厳ついおっさんが女体化しても厳ついおばさんにしかならねぇんだよ!

丸井まー(旧:まー)

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40:ただいまー

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 年越しの日まであと3日である。
 ゴンドロフは早朝に街に到着すると、ギルドから借りた馬を返しに、真っ直ぐにギルドへと向かった。

 馬小屋に馬を返してから、デーリと一緒にギルドに入ると、年越し間近だからか人が少なかった。アキムの所が空いていたので、受付にいるアキムの元へと向かう。


「ただいま」

「おかえりなさいっすー。お疲れ様でしたー。ちょっと早かったっすね」

「おー。金持ちを送り届けるだけだったから、帰りは馬をかっ飛ばしてきた」

「はい。アキム。これ、依頼完了書。報酬はもう受け取ってるから」

「うぃーっす。確認させてもらいまっす。デーリさん。うん! 大丈夫っす! 今日でギルドが閉まるんで、間に合ってよかったっすー」

「おー。家に帰って風呂に入ったら買い出しに行ってくるわ。デーリから聞いたけど、年越しの前日から市場が閉まるんだろ? めちゃくちゃ買い溜めしとくわ」

「お願いしまーす! 明日から俺も休みなんで、明日も買い物祭りっす!」

「じゃあ、後でなー」

「うぃーっす。2人ともお疲れ様でしたー!」


 ゴンドロフはギルドから出ると、『ダーリンと買い物祭りしなきゃ! そんでイチャイチャしまくる!』とうきうきしているデーリと別れ、アキムの家に向かって歩き始めた。

 アキムの家の玄関の鍵を開けて中に入ると、元気なリリンの泣き声が聞こえてきた。
 居間を覗けば、アイナがリリンを抱っこしてぐるぐる歩いていた。多分寝ぐずりだろう。


「あ、ゴンちゃん。おかえりなさーい。リリーン。ゴンちゃん帰ってきたよー」

「ただいま。装備の手入れして風呂入ったら、とりあえず洗濯するわ。昼飯食ったら買い溜めしに行ってくる。リリンを抱っこすんのは風呂の後じゃねぇと駄目だな」

「帰ってくるのがちょっと早かったわね。なんか寂しかったから嬉しいー。新年迎えて10日まではいるんでしょ?」

「おぅ。ギルドが閉まってるからな。依頼が来るのもそれ以降だから、新年迎えて二週間くらいはいる予定だ」

「ほんと!? やったー! 今夜はご馳走作らなきゃ! 久しぶりに帰ってきたしね!」

「おぅ。楽しみにしとくわ。一緒に作るから、必要な材料をメモしといてくれよ」

「はぁい」


 アイナが本当に嬉しそうに笑うので、なんだか胸の奥が擽ったくなった。
 ゴンドロフは二階のアキムの部屋に行き、手早く丁寧に装備の手入れをすると、着替えを持って風呂場へ向かった。今回の仕事は幸いにも戦闘がなかった。しかし、帰りは急いで帰ってきたので、暫く風呂に入っていない。
 しっかり身体を洗ってからゆったりとお湯に浸かり、風呂から出たら、パンツ一枚の姿で洗濯を仕掛けた。

 服を着てから二階の部屋に戻り、買ってきた土産を持って居間に向かう。リリンが寝たようで、居間にも置いている赤ん坊用のベッドを覗き込めば、ちょっと大きくなった気がするリリンが眠っていた。

 アイナがお盆を持って居間に入ってきたので、テーブルの椅子に座り、礼を言って紅茶を受け取る。
 ゴンドロフは土産のジャムの瓶を、向かい側に座るアイナの方へと差し出した。


「土産だ。李のジャムと木苺のジャム。途中の町で食ってみたら美味かったから買ってきた」

「わぉ! ありがとう! ゴンちゃん! どっちも珍しいわ! 明日の朝ご飯の時にパンに塗って食べましょうよ。あっ! チーズケーキを焼いてかけてもいいわね! 新年の祝いのご馳走の一つにしましょ!」

「おー。チーズケーキも作れるのか?」

「えぇ。割と簡単なのよ。お母さんに昔教えてもらったの。お昼ご飯は何が食べたい?」

「あー? あ、久しぶりに魚食いてぇな。アイナは魚大丈夫か?」

「えぇ。好きよ。お兄ちゃんが嫌いだから、めったに食べないけど。香草焼きにしようかしら? リリンが寝てるし、リリンを連れて買い出しに行きましょうよ。泣いたらその時はその時ってことで!」

