厳ついおっさんが女体化しても厳ついおばさんにしかならねぇんだよ!

丸井まー(旧:まー)

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1:厳ついおっさん女になる

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 ゴンドロフは襲い掛かってきたオークを斬り倒すと、別のオークへと斬りかかった。仲間の魔法使いの攻撃魔法が飛び交う中、一体ずつオークを確実に仕留めていく。
 最後のオークを仕留めた頃には、周囲は血の海のような状態になっていた。
 ゴンドロフが大剣についた血を布で拭っていると、相棒の魔法使いであるデーリが溜め息を吐いて近寄ってきた。


「はぁー。つっかれた。これでオークは全部殲滅しただろ。討伐依頼完了だな。早く街に帰ろう」

「おぅ」

「街に帰る前に川で水浴びだな。返り血ヤバいぞ。お前。どこからどう見てもヤバい人」

「うるせぇ。いちいち避けるのも面倒なんだよ」

「極悪犯罪者にしか見えないわ」

「ほっとけ。俺の人相が悪いのは今更だろうが」

「まぁね。じゃあ、討伐の証拠に魔石を回収するかね」


 ゴンドロフはデーリと一緒に、死んで魔石と化したオークだったものを拾い集め始めた。

 ゴンドロフは冒険者をしている。成人する16歳の頃から、幼馴染で相棒のデーリと一緒にコツコツ地道に頑張り、20年経った今ではA級冒険者になれた。

 ゴンドロフは人相が悪い。短く刈っている銀髪、淡い水色の瞳は別にいい。が、彫りが深過ぎる上に細めの三白眼かつ鷲鼻で、元から眉毛が薄い。それに加えて鼻筋から右頬にかけて古傷があり、結構な確率で子供に泣かれる怖い顔立ちをしている。背が高く、筋骨隆々と言っていい筋肉質な身体つきをしている。声は酒焼けしており、地声がデカいので、普通に喋っていても怒鳴っているように聞こえるらしい。
 歳は今年で36になるが、恋人なんかできたことがない。拠点にしている街にいる時は、いつも娼婦を買って楽しんでいる。

 魔石の回収が終わると、デーリと一緒に川を目指して歩き始めた。
 然程歩かずに川を見つけた。ゴンドロフは血塗れの鎧と下に着ていた服を脱ぐと、川に飛び込んだ。
 そこそこ深さのある川は、水がひんやりしていて気持ちがいい。
 ゴンドロフは水をかいて水面に顔を出し、足がつくところで顔についた返り血を洗い始めた。

 血塗れの鎧も洗っていると、いきなりざばぁっと水面から何かが飛び出した。ゴンドロフがさっと身構えると、10歳にもならないくらいの美しい少女が水面の上に浮いていた。


「もしかして、この川に住む精霊か」

「そうよ! なんなのよ! こんなに血で川を汚して! ひどいわ! ひどいわ!」

「すまねぇ。すぐに出る」

「許さないわ! うりゃー! わたくしの川を汚したことを反省しろーー!!」

「は? ちょっ、うわっ!?」


 ぷくっと頬を膨らませた幼い精霊が、光を放った。眩しい光に反射的に一瞬目を閉じ、目を開ければ、そこにはもう精霊の姿はなかった。
 反省しろとはなんのことだろうか。
 ゴンドロフが首を傾げていると、デーリが慌てたように声をかけてきた。


「ゴンドロフ! やべぇぞ! お前!」

「あー?」

「女になってる!!」

「は?」

「あと、なんか頭の上に数字が見える」

「おいおい。女になんかなるわけねぇだろ……ってなんじゃこりゃぁぁぁぁ!! 女に! なってる!!」


 自分の身体を見下ろせば、ででーんっと胸に脂肪の塊がある。どこからどう見てもおっぱいだ。慌てて股間を触れば、長年の相棒はなくなっており、まんこみたいなぷにっと柔らかいものが指に触れた。肉厚の襞の中に指を入れてみれば、孔がある。完全にまんこである。

 ゴンドロフが混乱していると、川の中から声が聞こえた。


「ちんちんで100回イカないと男には戻れないんだから! 反省しろ! 筋肉だるま!」

「……はぁぁぁぁっ!?」

「あちゃー。精霊を怒らせちゃったかー。ていうか、割とエグいな」


 ゴンドロフは水面に映る自分の顔を見た。ほんのり丸みを帯びている気はするが、顔立ちはほぼ変わっていない。身体つきも、デッカいおっぱいができたのとまんこができただけで、あとは殆ど変わらないように見える。試しに腕を曲げてみれば、いつも通り力瘤ができる。

