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第六章 シエーラの戦闘
11.晩餐会の終わり、その後
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予定より早く晩餐会が終わって、次々に大食堂を後にするご愛妾候補の方たちと別れ、私はぽつんと取り残された。
貴族の方々も、アレク様にご挨拶なさって急いで部屋を出て行く。
きっと貴族の皆様は、この後、徹夜になるほどお忙しいだろう。
明日までに人集め、物集めをしなければならない。
…私は、どうしたらいいのかな??
勝手に部屋に帰っちゃっていいのかしら。
でも、この宮殿って広すぎて、自分の部屋がどこだか判らない。
そもそも、私の部屋って存在するのかなぁ?
行ったことない気がするわ。
不安になって周りを見回すけれど、楽団の方たちも楽器を抱えて帰っていくし、てきぱきと晩餐会の片付けを始めるスタッフの方々の邪魔になりそう。
私は壁の方へ寄って、忙しそうに動き回るスタッフをぼんやりと目で追う。
…私は本来、あちらで働いている人の方なのよね…
何で、こんなところにいるんだろう。
「大公妃」なんて器じゃない、全然。
ダイアナ様のように、おおらかに自然に上品にふるまえる方、このような場所でもしっかり自分をという存在を確立できる方がふさわしいのに。
アレク様は、何故私を?
「クラリッサ様、こんなところにいらっしゃいましたか」
知っている声がして、私は声のした方へ顔を向け、声の主を探す。
「フランシスカ…」
「あらあら、申し訳ありません。
ずいぶん前にお迎えに参っていたのですが、アレク様にまた我儘を言われて…
すぐに来られなかったのです」
フランシスカは慌てたように隠しからハンカチを取り出して、私の目尻を拭う。
私は自分が泣いていたことに気づいて、慌てて手で目を抑えた。
「クラリッサ様も一緒にシエーラに行かれるのですから、そんなに急ぐことはないと申し上げたのですけど…
アレク様ときたら、もう片時も手放したくないと言い張って」
ふう、とため息をつく。
「まあ、わたくしも、クラリッサ様がサン=バルロッテ館にいたときのアレク様の寂しがりようを存じているから、そうおっしゃるのも判らないじゃないけれど。
でもだからって、今すぐに部屋に連れて来いっていうのは、あまりにも乱暴だわ。
初めての夜なのだから、いろいろ準備がありますでしょう…」
憤慨したように小声で話すフランシスカの言葉の内容に、私は顔が熱くなってくる。
あ…そうか、昨夜は私がお母様と過ごしたいと我儘を通してしまったから…
『明日は許さぬよ』
と囁いた甘い声と艶っぽい瞳が思い出されて、耳まで赤くなっているのが判り、身の置き所のない気持ちになる。
「とりあえず、お部屋に行きましょう」
フランシスカは私の顔の赤さには気づいているだろうけど、見て見ぬふりをして、先に立って歩き出した。
私は両手で頬を抑えながら後について行った。
私の部屋といって案内されたところは、アレク様の居室のすごい近くにあって、私は戸惑ってしまった。
間に供部屋を挟んで、隣と言っていいくらいの場所だ。
その供部屋も今は誰も使っていないから、実質、隣だわよねえ…
ダイアナ様の部屋は、ここからは棟を挟んで向こうだから、何と言うか、どう解釈していいのかわからない。
それから私は湯浴みして着替えをして、年老いた侍女から初夜の新妻の心得という、呪文のような文言をひたすら聞かされてうんざりした。
昨夜、お母様からもなんだかいろいろ言われたけど、面倒であまり聞いていなかったわ…
こんなことが現実に起こるなんて、思えなかったから。
私ってこういうことに関しては、ヴァネッサよりお子ちゃまかも。
元々アレク様の侍女であるフランシスカは、私の支度の途中で抜け出してアレク様の部屋に行っていたらしい。
私とアレク様の部屋の間の扉から、心持ち緊張した様子で現れたフランシスカを見て、私の緊張も高まる。
どうしよう、私…
全然、心の準備できてない。
フランシスカは私の手を取って「じゃ、行きましょう、アレク様もお待ちかねよ」と笑った。
「そんなに緊張しないで大丈夫よ。
…って言っても、わたくしも経験があるわけじゃないから…説得力ないわね」
ふふっと笑いこぼした。
貴族の方々も、アレク様にご挨拶なさって急いで部屋を出て行く。
きっと貴族の皆様は、この後、徹夜になるほどお忙しいだろう。
明日までに人集め、物集めをしなければならない。
…私は、どうしたらいいのかな??
