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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』
第52障『罠と蚊』
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夜、ポヤウェスト城、B2、地下牢獄にて…
雷尿とハルカはタレントの罠を掻い潜り、人々が収容されている地下牢獄へと辿り着いた。
「ッ…」
地下牢獄の光景を見た雷尿達は絶句した。
人々は鎖で手足を拘束され、ガリガリに痩せ細っていた。また、体の至る所に拷問の痕が見える。
「ヒドない…?」
「あぁ。ドピュっと許せないよ。」
雷尿達は階段から1番手前の牢屋の扉を破壊し、中へ入った。
「ドピュっと大丈夫ですか!」
雷尿は、鎖に繋がれ座り込んでいる男性に話しかけた。
「………」
しかし、その男性は既に事切れていた。
「くそッ…!」
雷尿は悔しそうに、地面を殴った。
「ッ…⁈」
その時、雷尿は背後からハルカ以外のPSIを感知した。
雷尿は振り返り、ハルカに話しかけた。
「気をつけろハルカ…誰か、階段から降りてくる…」
雷尿のその言葉を聞き、ハルカは階段の方を見た。
「『歌視』!!!」
ハルカは歌い始め、壁の先を透視し、階段にいる何者かの姿を見た。それを見ると同時に少し表情を歪めた。
「めっちゃ乳垂れてる…」
ハルカの目に真っ先に映ったのは、薄らと毛が生えた垂れ乳だった。
「ドピュッとなんだって?声が小さくて聞こえないぞ。」
「いや……1匹…猿みたいな魔物…」
それは大魔障のボノボンだ。ボノボンは雷尿達がトラップに引っかからない事を考慮し、自らが戦いに赴いたのだ。
しかし、ボノボンは階段で立ち止まっていた。
「(…なんかやってる…?)
ボノボンは階段で何か小さな籠のようなものを取り出している。
「時間が惜しい。ドピュっとこっちから…」
雷尿が階段の方へ向かおうとしたその時、ハルカは雷尿の手を引っ張った。
「アカン…!」
「ドピョ?」
「なんか飛んでくる…!いっぱい…!」
「なんかって、ドピュっと何だよ?」
ハルカは焦っている。
「ハァ~ン!!!危ない雷尿~ッ!!!」
ハルカは雷尿を突き飛ばした。
「ッ⁈」
次の瞬間、ハルカは目に見えない何かに腹部を貫かれた。
「ぐぁはッ!!!」
ハルカは床に倒れた。
「ハルカ!!!」
雷尿は倒れたハルカに駆け寄った。
「『勃起』!!!」
雷尿は撃ち抜かれたハルカの腹部の肉を巨大化させ、傷口を防いだ。それにより、出血が止まった。
「おい!ハルカ!ドピュっとしっかりしろ!何にやられたんだ⁈」
ハルカはとある方を指差した。
そこには、1匹の蚊が飛んでいた。
「蚊……?」
その蚊は雷尿の右腕に止まった。
すると次の瞬間、その蚊から弾丸のような物が発射され、蚊が止まった雷尿の腕を貫通した。
「うぐッ…!!!」
雷尿はその蚊を叩き潰した。
「(なんだ⁈蚊が何かを飛ばした⁈)」
雷尿は叩き潰した蚊を見ている。
「(ドピュっと普通の蚊だ。創造型じゃない。おそらく付加型。実在の蚊にタレントを付加して、ドピュっと俺の腕を貫いたんだ…!)」
その時、他の蚊が現れ、雷尿のふくらはぎに止まった。
「ッ⁈」
止まった蚊に気づくや否や、雷尿のふくらはぎは貫かれた。
「がッ…!!!くそッ!!!」
雷尿はその蚊を叩き潰した。
階段にて…
ボノボンは籠から蚊を放っている。
「蚊の足は細く、体に蚊が止まった瞬間を感知できる人間なんていない。そして、蚊の唾液には麻酔効果があり、血を吸う際にも気づかれる事はない。刺された後、痒みが襲い、人間はやっと自身の体に蚊が止まっていた事に気がつく。」
ボノボンの足元には蚊取り線香が置いてあり、コレを利用して、蚊を地下牢獄へと送り、出てこないようにしているようだ。
「でも、刺された頃にはもう遅い。ウチのタレント『即キレ殺人装置』が発動し、お前達の体を貫く。」
説明しよう!
