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第2章『ガイ-過去編-』
第16障『長靴に入った猫』
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【1学期終業式の日の夜、ガイの部屋にて…】
「せいッ…やァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!
ケンケンは何でも切り裂く長い爪でガイを攻撃した。
「うぉぉぉぉお!!!来るなァァァァア!!!」
ガイは何とか爪をかわした。
「何してる!逃げてばかりでは倒せないぞ!」
「猫だから戦い方がわからないんだよ!」
ガイは柔道や空手などの格闘技を習っていた。しかし、四足歩行で戦う格闘技は習っていなかった。というか、そもそも四足歩行の格闘技なんてない。多分。
「植物魔法『成長』!!!」
白マロは植物の種子を発芽させた。
「(種が…)」
ガイは白マロのタレントを見定めていた。
「植物魔法『操作』!!!」
白マロは発芽させた植物のツタでケンケンを攻撃した。
「『斬鉄爪』!!!」
しかし、ケンケンは爪でそれを容易く切り裂いた。
「(くそ…ワガハイと奴とでは相性が悪い…どうすれば…)」
勝ち筋を思考する白マロ。しかし、良い案は思い浮かばない。そんな時、ガイが白マロに近寄ってきた。
「…お前のタレント、離れたところでも操作できるのか?」
「な、なんだ?急に?」
ガイの唐突な質問に困惑する白マロ。
「出来るのか?」
しかし、ガイは質問をやめない。
「…植物を操る時はその植物に触れなければ操作できない。しかし、植物の種を成長させる事なら出来る。あらかじめ、タレントをその種子に使っていたのならな。」
それを聞いたガイは少し微笑んだように見えた。
「わかった。それじゃその種、俺に何粒かくれ。考えがある。」
「…あぁ。」
思うところはあるようだが、元人間であるガイの知能を信じ、白マロはタレントをかけた種をガイに手渡した。
「どうした?かかって来ぬのなら、こちらから行くぞ!」
ケンケンは再び、白マロに襲いかかった。白マロは攻撃をかわし続けている。
そんな2匹をガイは観察していた。
「(あいつはもう俺に攻撃して来ない。俺が逃げてばっかりだったから、俺に戦闘の意思がないと思ったんだ。実際に、あの攻撃以来、俺に見向きもしなくなった。)」
ガイの考えは当たっていた。ケンケンは戦う気がないものとは戦わない主義。武士の情け。ガイへの慈悲である。ガイは観察により、それを見抜いていたのだ。
「(そこに付け入る隙がある。)」
ガイはじっと機をうかがっていた。
「植物魔法『操作』!!!」
白マロはツタをうねらせ、鞭のようにしてケンケンに攻撃した。
「言ったであろう、それは通用せんと!」
ケンケンはツタを切り裂いた。
すると次の瞬間、ガイはケンケンに飛びかかった。
「なにッ…⁈」
ケンケンは唐突なガイの参戦にやや驚いた。そんなケンケンの顔面をガイは殴った。
しかし、ケンケンはなんと、ガイの手を咥えていたのだ。
「がぷッ!!!」
その時、ケンケンはガイの手に噛み付いた。
「いっ…!」
ガイは急いで手を抜いた。ガイの手からは血が出ている。
「やはり人間だな。先の攻撃で拙者の足や目を、爪で引っ掻いていれば良かったものを。」
そう。今のは正真正銘の猫パンチ。到底、大したダメージではない。しかし、元人間のガイにとって、爪や牙での攻撃など範疇外。ケンケンはそう考えていた。しかし、実際は違う。
「あぁ。お前の言う通り、俺は人間だ。爪を使って攻撃はしない。」
その時、ガイは自身の頭を指差した。
「人間はな、頭を使って戦うんだよ。」
「なに?」
ガイの発言に疑問を抱いたケンケン。そんなケンケンに思考する間を与える事なく、ガイは叫んだ。
