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第2章『ガイ-過去編-』
第58障『桜田の目的』
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【12月13日、密林の労働部屋にて…】
角野はガイに肩を貸しながら、10km先の拠点へと向かっていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
角野は息が荒い。気温は30度程度、日差しは無いとはいえ、湿度が高い。じめじめした蒸し暑さが角野の体力を奪っていく。
そして何より、角野を苦しめていたのは殺し屋の存在。まだ姿は見た事は無いが、死と隣り合わせという実感が、角野を精神的に追い詰めていた。
「(油断…できない…)」
いや、むしろ殺し屋の姿がわからない方が怖い。敵はいつ、何処で、どんな方法で、自分達を襲ってくるからわからないからだ。わからない、未知の恐怖ほど、心を追い詰めるものはない。角野は恐怖で頭がおかしくなりそうだった。
その時、ガイは呟いた。
「音がする……」
ガイのその呟きにより、角野は我に返った。
「えっ…音…?」
角野は耳を澄ました。すると、近くから機械の羽音が聞こえてきた。
「(コレは、プロペラの羽音…)」
聞き覚えのあるプロペラ音。しかし、ヘリコプターほどの爆音では無い。
次の瞬間、空から弾丸の雨がガイと角野に降り注いだ。
「ッ…!」
ガイはいち早くそれに気づき、力を振り絞って角野を押し倒し、物陰に隠れた。
ガイと角野は木の陰からそれを見上げた。
「ドローン…⁈」
そう。殺し屋の正体とは、機関銃を備えた自動追撃型ドローンだったのだ。
ドローンは地上から高さ5~6mの所を浮遊しており、ガイ達を追ってくる訳ではない。どうやら、この密林内を無作為に巡回し、目についた生物を追尾・銃撃しているようだ。
今、ガイ達は木の陰、生い茂った草の中に身を隠している。それ故、姿を見失ったドローンは追尾をやめ、巡回を再開したのだ。
「(少し遠い…)」
角野は空中にいるドローンを見て、思考していた。
「(あのドローンが、私のタレントの射程内に入ってくれれば…)」
その時、苦慮する角野の顔を見て、ガイは言った。
「お前のタレント…教えろ……」
「え…」
角野はガイの顔を見た。
「…」
ガイには、何か考えがあるようだ。
【数分後…】
角野は木の陰から飛び出し、姿を現した。当然、ドローンは角野の姿を捉え、彼女に向かって飛び、機関銃を放った。
その時、角野は叫んだ。
「『角箱』!!!」
すると次の瞬間、一辺が2mほどの鉄の立方体が現れ、角野を囲んだ。それにより、ドローンから放たれた弾丸は角野の体に当たる事はなかった。
説明しよう!角野のタレントは『角箱』。箱を創造する能力である。
創造できる箱の大きさは一辺1cm~3mまで。木製,金属製,プラスチック製など、様々な材質の箱を自由に創造できる。タレント射程は自分を中心として5mほど。しかし、創造した箱は射程外に出ても自然消滅する事はない。創造時のみ、射程の制限がかかるのだ。
タイプ:創造型
角野がドローンの前に姿を現したのは、ドローンを誘い出す為。そうする事で、『角箱』の射程内に誘き寄せる為。
しかし今、角野は鉄の箱に覆われ、外の様子がわからない。これでは、タレントを使ってドローンを破壊する事はできない。
だから、ガイは叫んだ。
「『角箱』!!!」
ガイは『模倣』で角野の『角箱』をコピーした。そして、ドローンを一辺50cmほどの鉄の箱で囲み、箱の落下と共に地面へ落下させてドローンを破壊したのだ。
「終わったぞ…」
ガイの合図と共に、角野は自身を囲っていた鉄箱を消失させた。
角野はガイに話をしながら近づいてきた。
「便利な能力だね。コピーなんて…」
その時、ガイは地面に倒れた。
「ちょ、ちょっと…⁈」
角野は倒れたガイに駆け寄った。
「…」
ガイは疲労が限界に達し、気絶してしまった。
【⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎年前、⬛︎⬛︎、ファミレスにて…】
ガイはリアムと名乗る⬛︎国人の少年と、平門と名乗る⬛︎⬛︎人の若い男性と話をしていた。
「連合って知ってるか?」
「連合?」
リアムの言う連合にガイは聞き覚えがなかった。
「世界平和の為の組織みたいなもんだよ。連合は今、能力者を集めてるんだ。俺たちみたいな能力者を。」
「その連合ってのは、能力者を集めてどうするつもりだ。」
「逃げるんだよ。ココから。」
「は…?」
「⬛︎年後に⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎する。それはもう、止めようの無いもの。連合の予知者は有能でね。確率は100%だ。だから、僕らは逃げるんだ。この⬛︎⬛︎から。その為に、君の力が必要だ。」
その時、リアムはガイに向けて手を差し伸べた。
「もう一度言う。仲間になれ。⬛︎坂。」
しかし、ガイは首を振った。
「どうでもいい。そんな⬛︎年後の事なんか。それに、面倒な事はごめんだ。」
その時、リアムはテーブルの上に何かを置いた。
「パスポート…?」
それは国際パスポートだった。
「世界を見て回ろう。」
「なんで…」
「どうでもいいなんて、キミの口から言わせない為だよ。」
そう言ったリアムの顔は笑っていた。
ガイがこの意味を知る事になるのは、もっと先の事。少なくとも、ここじゃない。別の⬛︎⬛︎で。
【現在…】
ガイは目を覚ました。
「(また、あの夢…)」
ガイは体を起こした。
「(寝たからか、体が少し楽だ。)」
ガイは辺りを見渡した。しかし、真っ暗で何も見えない。
その時、すぐ真横から角野の声が聞こえてきた。
「あ、起きた…?」
角野の声は反響している。どうやら、ココは角野の『角箱』で作った箱の中のようだ。おそらくは、新手のドローンから身を隠す為のもの。
「ごめん…さすがに、キミを担いでは無理だった…の…」
角野の声は弱々しかった。おそらく、この暑さのせいだ。密閉されたこの箱内では、空気がこもる。ただでさえ、湿度が高いこの労働部屋では、この箱内はまさにサウナだ。
さすがのガイもこの暑さにはこたえてはいたが、束の間の睡眠で疲労が回復した事により、先程までよりと比べたら状態は良かった。
「とりあえず箱を消せ。暑くて死ぬ。」
「うん…」
角野はタレントを解除し、二人を囲っていた箱を消滅させた。
【箱の外、密林の労働部屋にて…】
箱が消え、ガイと角野が姿を現した。
「はぁ~!涼しいぃ~!」
角野は外の涼しさを満喫した。とはいえ、外気の温度も30度を超えている。暑さ感覚が麻痺していたのだ。それはガイも同様。
その時、角野はガイに尋ねた。
「歩ける?また肩貸そうか?」
「いや、いい。結構回復した。歩く程度ならできる。それより、早く拠点を目指そう。話はそれからだ。」
「う、うん…」
角野はガイの落ち着き様に肝を抜かした。
「(本当に中学生…?)」
【二時間後…】
ガイと角野は遅い来る殺し屋ドローンを破壊しながら、金田が言っていた拠点へとやってきた。
「ココが拠点…」
草木の生えていない直径10mほどの広場。その中央には、何やらATMのような機械の台が鎮座していた。おそらく、アレが転送機。アレを使って水や食料を手に入れるようだ。
ガイと角野は時給で得た所持金を使って、水や食料、医療品などを購入した。
水分補給をした後、ガイは角野に怪我の治療をしてもらい、その際に色々と尋ねた。
「アンタと桜田の関係。それと、仲間の数とタレント。それが知りたい。」
「…」
角野は渋った。教えればきっと、ガイは桜田を倒してしまうであろう。角野は桜田の非人道的な行為を止めたい一方、桜田に傷ついて欲しくないという気持ちが交差していた。
それを察したガイはこう言った。
「…わかった。アンタには助けてもらった恩がある。話せる所だけ話してくれ。」
