジャファーは思っている。
ジャファーは精通を迎えたことで、それまでほんのり興味があった女体に興味津々になった。オナニーによる性的快感を知ったことが大きいと思われる。母である自称・愛とエロスの伝道師土の神子マーサが大量に持っているエロ本を借りて読むようになった。あと、春画と呼ばれる女の裸や性行為の様子を描いた絵を自分でも買って眺めるようにもなった。どちらかと言えば春画を眺めてオナニーすることの方が多い。子供の頃から身体を動かすことが好きで、本を読むのはそんなに好きじゃない。エロ本の中身は好きだが、それを脳内に展開する為に文章を読むという行為がぶっちゃけ面倒で、手っ取り早く興奮できる春画の方が楽だ。花街にある春画専門店の存在をマーサに教えてもらって、およそ2ヶ月。比較的安価な春画を何枚も買い、なんなら分厚い春画集も買って、毎日のように寝る前にオナニーに励んでいる。しかし、春画を見れば見る程、本物の女体、より具体的に言うと、生のまんこを見てみたくて仕方がなくなった。
カミロに会ったのは3回。
元々、妹のアイーシャが高等学校の試験の度にカミロの名前を口に出していたから、実際どんな人間なのかと微かに興味を抱いていた。高等学校の寮で少し遠目に見かけたことはあるが、ジャファーは土の神子の息子ということで無駄に目立っていたから、唯でさえ『色なし』ということで露骨に嫌そうな目で周囲に見られて浮いていたカミロに目立つジャファーが声をかけて、カミロが悪い意味で注目を集めるようになってしまってはなんだか悪いな、と思い、高等学校に在籍している間にカミロに近づいたことはなかった。
1回目は中央の街のパンケーキ屋で見かけて、その時は3人も連れがいたし、好奇心が抑えきれずにカミロに近づいた。
近くで見たカミロは本当に白かった。かなり年老いた老人のような混じりけのない白い髪、まるで人形みたいに白い肌、眉毛も睫も白く、白目をむいているような目、赤みのかなり薄い唇、顔立ちそのものが結構美しく整っているのが逆に不気味な印象を与えるような見た目だった。身体も身長は普通にあるがかなり細身で、腕なんて折れそうな程細かった。何の心構えもなく深夜の暗いトイレで遭遇したら思わず悲鳴を上げてしまいそうな位、色味が無さすぎて生きている人間っぽい感じがしない。『色なし』を忌避する者が多い理由がなんとなく分かった。一体どんな人間なのだろう。好奇心がうずうずするままに一緒のテーブルでパンケーキを食べることを提案した。カミロは無口だった。もう少しカミロの話が聞きたいと思ったが、サンガレアに住んでいるのならばまた機会もあるだろうとすんなり別れた。
2回目は手伝いに駆り出されていた『公的機関交流会』で。真正面から見たカミロの目は、よくよく見れば全部白目なのではなくて、ちゃんと瞳もあった。
3回目はたまたま中央の街で見かけたから、時間潰しに付き合ってもらおうと思って声をかけた。友人兼同居人ディオに最近できたばかりの恋人が家を訪ねてくるからだ。その恋人は同い年の甥っ子で、元は甥っ子の方が高等学校時代にディオに惚れて、遠回しにアピールをしまくって漸く最近その努力が実った、という感じである。甥っ子は王都の高等学校の更に上、研究院に通っており、夏休みや年末年始の休みにしかサンガレアにゆっくり帰ってこれない。今は甥っ子が夏休みに入ったばかりで、今日が初のお泊まりである。絶対セックスをする。絶対だろ。ディオにその気はなくても、散々恋人になるまでおあずけされていた甥っ子はヤる気な筈。ということで、若干気まずいし、2人きりで過ごさせてやろうと気を利かせて日付が変わる頃、もしくはいっそ朝まで、街でなんとか時間を潰そうと1人で家を出てきたのだ。たまたまカミロと遭遇できて、正直助かった。カミロは口数がかなり少ないが、それでもジャファーに付き合ってダーツバーで一緒にダーツで遊んだり、酒に付き合ってくれた。結構いい奴だな、とジャファーは思った。
カミロを完全に男だと思っていたし、むしろ女である可能性など欠片も想像していなかったので、普通に泊めてって頼んだし、カミロが頷いてくれたからカミロの家に行った。
