122 / 211
第2章『ガイ-過去編-』
第58障『桜田の目的』
しおりを挟む
【12月13日、密林の労働部屋にて…】
角野はガイに肩を貸しながら、10km先の拠点へと向かっていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
角野は息が荒い。気温は30度程度、日差しは無いとはいえ、湿度が高い。じめじめした蒸し暑さが角野の体力を奪っていく。
そして何より、角野を苦しめていたのは殺し屋の存在。まだ姿は見た事は無いが、死と隣り合わせという実感が、角野を精神的に追い詰めていた。
「(油断…できない…)」
いや、むしろ殺し屋の姿がわからない方が怖い。敵はいつ、何処で、どんな方法で、自分達を襲ってくるからわからないからだ。わからない、未知の恐怖ほど、心を追い詰めるものはない。角野は恐怖で頭がおかしくなりそうだった。
その時、ガイは呟いた。
「音がする……」
ガイのその呟きにより、角野は我に返った。
「えっ…音…?」
角野は耳を澄ました。すると、近くから機械の羽音が聞こえてきた。
「(コレは、プロペラの羽音…)」
聞き覚えのあるプロペラ音。しかし、ヘリコプターほどの爆音では無い。
次の瞬間、空から弾丸の雨がガイと角野に降り注いだ。
「ッ…!」
ガイはいち早くそれに気づき、力を振り絞って角野を押し倒し、物陰に隠れた。
ガイと角野は木の陰からそれを見上げた。
「ドローン…⁈」
そう。殺し屋の正体とは、機関銃を備えた自動追撃型ドローンだったのだ。
ドローンは地上から高さ5~6mの所を浮遊しており、ガイ達を追ってくる訳ではない。どうやら、この密林内を無作為に巡回し、目についた生物を追尾・銃撃しているようだ。
今、ガイ達は木の陰、生い茂った草の中に身を隠している。それ故、姿を見失ったドローンは追尾をやめ、巡回を再開したのだ。
「(少し遠い…)」
角野は空中にいるドローンを見て、思考していた。
「(あのドローンが、私のタレントの射程内に入ってくれれば…)」
その時、苦慮する角野の顔を見て、ガイは言った。
「お前のタレント…教えろ……」
「え…」
角野はガイの顔を見た。
「…」
ガイには、何か考えがあるようだ。
【数分後…】
角野は木の陰から飛び出し、姿を現した。当然、ドローンは角野の姿を捉え、彼女に向かって飛び、機関銃を放った。
その時、角野は叫んだ。
「『角箱』!!!」
すると次の瞬間、一辺が2mほどの鉄の立方体が現れ、角野を囲んだ。それにより、ドローンから放たれた弾丸は角野の体に当たる事はなかった。
説明しよう!角野のタレントは『角箱』。箱を創造する能力である。
創造できる箱の大きさは一辺1cm~3mまで。木製,金属製,プラスチック製など、様々な材質の箱を自由に創造できる。タレント射程は自分を中心として5mほど。しかし、創造した箱は射程外に出ても自然消滅する事はない。創造時のみ、射程の制限がかかるのだ。
タイプ:創造型
角野がドローンの前に姿を現したのは、ドローンを誘い出す為。そうする事で、『角箱』の射程内に誘き寄せる為。
しかし今、角野は鉄の箱に覆われ、外の様子がわからない。これでは、タレントを使ってドローンを破壊する事はできない。
だから、ガイは叫んだ。
「『角箱』!!!」
ガイは『模倣』で角野の『角箱』をコピーした。そして、ドローンを一辺50cmほどの鉄の箱で囲み、箱の落下と共に地面へ落下させてドローンを破壊したのだ。
「終わったぞ…」
ガイの合図と共に、角野は自身を囲っていた鉄箱を消失させた。
角野はガイに話をしながら近づいてきた。
「便利な能力だね。コピーなんて…」
その時、ガイは地面に倒れた。
「ちょ、ちょっと…⁈」
角野は倒れたガイに駆け寄った。
「…」
ガイは疲労が限界に達し、気絶してしまった。
【⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎年前、⬛︎⬛︎、ファミレスにて…】
