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第2章『ガイ-過去編-』
第2障『何も知らない』
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4月9日、夜、障坂邸、ガイの部屋にて…
ガイはベッドの上で横になり、今日起こった事を思い出していた。
「ハンディーキャッパー…PSI…タレント…」
メイドの村上がガイの部屋に入ってきた。
「ガイ様~、夕食のご用意が出来ましたよ~。」
ガイは無視している。
「ガイ様~、また聞こえないフリですか~。」
その時、村上の背後に1人の男が現れた。
「退け。」
その男は村上を押し退け、ガイの部屋に入ってきた。
「だ、旦那様⁈」
それはガイの父親、障坂家当主、障坂巌であった。
「(お、親父⁈)」
ガイはベッドから飛び起きた。
「ど、どうかなさいましたでしょうか、父上…」
すると、ガイの父は話し始めた。
「十谷から聞いたぞ。今日学校で問題を起こしたそうだな。」
ガイは緊張している。
「少し遅刻しました…」
ガイは恐る恐る、事実を伝えた。
「意識が低すぎる。お前は自分が障坂家の人間だということをもっと自覚しろ。」
「…はい。」
ガイは下を向いた。
「二度と障坂家の恥になるようなことはするなよ。」
「わかりました…」
ガイの父親が部屋から出て行こうとしたその時、ガイは叫んだ。
「父上!」
すると、ガイの父親は足を止めた。
「なんだ。次の予定が迫っているんだ。早くしろ。」
ガイはためらいながらも発言した。
「今日、なんの日か覚えてますか…」
「知らん。」
ガイの父親は即答し、何処かへ行った。
「…」
今日はガイの誕生日。それを、父は覚えていなかった。いや、覚える気すら無いのだろう。
すると、村上はガイに言った。
「き、きっと旦那様は、ガイ様にお祝いの言葉を言うのが照れくさかったんですよ!」
「…ほんとに?」
ガイは村上の目を見た。
「はい!きっとそうですよ!」
村上はガイから目を逸らした。
「…優しいね。」
「勿論ですよ。旦那様はいつもガイ様のことを思っているんですから。」
ガイの『優しいね』は、決して父親に対してのものではない。自分の事を気遣い、嘘をついてくれた村上へ言ったものである。
「ご飯、できてるんだっけ?」
「はい!食後にはケーキもご用意してますよ!」
ガイは自分の父親の事を何も知らない。ただ、唯一知っている事は、父親は息子である自分に微塵も興味を示していないという事。否、自分を含めた人間という生き物に対して興味を示さない事だ。
頭が良く、効率的で、生真面目。情に流される事なく行動でき、普通の人なら不可能な事まで楽々とこなす。人はそんな父親の事を『尊敬』、又は『嫉妬』するだろう。しかし、ガイが彼に抱いていた感情、それは『憐れみ』であった。人への興味を断ち切った事で人間としての何かを失ってしまった父親を憐れむ気持ち。ガイは、そんな欠落した父親が嫌いだった。父親が欠落していると気づいたあの日から。
10年前、障坂邸、とある部屋にて…
部屋の大きなベッド、その上には若く美しい女性が横になっていた。彼女の名は障坂優子、ガイの母親である。
彼女の側にはガイと十谷、他数名の執事やメイドがいた。
「ガイ…」
「なに、母さん。」
ガイの母親は昔から体が弱かった。ガイの出産の時もそれなりに覚悟していたそうだ。これはガイの母親の臨終の時である。
「今日、誕生日だったでしょ。ごめんね、プレゼントあげられなくて…。」
「そんなのいいよ。また来年もあるし。」
ガイの母親はガイの頭を優しく撫でた。
「ごめんね…ごめんね、ガイ…。」
ガイの母親はベットに横になり、涙を流している。
「…やっぱり嘘!俺、プレゼント欲しい!今日欲しい!母さんが元気になってくれる、それが俺の今1番欲しいプレゼントだ!!!」
ガイは泣いている。
「ガイ様…」
その様子を見ている十谷や使用人達も、涙を流していた。
「だから、死んじゃヤダよ!お願いだからさ…」
ガイの母親はガイの頭を撫で続けている。
「優しい子に育ったわね…」
その時、ガイは母親の死を悟った。
「お誕生日…おめでとう…」
ガイの頭の上に乗っていた母親の手がずれ落ちた。それと同時に、母親の体につながれた心電図はピーっと音を鳴らした。
