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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』
第37障『肉蠢』
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インキャーン王国、闘技場、通路にて…
「オヌァ!!!」
オナブはマツイの顔を見て、驚きの声を上げた。
その声により、エッチャはマツイの異変に気づいた。
「えっちゃ、なんや…⁈」
オナブはマツイの肩に右手を乗せた。
「おい、マツイ!一体何したオナ…」
するとその時、オナブの右手とマツイの首が取れた。
「ヒギィヤァァァァァァァァア!!!」
オナブは右腕を押さえてうずくまった。
同時に、マツイの首が地面に落ちた。
マツイの首は、目を見開いたまま動かない。死亡しているのだ。
その時、エッチャはオナブの足元で何かが動くのを見た。
「えっちゃ、オナブ!早よそっから離れろ!何かおるぞ!」
次の瞬間、地面を蠢いていたそのナニカがオナブの右肘に張り付いた。
すると、そのナニカが張り付いた部分の肉が剥がれ落ち、右腕がさらに切断された。
「ぐッ…ぐぁぁぁぁぁあ…!!!」
オナブは苦痛の叫びを上げた。
それと同時に、オナブは身の危険を感じ、すぐ様その場から離れ、エッチャの方へ走った。
「ちゃッ⁈」
その時、エッチャは信じられないものを見た。逃げるオナブを追うそれを。
それはニシキサマのバラバラになった肉体だ。
ニシキサマの手や足,様々な部位の肉片が独りでに跳ね、オナブを追いかけていたのだ。
オナブは音で後ろに何かがいることがわかった。
「(着いてくる…⁈)」
その時、ニシキサマの肉片がオナブの右足ふくらはぎにくっついた。
すると、その肉片が触れた箇所のオナブの右ふくらはぎの肉が剥がれ落ちた。
「ぬぁあッ!!!」
オナブは地面に倒れた。
すると次の瞬間、ニシキサマの肉片は、ここぞとばかりにオナブの体に貼り付こうとした。
「うぁぁぁあ!!!来るなぁぁあ!!!」
この肉片に触れれば肉が削がれる。オナブもそれは理解したようだ。
オナブは襲い来る肉片達を払い除けた。しかし、払い除けるたびに肉片はオナブの腕の肉を削ぎ取っていく。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?!?!!!!」
エッチャは抱えていた少年を地面に下ろした。
「えっちゃ、ごめん!一人で逃げてくれ!」
「う、うん…!」
少年は走り去った。それを確認すると、エッチャは自身の服を脱ぎ、それをニシキサマの肉片達に投げつけた。
「『球丸』!!!」
すると、エッチャの服がニシキサマの肉片達を取り込み、丸い袋状になった。
「えっちゃ、コイツ、服着てる所には何も出来へんみたいや…」
オナブの肉が削がれた箇所はどれも、肌が露出している脚や腕など。エッチャは観察により、対象の肌に直接触れなければ肉は削ぎ落とせないのだと気づいたのだ。
その時、エッチャの『球丸』を逃れた肉片達が、エッチャとオナブに襲いかかってきた。
「えっちゃ、まだあんのかよ!」
エッチャは血だらけのオナブを抱えて、走り出した。
「(何やねん、アイツ…めっちゃ速いだけの奴やと思ったら、めっちゃヤバい奴やんけ…!)」
その時、肉片達はエッチャ達を追うのをやめた。
「えっ……ちゃ………」
音が離れていくことに気づき後ろを振り返ると、肉片達は地面に倒れているジャックに向かって移動していた。
「(しまった…!ジャック忘れてた…!)」
エッチャはオナブを抱えたまま、ジャックの方へ走り出した。
肉片は動きが遅い。エッチャは肉片達よりも早く、ジャックの元へたどり着いた。
「えっちゃ、起きろジャック!」
しかし、ジャックは気絶している。
エッチャはジャックを抱え上げようとした。しかし、既にオナブを抱えている。それに加え、192cmあるジャックの巨体を持ち上げるなど、いくらエッチャでも不可能。PSIを纏い、身体能力を強化しても、肉片達に追いつかれてしまう。
「えっちゃ、ホンマ体デカいだけやんコイツ…!」
エッチャが必死にジャックを抱え上げようとしている。しかし、ニシキサマの肉片達はすぐそこまで迫っていた。
「(やるしか無いやんけ…!)」
エッチャはオナブとジャックを地面に寝かせ、服を剥がし、それらを手に取った。
「えっちゃ、全部包んだるわッ!!!」
エッチャは覚悟を決めた。
するとその時、跳ね回っていた肉片達が急に動きを止めた。
「ちゃ…………?」
エッチャが動揺を露わにしたその時、エッチャが肉片達を包んだ服袋の中から声が聞こえてきた。
「『滅音秒速』!!!」
次の瞬間、エッチャの顔に何かが直撃した。
「(しまっ………)」
