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第2章『ガイ-過去編-』
第10障『エツピだよ!エツピ!』
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翌日(4月17日)、学校にて…
ガイが教室に入ってきた。
「やぁ!障坂くん!」
堺はガイに挨拶をした。
「おはよう…って、どうしたんだい⁈その右手!」
堺は包帯を巻かれたガイの右手を見た。
「あぁ、ちょっとな。利き手だから不便なんだよ。色々と手助けしてくれると助かるんだけど。」
「それはいいけど、大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。ありがとう。」
その時、チャイムが鳴り、広瀬先生が教室に入ってきた。
「みんなおはよう。席について下さい。」
放課後、教室前の廊下にて…
ガイは家へ帰るために教室を出た。すると、そこにヨシミの姿があった。
「…」
なんと、ヨシミは髪の毛が雑に切られていて、制服もボロボロにはだけていた。また、脚や腕,顔にはいくつものアザができていた。
「お前…」
「違ウヨ!チョットはっするシタダケネ!」
ガイが声をかけると、ヨシミは走り去った。
ガイは彩乃と美由がやったんだと確信した。
「(やり返せばいいのに…)」
友田は今日、学校を休んでいた。また、ヨシミはこの日以来、学校へ来なくなった。
明後日(4月19日金曜日)、学校にて…
ガイが教室に入ってきた。
「お前、金曜だけ来る気だろ。」
教室には有野の姿があった。
「うん…」
「うんって…」
有野はガイの手を見た。
「その手、どうしたの…」
「…なんでもない。」
そこへ、堺がやってきた。
「おはよう。障坂くん、有野さん。」
「おはよう、堺。」
「おはよ…」
その時、堺は山口の先を見た。
「山口くん、水曜日からずっと休んでるでしょ。」
「サボってんじゃないか?」
「気になって昨日山口くんの家に行ってみたんだ。そしたら、山口くん、どうやらおたふく風邪だそうだよ。」
「へー。」
ガイ、安定の無関心。
「だからさ、今日山口のお見舞いに行こうよ。有野さんもどう?」
その時、ガイは有野が答えるよりも早く、堺に尋ねた。
「そっとしといた方がいいんじゃないか?」
「うん…でも、心配でさ…」
ガイは山口を心配する堺を見ている。
「(コイツ、ホント良い奴だな…)」
すると、ガイは了承した。
「…わかった。俺も行くよ。」
「ありがとう!キミならそう言ってくれると思ってたよ!」
堺はガイの手を取った。しかも右手。
「痛い痛い!!!そっちは痛い!!!」
「あ、ごめん…」
堺はガイの手を離した。
「それじゃ、放課後は3人で山口君の家に…」
その時、有野は言った。
「私、行かない…」
すると、ガイは有野に話しかけた。
「お前、俺と堺と山口がお前ん家行った事忘れてないよな。」
有野は無言で頷いた。
「山口はお前のことを心配して、お前ん家まで行ったんだぞ。お前も少しは心配しろよ。」
その時、有野はガイの顔を見た。
「…条件がある。」
「条件?」
ガイは首を傾げた。
「帰りにゲーセン寄りたい…」
「はぁ?」
ガイは眉を顰めた。
「じゃないと行かない…」
「そんなもん、1人で行ってこいよ。」
「1人は恥ずかしい…」
「なんじゃそりゃ…」
ガイは少し考え、了承した。
「…わかったよ。でもちょっとだけだぞ。」
すると、堺は2人に言った。
「それはマズイよ。寄り道で既に校則違反してるのに、その上ゲーセンなんて…」
「じゃあ、堺は先帰ってていいぞ。」
「いいや!クラス委員長としてクラスメートを家までちゃんと送り届ける義務がある!」
「(どっちだよ…)」
ガイは心の中でツッコんだ。
「じゃあ放課後、3人で行こうか。」
その時、ガイは堺に言った。
「あ、ごめん、俺ら今日ウサギ小屋の掃除だからちょっと遅れる。」
「そう。じゃあ僕も手伝うよ。クラス委員長として。」
「助かるよ。ありがとう。」
放課後、ウサギ小屋にて…
「くっさッ!」
ガイは小屋に入るなり文句を言った。一方、有野は笑顔でウサギを抱えている。
「(掃除しろよ…)」
その時、堺はガイに話しかけた。
「障坂くん、エサがきれてるよ。」
「またか…こいつらよく食べるな。」