ガイはリアムと名乗る⬛︎国人の少年と、平門と名乗る⬛︎⬛︎人の若い男性と話をしていた。
「連合って知ってるか?」
「連合?」
リアムの言う連合にガイは聞き覚えがなかった。
「世界平和の為の組織みたいなもんだよ。連合は今、能力者を集めてるんだ。俺たちみたいな能力者を。」
「その連合ってのは、能力者を集めてどうするつもりだ。」
「逃げるんだよ。ココから。」
「は…?」
「⬛︎年後に⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎する。それはもう、止めようの無いもの。連合の予知者は有能でね。確率は100%だ。だから、僕らは逃げるんだ。この⬛︎⬛︎から。その為に、君の力が必要だ。」
その時、リアムはガイに向けて手を差し伸べた。
「もう一度言う。仲間になれ。⬛︎坂。」
しかし、ガイは首を振った。
「どうでもいい。そんな⬛︎年後の事なんか。それに、面倒な事はごめんだ。」
その時、リアムはテーブルの上に何かを置いた。
「パスポート…?」
それは国際パスポートだった。
「世界を見て回ろう。」
「なんで…」
「どうでもいいなんて、キミの口から言わせない為だよ。」
そう言ったリアムの顔は笑っていた。
ガイがこの意味を知る事になるのは、もっと先の事。少なくとも、ここじゃない。別の⬛︎⬛︎で。
【現在…】
ガイは目を覚ました。
「(また、あの夢…)」
ガイは体を起こした。
「(寝たからか、体が少し楽だ。)」
ガイは辺りを見渡した。しかし、真っ暗で何も見えない。
その時、すぐ真横から角野の声が聞こえてきた。
「あ、起きた…?」
角野の声は反響している。どうやら、ココは角野の『角箱』で作った箱の中のようだ。おそらくは、新手のドローンから身を隠す為のもの。
「ごめん…さすがに、キミを担いでは無理だった…の…」
角野の声は弱々しかった。おそらく、この暑さのせいだ。密閉されたこの箱内では、空気がこもる。ただでさえ、湿度が高いこの労働部屋では、この箱内はまさにサウナだ。
さすがのガイもこの暑さにはこたえてはいたが、束の間の睡眠で疲労が回復した事により、先程までよりと比べたら状態は良かった。
「とりあえず箱を消せ。暑くて死ぬ。」
「うん…」
角野はタレントを解除し、二人を囲っていた箱を消滅させた。
【箱の外、密林の労働部屋にて…】
箱が消え、ガイと角野が姿を現した。
「はぁ~!涼しいぃ~!」
角野は外の涼しさを満喫した。とはいえ、外気の温度も30度を超えている。暑さ感覚が麻痺していたのだ。それはガイも同様。
その時、角野はガイに尋ねた。
「歩ける?また肩貸そうか?」
「いや、いい。結構回復した。歩く程度ならできる。それより、早く拠点を目指そう。話はそれからだ。」
「う、うん…」
角野はガイの落ち着き様に肝を抜かした。
「(本当に中学生…?)」
【二時間後…】
ガイと角野は遅い来る殺し屋ドローンを破壊しながら、金田が言っていた拠点へとやってきた。
「ココが拠点…」
草木の生えていない直径10mほどの広場。その中央には、何やらATMのような機械の台が鎮座していた。おそらく、アレが転送機。アレを使って水や食料を手に入れるようだ。
ガイと角野は時給で得た所持金を使って、水や食料、医療品などを購入した。
水分補給をした後、ガイは角野に怪我の治療をしてもらい、その際に色々と尋ねた。
「アンタと桜田の関係。それと、仲間の数とタレント。それが知りたい。」
「…」
角野は渋った。教えればきっと、ガイは桜田を倒してしまうであろう。角野は桜田の非人道的な行為を止めたい一方、桜田に傷ついて欲しくないという気持ちが交差していた。
それを察したガイはこう言った。
「…わかった。アンタには助けてもらった恩がある。話せる所だけ話してくれ。」
それを聞いた角野は申し訳なさそうに礼を言う。
「ありがとう…」
そして、角野は話を始めた。
