障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第60障『食戟のエッチャ』

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エナバラの創造した空間内にて…

エッチャとオリーブ松尾は料理をしている。

「ちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃ!!!」

エッチャは食材を包丁で切っている。

「えっちゃ、次は…」

食材を切り終えたエッチャは、鍋に油をたっぷり入れ、その鍋を火で熱し始めた。
その様子をエナバラはじっと見ている。

「揚げ餃子か~…」

エナバラは具材と調理工程で、エッチャが作るであろう料理を当てた。
しかし次の瞬間、エッチャはじゃがいもを取り出した。

「じゃがいも…⁈」

エナバラは驚愕し、エッチャに尋ねた。

「おいハゲ!アンタが作ってんのは餃子ちゃうんか~ぁあ~⁈」

エッチャは沸騰した水にじゃがいもを入れた。

「えっちゃ、ただの餃子ちゃうって事や。」

エッチャはじゃがいもを湯から取り出し、ボウルに入れて潰し始めた。
そして、そのボウルの中へ先ほど用意した餃子のタネとバターを入れた。

「お前何してんの~ぉお~⁈」

エナバラはツッコんだ。
しかし、エッチャはエナバラのツッコミなど無視して、スライスチーズを取り出した。
そして、エッチャは左手にスライスチーズを広げ、その上に餃子のタネを置いた。

「『球丸マルク』!!!」

次の瞬間、餃子のタネはスライスチーズに包まれた。めちゃくちゃ綺麗に。
エッチャは『球丸マルク』を使用し、次々と餃子のタネをスライスチーズで包んでいく。

「まさか、チーズを餃子の皮にしたんか…⁈」
「その通り!」

数秒後、エッチャは全ての餃子のタネを包み終えた。

「えっちゃ、俺の料理は…!」

次の瞬間、エッチャはタレントで丸めたそれらを油の中へ放り込んだ。

油ばっしゃーーーーーん!!!!!!!!!

「『ジャガバタチーズ揚げ餃子』やぁぁぁぁぁぁあ!!!」

エナバラは驚嘆した。

「(発想は面白い…!あとは味やな~…)」

エナバラは舌なめずりをしながら、『ジャガバタチーズ揚げ餃子』の完成を待ち望んでいる。
その時、オリーブ松尾が口を開いた。

「できました…」
「早ッ⁈」

それを聞いたエッチャは驚嘆した。

「えっちゃ、何作ってんよ⁈」

エッチャは松尾の料理を見た。

「スパゲッティ…?」

それはシンプルなパスタだった。

「『アーリオ・オーリオ』のパスタやなぁ~ぁあ~⤴︎」
「えっちゃ、ありおり?」

説明しよう!
『アーリオ・オーリオ』とは、オリーブオイルにニンニクを加え、風味が全体に行き渡るように弱火で加熱したオイルソースの事である。アーリオはニンニク、オーリオは油を意味する。イタリア語なのだ。