「キレてるよキレてるよ!腹筋板チョコバレンタイン!」
「どした堺…」
その時、有野が小屋を出ようとした。
「取ってくる…」
「待てい!」
ガイはエサを取りに行こうとした有野を止めた。
「俺が行く。また変な事になるかもしれないから。」
ガイと有野は数秒間、互いを見合った。
「ッ!!!」
次の瞬間、有野は急いで小屋を出て、倉庫の方へと走り出した。
「あッ!おい!」
その時、堺はガイに尋ねた。
「先週、何かあったの?」
「ちょっとな。俺も行ってくる。」
ガイも追いかけるように小屋を出ようとしたその時、堺は叫んだ。
「障坂くん!危ない!!!」
「えっ…」
なんと、ガイの足元には大量のウサギの糞が落ちていた。ガイはそれらに気づかずに踏みつけていた。
「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!?!?!??!!!」
ウサギたちはガイの声にビックリして跳ね回っている。
「最悪だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅう!!!」
ガイは小屋のすぐ側にあったホースで靴の裏を入念に洗っている。
「くそがッ!なんで俺がこんな目にッ!だから生き物係なんて嫌だったんだッ!ウサギ如きが俺を馬鹿にしやがってッ!ブッ殺してやるッ!」
「…」
堺は少し引いている。
倉庫前にて…
有野が倉庫の鍵を開けたその時、近くから声が聞こえてきた。
「梨子…?」
それは友田や彩乃たちの声だった。有野は気になって声のする方へと向かった。
体育館裏にて…
倉庫近くの体育館裏には、彩乃,美由,友田がいた。
「アンタ、何でずっと休んでたのよ。」
「ちょっと、風邪ひいちゃって…」
「へー!風邪かぁ~!風邪なら仕方ないねぇ~!」
友田は彩乃と美由に責められていた。
「ねぇ、梨子~。アンタが休んでる間に、ヨシミがどうなってたか知ってるぅ?」
「ヨシミちゃんが…」
「アイツ、私達と縁を切るって言ってきたの!友達だと思ってたのに残念だよね~ww」
美由は饒舌に話を続けている。
「それで…ヨシミちゃんは…」
「裸にして、その写真1–1のグループに送ったのよ。」
彩乃の発言を聞いた友田は驚嘆した。
「な、なんてことを…!」
「あはははは!送っただけって…彩乃、そのあと髪切ったり、レンガで殴ったりしてたじゃない!」
美由は楽しそうに話している。
「ヒドイ…」
友田のその呟きを彩乃は聞いていた。
「ヒドイのはアンタだろ。ヨシミ見捨てて自分だけ学校休んだんだから。」
「ほんとほんと!てか、なんで今日来たのww」
「…」
友田は黙り込んでいる。
「アンタって、ホント自分勝手だよねーww」
「自分勝手…」
美由のその発言を聞いた友田は、ガイに言われた事を思い出した。
〈お前自身が何とかしようとしない限り、お前はいつか絶対、酷い目に遭う。〉
その時、彩乃のケータイが鳴った。
彩乃は電話に出た。
「もしもし、先輩?…うん、もうそっちに行くから。うん。わかった。」
彩乃は電話を切った。
「行くわよ。」
「行くって何処に…?」
美由は半ば強引に梨子と腕を組んだ。
「とぉ~っても楽しい所!」
ウサギ小屋にて…
ガイはまだ靴を洗っている。
「汚いなぁ…汚いなぁあ…!」
堺は1人でウサギ小屋の掃除をしていた。
「(有野さん、遅いな…障坂くんもいつまでやってるんだろう…)」
学校から少し離れた廃ビル内、とある部屋にて…
友田たち3人はその廃ビルの中に入った。
「よ、彩乃、美由。待ってたよん。」
そこにはガラの悪い高校生ぐらいの若者が6人いた。
「ごめん、遅くなっちゃった。」
その時、1人の不良が彩乃達に尋ねた。
「その子?」
「そうっすよ。」
すると、不良高校生達は各々に喋り始めた。
「なんかフツーだな。」
「おさげで草。」
「まぁいぃじゃねーか。」
その時、友田は不安そうに彩乃に話しかけた。
「彩乃…この人達は…」
すると、彩乃は不気味に微笑んだ。
「お仕置き、まだしてなかったよね。」
次の瞬間、不良達は友田を囲んだ。
「アタシ、動画撮りまーす!」
美由はスマホを構えた。
「やめて!何するの⁈」
恐怖する友田に1人の不良が言い放った。
「決まってんだろお?『エツピ』だよ!『エツピ』!!!」
説明しよう!