「今だ!白マロ!」
「な、なんかよくわからんが…植物魔法『成長』!!!」
するとその時、ケンケンが苦しみ始めた。
「ぐ…ぐぅ…な、なんだ…体の奥…から…⁈」
次の瞬間、ケンケンの身体から植物のツタが飛び出してきた。
「にゃ…!」
白マロはやっとガイの作戦が理解できたようだ。
「まさか自分から口開いてくれるとは思わなかったよ。でも好都合だった。」
植物のツタはケンケンの皮膚を突き破り、体内から伸びている。
「き、貴様…ッ!」
ガイは肉球に種を挟んでケンケンを殴っていたのだ。ケンケンの体内に種を入れるために。そう。ガイは端から拳で攻撃などしようとは考えてはいなかったのだ。
「おのれ…ッ!!!」
しかし、ケンケンは痛みを堪え、ガイに向かって襲いかかった。
するとその時、白マロが爪でケンケンの喉を掻き切った。
「かはッ………」
ケンケンは血を流し、倒れた。
「殺したのか…」
ガイは動かないケンケンを見て、白マロに尋ねた。
「あぁ。ワガハイ達の命を狙ってきたんだ。当然の報いだろ。」
「…そだな。」
白マロの理屈は正しかった。ガイも実際、そう思っていた。しかし、ガイはあまりいい気分ではなかった。
「(コイツ、思ってた以上に使える。これなら…)」
白マロはガイを見ている。
「行くぞ、人間。」
「どこに?」
「さっき逃げたコイツらの仲間を追うんだよ。」
「あー、そうだった。」
白マロは窓のふちに乗った。
「ついてこい。」
「どこ行ったかわかんのか?」
「聞いてみる。」
「聞いてみるって…誰に?」
【とある路地裏にて…】
白マロとガイがやってきた。
「し、白マロさん!」
そこには5匹の野良猫が集まっていた。
「ヤブ助たちを見なかったか?」
白マロはその5匹の猫に尋ねた。
「いや、見てませんぜ。」
1匹の猫が答える。
他の猫達は白マロの背後にいるガイを見ている。
「後ろの奴は誰ですか?」
「新しい舎弟っすか?」
白マロは頷いた。
「まあ、そんなとこだ。」
その時、5匹の中の1匹の猫がガイに近寄ってきた。
「おまえ、名前なんていうんだ?」
「ガイ。」
「ガイか。デカいしモフモフだな。メインクーンか?」
「あぁ、多分…」
話し合うガイと野良猫。一方、白マロは残り4匹にも聞いて回った。
「本当に、ヤブ助たちを見なかったんだな。」
「はい。本当ですよ。」
猫達はうんうんと頷く。
「あの2匹に何かご用ですか?」
「いや、ちょっとな。」
猫達は顔を合わせている。
「邪魔したな。」
白マロがその場をさろうとした。
「…」
しかし、一方ガイは猫達をじっと見ていた。疑いの目で。
「どうした、ガイ。行くぞ。」
白マロの呼びかけにもガイは反応しない。
その時、ガイは猫達に言った。
「なぁ。なんで2匹ってわかったんだ?」
猫達は首を傾げた。
「どういう事だ…」
白マロも同様。ガイの発言の意味がわからなかった。ガイは続けた。
「白マロはさっき、ヤブ助達を知らないかって聞いた。ヤブ助たち…つまり、ここいらの猫なら戸楽市猫四天王の事だと思うはずだ。」
それでも、猫達は気づかない。
「白マロがヤブ助たちはって聞いたら、普通はヤブ助、チビマル、ケンケンの3匹を探していると思うはず…なのに、お前らはさっき2匹と言った。」
「…」
ここでようやく、猫達はガイの言いたい事を理解した。
「お前ら、知ってるだろ。奴らの居場所を。」
すると、猫達はケラケラと笑い始めた。
「あーあ、バレちまったな。」
その時、白マロは猫達を怒鳴りつけた。
「騙したな!お前ら!」
しかし、猫達は怯むどころか怒鳴り返してきた。
「へっ!裏切り者が何言ってやがる!」
「人間なんかのペットになる奴なんか、俺たちの仲間じゃねぇ!」
「やっちゃってください!チビマルさん!」
その時、白マロは上を見た。何故、上を見たかは白マロ自身わからない。きっと、野生の勘というやつだ。