カミロの家は殆んど何もなかった。それなりに広い部屋にはベッドと古びた衣裳箪笥、天井近くの壁に空調があるだけだ。テーブルや椅子すらもない。家の中に入るなりカミロがベッドに倒れこんで、そのまま寝てしまったので、水をもらおうと台所に移動した。台所も魔導冷蔵庫も魔導コンロもなく、備えつきっぽい感じの食器棚にコップが1つあるだけ。なんとなく気になって風呂場を覗けば、脱衣場に魔導洗濯機はあり、洗濯籠にはタオルだけが山積みになっていた。風呂場を見れば黴だらけで、少しだけ風呂を借りようかと思っていた気持ちが完全に萎えた。トイレも見てみて、風呂場よりもマシだったことに少しだけほっとした。そのままトイレを借りて用を足して、部屋に戻って部屋の灯りをつけた。ベッドのヘッドボードに何冊かの本がある以外、本当に極端に物が少ない。そして汚い。床は埃で白っぽくなっているし、カミロが眠るベッドのシーツや枕カバーは微妙に黄ばんでいる気がする。洗濯したのいつだよ。ジャファーは普通に引いたが、よくよく考えればカミロは魔術師だ。魔術研究所に勤める魔術師は変人が多いと聞いている。カミロもその1人なのだろう。と、納得して、寝ているカミロと同じベッドに横になった。埃まみれの床よりも、いつ洗濯したのか分からないシーツの方が若干マシな気がして。ジャファーもそこそこ飲んでいたので、もう眠くて仕方がなかったし。カミロは男だから、単なる雑魚寝みたいなもんだし。ということで、ジャファーも普通にカミロの隣で寝た。
カミロはまさかの女であった。事情を聞いてなんとなく納得して、ちょっとした悪戯心で朝勃ちしたまま全裸になった。カミロは真顔だったがどこか不思議そうな雰囲気でジャファーの裸やぺニスを見た。流れでカミロのまんこを見せてもらい、興奮しすぎてその場でオナニーをしたが、カミロには指一本触れていない。
流石にその場で殆んど性的な知識がないカミロに手を出すのはどうかと思うし、そもそもジャファーは尻がたゆんたゆんな肉付きがいい女が好みだ。カミロは痩せすぎて、おっぱいなんてない貧乳通り越した絶壁だし、肋も浮いていて、まんこを見なければ勃起しない程、ジャファーにとっては性的魅力がなかった。
カミロの生まんこで一発抜かせてもらって、トイレに精液を捨てに行って脱衣場の洗面台で手を洗って戻ったら、カミロは全裸のまま寝ていた。
寝かせてやりたい気もしたが、午後からは農作業をする予定である。もう日がかなり高くなっている。ベッドのヘッドボードに置いてある目覚まし時計を見れば、そろそろここを出ないと昼食に間に合わない。帰らなければならないので、内心悪いな、と思いながらカミロを起こし、一応服を着させてから、半分眠っているカミロにジャファーが家から出たら必ず鍵をかけるようにと言い含めて、カミロの家を出た。
カミロは男じゃなくて女だったし、女だけど恋愛対象や性的対象にはならなそうだが、元々あった興味が益々大きくなった。
単純になんだか面白い奴だな、と思った。また一緒に酒を飲んだりしたい。
家を知ったが、別にわざわざ訪ねずとも、いずれまた中央の街辺りで遭遇することもあるだろう。
ジャファーはご機嫌に鼻歌を歌いながら、プルートに揺られて自宅へと帰った。
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ジャファーは小さな子供の頃から土いじりが大好きだった。毎日のように畑に行くマーサについていって草むしりをしたり作物の収穫を手伝っていた。小学校に入学する頃になると、マーサが管理する畑の片隅にジャファーが好きに使っていい区画をもらった。ジャファーはそこにトマトの苗を植えた。雑草を抜いたり、水や肥料をまいたり、トマトにつく虫を駆除したりと毎日世話をして、大きく甘い立派なトマトを収穫することができた。将来農夫になると決めたのは、初めてジャファー1人で育てた瑞々しいトマトを収穫して、その場で食べた瞬間だった。美味しい。楽しい。嬉しい。野菜を育てることはなんて素晴らしいのか。ジャファーは野菜作りの魅力にとりつかれた。
ジャファーは身体を動かすのが好きだが、子供の頃から兄妹と一緒に習っている剣はそんなに好きじゃない。父曰く、ジャファーには才能があるらしいが、ジャファーにはやる気がなかった。実家住まいの時は家族でやっている朝夕の稽古に出ていたが、街の郊外の家にディオと住み始めてからは、剣の稽古は完全にサボっている。
本を読むのは好きじゃないから勉強も嫌いだし、剣も好きじゃない。身内には薬師や魔術師、教師、軍人が多いが、ジャファーはものすごく勉強しなければならない職業や軍人になる気など欠片もなかった。大好きな農作業をして暮らしていきたかったので、マーサに相談して、それまでは近くの農夫達に頼んでいた郊外の公爵家の畑の管理をする者として雇ってもらうことにした。