『エツピ』とはエッチの俗語である。ゴルデンではエッチよりも頻繁にこちらが使用されているのだ。名前の由来は、大陸の名前の『エツピ』と、エッチの発音が似ている所から来ているらしい。知らんけど。
「エツピは最高だぜ~!!!」
不良たちは友田を抑え、服を脱がしていく。
「いや!!!やめて!!!」
次の瞬間、誰かが叫んだ。
「『磁力』!!!」
すると、美由の持っていたスマホが入り口の方へ飛んで行った。
「⁈」
スマホが飛んでいった方向には有野がいた。有野は美由のスマホをキャッチした。
「アンタなんで⁈」
美由と彩乃は有野に気がついたが、不良たちは目の前の梨子に夢中なままだ。
有野は不良たちに美由のスマホを投げつけた。
「『磁力』!」
すると、上にぶら下がっていた鉄パイプがスマホに引き寄せられた。
「うおぁぁぁあ!!!?!?!」
鉄パイプは不良たちの上に落ちてきた。
「京香…⁈」
友田は有野の存在に気づいた。
「くそ!何が起こったんだ⁈」
不良達は困惑している。
「先輩!アイツもやっちゃって!」
彩乃は不良達に命令した。
「何が何だかよくわからねーが…お前ら!行くぞ!」
「「「おー!!!」」」
不良たちは有野に襲いかかった。
するとその時、有野は鉄製のドアに触れた。
「『磁力』!!!」
次の瞬間、不良達がそのドアに引き寄せられた。
「うわッ!」
「な、なんだコレ⁈」
「動けない…!」
不良達は壁に張り付いたまま動けずにいた。
説明しよう!
有野のタレント『磁力』は、触れた金属に磁力を与える能力である。磁力の強さは消費するPSIの量に比例する。また、有野の『磁力』は鉄だけでなく、指定した金属全てを引き寄せる事ができる。
タイプ:付加型
有野は『磁力』でドアに磁力を付加させ、不良たちが身につけていた金属を引き寄せた。よって、不良たちも一緒に引き寄せられたのだ。
「梨子…」
有野は友田に近づいた。
「京香…どうして、私なんか…」
すると、有野は友田に微笑みかけた。
「友達だから…」
「京香…!」
友田は有野に抱きついた。
「京香!ごめん!私 …私…!」
その時、彩乃が慣れた手つきでカッターナイフを取り出し、有野に襲いかかった。
「京香!後ろ!」
次の瞬間、有野は地面に落ちていた美由のスマホを拾い、宙へ投げた。
すると、彩乃の持っていたカッターナイフは彩乃の手を離れ、宙へ投げられたスマホへ飛んでいった。
「なッ…⁈」
次の瞬間、有野は腕にPSIを纏い、彩乃を殴った。彩乃は気絶した。
「『磁力』解除…!」
すると、有野の『磁力』が解除され、不良達は動けるようになった。
「あっ…動ける…」
有野は不良達に近づいた。
「アイツだ…!」
「また貼り付けられる…!」
「く、来るなぁ!」
不良たちは逃げ出した。
「…」
有野は辺りを見渡した。周りには有野と服のはだけた友田、気絶した彩乃の3人しかいない。どうやら、美由はいつの間にか逃げ出したようだ。
すると次の瞬間、有野は倒れた。
「京香…⁈」
友田は有野に駆け寄った。
「京香⁈ねぇ、京香、大丈夫⁈」
有野はPSIの使いすぎで気を失ってしまったのだ。
「(よかった…寝てるだけみたい…)」
するとその時、友田は強烈な眠気に襲われた。
「(あれ…なんか…私も眠くなって……)」
友田は眠ってしまった。
「見つけたよ。僕の運命の相手を…」
ウサギ小屋にて…
「大丈夫だよな?綺麗になったよな?」
「う、うん…」
ガイはまだ丁寧に靴を洗っていた。
ガイが教室に入ってきた。
「やぁ!障坂くん!」
堺はガイに挨拶をした。
「おはよう…って、どうしたんだい⁈その右手!」
堺は包帯を巻かれたガイの右手を見た。
「あぁ、ちょっとな。利き手だから不便なんだよ。色々と手助けしてくれると助かるんだけど。」
「それはいいけど、大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。ありがとう。」