「ガイ!」
白マロの呼びかけにより、ガイは上を見た。するとそこには、一足の長靴が宙に浮いていた。
「長靴?」
次の瞬間、ハイヒールやサンダル、上靴や革靴など、様々な種類の靴がその長靴の周りに集まった。
「気をつけろ。チビマルのタレントだ。」
その時、長靴からチビマルが顔を出した。
「どうやらケンケンはやられたようだな。」
チビマルはガイ達を見下ろしている。
「お前もすぐ、ケンケンの元へ連れてってやる。」
白マロはチビマルを挑発した。すると、チビマルは怒りを露わにした。
「調子乗ってんじゃねーぞ!ガキが!」
次の瞬間、チビマルは叫んだ。
「『靴操』!!!」
すると、宙に浮いていた何足もの靴がガイと白マロに向かって急降下してきた。
よく見ると、靴のつま先部分には、刃物やガラスの破片が埋め込まれている。
「避けろ、ガイ!」
「いや、俺、無理!」
ガイと白マロは路地裏に入ってきた時に通った狭い通路に逃げた。
しかし、靴はその狭い通路に入ってきた。
「植物魔法『成長』!!!」
白マロは植物の種を急成長させた。すると、狭い通路に樹木が生えた。
「植物魔法『変形』!!!」
すると、その木が変形し、道を塞いだ。靴達は木が邪魔でガイ達を追うことができない。
「へっ!悪あがきだな!」
チビマルはたくさんの靴を率いて、空中を移動し、ガイ達を先回りした。
「(遅いな…)」
その時、チビマルの目の前に、通路から何かが投げられてきた。
「こ、これは…!」
それはマタタビだった。
「ふにぁ~ん~♡」
チビマルはマタタビを咥えて寝転がっている。
そこへ、ガイと白マロがやってきた。
「今がチャンスだ。奴を捕まえよう。」
「殺さないのか?」
白マロは不思議そうな顔つきでガイを見た。
「いくら猫だろうと殺しは無しだ。後味が悪い。それに、今後利用できるかもしれないしな。」
「でも、逃げられたらどうするんだ?」
「また捕まえれば良い。作戦ならいくらでも立てられる。」
「…そうだな。」
白マロは植物のツタでチビマルの体を縛った。
「あ~ん♡良い締め付け♡」
「せいッ…やァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!
ケンケンは何でも切り裂く長い爪でガイを攻撃した。
「うぉぉぉぉお!!!来るなァァァァア!!!」
ガイは何とか爪をかわした。
「何してる!逃げてばかりでは倒せないぞ!」
「猫だから戦い方がわからないんだよ!」
ガイは柔道や空手などの格闘技を習っていた。しかし、四足歩行で戦う格闘技は習っていなかった。というか、そもそも四足歩行の格闘技なんてない。多分。
「植物魔法『成長』!!!」
白マロは植物の種子を発芽させた。
「(種が…)」
ガイは白マロのタレントを見定めていた。
「植物魔法『操作』!!!」
白マロは発芽させた植物のツタでケンケンを攻撃した。
「『斬鉄爪』!!!」
しかし、ケンケンは爪でそれを容易く切り裂いた。
「(くそ…ワガハイと奴とでは相性が悪い…どうすれば…)」
勝ち筋を思考する白マロ。しかし、良い案は思い浮かばない。そんな時、ガイが白マロに近寄ってきた。
「…お前のタレント、離れたところでも操作できるのか?」
「な、なんだ?急に?」
ガイの唐突な質問に困惑する白マロ。
「出来るのか?」
しかし、ガイは質問をやめない。
「…植物を操る時はその植物に触れなければ操作できない。しかし、植物の種を成長させる事なら出来る。あらかじめ、タレントをその種子に使っていたのならな。」
それを聞いたガイは少し微笑んだように見えた。
「わかった。それじゃその種、俺に何粒かくれ。考えがある。」
「…あぁ。」
思うところはあるようだが、元人間であるガイの知能を信じ、白マロはタレントをかけた種をガイに手渡した。
「どうした?かかって来ぬのなら、こちらから行くぞ!」
