珍・桑田少年の品定め

泉出康一

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第6珍 『協力関係』

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2045年7月29日、夜、繁華街裏にて…

「市村…そういや、前、植松から聞いたような…」

幸太郎の回想…

「市村拓也。44歳。コイツはマジでキモい。顔もキモいし性格も喋り方もキモい。見たら分かるわ。めっちゃキモいで。」

現在…

「思い出した!植松がキモいキモい言ってた奴だ!」

その時、市村の背後から植松が現れた。

「それな。」
「植松⁈なんでココに…?」
「今日一日、お前の事監視しててんよ!ニョヒヒ!ニョヒヒ!」

市村はとても嬉しそうにニコニコしている。

「え…きもッ…何で…?」
「協力関係や。」
「協力関係?」
「とりま移動しよ。」

近くのファミレスにて…

幸太郎たち四人はテーブルを囲んで座っている。そして、植松が事情を説明をしていた。

「反矢里本派の連中、候補者一人に絞りやがった。」
「どゆこと?」
「次期会長候補七人。その内四人が反矢里本派なんは前言ったやろ。その四人が協力関係結んで、そん中の一人を次期会長にするつもりや。」
「そんなの有りかよ?」
「協力関係自体は別に問題ない。でもこのままやったら、確実に俺ら負けるで。実質、四対一やからな。」

その時、市村が声を上げた。

「そこで!俺が協力の話を植松ちゃんに提案してんよ!」
「今、もう一人の前会長派、貝原雅紀にも話つけてるとこ。」

それに続けて、植松は話をした。

「なるほど。つまりこれからは、反矢里本派と前会長派、四対三で戦っていく訳ね。」
「それな。」

その時、海佳が幸太郎に話しかけた。

「ねぇ、一体何の話してるの?」
「あー、ちょっとな…また後で話すよ。今はちょっと…」

この時、海佳は急に不安になった。幸太郎がどこか遠くへ行ってしまう。そんな気がしたのだ。

「じゃあさ、俺ら三人の内、誰が次の会長になるか決めねーとダメなんじゃねーの?」

幸太郎は市村の顔を見た。

「それで、お前の事監視しててんよ。」
「なんで?」
「協力関係を結ぶにおいて、お前が信用できる奴なんかどうかを。お前の人となりが見たかってん。その為には、実際に見た方がええと思ってな。」

次の瞬間、市村は幸太郎に顔を近づけた。

「合格やァァァ!!!」
「うわっ!キモい!近い!」
「スクワットニ万回やれる精神力と、マッチング相手を13時間前から待てる耐久力!それに無謀とは言え、妹を助ける為に暴漢共に立ち向かった勇敢さ!お前こそ、次期会長に相応しい!!!」
「いや、別に、たかがそんな事で…」
「はは。スクワットニ万回を『たかが』で済ませんな。」

植松が的確なツッコミを入れた。

「締め付け…あ、いやいや、極め付けはあの特殊能力!アレには興奮したでぇ!ハァ…ハァ…♡」
「そや。アレ何やねん。特殊能力?聞いてへんぞ。」

よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに幸太郎がドヤ顔をしだした。

「全部で十個あるぞ。」
「他にも見せてくれよ!ハァ…ハァ…♡」
「えーでー。」

すると、幸太郎は植松の胸を見た。

「『透視スケル』!!!」

説明しよう!

透視スケル』は幸太郎の特殊能力の一つである。目を凝らす事で、服の繊維の隙間から中を覗く事ができるのだ。

「植松。今日のブラジャー…黒色だな?」
「んなッ⁈」

植松は赤面した。

「ふっ…どうやら当たりだな。可愛い反応だぜ。どれどれ、ブラの奥…乳首の色まで見てみるか…」

次の瞬間、幸太郎は植松に金属バットで殴られた。 

「お前…どっからそんな物…」

幸太郎は地面に倒れた。

「サイテー。」

後日、前会長派の三人で対談をする事となった。

帰り道、住宅街にて…

幸太郎と海佳が住宅街を歩いている。

「それじゃあ、お兄ちゃんが次の会長に…?」
「んまぁ…なりたくねーけどな。」
「…じゃあ、お兄ちゃんって…ホントはお兄ちゃんじゃないんだ…」
「…ホンマや!!!」
「今気づいたの?」
「なんかもう…色んな事があり過ぎて気づかなかった。そうかぁ…俺ら本当の兄妹じゃないのか…じゃあさ、海佳。俺と付き合おうぜ。良いだろ?」
「え、嫌だ。」
「oh…」