それを聞いた角野は申し訳なさそうに礼を言う。
「ありがとう…」
そして、角野は話を始めた。
「私と秋と哲也…あ、哲也は出口哲也の事ね。そして秋の双子の妹の春(はる)。私たち四人は幼馴染だった。」
角野は悲しげな表情で話を続ける。
「11年前、春が交通事故で亡くなった。当時、私は事故現場にいなかったから、その事故がどういったものなのかはわからない。でも秋は、春が死んだのは全部自分のせいだって言って、それで…」
「それで、妹を生き返らせる為に、外の世界にいる魔王の封印を解く。」
角野は頷いた。
「私たちは何としても、外の世界へ行かなくちゃならない。どんな手を使っても…そのはずだった…」
すると、角野は後悔の表情を浮かべた。
「でも…でもやっぱり、拷問なんて間違ってる!例え、春ちゃんを生き返らせる為でも、誰かを不幸にする作戦なんて賛同できない!」
その時、角野は涙を流し、懺悔するかのようにガイに話をした。
「私は秋を止められなかった…私も、春の為なら、キミを犠牲にするって…でも、やっぱり私は…」
地面に膝をつき、角野は泣きじゃくった。彼女も、悩んでいたようだ。それをガイに話した事で、自身の中に押さえ込んだものが噴き出してしまったのだ。
その時、ガイは呟いた。
「俺にも、生き返らせたい人がいる。」
「え…」
「事が済んだら、魔王の報酬の話、信憑性がある事を俺に証明しろ。それで俺が納得したら、一緒に行ってやる。」
それを聞いた角野は驚嘆した。
「ほ、ホント…⁈」
「あぁ。」
生き返らせたい人、それはおそらく母親だ。しかし、ガイにはもっと別に目的があった。
それは桜田たちの人数とタレントを知る事。角野を信用させる事で、ガイはそれを探ろうとしていたのだ。
「だから言ってくれ。桜田の仲間の数とタレントを…」
その時、ガイは背後からPSIを感じた。
「…」
ガイは振り返り、拳を構えた。
遅れて、角野も自分たち以外のPSIの存在に気がつき、立ち上がって警戒した。
「あの木の裏…誰か居るわ…」
「お前の仲間…だろうな。」
次の瞬間、その方向から巨大な火炎がガイ達に向かって放たれた。
「「ッ!!!」」
角野はガイに肩を貸しながら、10km先の拠点へと向かっていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
角野は息が荒い。気温は30度程度、日差しは無いとはいえ、湿度が高い。じめじめした蒸し暑さが角野の体力を奪っていく。
そして何より、角野を苦しめていたのは殺し屋の存在。まだ姿は見た事は無いが、死と隣り合わせという実感が、角野を精神的に追い詰めていた。
「(油断…できない…)」
いや、むしろ殺し屋の姿がわからない方が怖い。敵はいつ、何処で、どんな方法で、自分達を襲ってくるからわからないからだ。わからない、未知の恐怖ほど、心を追い詰めるものはない。角野は恐怖で頭がおかしくなりそうだった。
その時、ガイは呟いた。
「音がする……」
ガイのその呟きにより、角野は我に返った。
「えっ…音…?」
角野は耳を澄ました。すると、近くから機械の羽音が聞こえてきた。
「(コレは、プロペラの羽音…)」
聞き覚えのあるプロペラ音。しかし、ヘリコプターほどの爆音では無い。
次の瞬間、空から弾丸の雨がガイと角野に降り注いだ。
「ッ…!」
ガイはいち早くそれに気づき、力を振り絞って角野を押し倒し、物陰に隠れた。
ガイと角野は木の陰からそれを見上げた。
「ドローン…⁈」
そう。殺し屋の正体とは、機関銃を備えた自動追撃型ドローンだったのだ。
ドローンは地上から高さ5~6mの所を浮遊しており、ガイ達を追ってくる訳ではない。どうやら、この密林内を無作為に巡回し、目についた生物を追尾・銃撃しているようだ。
今、ガイ達は木の陰、生い茂った草の中に身を隠している。それ故、姿を見失ったドローンは追尾をやめ、巡回を再開したのだ。
「(少し遠い…)」
角野は空中にいるドローンを見て、思考していた。
「(あのドローンが、私のタレントの射程内に入ってくれれば…)」
