厳ついおっさんが女体化しても厳ついおばさんにしかならねぇんだよ!

丸井まー(旧:まー)

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26:完全に開き直った!

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 アキムが仕事を終えて家に帰ると、ゴンドロフが庭で洗濯物を取り込んでいた。アキムは手伝おうと、居間に通勤鞄を置いてから庭に向かった。


「ただいまーっす」

「おぅ。おかえり」

「一緒にやるっす」

「おー。あ、次の休みなんだけどよぉ、1日俺とお前でリリン見といて、アイナには気分転換に出掛けさせたらいいんじゃねぇかって思ってんだけどよ」

「あ、いいっすねー。アイナをとことん休ませて気分転換させてやりてぇんで、めちゃくちゃ助かりますー。いやー、ほんと予想外に疲れまくってるしー。今日もありがとうございましたっ!」

「いいぞー。別に。やることなくて暇だし」

「ゴンちゃんって割と優しいっすよねー」

「あー? そうでもねぇよ。普通だ。普通」

「そっかな? 晩飯は何が食いたいっすか?」

「肉。あ、あれがいい。前に食ったやつ」

「どれっすか?」

「豚肉で野菜巻いてるやつ」

「あぁ。いいっすよー。それだけじゃ物足りねぇだろうから、腸詰め肉も焼くかなぁ」

「料理本に載ってた南瓜のスープを作ってみてぇから、スープは俺が作る」

「うぃーっす。お願いしまーす」


 洗濯物を取り込んで居間で畳むと、台所へ移動して夕食を作り始める。今日のアイナとリリンの様子を聞きながら夕食を作り上げ、酒も一緒に居間のテーブルへと運んだ。
 ガツガツと美味しそうに食べてくれるゴンドロフになんとなく満足しながら、アキムは先に食べ終え、軽めの酒を飲みつつ、昼間にちょっと考えたことを口に出した。


「ゴンちゃん、俺は考えたんすよ」

「あー? 何をだ?」

「俺の休みって、たまに変則的になるけど、基本は5日に一度じゃないっすか。休みの前日まで溜め込んでからヤるとついうっかりはっちゃけちまうし、3日に1回くらいのペースで、最高三発までで小出ししていったらいいんじゃねぇかなぁって。つーことで、ちんこペロペロしてケツ貸してくださーい」

「おっ。どんとこいやー! 気合入れてペロペロしてやんよぉ!」

「よっしゃ! もうね! 女と遊べねぇから、とことん開き直ることにしたっす! だって溜まるもんは溜まるんだもん」

「気持ちいいことは大好きだ! ちょこちょこヤリまくんぞー」

「うぃーっす!」


 ゴンドロフが上機嫌に笑った。笑うと『今から殺ります』みたいな顔になるが、別に怖くはない。
 アキムはゴンドロフが食べ終わるまで、美味しそうに食べるゴンドロフを肴にちびちびと酒を飲んだ。

 一緒に後片付けをして、風呂でちょろっと伸びていたゴンドロフの無駄毛を剃った後。アキムはゴンドロフにペニスを舐めまくってもらってから、三発だけセックスをした。開き直ってはいるが、おっさんのケツで気持ちよくなってしまうのは未だにちょっと悔しい。ので、アキムは気合を入れてゴンドロフもイカせまくった。

 お互いに荒い息が整うまでベッドの上でゴロゴロしてから、風呂へ向かう。三発くらいなら、ゴンドロフもそこまで腰にこないみたいだ。普通に平然とした顔で動いている。
 身体を洗って2人だと狭い浴槽のお湯に浸かると、なんとなく落ち着く。あ゛ーーっとおっさん臭い声を出しているゴンドロフが、眠そうな顔で声をかけてきた。