1度くらいサンガレアから出てみなさい、とマーサ達に言われ、王都国立高等学校の農学科に入学することになり、そこでディオと出会った。ディオは王都から少し離れた領地にある畜産と農業が盛んな村の村長の家の子供で、男しか好きになれない性質だった。ディオは穏やかな雰囲気の男前だから、それなりに女にモテるし、女の許嫁がいた。ディオの故郷では自然に子供ができない男夫婦は忌避されている。サンガレアが寛容すぎるだけで、法的に同性婚が認められていても、同性愛者が白い目で見られる所の方が多い。ディオは故郷から逃げ出したかった。ジャファーはディオを助けてやることにした。ディオはすごくいい奴で、気が利く働き者だから、仕事の相棒にちょうどいい。あと単純に友人としてディオのことを気に入っている。サンガレアは常に移住希望者が多いので、普通に移住しようと思ったら公的機関に就職するか、サンガレア在住の者と結婚するかでもしないと、それ以外の方法では中々難しい。移住希望者を全て受け入れるわけにもいかないからだ。
ジャファーもだが、ディオもサンガレアの農学研究所に入って研究者になれる程頭がいいわけではない。そもそも農作業がしたいのであって、研究がしたいわけではない。そこでジャファーはディオと結婚することにした。所謂偽装結婚というやつである。マーサの許可はとってあるので偽装結婚でも問題ないし、ジャファーの甥っ子はディオが好きで、研究院を卒業したらサンガレアで教師として働く予定である。もしかしたら本当にサンガレア在住の者と結婚するかも、ということで、ディオはジャファーと高等学校卒業と同時に結婚してサンガレアに移り住んだ。いずれ離婚する予定なので、結婚式などはしなかった。甥っ子がサンガレアで教師として働きだしたら、多分その時くらいに離婚することになるだろう。
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帰宅したら砂を吐きそうなくらい甘い雰囲気の2人に出迎えられた。絶対セックスをした。確信して言える。昨日別れる前よりも、なんだか距離感が段違いに近い。
ジャファーは一応大人だし、マイペースとよく言われるが一応空気は読めるので、そこら辺には何も突っ込まなかった。
料理上手な甥っ子が作ってくれた昼食を2人と一緒に食べて、作業着に着替えてから家の外に広がる畑へと出る。
今日は畑の回りの草刈りをする。収穫は大体いつも午前中にしている。今日は午前中にしなかったので、草刈りが終わってから収穫できるものは収穫する予定である。終わったら涼しくなってから畑の水やりだ。もう1週間近く雨が降っていない。折角育った野菜が水不足で枯れてはいけない。
毎日、午前中に収穫作業をして、そのまま荷馬車に収穫した野菜をのせて、マーサ達が住む母屋と呼んでいる家に運ぶ。保有する魔力が多いと大食いになる傾向があり、膨大な魔力を有する土の神子の血を引く家族は皆かなりの大食漢である。大食いの家族がものすごく多いため、1度マーサの元に沢山の野菜を届けてから、マーサの管理する畑で採れた野菜も一緒にマーサがざっと分配する。サンガレアの領館に住む家族用、王都の邸に住む家族用、サンガレアで自分の家を構えている家族用、それからサンガレア住まいの他の神子の子供一家へのお裾分け用に分ける。
ジャファー達は毎日ではないが、サンガレアで自分の家を構えて住んでいる家族や他の神子の子供達に野菜を届けたりもする。
畑の手入れに、野菜の収穫その他、なんだかんだでジャファー達は朝早くから毎日働いている。基本的に朝早い分、夜は寝るのが早い。休日はやることがあんまりない日にとっていて、固定休などあるわけがない。野菜という生き物相手の仕事だからだ。
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これで可愛いお嫁さんがいてくれたら最高である。正直セックスをしてみたいし。ぽよんぽよんの尻が大きいエロ可愛いお嫁さんが欲しい。料理上手でおっとり癒し系な感じの女が理想である。
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サーシャは最上級の笑顔を浮かべた。そして、思い切り息を吸い込む。
「何でも思い通りいくと思うなよ、くそ王子!!」
「サ、サーシャ様!?」
なりゆきを見守っていたハリオが慌てたようにサーシャの名を呼んだ。一国の王子への暴言は不敬罪で捕まりかねない。けれど、言わずにはいられなかった。
そんなサーシャの言動にユリウスは一瞬目を丸くし、しかしすぐに楽しそうに笑った。
「お前面白いな。本当に気に入った」
小説家になろうサイト様にも掲載してします。
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