その時、苦慮する角野の顔を見て、ガイは言った。
「お前のタレント…教えろ……」
「え…」
角野はガイの顔を見た。
「…」
ガイには、何か考えがあるようだ。
【数分後…】
角野は木の陰から飛び出し、姿を現した。当然、ドローンは角野の姿を捉え、彼女に向かって飛び、機関銃を放った。
その時、角野は叫んだ。
「『角箱』!!!」
すると次の瞬間、一辺が2mほどの鉄の立方体が現れ、角野を囲んだ。それにより、ドローンから放たれた弾丸は角野の体に当たる事はなかった。
説明しよう!角野のタレントは『角箱』。箱を創造する能力である。
創造できる箱の大きさは一辺1cm~3mまで。木製,金属製,プラスチック製など、様々な材質の箱を自由に創造できる。タレント射程は自分を中心として5mほど。しかし、創造した箱は射程外に出ても自然消滅する事はない。創造時のみ、射程の制限がかかるのだ。
タイプ:創造型
角野がドローンの前に姿を現したのは、ドローンを誘い出す為。そうする事で、『角箱』の射程内に誘き寄せる為。
しかし今、角野は鉄の箱に覆われ、外の様子がわからない。これでは、タレントを使ってドローンを破壊する事はできない。
だから、ガイは叫んだ。
「『角箱』!!!」
ガイは『模倣』で角野の『角箱』をコピーした。そして、ドローンを一辺50cmほどの鉄の箱で囲み、箱の落下と共に地面へ落下させてドローンを破壊したのだ。
「終わったぞ…」
ガイの合図と共に、角野は自身を囲っていた鉄箱を消失させた。
角野はガイに話をしながら近づいてきた。
「便利な能力だね。コピーなんて…」
その時、ガイは地面に倒れた。
「ちょ、ちょっと…⁈」
角野は倒れたガイに駆け寄った。
「…」
ガイは疲労が限界に達し、気絶してしまった。
【⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎年前、⬛︎⬛︎、ファミレスにて…】
ガイはリアムと名乗る⬛︎国人の少年と、平門と名乗る⬛︎⬛︎人の若い男性と話をしていた。
「連合って知ってるか?」
「連合?」
リアムの言う連合にガイは聞き覚えがなかった。
「世界平和の為の組織みたいなもんだよ。連合は今、能力者を集めてるんだ。俺たちみたいな能力者を。」
「その連合ってのは、能力者を集めてどうするつもりだ。」
「逃げるんだよ。ココから。」
「は…?」
「⬛︎年後に⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎する。それはもう、止めようの無いもの。連合の予知者は有能でね。確率は100%だ。だから、僕らは逃げるんだ。この⬛︎⬛︎から。その為に、君の力が必要だ。」
その時、リアムはガイに向けて手を差し伸べた。
「もう一度言う。仲間になれ。⬛︎坂。」
しかし、ガイは首を振った。
「どうでもいい。そんな⬛︎年後の事なんか。それに、面倒な事はごめんだ。」
その時、リアムはテーブルの上に何かを置いた。
「パスポート…?」
それは国際パスポートだった。
「世界を見て回ろう。」
「なんで…」
「どうでもいいなんて、キミの口から言わせない為だよ。」
そう言ったリアムの顔は笑っていた。
ガイがこの意味を知る事になるのは、もっと先の事。少なくとも、ここじゃない。別の⬛︎⬛︎で。
【現在…】
ガイは目を覚ました。
「(また、あの夢…)」
ガイは体を起こした。
「(寝たからか、体が少し楽だ。)」
ガイは辺りを見渡した。しかし、真っ暗で何も見えない。
その時、すぐ真横から角野の声が聞こえてきた。
「あ、起きた…?」
角野の声は反響している。どうやら、ココは角野の『角箱』で作った箱の中のようだ。おそらくは、新手のドローンから身を隠す為のもの。
「ごめん…さすがに、キミを担いでは無理だった…の…」
角野の声は弱々しかった。おそらく、この暑さのせいだ。密閉されたこの箱内では、空気がこもる。ただでさえ、湿度が高いこの労働部屋では、この箱内はまさにサウナだ。