「この程度なら明日の朝は日課ができるな」

「そっすねー。日課やらねぇとちょっと落ち着かねぇしー。体力落ちたら嫌だしー」

「あ、次の次の休みあたりに、デーリの様子を見に行ってくるわ。ダーリンに甘やかされまくるとか言ってたから大丈夫かとは思うが、一応な」

「うぃーっす。デーリさん、大丈夫なんすか?」

「んー。加齢と共に魔力の回復も遅くなるらしいからなぁ。つっても、まだ30代だから問題ねぇな。余裕をもって二か月休むことにしただけだ。たまの骨休めも必要だしよ」

「なるほどー。まぁ、恋人と同棲してるなら、たまにはゆっくり過ごす時間も必要っすもんねー」

「そういうこと」

「ゴンちゃんは結婚願望ねぇんすか?」

「あー? 昔はあったが今はねぇな。諦めてる」

「なんでっすか?」

「俺の初恋は10歳の時なんだが、秋の豊穣祭の時に好きになった女の子に勇気をだして花を渡そうとしたらガチ泣きされて逃げられた」

「おぉう……10歳なら、今みてぇに厳つくなかったでしょ?」

「いや? ガキの頃から身体がデカかったし、顔もそんなに変わってねぇ」

「わぉ。マジっすか」

「で、18だったか? 惚れた娼婦ができて、落籍するつもりで勇気をだして花束持って求婚したら、『それだけは勘弁してください』って泣きながら土下座された」

「おぉう……つれぇ……」

「そっからは結婚は諦めたな。娼婦でも玄人中の玄人で、めちゃくちゃ肝が据わってる女じゃねぇと泣くか怯えられるし。とことん女受けがわりぃんだよなー。俺」

「流石に気の毒っすねー」

「アイナが泣いたり怯えないでくれてよかったわ。お前の紹介だったからだろうが」

「まぁ、ゴンちゃんって実際に話してみれば割と普通っすもん。むしろ優しい方? ほんとに見た目で損してる感じっすねー」

「まぁなー。とはいえ、この面と体格のお陰で、めんどくせぇのに絡まれたことはねぇから、良し悪しってとこだな」

「めんどくせぇの?」

「冒険者同士でも色々あんだよ。慣れてねぇ若いのを騙して手柄を横取りする奴もいるし、新人潰しが趣味みてぇな馬鹿もいるしな」

「うへぇ。まぁ、ギルド内でも頻繁に喧嘩起きてますもんねー」

「脳みそまで筋肉な馬鹿も多いからな」

「話変わりますけどー。明日の朝飯の時にクッキー焼くんでアイナに持ってってくださいよー。ジャムクッキー好きなんすよ。アイナ」

「いいぞー。つーか、菓子の類も作れんのかよ」
 
「あー。作れるのはジャムクッキーだけっすよ。10歳の時にアイナにねだられて、母さんから教わって作ったんすよ。アイナがめちゃくちゃ喜んだから、アイナの誕生日には毎年作ってたんすよねー」

「あー? 明日はアイナの誕生日か?」

「いや、違うんすけどー。ちょっと気分転換になりゃあいいかなーって思って」

「ほんとに仲いいんだな」

「まぁ、2人だけの兄妹なんで?」

「ふぅん。俺は男ばっかの六人兄弟だったから、割と喧嘩が多かったな。主に飯を巡っての」

「へぇー。なんかすげぇ賑やかなそう」
 
「お袋が頻繁にキレてたな。『喧嘩するなら外でしな!』って」

「あははー。ゴンちゃんの母さんって、肝っ玉母ちゃんっぽい」

「そんな感じだったなー。もう20年会ってねぇけど、多分まだ元気なんじゃねぇの?」

「手紙のやり取りもしてねぇんすか?」

「全然。デーリと一緒に家出同然で村を出たしな。くっそど田舎の村から出たかったんだよ。広い世界を見たかったんだわ」

「へぇー。俺がギルドで働き始めた頃にはこの街を拠点にしてたっすよね?」

「おぅ。15年前か? なんとなく俺もデーリもこの街を気に入ったから拠点にすることにしたんだよ。それまではずっと旅暮らししてた」

「剣は誰から習ったんすか?」

「近所に昔騎士をしてた爺さんがいたんだよ。8歳だったか? 爺さんから剣を教えてもらうようになった。爺さんの嫁の婆ちゃんが魔法使いだったから、デーリは婆ちゃんから魔法を習ってた。2人とも俺が14になる頃に揃って病気で死んじまったが、2人のお陰で今は冒険者やれてるし、すげぇ感謝してるな。2人の墓参りはしてぇけど、故郷の村には帰りたくねぇから、まぁ諦めてる」

「ふぅん。帰りたくねぇって、故郷の村でなんかあったんすか?」

「あー。兄貴とめちゃくちゃ仲がわりぃんだよ。一つ上なんだが、ちいせぇ頃から『俺は跡取りだぞ』とかなんとか抜かして、俺や下の連中の食い物とったり、偉そうに指図してくっから、ほんとにめちゃくちゃ嫌いだった。下の連中はまぁそれなりに可愛かったけど、兄貴とは二度と会いたくねぇな。心底うぜぇし」

「へぇー。そういう兄弟もいるんだー」

「まぁな。そろそろ出るか。ねみぃ」

「うぃーっす」


 アキムはお湯から出ると、脱衣場で身体を拭いてからパンツだけを穿いて寝室に向かった。
 汚れたシーツを交換してから、パンツ一枚の姿のゴンドロフと一緒にベッドに横になる。なんとなくこちらを向いているゴンドロフのふかふかふにふにの胸筋に顔を擦りつけてから、アキムは温かいゴンドロフの体温を感じつつ、すやぁっと寝落ちた。

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