 ゴンドロフはとりあえず川から出た。デーリがまじまじとゴンドロフを見て、生温い笑みを浮かべた。


「厳ついおっさんが厳ついおばさんになった……こういう時って、絶世の美女になるのがセオリーじゃないの?」

「夢見がち過ぎだろ。厳ついおっさんが女になったところで、厳ついおばさんになるだけだろうがよぉ! つーか! これどうすんだ!!」

「精霊の怒りを買っちゃったからねぇ。ちんこで100回イカないと男には戻れないんじゃない?」

「よし。今すぐちんこ貸せ」

「嫌だよ。僕はおっとり美人系の男が専門だもん。ていうか、恋人いるし」

「そうだったっ! くそっ! これ、どうにかならねぇか!?」

「精霊の呪いみたいなものだから、僕には無理だよ。解呪の条件を満たした方が早いね」

「マジで男に抱かれろと?」

「抱いてくれる男がいるといいね」

「くっそ! とりあえず早く街に戻るぞ! そんでちんこ狩りする! 女の身体でいて堪るかぁ!」

「ちんこ狩りって何をする気だよ」

「ギルドに集まってる連中のちんこを狙う」

「ゴンドロフ。ただ単にちんこ突っ込めばいいわけじゃないからね? ちんこでイカないといけないんだから、それなりにテクがある男じゃないと」

「あぁぁぁぁ! くっそ! めんどうくせぇ!!」

「とりあえず服着ろよ。鎧はサイズが合わないだろうから、背負って持って帰るしかないな」

「ぐぅっ……今の身体に合う鎧を作らねぇと仕事にならねぇ」

「戦闘に問題はなさそう?」

「んー。おっ。普通に剣が振れる。多分問題ねぇ。つーか、そんなに目線が低くなってねぇし、背も変わってねぇんじゃねぇか?」

「あー。ほんのーり背が低くなったような? 殆ど変わってないね。筋肉ゴリゴリだし、装備さえ作り直せば、本当に戦闘には問題なさそう」

「よし。なら問題ねぇ。あとは街でちんこ狩りするだけだな」

「狩られる男達がなんか可哀想」

「ギルド的にもA級冒険者が女になったら困るだろ。協力してくれる……筈!」

「それはそうかも」

「シャツのボタンが閉まらねぇ」

「デッカいおっぱいだもんねぇ。くびれは殆どないけど」

「ズボンの尻がきつい」

「デカ尻だもんねぇ。元からデカ尻だったけど」

「街に急ぐぞ! ちんこ狩りじゃぁぁ!!」


 ゴンドロフはサイズが合わなくなった服を着ると、鎧を紐で括って背負い、大剣を握った。ここからなら急げば街までざっと10日くらいだ。
 戦闘に問題はなさそうだが、生まれて36年間も男でいたのに、いきなり女になるなんて普通に嫌すぎる。
 何がなんでも男に戻る。その為には、街についたらちんこ狩りをするしかない。
 ゴンドロフはデーリを急かして、足早に歩き始めた。

 10日後。拠点にしている街に到着した。真っ直ぐにギルドへ向かい、デーリが依頼完了の報告と報酬を受け取っている間に、ギルドマスターの元へと向かう。
 ギルドマスターの部屋に行けば、渋い男前のギルドマスターが一瞬驚いた顔をした後で、堪えきれないように笑いだした。


「あっはっは! ゴンドロフ! お前、何やらかしたんだ!?」

「精霊の怒りを買った。ちんこで100回イカねぇと男に戻れねぇ」

「うわー。お気の毒ー。戦闘に支障はあるのかい?」

「特にはねぇ」

「あぁ。じゃあ、装備だけ買い直したら問題なく働けるね」

「おぅ。とはいえ、さっさと男に戻りてぇ。活きのいいちんこを紹介してくれ」

「男は紹介できるかもしれないけど、ちんこ単体は紹介できないよ。んーー。まぁ、まずは自分で探してみたら? ゴンドロフを抱けるって、かなりの猛者じゃないと無理な気がするけど」

「ちっ。しょうがねぇ。装備を作ってもらってる間にちんこ狩りするしかねぇな」

「まぁ、程々にね。あ、強姦は駄目だからね?」

「ちんこ突っ込んで出したら和姦だろ」

「その発想駄目だから。ちゃんと合意を得てから一発やること!」

「……めんどくせぇ……」

「いよいよ見つからなかったら男を紹介するから、まぁ頑張りな」


 ゴンドロフは舌打ちをして、面白がっているギルドマスターに男を紹介してもらえるよう念押ししてから、ギルドマスターの部屋を出た。
 明日は今回の報酬で装備を作りに行き、その後はひたすらちんこ狩りをする。女の身体では娼婦も買えない。酒と煙草と女と博打が楽しみで冒険者をして稼いでいるのだ。
 何がなんでも男に戻る。その為に男に抱かれるのは心底気持ちが悪いが、妥協するしかない。

 ちんこで100回イカないといけないということは、ちんこで気持ちよくならないといけないということだ。
 ゴンドロフはふと考えた。ゴンドロフが娼婦を抱くと、娼婦はあんあん気持ちよさそうに喘ぐ。気持ちいいことは大好きだ。男に抱かれるのは気持ち悪いが、気持ちよくなれるのならば、そう悪くない気もする。
 ゴンドロフは基本的に深く考えない快楽主義者である。

 男に戻る為にも、気持ちよくなる為にも、まずは活きのいいちんこが必要だ。
 ゴンドロフは気合を入れるように自分の頬をパシンと叩き、デーリと合流した。


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