障王

泉出康一

文字の大きさ
56 / 211
第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第56障『責任を取りに行くか』

しおりを挟む
ポヤウェスト王国はナツカ達の活躍により、魔物の支配から解放された。また、地下牢に囚われていた人々も解放され、皆、今宵はポヤウェスト城で一夜を明かす事となった。

深夜、ポヤウェスト城2F、とある部屋にて…

ナツカ達は治療されている。
そんな中、ポヤウェスト二大騎士長の1人、ナドゥーラが代表して礼を述べている。

「貴方達のおかげでこの国は救われたわ。ありがとう。」
「いえいえ、俺達の方こそ。あの時はドピュっと助けてくれてありがとうございます。」
「(ドピュっと?)」

数時間前、ポヤウェスト城、地下牢獄にて…

倒したボノボンのタレントにより、トラップへと変化したハルカ。それに触れてしまった雷尿に向けて、ハルカの爪が弾丸のように発射された。

「(PSIの持続…⁈まずい!ドピュっと…死ぬッ…⁈)」

雷尿の額にハルカの爪が命中しかけたその時、何者かの声が聞こえてきた。

「『PSI変容バリエ』!!!」

次の瞬間、雷尿の頭部が何者かのPSIに覆われ、ハルカの爪を弾いた。

「PSI…⁈」

雷尿は振り返った。するとそこには、ボロボロな姿のパエーザとナドゥーラがいた。

現在…

「いつでも抜け出す事はできた。しかし、捕まった国民全員を逃す事は、私達にもできない。お前達が来てくれて助かった。」

ナドゥーラに続いて、パエーザも礼を述べ、軽く頭を下げた。

「それにしても、貴方達は一体何者なの?」
「ドピュっと申し遅れました。私はデカマーラ王国、現国王の残・雷尿。障王の末裔です。」

「「国王⁈」」

ナドゥーラとパエーザは同時に驚きの声を上げた。

「我々は魔王を倒すべく、障王の末裔を探す旅をしているのです。この国にドピュっと立ち寄ったのも、元々はそれが目的で…」
「セッセン。」

その時、カメッセッセが雷尿の真横に現れた。

「ドピェ⁈か、カメッセッセさん⁈」
「お前ら全然戻って来ーへんと思ったら、こんな所で絶倫パーティーしてたんか!か⁈」
「す、すみません!カメッセッセさんの事、ドピュっと忘れてました…」
「許すぁへん。」

カメッセッセはご立腹のようだ。

「オレの事、忘れられへん体にすぃたる。」

カメッセッセは雷尿のケツに自身のイチモツを入れた。

「ドピャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!!!?!?!??!!!」

それを見て、ナドゥーラは目を輝かせた。

「良い…♡」

ナドゥーラの中でナニカが目覚めた。
一方、パエーザは嫌悪の目で雷尿とカメッセッセを見ている。

「BLなんかキモい!キモい!死ねぇぇぇぇえ!!!」

ナツカが逸れた話を戻すべく、少し大きな声を出した。

「と、ところでよぉ、ポヤウェストの障王、今どこに居んダ?死んダか?」
「縁起でもない事言わないでよ!」

声を荒げたナドゥーラとは裏腹に、パエーザは冷静にナツカに答え始めた。

「王族は皆、魔物に処刑されてしまった。しかし、ユート王子だけは影武者を作り、難を逃れた。一人の側近の兵士と、今も何処かで生きておられるはず…」
「えっちゃ、んで何処おんの?」
「さぁな。それは私らにもわからん。」

その時、犯され終えた雷尿が弱々しく呟いた。

「ドピュっと…二手に分かれるのは…どう…かな…」
「二手?」

ナツカ達は首を傾げた。

「ユート王子捜索組と…ドピュっと…ココに残る組だ…」
「えっちゃ、何でそんな事すんのさ?」
「この国には、いずれまた、魔王軍がやってくる…ドピュっと定期連絡が途絶えるからだ…そして、この国からデカマーラまでは距離がある…加えて、怪我人もドピュっと多い…移動は無理だ…」

雷尿はズボンを下ろされていたズボンを上げた。

「いずれ来る魔王軍に備えて、ココに戦力を残す必要がある。少なくとも、怪我が治るまで。」
「結局、どういう事ダ?」

理解しきれなかったナツカに対して、内容を大体理解したパエーザが雷尿に確認する。

「ココの国民全員をデカマーラに移動させたい。しかし、皆、捕虜にされていた影響で長旅には耐えられない。だから、しばらくはポヤウェストに待機して体の回復を待つ。だが、その間に魔物が攻めてきたらまずい。よって、戦える何人かはポヤウェストに残る。そういう事だろ?」
「うん。そして、もう一つの問題がユート王子だ。彼がもし、今の状況で魔王軍と接触してしまえば、かなり危険だ。一刻も早く彼を見つけ出し、ドピュっと仲間にする必要がある。」

その話を聞き、エッチャは腕を組んだ。

「えっちゃ、ココでもチーム分けか。」
「捜索チームの方は感知型のタレントを持つハルカは絶対。そして、ダメージが比較的少なく、移動に差し支えのない者がドピュっと同行すべきだ。」