それはニシキサマの手。ニシキサマは、このバラバラの状態でも、『滅音秒速』を使えるのだ。
次の瞬間、エッチャの顔の肉が削ぎ落ちた。
「ぢァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!!!?!?!」
エッチャは顔を押さえ、うずくまった。
エッチャの顔は大きく凹んでおり、右目や鼻,唇などは削ぎ落とされてしまった。しかし、幸いにも、ニシキサマの手はエッチャの顔左下部を直撃した為、右目は無事だった。
「くッ…くはぁ…!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」
エッチャは痛みを堪え、残った右目で前方を見た。エッチャの目前では、肉片達が一つに融合し始めていたのだ。
数秒後、それらは上半身になった。そして、その上半身は腕を器用に使って歩行し、エッチャの『球丸』に閉じ込められた服袋へ移動した。
「イッイッイッイッイッ!慣レテギダ慣レテギダ!」
袋の中からはニシキサマの笑い声が聞こえてくる。
次の瞬間、ニシキサマの上半身はその服袋を引きちぎり、残りの肉片達を回収した。
全ての肉片が一つになり、元のニシキサマの体が形成された。
「オデ、強クナレテギダ!」
最初と比べ、ニシキサマのPSIが上昇している。
PSIやタレントは心理的な影響を受けやすい。ニシキサマはあの時、マツイにナイフを向けられ死を覚悟した。恐怖、後悔、怒り、焦り。あらゆる心理的負荷を負ったニシキサマは、死の実感をトリガーに覚醒したのだ。
「オデ、ダブルタレント、使エルヨウニナッダ!」
ニシキサマは自身の頭を両手で掴んだ。
「『肉蠢』!!!」
次の瞬間、ニシキサマは自身の頭部を持ち上げ、体から外した。
「イッイッイッイッイッ!オデ、凄イ!」
ニシキサマは、エッチャに自身の新タレントを見せびらかすかのように、頭部から垂れた脊髄をユラユラと揺さぶっている。
そんなニシキサマをよそに、エッチャはジャックからコートを脱がし、ちぎり始めた。
「ハァ…!ハァ…!ま…『球丸』…!」
エッチャはジャックの上着を自身の顔に覆わせた。そして、右目だけは見えるように、そこに穴を開けた。
また、残った切れ端にも『球丸』を使い、手や腕などの肌が露出した部分を覆った。ニシキサマの『肉蠢』での肉剥攻撃を防ぐ為である。
「イッイッイッイッイッ!ソンナノ無駄。」
エッチャは立ち上がり、構えた。
「オマエ、死ヌ。」
ニシキサマは体から抜き取った自身の頭を、頭頂部側から右手で鷲掴みにした。首の切断面からは長い脊髄が垂れている。
「オデガ、コロス!!!」
「オヌァ!!!」
オナブはマツイの顔を見て、驚きの声を上げた。
その声により、エッチャはマツイの異変に気づいた。
「えっちゃ、なんや…⁈」
オナブはマツイの肩に右手を乗せた。
「おい、マツイ!一体何したオナ…」
するとその時、オナブの右手とマツイの首が取れた。
「ヒギィヤァァァァァァァァア!!!」
オナブは右腕を押さえてうずくまった。
同時に、マツイの首が地面に落ちた。
マツイの首は、目を見開いたまま動かない。死亡しているのだ。
その時、エッチャはオナブの足元で何かが動くのを見た。
「えっちゃ、オナブ!早よそっから離れろ!何かおるぞ!」
次の瞬間、地面を蠢いていたそのナニカがオナブの右肘に張り付いた。
すると、そのナニカが張り付いた部分の肉が剥がれ落ち、右腕がさらに切断された。
「ぐッ…ぐぁぁぁぁぁあ…!!!」
オナブは苦痛の叫びを上げた。
それと同時に、オナブは身の危険を感じ、すぐ様その場から離れ、エッチャの方へ走った。
「ちゃッ⁈」
その時、エッチャは信じられないものを見た。逃げるオナブを追うそれを。
それはニシキサマのバラバラになった肉体だ。
ニシキサマの手や足,様々な部位の肉片が独りでに跳ね、オナブを追いかけていたのだ。
オナブは音で後ろに何かがいることがわかった。
「(着いてくる…⁈)」
その時、ニシキサマの肉片がオナブの右足ふくらはぎにくっついた。
すると、その肉片が触れた箇所のオナブの右ふくらはぎの肉が剥がれ落ちた。
「ぬぁあッ!!!」
オナブは地面に倒れた。
すると次の瞬間、ニシキサマの肉片は、ここぞとばかりにオナブの体に貼り付こうとした。
「うぁぁぁあ!!!来るなぁぁあ!!!」
この肉片に触れれば肉が削がれる。オナブもそれは理解したようだ。
オナブは襲い来る肉片達を払い除けた。しかし、払い除けるたびに肉片はオナブの腕の肉を削ぎ取っていく。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?!?!!!!」
エッチャは抱えていた少年を地面に下ろした。
「えっちゃ、ごめん!一人で逃げてくれ!」
「う、うん…!」
少年は走り去った。それを確認すると、エッチャは自身の服を脱ぎ、それをニシキサマの肉片達に投げつけた。