その時、チャイムが鳴り、広瀬先生が教室に入ってきた。
「みんなおはよう。席について下さい。」
放課後、教室前の廊下にて…
ガイは家へ帰るために教室を出た。すると、そこにヨシミの姿があった。
「…」
なんと、ヨシミは髪の毛が雑に切られていて、制服もボロボロにはだけていた。また、脚や腕,顔にはいくつものアザができていた。
「お前…」
「違ウヨ!チョットはっするシタダケネ!」
ガイが声をかけると、ヨシミは走り去った。
ガイは彩乃と美由がやったんだと確信した。
「(やり返せばいいのに…)」
友田は今日、学校を休んでいた。また、ヨシミはこの日以来、学校へ来なくなった。
明後日(4月19日金曜日)、学校にて…
ガイが教室に入ってきた。
「お前、金曜だけ来る気だろ。」
教室には有野の姿があった。
「うん…」
「うんって…」
有野はガイの手を見た。
「その手、どうしたの…」
「…なんでもない。」
そこへ、堺がやってきた。
「おはよう。障坂くん、有野さん。」
「おはよう、堺。」
「おはよ…」
その時、堺は山口の先を見た。
「山口くん、水曜日からずっと休んでるでしょ。」
「サボってんじゃないか?」
「気になって昨日山口くんの家に行ってみたんだ。そしたら、山口くん、どうやらおたふく風邪だそうだよ。」
「へー。」
ガイ、安定の無関心。
「だからさ、今日山口のお見舞いに行こうよ。有野さんもどう?」
その時、ガイは有野が答えるよりも早く、堺に尋ねた。
「そっとしといた方がいいんじゃないか?」
「うん…でも、心配でさ…」
ガイは山口を心配する堺を見ている。
「(コイツ、ホント良い奴だな…)」
すると、ガイは了承した。
「…わかった。俺も行くよ。」
「ありがとう!キミならそう言ってくれると思ってたよ!」
堺はガイの手を取った。しかも右手。
「痛い痛い!!!そっちは痛い!!!」
「あ、ごめん…」
堺はガイの手を離した。
「それじゃ、放課後は3人で山口君の家に…」
その時、有野は言った。
「私、行かない…」
すると、ガイは有野に話しかけた。
「お前、俺と堺と山口がお前ん家行った事忘れてないよな。」
有野は無言で頷いた。
「山口はお前のことを心配して、お前ん家まで行ったんだぞ。お前も少しは心配しろよ。」
その時、有野はガイの顔を見た。
「…条件がある。」
「条件?」
ガイは首を傾げた。
「帰りにゲーセン寄りたい…」
「はぁ?」
ガイは眉を顰めた。
「じゃないと行かない…」
「そんなもん、1人で行ってこいよ。」
「1人は恥ずかしい…」
「なんじゃそりゃ…」
ガイは少し考え、了承した。
「…わかったよ。でもちょっとだけだぞ。」
すると、堺は2人に言った。
「それはマズイよ。寄り道で既に校則違反してるのに、その上ゲーセンなんて…」
「じゃあ、堺は先帰ってていいぞ。」
「いいや!クラス委員長としてクラスメートを家までちゃんと送り届ける義務がある!」
「(どっちだよ…)」
ガイは心の中でツッコんだ。
「じゃあ放課後、3人で行こうか。」
その時、ガイは堺に言った。
「あ、ごめん、俺ら今日ウサギ小屋の掃除だからちょっと遅れる。」
「そう。じゃあ僕も手伝うよ。クラス委員長として。」
「助かるよ。ありがとう。」
放課後、ウサギ小屋にて…
「くっさッ!」
ガイは小屋に入るなり文句を言った。一方、有野は笑顔でウサギを抱えている。
「(掃除しろよ…)」
その時、堺はガイに話しかけた。
「障坂くん、エサがきれてるよ。」
「またか…こいつらよく食べるな。」
「キレてるよキレてるよ!腹筋板チョコバレンタイン!」
「どした堺…」
その時、有野が小屋を出ようとした。
「取ってくる…」
「待てい!」
ガイはエサを取りに行こうとした有野を止めた。
「俺が行く。また変な事になるかもしれないから。」
ガイと有野は数秒間、互いを見合った。
「ッ!!!」
次の瞬間、有野は急いで小屋を出て、倉庫の方へと走り出した。
