障王

泉出康一

文字の大きさ
51 / 211
第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第51障『かんじちゃう』

しおりを挟む
夜、ポヤウェスト城下町、広場にて…

辺りには魔物の死骸が大量に転がっていた。カメッセッセが魔物を殺し回っていたのだ。
その時、1体の瀕死の魔物がカメッセッセの足を掴んだ。

「な…何者だ…貴様…!」

次の瞬間、カメッセッセはその魔物の頭部を踏み潰した。

「オレ、カメッセッセ。」

ポヤウェスト城 1F、とある部屋にて…

ナツカ,エッチャ,雷尿,ジャック,ハルカは、カメッセッセの陽動のおかげで、城内へ侵入する事に成功した。

「ボスは玉座の間に居る。3人とも、ドピュっと無理はするなよ。」

雷尿はボス討伐チームのナツカ,エッチャ,ジャックに言った。

「捕虜の救出が終われば、俺達もドピュっと駆けつけるから。」

その時、ナツカは雷尿に問いかけた。

「思ったんダけどよ、全員でボス倒してから救出向かった方が良いんじゃねぇか?」
「いや、それは出来ない。」
「なんでい?」
「捕虜を人質にされるから。」
「あ、なるほど。」

雷尿とナツカが話をしている間、エッチャは壁に掛かっていた細身の曲刀、シャムシールを手に取った。

「(変な形やな…)」

エッチャはイワモミに剣を蒸発させられた。それ故、武器を調達していたのだ。

「(ま、いっか。軽いし。)」

エッチャはシャムシールを手に入れた。

「えっちゃ、ジャック。武器は?」

エッチャはジャックに武器の調達を促した。エッチャと同様、イワモミとの戦いで武器を失ったからだ。

「俺はいい。武器などなくても、最強だからな…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」
「えっちゃ、これでも持っとけ。」

エッチャはジャックに鍋蓋を渡した。

「それじゃあ、お互い、生きてまた会おう。」
「おう!!!」

ナツカとエッチャとジャックはボスモンスターが居る3階の玉座の間へ、雷尿とハルカは人間達が収容されている地下へと向かった。

ポヤウェスト城、3F、玉座の間にて…

王座に座る魔障将タクシスの元へ、魔物の大魔障ボノボンがやってきた。

「タクシス様。侵入者です。数は5人。私の感知トラップによると、2人は地下へ、残り3人はココへ向かってくるもよう。」
「城下町へ送った兵士共はどうした?」
「戻って来ないところを見るに、おそらく、全滅かと。」
「…」

タクシスはしばらく考え込んだ。

「わかった。ココへ来る3匹は私自らが相手をする。ボノボン、前は地下へ向かった2匹を始末しろ。」
「わかり……」

その時、ボノボンはタクシスとの約束を思い出した。

「…御意。」

ボノボンは玉座の間を出た。

「(侵入者…一体何者なんだ…)」

ポヤウェスト城B1、地下牢への通路にて…

「『勃起ビルド』!!!」

雷尿は地下を監視する魔物達を倒していく。

「(コイツら、ドピュっと弱い…いや、俺がドピュっと強くなってるのか…?)」

今まで、雷尿達は強敵としか戦ってこなかった。だから、実感が無かったのだ。自分達が確実に強くなっている事に。

【インキャーン編開始頃からの成長具合】
ナツカ MSC:350→1000 PSC:100→350
エッチャ MSC:180→1000 PSC:60→380
雷尿 MSC:680→1350 PSC:250→440
ジャック MSC:720→1200 PSC:180→300
ハルカ MSC:100→300 PSC:20→50