「母さん…母さんッ…!」
ガイは号泣した。障坂家の使用人達もガイの母親の死を悲しんだ。
ガイの母親の臨終に立ち会ったのはガイと障坂家の使用人だけであり、ガイの父親はその頃、職場に居た。
その日の夜、障坂邸にて…
父親が家に帰ってきた。
「お帰りなさいませ、旦那様…」
それを十谷、他数名の使用人達が出迎えた。
「ガイは。」
「奥様の寝室です…」
ガイの母親の部屋にて…
父親が十谷と共に部屋へ入ってきた。
「ずっとそこにいたのか。」
そこには、生き絶えた母親の横に座っているガイの姿があった。
「今日のノルマは終わったんだろうな。」
非情。そう言う他ない。
「旦那様、ガイ様は今それどころでは…」
「今はガイに聞いている。どうなんだ。」
ガイに気を遣う十谷。しかし、父親は追求をやめない。
「…なんで母さんの側にいてあげなかったの。」
ガイはボソッと呟いた。
それに対して、父親は言う。
「今は俺が質問をして…」
次の瞬間、ガイは父親に向かって叫んだ。
「父さんは!本当に母さんの事が好きだったの⁈」
すると次の瞬間、父親はガイを殴った。
「お、おやめください!旦那様!」
十谷がそれを止めに入る。
「そんな事はどうでもいいんだ。ノルマは終わったのかと聞いているんだ。」
「…今からやります。」
ガイは殴られた頬を押さえている。
「感情に流されるな。もっと合理的になれ。」
「はい…」
ガイは立ち上がった。
「それと、俺を呼ぶ時は父さんじゃない、父上と呼べ。」
「わかりました…」
父親は妻である優子の亡骸を指差した。
「十谷、その死骸は庭にでも埋めておけ。」
それを聞いたガイと十谷は驚愕した。
「そいつには俺たち以外の身寄りはいない。連絡を取るような仲の良い友人もいない。葬式を上げるだけ時間と金の無駄だ。」
「本気で言ってるんですか⁈」
十谷はガイの父親に問い詰めた。
「ああ。警察関係者にも友人はいる。死体遺棄で捕まる恐れはない。」
「そういう事を聞いてるんじゃなくてですね…!」
父親は態度を一切変えず続けた。
「死者を弔って何の得がある。時間の無駄だ。」
父親は十谷を指差した。
「それと、お前らだけで葬式を開く事も禁止する。家族葬も無しだ。何処で情報が漏れるかもわからん。それに、夫が葬式に居なかったと知られれば、俺の世間からの評価が下がってしまう。」
それを聞いた十谷は激怒し、ガイの父親に喰ってかかった。
「ふざけるな!!!アンタそれでも人間か!!!」
しかし、父親は全く動じていない。
「なんだ。主人に牙を向けるつもりか。いいんだぞ。お前が今までにしてきた事をバラしても。」
「ッ……」
ここの使用人達は、ガイの父親に何らかの弱みを握られ、雇われていた。十谷もその1人である。
その時、ガイは口を開いた。
「葬式は開かせます、何としてでも。」
それを聞いた父親はガイの目を見た。
「ほう、お前みたいなガキがどうやってやるつもりだ。」
「ガキだからですよ。僕はまだ子供です。いつ何処で母上の死を口に出すかわかりませんよ。」
父親はガイを凝視し続けている。
「父上にとって僕は不安要素です。この家で唯一他者との接触が許されているのは、買い物などの例外を除いては、父上と僕だけ。僕がうっかり口を滑られるかもしれませんね。」
そんなガイの発言に父親は全く動じていない。
「脅しか。」
「脅しではありません。単なる助言ですよ。あなたにはガイという足手纏いがいますとね。」
2人はしばらく睨み合った。
「…十谷、葬儀は手短にな。」
すると、ガイの父親は部屋から出た。
「(ガイ様…)」
十谷はガイのことを本当の息子のように可愛がっていた。母親譲りの優しさを持ったガイが好きだった。しかし、ガイが偶に見せる、幼い子供とは思えないような言動に、時折、十谷は恐怖を感じていた。それは、紛れもなく父親から受け継いだものだったから。
葬儀には父親も出席し、父親の仕事の関係者も大勢来た。父親の葬儀の挨拶は素晴らしいものであったが、ガイや十谷を含めた使用人達はそれが上っ面だけの言葉だという事に気づいていた。
「母さん…」
何故、母はあんな非情な男と結婚したのか。この時のガイは、母が父に弱みを握られていた為、結婚を断れなかったから。そう思っていた。しかし、事実はそうではない。ガイはまだ知らないのだ。父親の事も、この世界の事も、タレントの事も、何も。