「『球丸』!!!」
すると、エッチャの服がニシキサマの肉片達を取り込み、丸い袋状になった。
「えっちゃ、コイツ、服着てる所には何も出来へんみたいや…」
オナブの肉が削がれた箇所はどれも、肌が露出している脚や腕など。エッチャは観察により、対象の肌に直接触れなければ肉は削ぎ落とせないのだと気づいたのだ。
その時、エッチャの『球丸』を逃れた肉片達が、エッチャとオナブに襲いかかってきた。
「えっちゃ、まだあんのかよ!」
エッチャは血だらけのオナブを抱えて、走り出した。
「(何やねん、アイツ…めっちゃ速いだけの奴やと思ったら、めっちゃヤバい奴やんけ…!)」
その時、肉片達はエッチャ達を追うのをやめた。
「えっ……ちゃ………」
音が離れていくことに気づき後ろを振り返ると、肉片達は地面に倒れているジャックに向かって移動していた。
「(しまった…!ジャック忘れてた…!)」
エッチャはオナブを抱えたまま、ジャックの方へ走り出した。
肉片は動きが遅い。エッチャは肉片達よりも早く、ジャックの元へたどり着いた。
「えっちゃ、起きろジャック!」
しかし、ジャックは気絶している。
エッチャはジャックを抱え上げようとした。しかし、既にオナブを抱えている。それに加え、192cmあるジャックの巨体を持ち上げるなど、いくらエッチャでも不可能。PSIを纏い、身体能力を強化しても、肉片達に追いつかれてしまう。
「えっちゃ、ホンマ体デカいだけやんコイツ…!」
エッチャが必死にジャックを抱え上げようとしている。しかし、ニシキサマの肉片達はすぐそこまで迫っていた。
「(やるしか無いやんけ…!)」
エッチャはオナブとジャックを地面に寝かせ、服を剥がし、それらを手に取った。
「えっちゃ、全部包んだるわッ!!!」
エッチャは覚悟を決めた。
するとその時、跳ね回っていた肉片達が急に動きを止めた。
「ちゃ…………?」
エッチャが動揺を露わにしたその時、エッチャが肉片達を包んだ服袋の中から声が聞こえてきた。
「『滅音秒速』!!!」
次の瞬間、エッチャの顔に何かが直撃した。
「(しまっ………)」
それはニシキサマの手。ニシキサマは、このバラバラの状態でも、『滅音秒速』を使えるのだ。
次の瞬間、エッチャの顔の肉が削ぎ落ちた。
「ぢァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!!!?!?!」
エッチャは顔を押さえ、うずくまった。
エッチャの顔は大きく凹んでおり、右目や鼻,唇などは削ぎ落とされてしまった。しかし、幸いにも、ニシキサマの手はエッチャの顔左下部を直撃した為、右目は無事だった。
「くッ…くはぁ…!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」
エッチャは痛みを堪え、残った右目で前方を見た。エッチャの目前では、肉片達が一つに融合し始めていたのだ。
数秒後、それらは上半身になった。そして、その上半身は腕を器用に使って歩行し、エッチャの『球丸』に閉じ込められた服袋へ移動した。
「イッイッイッイッイッ!慣レテギダ慣レテギダ!」
袋の中からはニシキサマの笑い声が聞こえてくる。
次の瞬間、ニシキサマの上半身はその服袋を引きちぎり、残りの肉片達を回収した。
全ての肉片が一つになり、元のニシキサマの体が形成された。
「オデ、強クナレテギダ!」
最初と比べ、ニシキサマのPSIが上昇している。
PSIやタレントは心理的な影響を受けやすい。ニシキサマはあの時、マツイにナイフを向けられ死を覚悟した。恐怖、後悔、怒り、焦り。あらゆる心理的負荷を負ったニシキサマは、死の実感をトリガーに覚醒したのだ。
「オデ、ダブルタレント、使エルヨウニナッダ!」
ニシキサマは自身の頭を両手で掴んだ。
「『肉蠢』!!!」
次の瞬間、ニシキサマは自身の頭部を持ち上げ、体から外した。
「イッイッイッイッイッ!オデ、凄イ!」
ニシキサマは、エッチャに自身の新タレントを見せびらかすかのように、頭部から垂れた脊髄をユラユラと揺さぶっている。
そんなニシキサマをよそに、エッチャはジャックからコートを脱がし、ちぎり始めた。
「ハァ…!ハァ…!ま…『球丸』…!」
エッチャはジャックの上着を自身の顔に覆わせた。そして、右目だけは見えるように、そこに穴を開けた。
また、残った切れ端にも『球丸』を使い、手や腕などの肌が露出した部分を覆った。ニシキサマの『肉蠢』での肉剥攻撃を防ぐ為である。
「イッイッイッイッイッ!ソンナノ無駄。」
エッチャは立ち上がり、構えた。
「オマエ、死ヌ。」
ニシキサマは体から抜き取った自身の頭を、頭頂部側から右手で鷲掴みにした。首の切断面からは長い脊髄が垂れている。
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