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第二章 都へ
15.フランシスカの話
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女性三人での道中はなかなか楽しいものだった。
フランシスカは私が大切に手に持っていた詩集に目を止め、「あら、それは弟があなたに差し上げた詩集かしら?」と言い、私は「えっ!」と驚いて両手の中の冊子に目を落とした。
「シプリアノ、さんは…」
「そうなの、私の母がアレク様の乳母ということはお話したけど、弟がアレク様の乳兄弟なの。
エルヴィーノ様と3人でいっつもいたずらばかりして、母を困らせていたわ。
シプリアノはあまり身体が強くなくて、本を読むのが好きな子で、山賊討伐隊に参加するような感じではなかったのだけど」
そう言って、小さくため息をつく。
「今回はエルヴィーノ様を心配したアレク様が、シプリアノを護衛と言うか…ストッパー役として同行させたのよ」
確かに…シプリアノさんって武官という感じでは全然なかった。
本人も都から離れたのをすごく嫌がっているようだったし。
文官なのだろうと思っていたのだけど、そもそも軍人ではなかったのか。
「シプリアノ様が、この詩集を丸暗記している人がいたってめっちゃビックリしてましたよね。
クラリッサってやば~
これ全部暗唱とかエグっ」
リーチェが私の手元を覗き込んで言う。
「シプリアノはアレク様と一緒に都へ帰ることになってこの行軍に加わっているから、どこかで話す機会くらいはあるかもしれないわね」
「え、そうなんですか?
エルヴィーノ様と一緒に行くんじゃなかったんですか?」
きょとんとしてリーチェが問うのに、フランシスカは苦笑して頷いた。
「そうなのよ。
エルヴィーノ様がこの殲滅戦で良い方に劇的に変わられて、以前のような自暴自棄の行動をすることもないだろうってアレク様の判断で。
クラリッサのお陰だって仰っていたわ」
え?私?
今度は私がきょとんとする。
フランシスカはくすっと笑う。
「エルヴィーノ様って本当に、悪童がそのまま大きくなられたような感じだったの。
それはアレク様も同じだけれど」
「お父上様のお悩みの種でいらして、エルヴィーノ様ご本人にもそのご自覚がおありだったようだから、いつもご家族の反対を押しきって都を離れて戦場にいたの。
傭兵みたいなことをしていたこともあったみたい」
呟くように話すフランシスカの声はともすれば悪路を走る馬車の車輪の音にかき消されてしまいそうで、私は懸命に耳を傾けた。
「それが、クラリッサに出会った辺りから激変して、生きることに執着が出てきたって。
今までみたいに命を粗末にするようなことは無いだろうと、アレク様は仰っていらしたわ」
そう言ってフランシスカはにこっと笑った。
「アレク様もどなたか素晴らしい方と出会って変わられないかしら。
私もアレク様のお守りはそろそろ卒業して結婚を決めないと、彼に嫌われてしまうわ」
「大丈夫ですよージェズアルド様はフランシスカ様に超絶惚れてますから」
フランシスカの言葉に、リーチェはケラケラ笑いながら言う。
頬を染めるフランシスカは、27歳という年齢より幼く可愛らしく見えた。
エルヴィーノ様は、私のことをどう思っているのかな…
そして私は、エルヴィーノ様をどう思っているのだろう。
恋愛感情なのか、それとも違うのか、よくわからない。
こうして離れていても、特に寂しいとか悲しいとかいう感情はないけれど…またお会いしたいと切実に思う。
迎えに行くという言葉を信じて、待っていたいと心から願っている。
フランシスカは私が大切に手に持っていた詩集に目を止め、「あら、それは弟があなたに差し上げた詩集かしら?」と言い、私は「えっ!」と驚いて両手の中の冊子に目を落とした。
「シプリアノ、さんは…」
「そうなの、私の母がアレク様の乳母ということはお話したけど、弟がアレク様の乳兄弟なの。
エルヴィーノ様と3人でいっつもいたずらばかりして、母を困らせていたわ。
シプリアノはあまり身体が強くなくて、本を読むのが好きな子で、山賊討伐隊に参加するような感じではなかったのだけど」
そう言って、小さくため息をつく。
「今回はエルヴィーノ様を心配したアレク様が、シプリアノを護衛と言うか…ストッパー役として同行させたのよ」
確かに…シプリアノさんって武官という感じでは全然なかった。
本人も都から離れたのをすごく嫌がっているようだったし。
文官なのだろうと思っていたのだけど、そもそも軍人ではなかったのか。
「シプリアノ様が、この詩集を丸暗記している人がいたってめっちゃビックリしてましたよね。
クラリッサってやば~
これ全部暗唱とかエグっ」
リーチェが私の手元を覗き込んで言う。
「シプリアノはアレク様と一緒に都へ帰ることになってこの行軍に加わっているから、どこかで話す機会くらいはあるかもしれないわね」
「え、そうなんですか?
エルヴィーノ様と一緒に行くんじゃなかったんですか?」
きょとんとしてリーチェが問うのに、フランシスカは苦笑して頷いた。
「そうなのよ。
エルヴィーノ様がこの殲滅戦で良い方に劇的に変わられて、以前のような自暴自棄の行動をすることもないだろうってアレク様の判断で。
クラリッサのお陰だって仰っていたわ」
え?私?
今度は私がきょとんとする。
フランシスカはくすっと笑う。
「エルヴィーノ様って本当に、悪童がそのまま大きくなられたような感じだったの。
それはアレク様も同じだけれど」
「お父上様のお悩みの種でいらして、エルヴィーノ様ご本人にもそのご自覚がおありだったようだから、いつもご家族の反対を押しきって都を離れて戦場にいたの。
傭兵みたいなことをしていたこともあったみたい」
呟くように話すフランシスカの声はともすれば悪路を走る馬車の車輪の音にかき消されてしまいそうで、私は懸命に耳を傾けた。
「それが、クラリッサに出会った辺りから激変して、生きることに執着が出てきたって。
今までみたいに命を粗末にするようなことは無いだろうと、アレク様は仰っていらしたわ」
そう言ってフランシスカはにこっと笑った。
「アレク様もどなたか素晴らしい方と出会って変わられないかしら。
私もアレク様のお守りはそろそろ卒業して結婚を決めないと、彼に嫌われてしまうわ」
「大丈夫ですよージェズアルド様はフランシスカ様に超絶惚れてますから」
フランシスカの言葉に、リーチェはケラケラ笑いながら言う。
頬を染めるフランシスカは、27歳という年齢より幼く可愛らしく見えた。
エルヴィーノ様は、私のことをどう思っているのかな…
そして私は、エルヴィーノ様をどう思っているのだろう。
恋愛感情なのか、それとも違うのか、よくわからない。
こうして離れていても、特に寂しいとか悲しいとかいう感情はないけれど…またお会いしたいと切実に思う。
迎えに行くという言葉を信じて、待っていたいと心から願っている。
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