ガイはベッドの上で横になり、今日起こった事を思い出していた。
「ハンディーキャッパー…PSI…タレント…」
メイドの村上がガイの部屋に入ってきた。
「ガイ様~、夕食のご用意が出来ましたよ~。」
ガイは無視している。
「ガイ様~、また聞こえないフリですか~。」
その時、村上の背後に1人の男が現れた。
「退け。」
その男は村上を押し退け、ガイの部屋に入ってきた。
「だ、旦那様⁈」
それはガイの父親、障坂家当主、障坂巌であった。
「(お、親父⁈)」
ガイはベッドから飛び起きた。
「ど、どうかなさいましたでしょうか、父上…」
すると、ガイの父は話し始めた。
「十谷から聞いたぞ。今日学校で問題を起こしたそうだな。」
ガイは緊張している。
「少し遅刻しました…」
ガイは恐る恐る、事実を伝えた。
「意識が低すぎる。お前は自分が障坂家の人間だということをもっと自覚しろ。」
「…はい。」
ガイは下を向いた。
「二度と障坂家の恥になるようなことはするなよ。」
「わかりました…」
ガイの父親が部屋から出て行こうとしたその時、ガイは叫んだ。
「父上!」
すると、ガイの父親は足を止めた。
「なんだ。次の予定が迫っているんだ。早くしろ。」
ガイはためらいながらも発言した。
「今日、なんの日か覚えてますか…」
「知らん。」
ガイの父親は即答し、何処かへ行った。
「…」
今日はガイの誕生日。それを、父は覚えていなかった。いや、覚える気すら無いのだろう。
すると、村上はガイに言った。
「き、きっと旦那様は、ガイ様にお祝いの言葉を言うのが照れくさかったんですよ!」
「…ほんとに?」
ガイは村上の目を見た。
「はい!きっとそうですよ!」
村上はガイから目を逸らした。
「…優しいね。」
「勿論ですよ。旦那様はいつもガイ様のことを思っているんですから。」
ガイの『優しいね』は、決して父親に対してのものではない。自分の事を気遣い、嘘をついてくれた村上へ言ったものである。
「ご飯、できてるんだっけ?」
「はい!食後にはケーキもご用意してますよ!」
ガイは自分の父親の事を何も知らない。ただ、唯一知っている事は、父親は息子である自分に微塵も興味を示していないという事。否、自分を含めた人間という生き物に対して興味を示さない事だ。
頭が良く、効率的で、生真面目。情に流される事なく行動でき、普通の人なら不可能な事まで楽々とこなす。人はそんな父親の事を『尊敬』、又は『嫉妬』するだろう。しかし、ガイが彼に抱いていた感情、それは『憐れみ』であった。人への興味を断ち切った事で人間としての何かを失ってしまった父親を憐れむ気持ち。ガイは、そんな欠落した父親が嫌いだった。父親が欠落していると気づいたあの日から。
10年前、障坂邸、とある部屋にて…
部屋の大きなベッド、その上には若く美しい女性が横になっていた。彼女の名は障坂優子、ガイの母親である。
彼女の側にはガイと十谷、他数名の執事やメイドがいた。
「ガイ…」
「なに、母さん。」
ガイの母親は昔から体が弱かった。ガイの出産の時もそれなりに覚悟していたそうだ。これはガイの母親の臨終の時である。
「今日、誕生日だったでしょ。ごめんね、プレゼントあげられなくて…。」
「そんなのいいよ。また来年もあるし。」
ガイの母親はガイの頭を優しく撫でた。
「ごめんね…ごめんね、ガイ…。」
ガイの母親はベットに横になり、涙を流している。
「…やっぱり嘘!俺、プレゼント欲しい!今日欲しい!母さんが元気になってくれる、それが俺の今1番欲しいプレゼントだ!!!」
ガイは泣いている。
「ガイ様…」
その様子を見ている十谷や使用人達も、涙を流していた。
「だから、死んじゃヤダよ!お願いだからさ…」
ガイの母親はガイの頭を撫で続けている。
「優しい子に育ったわね…」
その時、ガイは母親の死を悟った。
「お誕生日…おめでとう…」
ガイの頭の上に乗っていた母親の手がずれ落ちた。それと同時に、母親の体につながれた心電図はピーっと音を鳴らした。
「母さん…母さんッ…!」
ガイは号泣した。障坂家の使用人達もガイの母親の死を悲しんだ。
ガイの母親の臨終に立ち会ったのはガイと障坂家の使用人だけであり、ガイの父親はその頃、職場に居た。