「アーリオ・オーリオのパスタは、パスタ料理の中でも最もシンプル!基本はアーリオ・オーリオのソースの中に茹でたパスタを入れるだけ!超お手軽なんよ~ぉお~⤴︎」

エナバラの解説により、エッチャは納得した。

「えっちゃ、やから早かったんか…」

そして、エッチャはクスッと笑った。

「えっちゃwwでもこんなもん、ただの油かかった麺やんけww」
「よく見てみぃ~ぃい~⤴︎」

エナバラはエッチャに、松尾の作ったパスタを注意深く見る事を促した。

「ちゃ…?」

エッチャは松尾の作ったアーリオ・オーリオのパスタを見た。

「(ん…?なんか全体的に白っぽいな…しかも、よぉ見たら…このちっちゃい粒々…)」

その時、エッチャは自身が調理中の『ジャガバタチーズ揚げ餃子』の存在を思い出した。

「ちゃ!やばい!焦げる!」

エッチャは急いで油から『ジャガバタチーズ揚げ餃子』を取り出した。

「えっちゃ、危ない危ない…でもちょうど良い~♡」

その時、エナバラが何処からかベルを取り出し、それを鳴らした。

「はーい!そこまで~!早速、点数つけるで~ぇえ~!」

すると、エッチャと松尾の前に妙な形をした台が現れた。

「料理はそこに置いて~。」

エッチャと松尾はその台に自分達が作った料理を置いた。
すると次の瞬間、それらはアクリル板に囲まれた部屋にいるエナバラの手元へ転送された。

「あ~!来た来た~!んじゃ、先ずはエッチャハゲの方から~♡」

エナバラはワクワクしている。

「えっちゃ、ハゲちゃうわ!」

エナバラはエッチャの『ジャガバタチーズ揚げ餃子』を一口かじった。

「どう…?」

エッチャはエナバラに評価を聞いた。

「うん!普通に美味しい!普通に!」

それを聞き、エッチャは微妙な顔をしている。

「えっちゃ、普通ってなんやねん…」
「そうやなぁ~…『美味しい』か『不味い』かで言うと…『普通に美味しい』やな~。」
「『美味しい』か『不味い』で言えや!」

その時、エナバラはエッチャを指差した。

「60点!!!」
「低ない⁈」

エッチャは絶望の表情を浮かべている。
その時、オリーブ松尾がエッチャに言った。

「エナバラは辛口でね…50を超えただけでも凄いよ…」
「え…っちゃ、そうなん…?」

オリーブ松尾はエッチャの調理台を見た。

「…キミ、常日頃から料理しますね。」
「えっちゃ…まぁ、旅出る前はそれなりに。」
「その料理は…大切な人の為に…ですか…?」
「あぁ。」

すると、松尾はエッチャから目を逸らし、下を向いた。

「ごめんなさい…」

松尾の唐突な謝罪。エッチャは困惑した。

「ささ!お次は本命!松尾シェフの絶品一品よ~ぉお~⤴︎」

エナバラは松尾のアーリオ・オーリオのパスタを口にした。

「ハァァァァァ~ンッ♡♡♡」

次の瞬間、エナバラの服がはだけた。

「ちゃあ⁈」

エッチャは仰天した。

「えっちゃ、何が起こってん…⁈」

その時、息を荒くしたエナバラが料理対決の勝敗を告げた。

「ハァ…♡ハァ…♡こ、この勝負…オリーブ松尾の勝利…や…♡」
「はぁ⁈」

エッチャはエナバラの正面のアクリル板を殴った。

「えっちゃ、ふざけんな!俺の『ジャガバタチーズ揚げ餃子』が負けるはずないやろ!お子様大人気やねんぞ!」

その時、エッチャの目の前に、松尾が作ったアーリオ・オーリオのパスタが現れた。エナバラが転送したのだ。

「料理バトルは終わったからな~…食べれるでぇ~…♡」

エッチャはフォークを手に取った。

「確認してみぃ~…はだけるから…♡」
「えっちゃ、飯食って服はだける訳ないやろ…」

エッチャは松尾のパスタを口にした。

「ちゃァァァァァ~ンッ♡♡♡」

次の瞬間、エッチャの服がはだけた。

「(えっちゃ、なんやねんッ♡お口幸せやんけッ♡)」

エッチャは松尾のパスタを口の中で堪能している。

「(この香り…生クリームやッ♡このパスタ…生クリーム入ってるッ♡やから白かったんかッ♡)」

エッチャはパスタを咀嚼した。

「(生クリームだけじゃないッ♡コレ…タラコやッ♡アーリオ・オーリオと生クリーム…そんでタラコッ♡この3つが…俺のお口を淫らにするッ♡)」

エッチャは何度も何度もパスタを咀嚼した。口に含まれたパスタがペースト状になろうとも、エッチャは飲み込もうとしない。

「(あぁ…この食の快感を…ずっと味わいたいッ♡でもッ♡コレ飲み込んだら…もっと…もっとッ♡美味しいんやろなぁ~ッ♡)」

唾液と混ざり、ペースト状になったパスタは、じわじわとエッチャの脳を洗脳していく。飲み込めぇ~、飲み込めぇ~、と。

「(アカンッ♡飲み込んでまうッ♡)」

まだ口の中で楽しみたい、と必死に足掻くエッチャ。しかし、食欲は人間の3大欲求の一つ。当然、抗える訳もない。

「(えっちゃやめろって♡♡えっちゃやめろって♡♡ えっちゃやめろって♡♡ えっちゃやめろって♡♡ えっちゃやめろって♡♡ えっちゃやめろってぇぇぇぇえ!!!」

次の瞬間、エッチャはパスタを飲み込んでしまった。

「ごっくんッ!!!ア~ッハ~ッハ~ッハ~ッハ~♡♡♡」

エッチャは食道なかイキを覚えた。

おそまつ!!!!!!!!!
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