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第五章 四人きょうだい

18.カール・スモーク

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 答えに窮したあたしは、御仏の力を借りることにした。
 こんな時ばっかりごめんなさい。

 ふう、とため息をついて、仕方ないなあ…というふうに口を開く。

 「わたくしが弥生の終わりごろに死にかかったことは、皆様ご存知の通りですが…
 そこでわたくしは、御仏に会ったのです」

 「御仏とひとくちに申しましても、『如来』とお呼び申し上げる最高位の御仏ばかりでございました。
 釈迦如来・阿弥陀如来・薬師如来など…
 わたくしはそこで、様々な知恵を授けて頂いたのです」

 もーいったれっ!
 嘘八百どころじゃねーぜ!
 嘘八那由他な感じでっっ

 「引き換えに、失った知識も多うございましたのです。
 今まで常識であったことを忘れ、皆様に違和感を抱かせてしまったことも多々あったかと存じます。
 性格も、以前とは変わってしまったやに思われます、自覚はないのですが…」

 うんうん、そうだねえ…と皆が頷く。
 
 あたしは祈る気持ちで言葉を積み重ねる。
 けむに巻く作戦よっ
 
 次のセリフめんどくさいから読まなくていいからねっ!

 「ゴーダマ・シッダルタはわたくしにいろんな事象を見せてくれました。
 例えば、わたくしたちの住むこの地球という天体について。
 地球は、太陽系第三惑星、赤道半径がおよそ6378km、質量は5.972 ×10の24乗 kgの回転楕円体であり、太陽からの平均距離は1億4960万km。
 365日強で太陽の周囲を一周し、24時間で1回 自転しており、誕生してから46億年が経過していると思われる。
 地殻に存在する元素は、酸素とケイ素が主体で、他にアルミニウム・鉄・カルシウム・ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどの金属元素が含まれる」

 はっはっは!どーだ!
 ほぼWikipediaからの抜粋引用だ!
 すみません。

 「本当に…?」
 権中納言様が信じられないと言ったように呟く。
 
 御仏に会ったというのが本当なのか、地球という天体が本当なのかは、突っ込まないでおこう。

 「釈迦如来はわたくしの魂をを現世の身体にお戻しくださる際に、このことは現世の誰にも話してはいけないとおっしゃられました。
 ですから、わたくしは只今、お釈迦様とのお約束を破ったことになります」

 あたしがうつむいて小さな声で言うと、えっ…と部屋の空気が冷える。
 
 「天帝がこのことを三尸虫からお聴きあそばしたら、わたくしの寿命は今日にも尽きるかもしれませんわね。
 まあ、それもわたくしの運命なのでしょう」
 にこりと笑ってみせる。

 「私たちはなにも聞かなかった!」
 東宮が大きな声で言う。

 「今、月子姫から聞いたことは、皆、忘れるように。
 絶対に他言無用だ!」

 皆は、怯えたように頷く。
 何度も何度も。

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