「おー。洗濯物は帰ってから干せばいいか。昼飯に必要なもんと夜に必要なもんを書き出してくれよ」

「えぇ! すぐに書くわ!」

「他にも適当に肉や野菜を買えるだけ買っとくか。アキムが明日も買い出し祭りっつってたけど、どんだけ買い込めばいいんだ?」

「最低でも、大人三人分の5日分の食料かなぁ。市場が開くのが新年迎えて4日目からだから。ご馳走も作るし、かなりの量になるわねぇ。台所の隣の小部屋にいつも野菜とか置いとくのよ。魔導冷蔵庫に入れるのは肉類くらいになるわね」

「へぇー。まぁ、暖房つけなけりゃ、それなりに冷えるもんな」

「メモ、メモ……今夜は牛肉のステーキと鶏肉の丸焼き、どっちがいい?」

「丸焼き! 明日の朝飯は残った骨とかで雑穀粥にしようぜ!」

「いいわねー! そうしよーっと。えーと、あとは蕪とベーコンのスープとー、胡桃パンとー、林檎のケーキも焼こうかしら。うん。こんなもんかな? じゃあ、出かけましょうか」

「おぅ。鞄と財布持ってくるわ」


 ゴンドロフは二階に鞄などを取りに行き、おんぶ紐で眠るリリンを前抱きにしたアイナと一緒に家を出た。

 大量の食材を買って帰り、家に着いた途端におむつで泣き始めたリリンのおむつを替えてやってから、アイナから不在の間の話を聞きつつ、手早く昼食を作った。
 美味い昼食をガツガツ食べてから、庭に洗濯物を干し、また買い出しに出かける。

 夕方になると乾いている洗濯物を取り込んで畳み、アイナから教わりながら鶏の丸焼きを作っていく。
 夕食が出来上がる頃にアキムが帰ってきた。
 台所に顔を出したアキムが、どことなく嬉しそうに笑った。


「ただいまー。すげぇいい匂いー」

「おー。おかえり」

「おかえりなさーい」

「今夜は鶏の丸焼きだ! 明日の朝飯は残りのもん使って雑穀粥!」

「わぉ! 最高! すぐに手を洗ってくるっすー」


 アキムが手を洗いに行っている間に、完成した夕食を居間のテーブルに運ぶ。アキムにも土産のジャムを見せたら、すごく喜んでいた。
 皮がパリパリ肉汁ジューシーな鶏の丸焼きがめちゃくちゃ美味い。火酒にも合う。蕪とベーコンのスープも美味いし、胡桃パンも香ばしくて美味い。
 ガツガツ食べきり、デザートにアイナ作の林檎のケーキを食べると、なんとなくほっとした。不思議と帰ってきたーって感じがする。

 リリンがおっぱいで泣き出したので、後片付けは野郎2人でやることにして、皿などを台所へ運んで洗い始めた。
 ご機嫌な様子のアキムが、皿を洗いながら話しかけてきた。


「ゴンちゃん、アイナからいいもの貰ったっすー」

「いいもの?」

「消音魔導具! 起動させたら室内の音が一切外にもれねぇらしいっす!」

「へぇー。そんな便利なもんがあるんだな。よっしゃ! じゃあ、今夜はヤんぞ!」

「うぃーっす! 溜まりまくってて金玉やべぇっす!」

「先に最低でも五発は口で抜くわ。じゃないと俺の腰が死ぬ。明日は買い出し祭りだしな」

「お願いしまーす! 明日はめちゃくちゃ買いますんでー。人が多いからアイナ達は留守番かな?」

「年越し前後はいつも娼館にいたから、普通の年越しって20年ぶりくらいだわ」

「うちの年越しはー、ご馳走作ってー、酒飲んでー、カードとかで遊びつつ日付が変わるのを待ってー、新年になったらハグしてちゅーして寝るっす」

「ハグはともかく、ちゅーもすんのか!?」

「あ、勿論ほっぺたっすよ?」

「あ、なんだ。セックスはしてもお前とちゅーすんの普通にきめぇわ」

「俺もっす。おっさんとちゅーとかないわー」

「だよなー」


 ゴンドロフはアキムと喋りながら後片付けをして、アイナとリリンの風呂が終わったら、アキムと一緒に風呂に入って、伸びていた体毛をがっつり剃られた。
 セックスの前に、ちょっと大きくなったリリンと戯れたいので、居間でご機嫌なリリンを抱っこして、ぬいぐるみで遊んでやる。
 アキムとアイナが嬉しそうにしていたのが、なんだかちょっと擽ったかった。

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