その時、海佳は恥ずかしそうに幸太郎に言った。

「今日はありがと…助けに来てくれて…」
「別に。それより海佳!まだ聞いてなかったけどさ!あの彼氏と何するつもりだったんだ⁈まさかセッ…」
「喋んなカス。」

とある館にて…

反矢里本派の次期会長候補達が、大きな机を囲んで話し合っている。

「奴らも協力関係を結びおったか。」

王・珍々。56歳。レイプ主義者。

「案ずるな。向こうは三人。対してこっちは四人。」

手久野武礼男。42歳。テクノブレイク主義者。

「それに、幹部の大多数もこちら側だ。圧倒的に我々が有利。」

ガズム・ナチオニナー。51歳。自慰主義者。

「では、このまま作戦続行と行きますかな?」

珍々はもう一人の顔を見た。

「いや、少し気になるな…」

矢里本珍三郎。22歳。レイプ主義者。幸太郎の腹違いの兄。

「ガズムさんは例の件を。後のお二人は試験の方を引き続きお願いします。」
「お主はどうする?」
「念には念を入れておきます。」

2045年8月5日、昼、とあるホテルのレストランにて…

前会長派の『ちんちん満足の会』会員達が各々で話し合っている。
その中には、幸太郎,植松,市村の姿もあった。
幸太郎が市村に何か提案している。

「ファンオナはどうかな?」
「ファンオナ?」
「回ってる扇風機のファンに性感帯を当てる新オナニー。」
「素晴らしいアイデアやな。でも、それまたプレイとは別なんやない?」
「あ、そうか…」

その時、幸太郎は市村の背後にいたマッチョの男を指差した。

「てか誰そいつ?」
「ニョヒヒ!ニョヒヒ!俺の補佐役や。」
「俺ー、木本きもと正義まさよしー。よろしくー。」

マッチョが幸太郎に軽く挨拶をした。

「補佐役?」
「次期会長候補には必ず1人、補佐役がつく。」

植松が幸太郎に説明する。

「あ!植松!お前、俺の補佐役やったんか!」
「はは。」

その時、木本は幸太郎に話しかけた。

「あんさーあんさー俺さー…右乳首より左乳首の方が黒いねんけどさー…病気かなー?」
「医者に聞けよ。」

その時、ポメラニアンを抱えた男がテーブルの上に乗った。

「見ろ。アイツがもう一人の次期会長候補。貝原雅紀や。」
「行儀悪。」

すると、貝原は皆に向かって話し始めた。

「今日集まってもらったのは他でもない!打倒反矢里本派を志すキミ達に話があったからだ!」

その時、貝原の抱えていたポメラニアンが吠え始めた。

「あーん!ごめんねモンちゃん♡大きな声出してビックリしちゃいまちたね~♡すぐ終わるから、それまで静かにちてまちょうね~♡」

再び、貝原は皆に話し始めた。

「反矢里本派は次期会長候補を一人に絞り込み、大規模かつ効率的に試験に挑むつもりだ!」

それを聞いていた会員達はざわつき始めた。

「なんという事だ…」
「ただでさえ、会員の過半数は反矢里本派の連中…」
「徒党を組まれた今、勝ち目などあるのか…」

ざわめきをかき消すように、さっきよりも大きな声で、貝原が再び話し始めた。

「そこでだ!我々、前会長派も協力関係を結ぶ事になった!私を含め、他二名の次期会長候補者もそれを承知してくれた!」

その時、植松が幸太郎に話しかけた。

「そや。お前、会長なられへんわ。」
「え?」
「今回のこの協力関係、条件が貝原の次期会長就任やねん。」
「どういう事だよ?」
「前会長派で最も力のある幹部、それを従える貝原がいなければ、この戦いは負ける。つまり、貝原は『協力してやってもええけど、次の会長は俺やで』って言ってんねん。」

市村が幸太郎の肩に手を置いた。

「ホンマはお前を会長にしたかってんけどな…まぁ、反矢里本派の奴が会長になるよりはマシやろ。」
「じゃあ、俺らは実質アイツのお手伝い?」
「すまんな。桑田。」
「まぁ、別に、俺は会長になる気なんてなかったし。でも『シスバ』手放すのは嫌だなぁ…」
「シスバ?」
「Sister Vacation。」

植松はその名を聞くと少し嫌そうな顔をした。

「あの変態小説か。」

貝原はポメラニアンを上に掲げた。

「皆で力を合わせ、何としてでも奴らよりも早く試験に合格し、次期会長の座を手に入れるのだ!!!」

貝原の言葉により、皆は歓喜した。

「共に戦おう!共に!勝利を掴み取…」

次の瞬間、一発の銃声と共に貝原は倒れた。
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