勝手に部屋に帰っちゃっていいのかしら。
でも、この宮殿って広すぎて、自分の部屋がどこだか判らない。
そもそも、私の部屋って存在するのかなぁ?
行ったことない気がするわ。
不安になって周りを見回すけれど、楽団の方たちも楽器を抱えて帰っていくし、てきぱきと晩餐会の片付けを始めるスタッフの方々の邪魔になりそう。
私は壁の方へ寄って、忙しそうに動き回るスタッフをぼんやりと目で追う。
…私は本来、あちらで働いている人の方なのよね…
何で、こんなところにいるんだろう。
「大公妃」なんて器じゃない、全然。
ダイアナ様のように、おおらかに自然に上品にふるまえる方、このような場所でもしっかり自分をという存在を確立できる方がふさわしいのに。
アレク様は、何故私を?
「クラリッサ様、こんなところにいらっしゃいましたか」
知っている声がして、私は声のした方へ顔を向け、声の主を探す。
「フランシスカ…」
「あらあら、申し訳ありません。
ずいぶん前にお迎えに参っていたのですが、アレク様にまた我儘を言われて…
すぐに来られなかったのです」
フランシスカは慌てたように隠しからハンカチを取り出して、私の目尻を拭う。
私は自分が泣いていたことに気づいて、慌てて手で目を抑えた。
「クラリッサ様も一緒にシエーラに行かれるのですから、そんなに急ぐことはないと申し上げたのですけど…
アレク様ときたら、もう片時も手放したくないと言い張って」
ふう、とため息をつく。
「まあ、わたくしも、クラリッサ様がサン=バルロッテ館にいたときのアレク様の寂しがりようを存じているから、そうおっしゃるのも判らないじゃないけれど。
でもだからって、今すぐに部屋に連れて来いっていうのは、あまりにも乱暴だわ。
初めての夜なのだから、いろいろ準備がありますでしょう…」
憤慨したように小声で話すフランシスカの言葉の内容に、私は顔が熱くなってくる。
あ…そうか、昨夜は私がお母様と過ごしたいと我儘を通してしまったから…
『明日は許さぬよ』
と囁いた甘い声と艶っぽい瞳が思い出されて、耳まで赤くなっているのが判り、身の置き所のない気持ちになる。
「とりあえず、お部屋に行きましょう」
フランシスカは私の顔の赤さには気づいているだろうけど、見て見ぬふりをして、先に立って歩き出した。
私は両手で頬を抑えながら後について行った。
私の部屋といって案内されたところは、アレク様の居室のすごい近くにあって、私は戸惑ってしまった。
間に供部屋を挟んで、隣と言っていいくらいの場所だ。
その供部屋も今は誰も使っていないから、実質、隣だわよねえ…
ダイアナ様の部屋は、ここからは棟を挟んで向こうだから、何と言うか、どう解釈していいのかわからない。
それから私は湯浴みして着替えをして、年老いた侍女から初夜の新妻の心得という、呪文のような文言をひたすら聞かされてうんざりした。
昨夜、お母様からもなんだかいろいろ言われたけど、面倒であまり聞いていなかったわ…
こんなことが現実に起こるなんて、思えなかったから。
私ってこういうことに関しては、ヴァネッサよりお子ちゃまかも。
元々アレク様の侍女であるフランシスカは、私の支度の途中で抜け出してアレク様の部屋に行っていたらしい。
私とアレク様の部屋の間の扉から、心持ち緊張した様子で現れたフランシスカを見て、私の緊張も高まる。
どうしよう、私…
全然、心の準備できてない。
フランシスカは私の手を取って「じゃ、行きましょう、アレク様もお待ちかねよ」と笑った。
「そんなに緊張しないで大丈夫よ。
…って言っても、わたくしも経験があるわけじゃないから…説得力ないわね」
ふふっと笑いこぼした。
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