障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第47障『ご褒美はお汁ですか?』

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インキャーン近海、船の上にて…

ナツカ,エッチャ,雷尿,ジャック,ニキ,ヤス,ハルカはイワモミの電撃を喰らい、地面に倒れて動けずにいた。
そして、船尾には恐怖するイワモミと、今まで舐めプしていたカメッセッセが対峙している。
カメッセッセはイワモミに向かって歩いている。

「『コールドゼロ』!!!」

イワモミはカメッセッセの足元を凍り付かせた。それにより、カメッセッセの靴は床の氷に貼り付いている。
しかし、カメッセッセは靴を脱ぎ、再びイワモミに向かって歩き始めた。

「ふっ!お馬鹿さんね!『コールドゼロ』!!!」

再び、イワモミはカメッセッセの足元を凍り付かせた。
しかし、カメッセッセは無理矢理に歩き始めた。

「せせぇッ⁈」

イワモミは驚いた。それもそうだ。カメッセッセの足は直接、素肌ごと床に凍りついていたのだ。にも関わらず、カメッセッセは歩き始めた。当然、カメッセッセの足裏の皮はめくれ、血が大量に流れ出ている。
しかし次の瞬間、カメッセッセの足裏の傷が一瞬で完治した。

「ケーモテーイ♡」

カメッセッセはイワモミとの距離を確実に縮めている。

「(忘れてたわ…奴には『M付加サービス』がある…いくらダメージを与えても、再生されるわ…)」

その時、イワモミは重大な事に気がついた。

「(まって…!カメッセッセは攻撃を当たらなくするタレントを持っている…!しかも、回復系タレントの『M付加サービス』まで…!)」

カメッセッセは余裕の顔でイワモミに近づいてくる。

「(回避と再生の二段構え…)」

イワモミはたじろいだ。

「(どうやって倒せばいいの…⁈)」

その時、カメッセッセは呟いた。

「お前、雑っ魚いわぁ~。全然ダメぇですぇわ~。」

カメッセッセはイワモミに微笑みかけた。

「お父さんのキャンタマボールからやり直すぇ。」

その笑みに恐怖心をさらに掻き立てられたイワモミは、カメッセッセに向かって走り出した。

「キェェェェェェェェェェェ!!!」

イワモミは巨大なモリを器用に扱い、カメッセッセを攻撃した。また、氷柱や火柱攻撃も同時に繰り出している。
この猛攻、おそらく全てを回避する事は誰にもできない。しかし、それらの攻撃がカメッセッセに当たる事は一度もなかった。

「(確実に当たるはずの攻撃が当たらない!何故⁈どうしてぇん⁈)」

するとその時、カメッセッセはイワモミの腹に拳を入れた。

「グフォ…!!!」

イワモミは攻撃の手を止め、腹を抑えた。

「ラッキー。当たらんかったわ。ケモテイ♡」

次の瞬間、カメッセッセはPSIを纏い、イワモミを連打した。

「カメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメカメ!!!!!!!!」

イワモミの体はカメッセッセに殴られて、ボコボコに変形していく。

「カメェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!」

カメッセッセはトドメの一撃をイワモミの顔面に喰らわせた。

「ハフグブァア!!!?!?!」

イワモミは海に投げ出された。

「ボスニア・ヘルツェゴビナッ…!」

カメッセッセは訳の分からない一言を言い放ち、決めポーズを取った。

「強ぇ……」

ナツカ達はカメッセッセの圧倒的な強さにただ見惚れていた。

海の上にて…

フルボッコにされたイワモミが海の上に仰向けで浮かんでいる。

「隊長~!」

そこへ、1体の人の顔をした魚姿の魔物がやってきた。

「大丈夫っすか!イワモミ隊長!」

イワモミ隊(海魔隊)・大魔障アグニ
種族名:ジンメンギョ

「アグニ…貴方に…やって欲しい事が…あるわぁん…」
「はぁ~…また俺っすか…」

船の上にて…

ナツカ達は体の痺れが取れ、立ち上がり始めた。しかし、ハンディーキャッパーではないヤスと、PSC肉体的PSI容量の少ないハルカは、PSIでの防御が不十分であった為、相当なダメージを負い、未だ目を覚まさない。