ケンケンは再び、白マロに襲いかかった。白マロは攻撃をかわし続けている。
そんな2匹をガイは観察していた。
「(あいつはもう俺に攻撃して来ない。俺が逃げてばっかりだったから、俺に戦闘の意思がないと思ったんだ。実際に、あの攻撃以来、俺に見向きもしなくなった。)」
ガイの考えは当たっていた。ケンケンは戦う気がないものとは戦わない主義。武士の情け。ガイへの慈悲である。ガイは観察により、それを見抜いていたのだ。
「(そこに付け入る隙がある。)」
ガイはじっと機をうかがっていた。
「植物魔法『操作』!!!」
白マロはツタをうねらせ、鞭のようにしてケンケンに攻撃した。
「言ったであろう、それは通用せんと!」
ケンケンはツタを切り裂いた。
すると次の瞬間、ガイはケンケンに飛びかかった。
「なにッ…⁈」
ケンケンは唐突なガイの参戦にやや驚いた。そんなケンケンの顔面をガイは殴った。
しかし、ケンケンはなんと、ガイの手を咥えていたのだ。
「がぷッ!!!」
その時、ケンケンはガイの手に噛み付いた。
「いっ…!」
ガイは急いで手を抜いた。ガイの手からは血が出ている。
「やはり人間だな。先の攻撃で拙者の足や目を、爪で引っ掻いていれば良かったものを。」
そう。今のは正真正銘の猫パンチ。到底、大したダメージではない。しかし、元人間のガイにとって、爪や牙での攻撃など範疇外。ケンケンはそう考えていた。しかし、実際は違う。
「あぁ。お前の言う通り、俺は人間だ。爪を使って攻撃はしない。」
その時、ガイは自身の頭を指差した。
「人間はな、頭を使って戦うんだよ。」
「なに?」
ガイの発言に疑問を抱いたケンケン。そんなケンケンに思考する間を与える事なく、ガイは叫んだ。
「今だ!白マロ!」
「な、なんかよくわからんが…植物魔法『成長』!!!」
するとその時、ケンケンが苦しみ始めた。
「ぐ…ぐぅ…な、なんだ…体の奥…から…⁈」
次の瞬間、ケンケンの身体から植物のツタが飛び出してきた。
「にゃ…!」
白マロはやっとガイの作戦が理解できたようだ。
「まさか自分から口開いてくれるとは思わなかったよ。でも好都合だった。」
植物のツタはケンケンの皮膚を突き破り、体内から伸びている。
「き、貴様…ッ!」
ガイは肉球に種を挟んでケンケンを殴っていたのだ。ケンケンの体内に種を入れるために。そう。ガイは端から拳で攻撃などしようとは考えてはいなかったのだ。
「おのれ…ッ!!!」
しかし、ケンケンは痛みを堪え、ガイに向かって襲いかかった。
するとその時、白マロが爪でケンケンの喉を掻き切った。
「かはッ………」
ケンケンは血を流し、倒れた。
「殺したのか…」
ガイは動かないケンケンを見て、白マロに尋ねた。
「あぁ。ワガハイ達の命を狙ってきたんだ。当然の報いだろ。」
「…そだな。」
白マロの理屈は正しかった。ガイも実際、そう思っていた。しかし、ガイはあまりいい気分ではなかった。
「(コイツ、思ってた以上に使える。これなら…)」
白マロはガイを見ている。
「行くぞ、人間。」
「どこに?」
「さっき逃げたコイツらの仲間を追うんだよ。」
「あー、そうだった。」
白マロは窓のふちに乗った。
「ついてこい。」
「どこ行ったかわかんのか?」
「聞いてみる。」
「聞いてみるって…誰に?」
【とある路地裏にて…】
白マロとガイがやってきた。
「し、白マロさん!」
そこには5匹の野良猫が集まっていた。
「ヤブ助たちを見なかったか?」
白マロはその5匹の猫に尋ねた。
「いや、見てませんぜ。」
1匹の猫が答える。
他の猫達は白マロの背後にいるガイを見ている。
「後ろの奴は誰ですか?」
「新しい舎弟っすか?」
白マロは頷いた。
「まあ、そんなとこだ。」
その時、5匹の中の1匹の猫がガイに近寄ってきた。
「おまえ、名前なんていうんだ?」
「ガイ。」