「私と秋と哲也…あ、哲也は出口哲也の事ね。そして秋の双子の妹の春(はる)。私たち四人は幼馴染だった。」
角野は悲しげな表情で話を続ける。
「11年前、春が交通事故で亡くなった。当時、私は事故現場にいなかったから、その事故がどういったものなのかはわからない。でも秋は、春が死んだのは全部自分のせいだって言って、それで…」
「それで、妹を生き返らせる為に、外の世界にいる魔王の封印を解く。」
角野は頷いた。
「私たちは何としても、外の世界へ行かなくちゃならない。どんな手を使っても…そのはずだった…」
すると、角野は後悔の表情を浮かべた。
「でも…でもやっぱり、拷問なんて間違ってる!例え、春ちゃんを生き返らせる為でも、誰かを不幸にする作戦なんて賛同できない!」
その時、角野は涙を流し、懺悔するかのようにガイに話をした。
「私は秋を止められなかった…私も、春の為なら、キミを犠牲にするって…でも、やっぱり私は…」
地面に膝をつき、角野は泣きじゃくった。彼女も、悩んでいたようだ。それをガイに話した事で、自身の中に押さえ込んだものが噴き出してしまったのだ。
その時、ガイは呟いた。
「俺にも、生き返らせたい人がいる。」
「え…」
「事が済んだら、魔王の報酬の話、信憑性がある事を俺に証明しろ。それで俺が納得したら、一緒に行ってやる。」
それを聞いた角野は驚嘆した。
「ほ、ホント…⁈」
「あぁ。」
生き返らせたい人、それはおそらく母親だ。しかし、ガイにはもっと別に目的があった。
それは桜田たちの人数とタレントを知る事。角野を信用させる事で、ガイはそれを探ろうとしていたのだ。
「だから言ってくれ。桜田の仲間の数とタレントを…」
その時、ガイは背後からPSIを感じた。
「…」
ガイは振り返り、拳を構えた。
遅れて、角野も自分たち以外のPSIの存在に気がつき、立ち上がって警戒した。
「あの木の裏…誰か居るわ…」
「お前の仲間…だろうな。」
次の瞬間、その方向から巨大な火炎がガイ達に向かって放たれた。
「「ッ!!!」」
角野はガイに肩を貸しながら、10km先の拠点へと向かっていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
角野は息が荒い。気温は30度程度、日差しは無いとはいえ、湿度が高い。じめじめした蒸し暑さが角野の体力を奪っていく。
そして何より、角野を苦しめていたのは殺し屋の存在。まだ姿は見た事は無いが、死と隣り合わせという実感が、角野を精神的に追い詰めていた。
「(油断…できない…)」
いや、むしろ殺し屋の姿がわからない方が怖い。敵はいつ、何処で、どんな方法で、自分達を襲ってくるからわからないからだ。わからない、未知の恐怖ほど、心を追い詰めるものはない。角野は恐怖で頭がおかしくなりそうだった。
その時、ガイは呟いた。
「音がする……」
ガイのその呟きにより、角野は我に返った。
「えっ…音…?」
角野は耳を澄ました。すると、近くから機械の羽音が聞こえてきた。
「(コレは、プロペラの羽音…)」
聞き覚えのあるプロペラ音。しかし、ヘリコプターほどの爆音では無い。
次の瞬間、空から弾丸の雨がガイと角野に降り注いだ。
「ッ…!」
ガイはいち早くそれに気づき、力を振り絞って角野を押し倒し、物陰に隠れた。
ガイと角野は木の陰からそれを見上げた。
「ドローン…⁈」
そう。殺し屋の正体とは、機関銃を備えた自動追撃型ドローンだったのだ。
ドローンは地上から高さ5~6mの所を浮遊しており、ガイ達を追ってくる訳ではない。どうやら、この密林内を無作為に巡回し、目についた生物を追尾・銃撃しているようだ。
今、ガイ達は木の陰、生い茂った草の中に身を隠している。それ故、姿を見失ったドローンは追尾をやめ、巡回を再開したのだ。
「(少し遠い…)」
角野は空中にいるドローンを見て、思考していた。
「(あのドローンが、私のタレントの射程内に入ってくれれば…)」
その時、苦慮する角野の顔を見て、ガイは言った。