さすがのガイもこの暑さにはこたえてはいたが、束の間の睡眠で疲労が回復した事により、先程までよりと比べたら状態は良かった。
「とりあえず箱を消せ。暑くて死ぬ。」
「うん…」
角野はタレントを解除し、二人を囲っていた箱を消滅させた。
【箱の外、密林の労働部屋にて…】
箱が消え、ガイと角野が姿を現した。
「はぁ~!涼しいぃ~!」
角野は外の涼しさを満喫した。とはいえ、外気の温度も30度を超えている。暑さ感覚が麻痺していたのだ。それはガイも同様。
その時、角野はガイに尋ねた。
「歩ける?また肩貸そうか?」
「いや、いい。結構回復した。歩く程度ならできる。それより、早く拠点を目指そう。話はそれからだ。」
「う、うん…」
角野はガイの落ち着き様に肝を抜かした。
「(本当に中学生…?)」
【二時間後…】
ガイと角野は遅い来る殺し屋ドローンを破壊しながら、金田が言っていた拠点へとやってきた。
「ココが拠点…」
草木の生えていない直径10mほどの広場。その中央には、何やらATMのような機械の台が鎮座していた。おそらく、アレが転送機。アレを使って水や食料を手に入れるようだ。
ガイと角野は時給で得た所持金を使って、水や食料、医療品などを購入した。
水分補給をした後、ガイは角野に怪我の治療をしてもらい、その際に色々と尋ねた。
「アンタと桜田の関係。それと、仲間の数とタレント。それが知りたい。」
「…」
角野は渋った。教えればきっと、ガイは桜田を倒してしまうであろう。角野は桜田の非人道的な行為を止めたい一方、桜田に傷ついて欲しくないという気持ちが交差していた。
それを察したガイはこう言った。
「…わかった。アンタには助けてもらった恩がある。話せる所だけ話してくれ。」
それを聞いた角野は申し訳なさそうに礼を言う。
「ありがとう…」
そして、角野は話を始めた。
「私と秋と哲也…あ、哲也は出口哲也の事ね。そして秋の双子の妹の春(はる)。私たち四人は幼馴染だった。」
角野は悲しげな表情で話を続ける。
「11年前、春が交通事故で亡くなった。当時、私は事故現場にいなかったから、その事故がどういったものなのかはわからない。でも秋は、春が死んだのは全部自分のせいだって言って、それで…」
「それで、妹を生き返らせる為に、外の世界にいる魔王の封印を解く。」
角野は頷いた。
「私たちは何としても、外の世界へ行かなくちゃならない。どんな手を使っても…そのはずだった…」
すると、角野は後悔の表情を浮かべた。
「でも…でもやっぱり、拷問なんて間違ってる!例え、春ちゃんを生き返らせる為でも、誰かを不幸にする作戦なんて賛同できない!」
その時、角野は涙を流し、懺悔するかのようにガイに話をした。
「私は秋を止められなかった…私も、春の為なら、キミを犠牲にするって…でも、やっぱり私は…」
地面に膝をつき、角野は泣きじゃくった。彼女も、悩んでいたようだ。それをガイに話した事で、自身の中に押さえ込んだものが噴き出してしまったのだ。
その時、ガイは呟いた。
「俺にも、生き返らせたい人がいる。」
「え…」
「事が済んだら、魔王の報酬の話、信憑性がある事を俺に証明しろ。それで俺が納得したら、一緒に行ってやる。」
それを聞いた角野は驚嘆した。
「ほ、ホント…⁈」
「あぁ。」
生き返らせたい人、それはおそらく母親だ。しかし、ガイにはもっと別に目的があった。
それは桜田たちの人数とタレントを知る事。角野を信用させる事で、ガイはそれを探ろうとしていたのだ。
「だから言ってくれ。桜田の仲間の数とタレントを…」
その時、ガイは背後からPSIを感じた。
「…」
ガイは振り返り、拳を構えた。
遅れて、角野も自分たち以外のPSIの存在に気がつき、立ち上がって警戒した。
「あの木の裏…誰か居るわ…」
「お前の仲間…だろうな。」
次の瞬間、その方向から巨大な火炎がガイ達に向かって放たれた。
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