雷尿は皆のダメージ度合いを見た。

ナツカ:右前腕骨骨折,鼻骨骨折,左脛骨骨折(ヒビ),左腓骨骨折(ヒビ),助骨3本骨折(うち2本ヒビ)
エッチャ:頭頂骨骨折(ヒビ),助骨5本骨折(うち2本ヒビ)
カメッセッセ:無傷
雷尿:右拳刺創,左腕銃創,右足銃創,ケツ処女喪失
ジャック:喉頭刺創,助骨2本骨折(うち2本ヒビ)意識不明
ハルカ:腹部銃創
パエーザ:栄養失調,全身打撲創
ナドゥーラ:栄養失調,全身打撲創

「これじゃあ、カメッセッセさん以外、ドピュっとココに残る事になりそうですね。」

その時、ハルカは小さな声で叫んだ。

「俺、カメッセッセこんな奴と2人旅なんか嫌やで!」

それに対して、ナツカは言い放った。

「ワガママ言ってんじゃねぇぞ。2人で仲良く手ぇ繋いで行けや。」
「他人事やと思って…ナツカ出来んのかよ?カメッセッセコイツと2人旅。」
「あ?できる訳ねぇダろ。死んダ方がましダ。」
「ケモテイ♡」

カメッセッセは何故か気持ちよさそうだ。
その時、パエーザが雷尿に話しかけた。

「私もユート様探索チームに入れてくれ。」

続けて、ナドゥーラも言った。

「パエちゃんが行くなら私も!」

しかし、雷尿は首を振った。

「ドピュっとダメです。貴方達はついさっきまで捕虜だったんですよ。捜索組は遅くとも明日の昼には出発します。」

それを聞き、ハルカは驚いた。

「えっ…俺…全然休憩できへんやん…腹撃たれてんのに…」

そんなハルカに、またナツカは言った。

「カメッセッセに背負ってもらえや。」
「えっちゃ、ちょっと加齢臭臭いけどな。」
「最悪や…」

雷尿はパエーザとナドゥーラを見た。

「長旅になります。そんな痩せ細った体で、すぐに旅に出るのは危険すぎますよ。そんな痩せ細った体で…体……カラダ………ハァ…♡ハァ…♡ハァ…♡」

雷尿はパエーザ達の体を見て興奮している。

「えっちゃ、雷尿。落ち着け。」

エッチャの言葉により、雷尿は正気を取り戻した。

「ドピュっという訳です。お2人はポヤウェストに残ってください。国民を守るのも、兵士の役目ですよ。」

パエーザとナドゥーラは渋々納得した。

「ハルカ、ごめん。カメッセッセさんと2人旅だ。ドピュっと我慢してくれ。」

ハルカは絶望した。

「カメッセッセさん、ドピュっとお願いできますか?」
「無理。」
「は?」
「俺行かん。」

ハルカはガッツポーズした。

「おっしゃッ!!!」

雷尿は怒った。

「いい加減にして下さい!カメッセッセさん!エセバスケの時もそうでしたよね!何でドピュっと無理なんですか⁈」
「勘や。」

するとその時、カメッセッセはいつになく真剣な表情になった。

「胸騒ぎがすぅんねん…」

魔王城、魔障王Mr.クボタの部屋にて…

Mr.クボタの部屋の壁には、人間の骨が無数に飾り付けられていた。
部屋の中央、Mr.クボタは人間の肉で作られた巨大な椅子に座っている。右手には人間の血が入ったワイングラスを持っていた。

「Tィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!」

ドアのノックと同時にレイパーTの叫び声が鳴り響いた。

「入っていいよ。」

Mr.クボタの応答を聞き、レイパーTは部屋へと入ってきた。
そんなレイパーTの右脇には、イワモミの側近、大魔障アグニが抱えられていた。そう、アグニは生きていたのだ。

「障王共の居場所がわかりました!!!」

Mr.クボタはアグニを見ている。

「(この方が…魔障王Mr.クボタ様…)」

アグニはMr.クボタの貫禄に怯えている。

「キミは?」

Mr.クボタはアグニを指差した。

「わ!私は海魔隊!大魔障アグニ!ナツカ・チハーヤ含め、障王一行の行き先を報告に参りました!」
「大魔障?キミの上司、魔障将はどうしたの?」

Mr.クボタはアグニを抱えるレイパーTに近づいてきた。

「ま・さ・か……られたの…?ん~⁈」

レイパーTとアグニは怯え、思うように声が出ない。

「何の成果も出さず、られて…その上、逃げ帰ってきたのか。そうかそうか!それは残念だ!」

その時、Mr.クボタはレイパーTからアグニを取り上げた。

「ク、クボタ様…何を…⁈」

次の瞬間、Mr.クボタはアグニの頭部を喰い千切った。

「僕はクボタじゃない。Mr.クボタだよ。そうだよね?レイパーT。ん~⁈」
「は、はい…!!!その通りです…!!!」

レイパーTは冷や汗を大量に流し、怯えている。

「部下の失敗は上司の責任。さて!責任を取りに行くか。ん~?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

処理中です...