その日の夜、障坂邸にて…
父親が家に帰ってきた。
「お帰りなさいませ、旦那様…」
それを十谷、他数名の使用人達が出迎えた。
「ガイは。」
「奥様の寝室です…」
ガイの母親の部屋にて…
父親が十谷と共に部屋へ入ってきた。
「ずっとそこにいたのか。」
そこには、生き絶えた母親の横に座っているガイの姿があった。
「今日のノルマは終わったんだろうな。」
非情。そう言う他ない。
「旦那様、ガイ様は今それどころでは…」
「今はガイに聞いている。どうなんだ。」
ガイに気を遣う十谷。しかし、父親は追求をやめない。
「…なんで母さんの側にいてあげなかったの。」
ガイはボソッと呟いた。
それに対して、父親は言う。
「今は俺が質問をして…」
次の瞬間、ガイは父親に向かって叫んだ。
「父さんは!本当に母さんの事が好きだったの⁈」
すると次の瞬間、父親はガイを殴った。
「お、おやめください!旦那様!」
十谷がそれを止めに入る。
「そんな事はどうでもいいんだ。ノルマは終わったのかと聞いているんだ。」
「…今からやります。」
ガイは殴られた頬を押さえている。
「感情に流されるな。もっと合理的になれ。」
「はい…」
ガイは立ち上がった。
「それと、俺を呼ぶ時は父さんじゃない、父上と呼べ。」
「わかりました…」
父親は妻である優子の亡骸を指差した。
「十谷、その死骸は庭にでも埋めておけ。」
それを聞いたガイと十谷は驚愕した。
「そいつには俺たち以外の身寄りはいない。連絡を取るような仲の良い友人もいない。葬式を上げるだけ時間と金の無駄だ。」
「本気で言ってるんですか⁈」
十谷はガイの父親に問い詰めた。
「ああ。警察関係者にも友人はいる。死体遺棄で捕まる恐れはない。」
「そういう事を聞いてるんじゃなくてですね…!」
父親は態度を一切変えず続けた。
「死者を弔って何の得がある。時間の無駄だ。」
父親は十谷を指差した。
「それと、お前らだけで葬式を開く事も禁止する。家族葬も無しだ。何処で情報が漏れるかもわからん。それに、夫が葬式に居なかったと知られれば、俺の世間からの評価が下がってしまう。」
それを聞いた十谷は激怒し、ガイの父親に喰ってかかった。
「ふざけるな!!!アンタそれでも人間か!!!」
しかし、父親は全く動じていない。
「なんだ。主人に牙を向けるつもりか。いいんだぞ。お前が今までにしてきた事をバラしても。」
「ッ……」
ここの使用人達は、ガイの父親に何らかの弱みを握られ、雇われていた。十谷もその1人である。
その時、ガイは口を開いた。
「葬式は開かせます、何としてでも。」
それを聞いた父親はガイの目を見た。
「ほう、お前みたいなガキがどうやってやるつもりだ。」
「ガキだからですよ。僕はまだ子供です。いつ何処で母上の死を口に出すかわかりませんよ。」
父親はガイを凝視し続けている。
「父上にとって僕は不安要素です。この家で唯一他者との接触が許されているのは、買い物などの例外を除いては、父上と僕だけ。僕がうっかり口を滑られるかもしれませんね。」
そんなガイの発言に父親は全く動じていない。
「脅しか。」
「脅しではありません。単なる助言ですよ。あなたにはガイという足手纏いがいますとね。」
2人はしばらく睨み合った。
「…十谷、葬儀は手短にな。」
すると、ガイの父親は部屋から出た。
「(ガイ様…)」
十谷はガイのことを本当の息子のように可愛がっていた。母親譲りの優しさを持ったガイが好きだった。しかし、ガイが偶に見せる、幼い子供とは思えないような言動に、時折、十谷は恐怖を感じていた。それは、紛れもなく父親から受け継いだものだったから。
葬儀には父親も出席し、父親の仕事の関係者も大勢来た。父親の葬儀の挨拶は素晴らしいものであったが、ガイや十谷を含めた使用人達はそれが上っ面だけの言葉だという事に気づいていた。
「母さん…」
何故、母はあんな非情な男と結婚したのか。この時のガイは、母が父に弱みを握られていた為、結婚を断れなかったから。そう思っていた。しかし、事実はそうではない。ガイはまだ知らないのだ。父親の事も、この世界の事も、タレントの事も、何も。
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