「ドピュっと流石ですね。カメッセッセさん。」
「当たり前ぇや。」

ニキはヤスを、雷尿はハルカを背負い、皆、カメッセッセの元へ集まった。

「オメェ、どうやって攻撃避けてたんダよ?」
「お前にはおすぃえへん。」

ナツカは怒った。

「教えろ。」
「あっかんべー。おすぃりぺんぺん。」

ナツカは拳を振り上げた。

「殴んぞ?」

しかし、カメッセッセは無言のままだ。
その時、ニキはナツカに話しかけた。

「無理ですぜい、ナツカのだんな。アッシもこの前、全くおんなじ対応されやしたから。」
「えっちゃ、ホンマ頭おかしいなコイツ。」
「もうどうでもいい。とりあえず殴る。」

ナツカが殴ろうとしたその時、カメッセッセはボソッと呟いた。

「確率魔法。」
「は?」

ナツカはカメッセッセの唐突な応答により、聞き返した。

「今なんつった?」
「確率魔法や。すぉれ以上でもすぉれ以下でもない。」

次の瞬間、船が大きく揺れた。

「ドピュっと何だ⁈」

すると、だんだんと船が沈み始めた。

「おいおい!沈んでんじゃねぇか船!」
「えっちゃ、海の魔物が船攻撃してんねん!」
「何とかせねば、このまま海に投げ出されたら、勝ち目が無いぞ!アハ~!!!オワタ~!!!オワタ~!!!」

その時、ニキは閃いた。

「そうだ!カメさん!船に『M付加サービス』をかけるんでさぁ!」

カメッセッセの『M付加サービス』は物体に対しても有効。再生する際、服すらも直っていたのはその為だ。

「あかん。もう遅ぉい。」

カメッセッセの『M付加サービス』は、破壊される前に使用しないと効果がない。だから、ニキの右目もエッチャの剣も再生されなかったのだ。
船はどんどん沈んでいく。

「おい!どうすんダよ!やべぇぞ!」
「もう無理や!踊れー!」

カメッセッセは踊り出した。
そして、船は沈んだ。

海上にて…

ナツカ達は海の魔物達に囲まれ、海に浮いていた。
その時、アグニがナツカ達の前にやってきた。

「万事休すっすね。」
「うるせぇ!船壊すなんて卑怯ダぞオメェら!」

ナツカは水をバシャバシャしている。

インキャーン近海こんな所に来るからっすよww」

アグニはニヤニヤしている。

「ドピュっとどうします…カメッセッセさん…」

雷尿はカメッセッセに話しかけた。

「調子乗ってごめんなすぁい調子乗ってごめんなすぁい調子乗ってごめんなすぁい調子乗ってごめんなすぁい調子乗ってごめんなすぁい調子乗ってごめんなすぁい…」

カメッセッセの顔からは、滝のように汗が流れ出ていた。どうやら流石のカメッセッセも、海の上で敵に囲まれた今の状況では、万事休すのようだ。

「よくやったわぁん…アグニ…♡」

部下達に抱えられている瀕死のイワモミが、アグニに投げキッスをした。

「帰ったら…お汁…かけてあげるわぁん…♡」
「最高じゃないですかww」

アグニはナツカ達を指差した。

「そういう事なんで…死んでもらいますよ。」

アグニが部下の魔物達に指示を出したその時、大砲の弾が瀕死のイワモミに直撃した。

「…え…」

アグニはイワモミの方を振り返った。
そこには、グチャグチャになった部下の魔物達やイワモミの姿が海に浮かんでいた。
イワモミは死亡した。

「えっちゃ、アレ…!」

エッチャが指差した先、そこには5隻の船がこちらに向かっていた。

「まさか、あの船は…!」

ニキはそれらの船に見覚えがあるようだ。
次の瞬間、それらの船から一斉に大砲の弾が飛んできた。

「ウギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!!!!!」

魔物達は次々と大砲の弾にやられていく。
ナツカ達は、カメッセッセとナツカの『微分魔法』で弾を対処していた。
数十秒後、魔物達はほとんど一掃され、大砲の弾も止んだ。

「やっぱりそうだ…」

船が近づくにつれ、ニキは確信した。

「えっちゃ、どうしてん?」
「バッカス海賊団。アッシの馴染みでさぁ。」
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