「ガイか。デカいしモフモフだな。メインクーンか?」
「あぁ、多分…」
話し合うガイと野良猫。一方、白マロは残り4匹にも聞いて回った。
「本当に、ヤブ助たちを見なかったんだな。」
「はい。本当ですよ。」
猫達はうんうんと頷く。
「あの2匹に何かご用ですか?」
「いや、ちょっとな。」
猫達は顔を合わせている。
「邪魔したな。」
白マロがその場をさろうとした。
「…」
しかし、一方ガイは猫達をじっと見ていた。疑いの目で。
「どうした、ガイ。行くぞ。」
白マロの呼びかけにもガイは反応しない。
その時、ガイは猫達に言った。
「なぁ。なんで2匹ってわかったんだ?」
猫達は首を傾げた。
「どういう事だ…」
白マロも同様。ガイの発言の意味がわからなかった。ガイは続けた。
「白マロはさっき、ヤブ助達を知らないかって聞いた。ヤブ助たち…つまり、ここいらの猫なら戸楽市猫四天王の事だと思うはずだ。」
それでも、猫達は気づかない。
「白マロがヤブ助たちはって聞いたら、普通はヤブ助、チビマル、ケンケンの3匹を探していると思うはず…なのに、お前らはさっき2匹と言った。」
「…」
ここでようやく、猫達はガイの言いたい事を理解した。
「お前ら、知ってるだろ。奴らの居場所を。」
すると、猫達はケラケラと笑い始めた。
「あーあ、バレちまったな。」
その時、白マロは猫達を怒鳴りつけた。
「騙したな!お前ら!」
しかし、猫達は怯むどころか怒鳴り返してきた。
「へっ!裏切り者が何言ってやがる!」
「人間なんかのペットになる奴なんか、俺たちの仲間じゃねぇ!」
「やっちゃってください!チビマルさん!」
その時、白マロは上を見た。何故、上を見たかは白マロ自身わからない。きっと、野生の勘というやつだ。
「ガイ!」
白マロの呼びかけにより、ガイは上を見た。するとそこには、一足の長靴が宙に浮いていた。
「長靴?」
次の瞬間、ハイヒールやサンダル、上靴や革靴など、様々な種類の靴がその長靴の周りに集まった。
「気をつけろ。チビマルのタレントだ。」
その時、長靴からチビマルが顔を出した。
「どうやらケンケンはやられたようだな。」
チビマルはガイ達を見下ろしている。
「お前もすぐ、ケンケンの元へ連れてってやる。」
白マロはチビマルを挑発した。すると、チビマルは怒りを露わにした。
「調子乗ってんじゃねーぞ!ガキが!」
次の瞬間、チビマルは叫んだ。
「『靴操』!!!」
すると、宙に浮いていた何足もの靴がガイと白マロに向かって急降下してきた。
よく見ると、靴のつま先部分には、刃物やガラスの破片が埋め込まれている。
「避けろ、ガイ!」
「いや、俺、無理!」
ガイと白マロは路地裏に入ってきた時に通った狭い通路に逃げた。
しかし、靴はその狭い通路に入ってきた。
「植物魔法『成長』!!!」
白マロは植物の種を急成長させた。すると、狭い通路に樹木が生えた。
「植物魔法『変形』!!!」
すると、その木が変形し、道を塞いだ。靴達は木が邪魔でガイ達を追うことができない。
「へっ!悪あがきだな!」
チビマルはたくさんの靴を率いて、空中を移動し、ガイ達を先回りした。
「(遅いな…)」
その時、チビマルの目の前に、通路から何かが投げられてきた。
「こ、これは…!」
それはマタタビだった。
「ふにぁ~ん~♡」
チビマルはマタタビを咥えて寝転がっている。
そこへ、ガイと白マロがやってきた。
「今がチャンスだ。奴を捕まえよう。」
「殺さないのか?」
白マロは不思議そうな顔つきでガイを見た。
「いくら猫だろうと殺しは無しだ。後味が悪い。それに、今後利用できるかもしれないしな。」
「でも、逃げられたらどうするんだ?」
「また捕まえれば良い。作戦ならいくらでも立てられる。」
「…そうだな。」
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