障王

泉出康一

文字の大きさ
36 / 211
第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第36障『約5メートルの高い高い』

しおりを挟む
インキャーン王国、闘技場、通路にて…

エッチャが目にしたものとは、子供をたかいたかぁ~いする人の姿。しかし、その高さが尋常ではなかった。
その男の身長は優に3メートルを超えており、手の長さを合わせると、子供が持ち上げられている高さは、地上から約5メートルもあった。

「ふぇ~ん!!!高いよぉ~!!!怖いよぉ~!!!」

子供は泣き叫んでいる。

「イッイッイッイッイッ!泣キヤンデ。」

子供を持ち上げているその巨人は、オチクビサマの代わりにマイアン軍の大魔障になった、ニシキサマであった。
次の瞬間、エッチャはPSIを纏って飛び上がり、ニシキサマの後頭部に蹴りをかました。

「イデッ!!!」

その表紙に、ニシキサマは子供を手から落とした。

「いやぁぁぁぁあ!!!」

子供が地面に落ちる寸前、エッチャは子供を抱きかかえた。

「えっちゃ、子供に何してんねん…!」

エッチャはその子供をそっと離した。

「危ないからちょっと離れてろ。」
「うん!ハゲのお兄ちゃん!」
「えっちゃ、ハゲちゃうわ!」

次の瞬間、エッチャは地面に倒れていた。

「ちゃ…ッ⁈」

エッチャは何が起こったかわからないようだ。

「イッイッイッイッイッ!コレデおあいこ。」

そんなエッチャの目の前には、子供を抱えたニシキサマが立っていた。

「(攻撃…された…⁈)」

エッチャは後頭部を触った。

「(頭叩かれたんか…見えへんかった…コイツ、めっちゃ速い…!)」

エッチャは地面を見た。そこには、高速で移動した跡が残っていた。

「(しかもコイツ、めっちゃ硬い…殺す気で蹴ったのに気絶すらしてへんやん…)」

エッチャは立ち上がった。

「(でも、逃げる訳にはいかへん…!)」

エッチャはニシキサマに話しかけた。

「えっちゃ、その子離せ。」
「嫌ダ嫌ダ。」

ニシキサマは子供の顔面を乱暴にヨシヨシしている。

「オデ、子供、好キ。」

その時、ニシキサマの指が子供の右目の中に入った。

「ギャァァァァァァァァァァア!!!」

子供の右目は抉れた。

「やめろぉぉぉぉぉお!!!」

エッチャはニシキサマに向かって走り出した。

「『滅音秒速スナッチビンタ』!!!」

説明しよう!
ニシキサマのタレント『滅音秒速スナッチビンタ』は、自身の移動速度を操作・向上させ、音速のスピードで移動が可能になる能力である。強力なタレントではあるが、このタレント発動中はビンタしか出来なくなる。さらに、早すぎる故、制御が効かず、一直線にしか動くことができない。
タイプ:操作型

ニシキサマは超スピードでエッチャを叩いた。

「ふかッ!!!」

エッチャはのけぞった。

「(アカン!速すぎて目で追われへん!剣も無いし…太刀打ちできへんやんけ…!)」

ニシキサマは高速で移動しながら、エッチャを攻撃し続けている。

「イッイッイッイッイッ!かまぼこニシテヤル!」

ニシキサマの攻撃力は決して高くない。しかし、確実に、エッチャにダメージを蓄積させている。

「(やばい…!このままじゃ負ける…!俺が負けたら、あの子が…)」

エッチャはニシキサマに抱えられている少年を見た。

「(アカン…俺は勝たなアカンねや…!)」

ニシキサマが超スピードでエッチャに襲いかかったその時、エッチャは叫んだ。

「『球丸マルク』!!!」

すると、エッチャのすぐ前の地面の一部が丸く盛り上がった。

「ムガッ⁈」

ニシキサマはその出っ張りに足を引っ掛け、転倒した。

「ちやぁぁぁぁあ!!!」

エッチャは前方に倒れるニシキサマの顔面に向けて、拳を突き上げた。

「イギィィィィィィィィィィィィィィ!!!」

PSIを纏ったエッチャの拳はニシキサマにクリーンヒットした。
ニシキサマが怯んだ隙を突き、エッチャはニシキサマから子供を奪い返した。
エッチャはそのまま走ってニシキサマから逃げ出した。

「(あんなバケモン勝たれへんわ!人命優先や!)」

エッチャが曲がり角に差し掛かったその時、ジャックとすれ違った。

「後は俺に任せな…アハッ!」
「えっちゃ、お前…」

ジャックは起き上がろうとするニシキサマに向かって走り出した。

「死にな…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!『感嘆の波動劇ラムダーハンド』!!!」

ジャックは即、返り討ちにされた。

「えっちゃ、何しに来てん!お前!」

その時、曲がり角の先から声が聞こえてきた。

「俺たちを導いたんだ。」

曲がり角からマツイとオナブが現れた。

「その馬鹿デカイ声がな。」
「えっちゃ、マツイ!それと…」

エッチャはオナブの顔を見た。

「オーガ・ニズム…?」
「オナブ・オナスだ!」

オナブは名前を間違えられた事で怒り心頭だ。

「イッイッイッイッイッ!マタ、ゴロザレニギダ。」

その時、ジャックを倒し終えたニシキサマは高速でエッチャ達に向かってきた。

「えっちゃ、来るぞ!」

ニシキサマはオナブを叩いた。
すると次の瞬間、ニシキサマの動きが止まった。

「いくら敵が速かろうと、オナブには通用しない。」
「(そうか…!時間止めたんか…!)」

オナブのタレント『人体の運行見合わせ報告パラライズ・ラグ』は、触れた者の時を止める。ニシキサマはオナブに触れた事により、時間が止まったのだ。

「『蒼白色の巨人郡ブルガードマン』!!!」

マツイは3体の巨人を創造した。

れ。」

巨人達は時の止まったニシキサマをボッコボコに殴りつけた。

「もう良いぞ。オナブ。」

オナブはタレントを解除した。

「イ"ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!?!?!」

ニシキサマは吹っ飛び、通路の壁に激突した。

「シコっと解決!ちょろいもんオナ!」

オナブは勝利のポーズをとった。

「えっちゃ、秒やん、お前ら。」
「当たり前オナ!オイラ達は最強オナ!負けるはずないニー!」
「(雷尿もやけど、コイツらのこういう喋り方は何経由なんや…?)」

マツイはナイフを取り出し、ニシキサマに近づいた。

「覚悟しな。バケモノ。」

ニシキサマの体が震え始めた。

「イ"ヤ"ダ…死ニた"く"ナ"イ"!」

マツイは容赦なく、ニシキサマの首にナイフを突き刺した。
次の瞬間、ニシキサマの体がバラバラに切断された。

「ッ⁈」

当然、マツイがやったのではない。マツイはただ、ナイフを首に突き刺しただけだ。それなのに、ニシキサマの体は手や足、首や腹など不規則に切断されていたのだ。

「痛ッ……」

マツイは自身の顔を手で覆った。
そこへ、オナブがやってきた。

「おいおい、マツイ~。ちょっとやり過ぎじゃないかオナ?」

オナブはニシキサマの状態がマツイがやったものだと思っているようだ。
その時、マツイはうめき声を上げた。

「ど、どうしたオナ…?」
「コレは…敵のタレント…なのか…」

マツイは顔を覆っていた手を離し、オナブの方を振り向いた。

「前が…見えない……」

マツイの顔は、鼻から上からが大きく抉れていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

処理中です...