「あッ!おい!」
その時、堺はガイに尋ねた。
「先週、何かあったの?」
「ちょっとな。俺も行ってくる。」
ガイも追いかけるように小屋を出ようとしたその時、堺は叫んだ。
「障坂くん!危ない!!!」
「えっ…」
なんと、ガイの足元には大量のウサギの糞が落ちていた。ガイはそれらに気づかずに踏みつけていた。
「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!?!?!??!!!」
ウサギたちはガイの声にビックリして跳ね回っている。
「最悪だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅう!!!」
ガイは小屋のすぐ側にあったホースで靴の裏を入念に洗っている。
「くそがッ!なんで俺がこんな目にッ!だから生き物係なんて嫌だったんだッ!ウサギ如きが俺を馬鹿にしやがってッ!ブッ殺してやるッ!」
「…」
堺は少し引いている。
倉庫前にて…
有野が倉庫の鍵を開けたその時、近くから声が聞こえてきた。
「梨子…?」
それは友田や彩乃たちの声だった。有野は気になって声のする方へと向かった。
体育館裏にて…
倉庫近くの体育館裏には、彩乃,美由,友田がいた。
「アンタ、何でずっと休んでたのよ。」
「ちょっと、風邪ひいちゃって…」
「へー!風邪かぁ~!風邪なら仕方ないねぇ~!」
友田は彩乃と美由に責められていた。
「ねぇ、梨子~。アンタが休んでる間に、ヨシミがどうなってたか知ってるぅ?」
「ヨシミちゃんが…」
「アイツ、私達と縁を切るって言ってきたの!友達だと思ってたのに残念だよね~ww」
美由は饒舌に話を続けている。
「それで…ヨシミちゃんは…」
「裸にして、その写真1–1のグループに送ったのよ。」
彩乃の発言を聞いた友田は驚嘆した。
「な、なんてことを…!」
「あはははは!送っただけって…彩乃、そのあと髪切ったり、レンガで殴ったりしてたじゃない!」
美由は楽しそうに話している。
「ヒドイ…」
友田のその呟きを彩乃は聞いていた。
「ヒドイのはアンタだろ。ヨシミ見捨てて自分だけ学校休んだんだから。」
「ほんとほんと!てか、なんで今日来たのww」
「…」
友田は黙り込んでいる。
「アンタって、ホント自分勝手だよねーww」
「自分勝手…」
美由のその発言を聞いた友田は、ガイに言われた事を思い出した。
〈お前自身が何とかしようとしない限り、お前はいつか絶対、酷い目に遭う。〉
その時、彩乃のケータイが鳴った。
彩乃は電話に出た。
「もしもし、先輩?…うん、もうそっちに行くから。うん。わかった。」
彩乃は電話を切った。
「行くわよ。」
「行くって何処に…?」
美由は半ば強引に梨子と腕を組んだ。
「とぉ~っても楽しい所!」
ウサギ小屋にて…
ガイはまだ靴を洗っている。
「汚いなぁ…汚いなぁあ…!」
堺は1人でウサギ小屋の掃除をしていた。
「(有野さん、遅いな…障坂くんもいつまでやってるんだろう…)」
学校から少し離れた廃ビル内、とある部屋にて…
友田たち3人はその廃ビルの中に入った。
「よ、彩乃、美由。待ってたよん。」
そこにはガラの悪い高校生ぐらいの若者が6人いた。
「ごめん、遅くなっちゃった。」
その時、1人の不良が彩乃達に尋ねた。
「その子?」
「そうっすよ。」
すると、不良高校生達は各々に喋り始めた。
「なんかフツーだな。」
「おさげで草。」
「まぁいぃじゃねーか。」
その時、友田は不安そうに彩乃に話しかけた。
「彩乃…この人達は…」
すると、彩乃は不気味に微笑んだ。
「お仕置き、まだしてなかったよね。」
次の瞬間、不良達は友田を囲んだ。
「アタシ、動画撮りまーす!」
美由はスマホを構えた。
「やめて!何するの⁈」
恐怖する友田に1人の不良が言い放った。
「決まってんだろお?『エツピ』だよ!『エツピ』!!!」
説明しよう!