「お前のタレント…教えろ……」
「え…」
角野はガイの顔を見た。
「…」
ガイには、何か考えがあるようだ。
【数分後…】
角野は木の陰から飛び出し、姿を現した。当然、ドローンは角野の姿を捉え、彼女に向かって飛び、機関銃を放った。
その時、角野は叫んだ。
「『角箱』!!!」
すると次の瞬間、一辺が2mほどの鉄の立方体が現れ、角野を囲んだ。それにより、ドローンから放たれた弾丸は角野の体に当たる事はなかった。
説明しよう!角野のタレントは『角箱』。箱を創造する能力である。
創造できる箱の大きさは一辺1cm~3mまで。木製,金属製,プラスチック製など、様々な材質の箱を自由に創造できる。タレント射程は自分を中心として5mほど。しかし、創造した箱は射程外に出ても自然消滅する事はない。創造時のみ、射程の制限がかかるのだ。
タイプ:創造型
角野がドローンの前に姿を現したのは、ドローンを誘い出す為。そうする事で、『角箱』の射程内に誘き寄せる為。
しかし今、角野は鉄の箱に覆われ、外の様子がわからない。これでは、タレントを使ってドローンを破壊する事はできない。
だから、ガイは叫んだ。
「『角箱』!!!」
ガイは『模倣』で角野の『角箱』をコピーした。そして、ドローンを一辺50cmほどの鉄の箱で囲み、箱の落下と共に地面へ落下させてドローンを破壊したのだ。
「終わったぞ…」
ガイの合図と共に、角野は自身を囲っていた鉄箱を消失させた。
角野はガイに話をしながら近づいてきた。
「便利な能力だね。コピーなんて…」
その時、ガイは地面に倒れた。
「ちょ、ちょっと…⁈」
角野は倒れたガイに駆け寄った。
「…」
ガイは疲労が限界に達し、気絶してしまった。
【⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎年前、⬛︎⬛︎、ファミレスにて…】
ガイはリアムと名乗る⬛︎国人の少年と、平門と名乗る⬛︎⬛︎人の若い男性と話をしていた。
「連合って知ってるか?」
「連合?」
リアムの言う連合にガイは聞き覚えがなかった。
「世界平和の為の組織みたいなもんだよ。連合は今、能力者を集めてるんだ。俺たちみたいな能力者を。」
「その連合ってのは、能力者を集めてどうするつもりだ。」
「逃げるんだよ。ココから。」
「は…?」
「⬛︎年後に⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎する。それはもう、止めようの無いもの。連合の予知者は有能でね。確率は100%だ。だから、僕らは逃げるんだ。この⬛︎⬛︎から。その為に、君の力が必要だ。」
その時、リアムはガイに向けて手を差し伸べた。
「もう一度言う。仲間になれ。⬛︎坂。」
しかし、ガイは首を振った。
「どうでもいい。そんな⬛︎年後の事なんか。それに、面倒な事はごめんだ。」
その時、リアムはテーブルの上に何かを置いた。
「パスポート…?」
それは国際パスポートだった。
「世界を見て回ろう。」
「なんで…」
「どうでもいいなんて、キミの口から言わせない為だよ。」
そう言ったリアムの顔は笑っていた。
ガイがこの意味を知る事になるのは、もっと先の事。少なくとも、ここじゃない。別の⬛︎⬛︎で。
【現在…】
ガイは目を覚ました。
「(また、あの夢…)」
ガイは体を起こした。
「(寝たからか、体が少し楽だ。)」
ガイは辺りを見渡した。しかし、真っ暗で何も見えない。
その時、すぐ真横から角野の声が聞こえてきた。
「あ、起きた…?」
角野の声は反響している。どうやら、ココは角野の『角箱』で作った箱の中のようだ。おそらくは、新手のドローンから身を隠す為のもの。
「ごめん…さすがに、キミを担いでは無理だった…の…」
角野の声は弱々しかった。おそらく、この暑さのせいだ。密閉されたこの箱内では、空気がこもる。ただでさえ、湿度が高いこの労働部屋では、この箱内はまさにサウナだ。