雷尿はPSIを纏った自身の腕を眺めた。

「(コレはちょっと、ドピュっと調子乗っちゃうな…)」

雷尿は通路の奥へ進もうと歩き始めた。

「ッ…?」

その時、何かを踏みつけたような違和感が、雷尿の足裏に生じた。
すると次の瞬間、天井から鎖が出現し、雷尿の首を絞め上げた。

「がふッ…!!!」

雷尿の体は地面から浮いており、完全に首が絞まっている。

「雷尿…!!!」

ハルカは雷尿に駆け寄ろうとしたその時、ハルカも何かを踏みつけた。

「ッ⁈」

次の瞬間、ハルカに向かって、壁から1本の槍が飛び出してきた。

「くッ…!!!」

雷尿は体を吊された状態のまま、ハルカを襲う槍に向けてデカマーラの槍を投げた。
飛んできた槍はデカマーラの槍に弾かれ、ハルカには当たる事はなかった。

「『勃起ビルド』!!!」

雷尿は首を巨大・硬質化させ、鎖を引きちぎった。

「ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!」

雷尿は地面に着地し、咳き込んでいる。
ハルカは雷尿の元へ駆け寄ろうとした。

「ドピュっと動くな!!!」

しかし、雷尿はそれを止めた。

「(何か踏んだ…そしたら、鎖がドピュっと出た…罠…?)」

雷尿は辺りを見渡した。しかし、辺りには魔物の死骸以外は何も無い。

「ハルカ。タレントで辺りをドピュっと調べてくれ。」
「う、うん…」

ハルカは通路を見た。

「『歌視ミエル』!!!」

ハルカは歌い始め、周辺を調べた。

「どうだ?ドピュっと何かあったか?」
「なんか…めっちゃある…そことか、あっことか…」

ハルカは雷尿のすぐ横の床を指差した。しかし、雷尿の目には何も無い、普通の床だ。

「ドピュっと何にも無いぞ…?」
「PSI付いてんねん…多分それ、タレントやで…」

雷尿はその床を見て、思考している。

「(ここからPSIは感じられない…でもハルカが言うなら、ドピュっと間違いないだろう。タレント…おそらく、接触で発動するトラップ系。PSIの感知を掻い潜る効果もあると見た方がいい。)」

雷尿は立ち上がった。

「ハルカ。罠の位置を教えてくれ。先へ進もう。」

ハルカはデカマーラの槍を拾い、雷尿の元まで歩いた。そして、雷尿はハルカからデカマーラの槍を受け取った。

「頼んだぞ。」
「うん…!『歌視ミエル』!!!」

ハルカのタレントで罠を掻い潜りながら、雷尿達は奥へ進んだ。
しばらく通路を進むと、階段が現れた。その下に、人間達が収容されている牢屋がある。雷尿達はそこへ向かう為、階段を降りなければならない。
しかしその時、ハルカは立ち止まった。

「ドピュっとどうした?」
「階段の前…全部トラップ付いてる…」

ハルカ曰く、階段の前の床全体に敵のトラップタレントが付けられているようだ。

「範囲は?」
「あっこからここまで…」

ハルカは罠の範囲を雷尿に教えた。

「ドピュっと飛び越えるのは無理か…よし。」

すると、雷尿はハルカを背負った。

「『勃起ビルド』!!!」

雷尿はデカマーラの槍を伸ばし、階段直前の天井に突き刺した。

「ドピュっと掴まってろよ。」
「うん…」

雷尿は槍が天井にしっかり突き刺さっている事を確認した。

「『勃起ビルド』解除!!!」

次の瞬間、デカマーラの槍は元の長さまで縮み始めた。それを利用し、雷尿達は階段まで移動する事ができた。

「やった!上手くイった!大性交だいせいこうだ!」
で…」
⁈ドピュっと何言ってんだよ⁈こんな時に!」
「…もうええわ…」

雷尿達は先へ進んだ。
その様子を大魔障ボノボンが背後からこっそりと覗き見していた。

「感知型、か…コレは、ウチが直接始末しないといけないわね。」

ボノボンは雷尿達を追いかけた。

P.S.ボノボンはメスです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

処理中です...