『エツピ』とはエッチの俗語である。ゴルデンではエッチよりも頻繁にこちらが使用されているのだ。名前の由来は、大陸の名前の『エツピ』と、エッチの発音が似ている所から来ているらしい。知らんけど。
「エツピは最高だぜ~!!!」
不良たちは友田を抑え、服を脱がしていく。
「いや!!!やめて!!!」
次の瞬間、誰かが叫んだ。
「『磁力』!!!」
すると、美由の持っていたスマホが入り口の方へ飛んで行った。
「⁈」
スマホが飛んでいった方向には有野がいた。有野は美由のスマホをキャッチした。
「アンタなんで⁈」
美由と彩乃は有野に気がついたが、不良たちは目の前の梨子に夢中なままだ。
有野は不良たちに美由のスマホを投げつけた。
「『磁力』!」
すると、上にぶら下がっていた鉄パイプがスマホに引き寄せられた。
「うおぁぁぁあ!!!?!?!」
鉄パイプは不良たちの上に落ちてきた。
「京香…⁈」
友田は有野の存在に気づいた。
「くそ!何が起こったんだ⁈」
不良達は困惑している。
「先輩!アイツもやっちゃって!」
彩乃は不良達に命令した。
「何が何だかよくわからねーが…お前ら!行くぞ!」
「「「おー!!!」」」
不良たちは有野に襲いかかった。
するとその時、有野は鉄製のドアに触れた。
「『磁力』!!!」
次の瞬間、不良達がそのドアに引き寄せられた。
「うわッ!」
「な、なんだコレ⁈」
「動けない…!」
不良達は壁に張り付いたまま動けずにいた。
説明しよう!
有野のタレント『磁力』は、触れた金属に磁力を与える能力である。磁力の強さは消費するPSIの量に比例する。また、有野の『磁力』は鉄だけでなく、指定した金属全てを引き寄せる事ができる。
タイプ:付加型
有野は『磁力』でドアに磁力を付加させ、不良たちが身につけていた金属を引き寄せた。よって、不良たちも一緒に引き寄せられたのだ。
「梨子…」
有野は友田に近づいた。
「京香…どうして、私なんか…」
すると、有野は友田に微笑みかけた。
「友達だから…」
「京香…!」
友田は有野に抱きついた。
「京香!ごめん!私 …私…!」
その時、彩乃が慣れた手つきでカッターナイフを取り出し、有野に襲いかかった。
「京香!後ろ!」
次の瞬間、有野は地面に落ちていた美由のスマホを拾い、宙へ投げた。
すると、彩乃の持っていたカッターナイフは彩乃の手を離れ、宙へ投げられたスマホへ飛んでいった。
「なッ…⁈」
次の瞬間、有野は腕にPSIを纏い、彩乃を殴った。彩乃は気絶した。
「『磁力』解除…!」
すると、有野の『磁力』が解除され、不良達は動けるようになった。
「あっ…動ける…」
有野は不良達に近づいた。
「アイツだ…!」
「また貼り付けられる…!」
「く、来るなぁ!」
不良たちは逃げ出した。
「…」
有野は辺りを見渡した。周りには有野と服のはだけた友田、気絶した彩乃の3人しかいない。どうやら、美由はいつの間にか逃げ出したようだ。
すると次の瞬間、有野は倒れた。
「京香…⁈」
友田は有野に駆け寄った。
「京香⁈ねぇ、京香、大丈夫⁈」
有野はPSIの使いすぎで気を失ってしまったのだ。
「(よかった…寝てるだけみたい…)」
するとその時、友田は強烈な眠気に襲われた。
「(あれ…なんか…私も眠くなって……)」
友田は眠ってしまった。
「見つけたよ。僕の運命の相手を…」
ウサギ小屋にて…
「大丈夫だよな?綺麗になったよな?」
「う、うん…」
ガイはまだ丁寧に靴を洗っていた。
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世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
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