さすがのガイもこの暑さにはこたえてはいたが、束の間の睡眠で疲労が回復した事により、先程までよりと比べたら状態は良かった。
「とりあえず箱を消せ。暑くて死ぬ。」
「うん…」
角野はタレントを解除し、二人を囲っていた箱を消滅させた。
【箱の外、密林の労働部屋にて…】
箱が消え、ガイと角野が姿を現した。
「はぁ~!涼しいぃ~!」
角野は外の涼しさを満喫した。とはいえ、外気の温度も30度を超えている。暑さ感覚が麻痺していたのだ。それはガイも同様。
その時、角野はガイに尋ねた。
「歩ける?また肩貸そうか?」
「いや、いい。結構回復した。歩く程度ならできる。それより、早く拠点を目指そう。話はそれからだ。」
「う、うん…」
角野はガイの落ち着き様に肝を抜かした。
「(本当に中学生…?)」
【二時間後…】
ガイと角野は遅い来る殺し屋ドローンを破壊しながら、金田が言っていた拠点へとやってきた。
「ココが拠点…」
草木の生えていない直径10mほどの広場。その中央には、何やらATMのような機械の台が鎮座していた。おそらく、アレが転送機。アレを使って水や食料を手に入れるようだ。
ガイと角野は時給で得た所持金を使って、水や食料、医療品などを購入した。
水分補給をした後、ガイは角野に怪我の治療をしてもらい、その際に色々と尋ねた。
「アンタと桜田の関係。それと、仲間の数とタレント。それが知りたい。」
「…」
角野は渋った。教えればきっと、ガイは桜田を倒してしまうであろう。角野は桜田の非人道的な行為を止めたい一方、桜田に傷ついて欲しくないという気持ちが交差していた。
それを察したガイはこう言った。
「…わかった。アンタには助けてもらった恩がある。話せる所だけ話してくれ。」
それを聞いた角野は申し訳なさそうに礼を言う。
「ありがとう…」
そして、角野は話を始めた。
「私と秋と哲也…あ、哲也は出口哲也の事ね。そして秋の双子の妹の春(はる)。私たち四人は幼馴染だった。」
角野は悲しげな表情で話を続ける。
「11年前、春が交通事故で亡くなった。当時、私は事故現場にいなかったから、その事故がどういったものなのかはわからない。でも秋は、春が死んだのは全部自分のせいだって言って、それで…」
「それで、妹を生き返らせる為に、外の世界にいる魔王の封印を解く。」
角野は頷いた。
「私たちは何としても、外の世界へ行かなくちゃならない。どんな手を使っても…そのはずだった…」
すると、角野は後悔の表情を浮かべた。
「でも…でもやっぱり、拷問なんて間違ってる!例え、春ちゃんを生き返らせる為でも、誰かを不幸にする作戦なんて賛同できない!」
その時、角野は涙を流し、懺悔するかのようにガイに話をした。
「私は秋を止められなかった…私も、春の為なら、キミを犠牲にするって…でも、やっぱり私は…」
地面に膝をつき、角野は泣きじゃくった。彼女も、悩んでいたようだ。それをガイに話した事で、自身の中に押さえ込んだものが噴き出してしまったのだ。
その時、ガイは呟いた。
「俺にも、生き返らせたい人がいる。」
「え…」
「事が済んだら、魔王の報酬の話、信憑性がある事を俺に証明しろ。それで俺が納得したら、一緒に行ってやる。」
それを聞いた角野は驚嘆した。
「ほ、ホント…⁈」
「あぁ。」
生き返らせたい人、それはおそらく母親だ。しかし、ガイにはもっと別に目的があった。
それは桜田たちの人数とタレントを知る事。角野を信用させる事で、ガイはそれを探ろうとしていたのだ。
「だから言ってくれ。桜田の仲間の数とタレントを…」
その時、ガイは背後からPSIを感じた。
「…」
ガイは振り返り、拳を構えた。
遅れて、角野も自分たち以外のPSIの存在に気がつき、立ち上がって警戒した。
「あの木の裏…誰か居るわ…」
「お前の仲間…だろうな。」
次の瞬間、その方向から巨大な火炎がガイ達に向かって放たれた。
「「ッ!!!」」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる