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【小話2】初めてのクッキー
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ミーシャが8歳の時のことである。
ミーシャは決意を胸に台所に立っていた。
4つ下の双子の誕生日にクッキーを焼いてやる約束をしてしまったからである。初めて挑戦するが、失敗は許されない。姉の威厳をかけて、美味しいものを作らねばならない。
ミーシャは燃えていた。
先生役はマーサの弟分として可愛がられているリューである。やる気に燃えるミーシャを微笑ましそうに見ている。
「じゃあ、始めようか」
「お願いします!」
小麦粉、バター、砂糖、卵を其々計る。お菓子作りは計量が大事だと、先に母マーサに聞いていたため、慎重に計りとにらめっこした。
材料を計り終えると、次は常温で軽く溶かしたバターと砂糖を白っぽくなるまで泡立て器で混ぜ合わせる。道具が大人サイズのため、幼いミーシャにはまだ大きくて使いづらいが、そこをなんとか頑張る。
リューに少し手伝ってもらいながら、最初の工程はクリアした。次に卵を入れ、また混ぜる。
卵は念のため、先に別の容器に割り入れた。少々殻が混ざってしまったため、殻を指で掬い取ってから、ボウルに入れた。
リューがもういいよ、と言うまで、ミーシャはひたすら泡立て器を動かし続けた。少し腕が疲れてくる頃になって、ようやくリューからOKがでた。ミーシャは手をブラブラさせて、疲れた腕を休憩させた。
次は小麦粉を振るいながらボウルに入れた。粉が飛び散らないように、コップに小麦粉を入れてふるいの上でぐるぐる円を描くように動かす。これは楽だった。小麦粉を入れ終わったら、木ベラでサックりと生地を混ぜ合わせる。生地がもったりと重くて、ちょっと大変だったが、なんとか生地が混ざり、丸まった。
台所の机の上に置いた大きなまな板の上に小麦粉を軽くふり、生地を乗せる。小麦粉を軽くつけた麺棒で生地を伸ばしていく。ミーシャは真剣な眼差しで生地を見つめ、慎重に伸ばした。リューがもういいよ、というまでコロコロと麺棒を動かした。
最後に型抜きをして、温めた魔導オーブンに入れたら、後は焼き上がるのを待つのみである。ミーシャはオーブンの前を陣取って、中の様子をじっと見つめていた。心なしか生地が膨らみ、少しずつ焼き色がついてくる。
もうそろそろかな、と思ったら、焼き上がりの音がチンッとなった。
熱いため、鍋つかみを着けたリューが焼き上がったものを天板ごと取り出した。クッキーはいい焼き色になっている。
形が少々崩れているものがあるが、まずまずの出来と言ってもいいだろう。
ミーシャは嬉しくなって、リューに抱きついた。リューは穏やかに笑って、ミーシャの頭を撫でた。
クッキーを焼いた翌日が、双子の誕生日であった。
ミーシャは朝一で2人に可愛らしくラッピングしたクッキーを渡した。2人とも大喜びで、その場で食べ、美味しいと言って、また喜んだ。
喜ぶ2人を見て、ミーシャも嬉しくなった。
手伝ってくれたリューに報告するため、ミーシャは上機嫌で走って、リューの元へ向かった。
「リューさん、やった!!美味しいって!」
「良かったね、ミーシャ。頑張った甲斐があったね」
「うんっ!!」
ミーシャはリューに全力で抱きついた。
リューはわしゃわしゃとミーシャの頭を撫で、一緒に喜んでくれた。
ミーシャの初めてのお菓子作りは、成功に終わったようである。
ミーシャは決意を胸に台所に立っていた。
4つ下の双子の誕生日にクッキーを焼いてやる約束をしてしまったからである。初めて挑戦するが、失敗は許されない。姉の威厳をかけて、美味しいものを作らねばならない。
ミーシャは燃えていた。
先生役はマーサの弟分として可愛がられているリューである。やる気に燃えるミーシャを微笑ましそうに見ている。
「じゃあ、始めようか」
「お願いします!」
小麦粉、バター、砂糖、卵を其々計る。お菓子作りは計量が大事だと、先に母マーサに聞いていたため、慎重に計りとにらめっこした。
材料を計り終えると、次は常温で軽く溶かしたバターと砂糖を白っぽくなるまで泡立て器で混ぜ合わせる。道具が大人サイズのため、幼いミーシャにはまだ大きくて使いづらいが、そこをなんとか頑張る。
リューに少し手伝ってもらいながら、最初の工程はクリアした。次に卵を入れ、また混ぜる。
卵は念のため、先に別の容器に割り入れた。少々殻が混ざってしまったため、殻を指で掬い取ってから、ボウルに入れた。
リューがもういいよ、と言うまで、ミーシャはひたすら泡立て器を動かし続けた。少し腕が疲れてくる頃になって、ようやくリューからOKがでた。ミーシャは手をブラブラさせて、疲れた腕を休憩させた。
次は小麦粉を振るいながらボウルに入れた。粉が飛び散らないように、コップに小麦粉を入れてふるいの上でぐるぐる円を描くように動かす。これは楽だった。小麦粉を入れ終わったら、木ベラでサックりと生地を混ぜ合わせる。生地がもったりと重くて、ちょっと大変だったが、なんとか生地が混ざり、丸まった。
台所の机の上に置いた大きなまな板の上に小麦粉を軽くふり、生地を乗せる。小麦粉を軽くつけた麺棒で生地を伸ばしていく。ミーシャは真剣な眼差しで生地を見つめ、慎重に伸ばした。リューがもういいよ、というまでコロコロと麺棒を動かした。
最後に型抜きをして、温めた魔導オーブンに入れたら、後は焼き上がるのを待つのみである。ミーシャはオーブンの前を陣取って、中の様子をじっと見つめていた。心なしか生地が膨らみ、少しずつ焼き色がついてくる。
もうそろそろかな、と思ったら、焼き上がりの音がチンッとなった。
熱いため、鍋つかみを着けたリューが焼き上がったものを天板ごと取り出した。クッキーはいい焼き色になっている。
形が少々崩れているものがあるが、まずまずの出来と言ってもいいだろう。
ミーシャは嬉しくなって、リューに抱きついた。リューは穏やかに笑って、ミーシャの頭を撫でた。
クッキーを焼いた翌日が、双子の誕生日であった。
ミーシャは朝一で2人に可愛らしくラッピングしたクッキーを渡した。2人とも大喜びで、その場で食べ、美味しいと言って、また喜んだ。
喜ぶ2人を見て、ミーシャも嬉しくなった。
手伝ってくれたリューに報告するため、ミーシャは上機嫌で走って、リューの元へ向かった。
「リューさん、やった!!美味しいって!」
「良かったね、ミーシャ。頑張った甲斐があったね」
「うんっ!!」
ミーシャはリューに全力で抱きついた。
リューはわしゃわしゃとミーシャの頭を撫で、一緒に喜んでくれた。
ミーシャの初めてのお菓子作りは、成功に終わったようである。
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