ボノボンのタレント『即キレ殺人装置』は、罠を付加する能力である。手で触れた箇所にタレントを付加する事で、一定の圧力以上により作動するトラップを作る事が出来るのだ。このタレントは無生物だけでなく生物にも付加可能だが、液体や気体などには付加する事は出来ない。また、タレントを付加した箇所にはPSIが付いてしまう為、ハルカのような感知型のタレントを持つ者相手には、相性が悪い。また、一度発動したトラップは、ボノボンが再びタレントを付加しない限り、再度発動はしない。
射撃・斬撃・打撃・拘束など、トラップの種類はボノボン自身で決める事が出来るが、その自由度は、付加させた物体の材質でしか反映はされない。例えば、蚊をトラップにした場合、蚊の体や血液のみでトラップは構成される。その為、蚊から鋼鉄の刃や鎖が飛んでくる事はないという訳だ。
タイプ:付加型
「さらにこの暗闇。よほどの近距離でない限り、5~6ミリしかない蚊を目で捉える事など不可能。」
ボノボンは新たな籠を取り出し、さらに蚊を放った。
「感知型を先に殺れて良かったわ。あとは1人…!」
地下牢獄、1番手前の牢屋にて…
大量の蚊が、雷尿達の元へ集まってくる。
「『勃起』!!!」
雷尿はデカマーラの槍を巨大化させ、槍を振るった。しかし、蚊には当たらない。
蚊には気流を感知する能力がある。それ故、暗闇の中でも障害物をかわしながら雷尿の元へ向かう事が出来るのだ。当然、雷尿の大振りなど回避は容易い。
蚊は再び、雷尿の右腕に止まった。
「ッ⁈」
気づいた時には、既に雷尿の腕は何かに貫かれている。
「ぐッ…!!!」
雷尿は蚊を叩き潰した。
「(血だ…!ドピュっと俺の腕を貫いたのは…!)」
そう。雷尿やハルカの体を貫いた何かの正体とは、蚊が吸った血液その物である。
ボノボンの『即キレ殺人装置』は、付加させた物体の材質でしかトラップの効果を反映できない。つまり、蚊が吸った血液を弾丸の如く発射するように、ボノボンはプログラムしていたのだ。
雷尿は、血を吸った蚊を叩き潰したにも関わらず、自身の手に血が付着していない事に気づいた。それ故、弾丸の正体が蚊の吸った血液である事を悟ったのだ。
「(つまり、蚊に血さえ吸われなければ、ドピュっとタレントは発動しない!)」
雷尿は服を脱ぎ、倒れたハルカの体に被せた。
「(コレで、ドピュっと蚊はハルカの血を吸えない…はず…)」
雷尿は全身服で覆われたハルカを見ている。
「(あれ…?蚊って服の上からでもドピュっと吸うのかな…?まぁいいや!)」
雷尿は体にPSIを纏った。
「ドピュっと元を断つまでだ!『勃起』!!!」
雷尿は全身にタレントを付加させた。
「『甲の勃ち』!!!」
雷尿は全身を超硬質化させ、蚊の針を通さないようにした。
そして、雷尿はボノボンがいる階段まで走り出した。
階段にて…
階段の半ばには、蚊取り線香を持ったボノボンがいる。
ふと階段の下の方へ目をやると、ちょうど半裸の雷尿が現れた。
「のぉ⁈」
雷尿とボノボンは目があった。
「(服を脱いでる⁈瀕死の仲間に被せたのか!)」
雷尿はボノボンに向かって、階段を駆け上がってきた。
「(強行突破⁈まずい…!)」
ボノボンは足元の階段に手をついた。
「『即キレ殺人装置』!!!」
雷尿がボノボンの顔面に拳を放った次の瞬間、ボノボンの足元の階段が上に飛び出し、雷尿の拳を飛んで回避した。
「ドピぇえ⁈」
ボノボンはそのままの勢いで雷尿を飛び越え、地下牢獄へと走り出した。
「(まずい!そっちにはハルカが!)」
このままでは、ハルカが人質に取られてしまう。雷尿は急いでボノボンを追った。
地下牢獄、1番手前の部屋にて…
雷尿はハルカのいる部屋へとやってきた。
「ドピュっと卑怯者が…!」
雷尿の予想通り、ボノボンはハルカを人質にしていた。
「さぁて、どうしてあげようかしら…♡」
雷尿とハルカはタレントの罠を掻い潜り、人々が収容されている地下牢獄へと辿り着いた。
「ッ…」
地下牢獄の光景を見た雷尿達は絶句した。
人々は鎖で手足を拘束され、ガリガリに痩せ細っていた。また、体の至る所に拷問の痕が見える。
「ヒドない…?」
「あぁ。ドピュっと許せないよ。」
雷尿達は階段から1番手前の牢屋の扉を破壊し、中へ入った。
「ドピュっと大丈夫ですか!」
雷尿は、鎖に繋がれ座り込んでいる男性に話しかけた。
「………」
しかし、その男性は既に事切れていた。
「くそッ…!」
雷尿は悔しそうに、地面を殴った。
「ッ…⁈」
その時、雷尿は背後からハルカ以外のPSIを感知した。
雷尿は振り返り、ハルカに話しかけた。
「気をつけろハルカ…誰か、階段から降りてくる…」
雷尿のその言葉を聞き、ハルカは階段の方を見た。
「『歌視』!!!」
ハルカは歌い始め、壁の先を透視し、階段にいる何者かの姿を見た。それを見ると同時に少し表情を歪めた。
「めっちゃ乳垂れてる…」
ハルカの目に真っ先に映ったのは、薄らと毛が生えた垂れ乳だった。
「ドピュッとなんだって?声が小さくて聞こえないぞ。」
「いや……1匹…猿みたいな魔物…」
それは大魔障のボノボンだ。ボノボンは雷尿達がトラップに引っかからない事を考慮し、自らが戦いに赴いたのだ。
しかし、ボノボンは階段で立ち止まっていた。
「(…なんかやってる…?)
ボノボンは階段で何か小さな籠のようなものを取り出している。
「時間が惜しい。ドピュっとこっちから…」
雷尿が階段の方へ向かおうとしたその時、ハルカは雷尿の手を引っ張った。
「アカン…!」
「ドピョ?」
「なんか飛んでくる…!いっぱい…!」
「なんかって、ドピュっと何だよ?」
ハルカは焦っている。
「ハァ~ン!!!危ない雷尿~ッ!!!」
ハルカは雷尿を突き飛ばした。
「ッ⁈」
次の瞬間、ハルカは目に見えない何かに腹部を貫かれた。
「ぐぁはッ!!!」
ハルカは床に倒れた。
「ハルカ!!!」
雷尿は倒れたハルカに駆け寄った。
「『勃起』!!!」
雷尿は撃ち抜かれたハルカの腹部の肉を巨大化させ、傷口を防いだ。それにより、出血が止まった。
「おい!ハルカ!ドピュっとしっかりしろ!何にやられたんだ⁈」
ハルカはとある方を指差した。
そこには、1匹の蚊が飛んでいた。
「蚊……?」
その蚊は雷尿の右腕に止まった。
すると次の瞬間、その蚊から弾丸のような物が発射され、蚊が止まった雷尿の腕を貫通した。
「うぐッ…!!!」
雷尿はその蚊を叩き潰した。
「(なんだ⁈蚊が何かを飛ばした⁈)」
雷尿は叩き潰した蚊を見ている。
「(ドピュっと普通の蚊だ。創造型じゃない。おそらく付加型。実在の蚊にタレントを付加して、ドピュっと俺の腕を貫いたんだ…!)」
その時、他の蚊が現れ、雷尿のふくらはぎに止まった。
「ッ⁈」
止まった蚊に気づくや否や、雷尿のふくらはぎは貫かれた。
「がッ…!!!くそッ!!!」
雷尿はその蚊を叩き潰した。
階段にて…
ボノボンは籠から蚊を放っている。
「蚊の足は細く、体に蚊が止まった瞬間を感知できる人間なんていない。そして、蚊の唾液には麻酔効果があり、血を吸う際にも気づかれる事はない。刺された後、痒みが襲い、人間はやっと自身の体に蚊が止まっていた事に気がつく。」
ボノボンの足元には蚊取り線香が置いてあり、コレを利用して、蚊を地下牢獄へと送り、出てこないようにしているようだ。
「でも、刺された頃にはもう遅い。ウチのタレント『即キレ殺人装置』が発動し、お前達の体を貫く。」
説明しよう!
ボノボンのタレント『即キレ殺人装置』は、罠を付加する能力である。手で触れた箇所にタレントを付加する事で、一定の圧力以上により作動するトラップを作る事が出来るのだ。このタレントは無生物だけでなく生物にも付加可能だが、液体や気体などには付加する事は出来ない。また、タレントを付加した箇所にはPSIが付いてしまう為、ハルカのような感知型のタレントを持つ者相手には、相性が悪い。また、一度発動したトラップは、ボノボンが再びタレントを付加しない限り、再度発動はしない。
射撃・斬撃・打撃・拘束など、トラップの種類はボノボン自身で決める事が出来るが、その自由度は、付加させた物体の材質でしか反映はされない。例えば、蚊をトラップにした場合、蚊の体や血液のみでトラップは構成される。その為、蚊から鋼鉄の刃や鎖が飛んでくる事はないという訳だ。
タイプ:付加型
「さらにこの暗闇。よほどの近距離でない限り、5~6ミリしかない蚊を目で捉える事など不可能。」
ボノボンは新たな籠を取り出し、さらに蚊を放った。
「感知型を先に殺れて良かったわ。あとは1人…!」
地下牢獄、1番手前の牢屋にて…
大量の蚊が、雷尿達の元へ集まってくる。
「『勃起』!!!」
雷尿はデカマーラの槍を巨大化させ、槍を振るった。しかし、蚊には当たらない。
蚊には気流を感知する能力がある。それ故、暗闇の中でも障害物をかわしながら雷尿の元へ向かう事が出来るのだ。当然、雷尿の大振りなど回避は容易い。
蚊は再び、雷尿の右腕に止まった。
「ッ⁈」
気づいた時には、既に雷尿の腕は何かに貫かれている。
「ぐッ…!!!」
雷尿は蚊を叩き潰した。
「(血だ…!ドピュっと俺の腕を貫いたのは…!)」
そう。雷尿やハルカの体を貫いた何かの正体とは、蚊が吸った血液その物である。
ボノボンの『即キレ殺人装置』は、付加させた物体の材質でしかトラップの効果を反映できない。つまり、蚊が吸った血液を弾丸の如く発射するように、ボノボンはプログラムしていたのだ。
雷尿は、血を吸った蚊を叩き潰したにも関わらず、自身の手に血が付着していない事に気づいた。それ故、弾丸の正体が蚊の吸った血液である事を悟ったのだ。
「(つまり、蚊に血さえ吸われなければ、ドピュっとタレントは発動しない!)」
雷尿は服を脱ぎ、倒れたハルカの体に被せた。
「(コレで、ドピュっと蚊はハルカの血を吸えない…はず…)」
雷尿は全身服で覆われたハルカを見ている。
「(あれ…?蚊って服の上からでもドピュっと吸うのかな…?まぁいいや!)」
雷尿は体にPSIを纏った。
「ドピュっと元を断つまでだ!『勃起』!!!」
雷尿は全身にタレントを付加させた。
「『甲の勃ち』!!!」
雷尿は全身を超硬質化させ、蚊の針を通さないようにした。
そして、雷尿はボノボンがいる階段まで走り出した。
階段にて…
階段の半ばには、蚊取り線香を持ったボノボンがいる。
ふと階段の下の方へ目をやると、ちょうど半裸の雷尿が現れた。
「のぉ⁈」
雷尿とボノボンは目があった。
「(服を脱いでる⁈瀕死の仲間に被せたのか!)」
雷尿はボノボンに向かって、階段を駆け上がってきた。
「(強行突破⁈まずい…!)」
ボノボンは足元の階段に手をついた。
「『即キレ殺人装置』!!!」
雷尿がボノボンの顔面に拳を放った次の瞬間、ボノボンの足元の階段が上に飛び出し、雷尿の拳を飛んで回避した。
「ドピぇえ⁈」
ボノボンはそのままの勢いで雷尿を飛び越え、地下牢獄へと走り出した。
「(まずい!そっちにはハルカが!)」
このままでは、ハルカが人質に取られてしまう。雷尿は急いでボノボンを追った。
地下牢獄、1番手前の部屋にて…
雷尿はハルカのいる部屋へとやってきた。
「ドピュっと卑怯者が…!」
雷尿の予想通り、ボノボンはハルカを人質にしていた。
「さぁて、どうしてあげようかしら…♡」
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