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第2章『ガイ-過去編-』
第66障『コレが戦いだ。』
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【12月13日、18:00、大学内にて…】
猪頭が大学内を歩いている。どうやら、警備員の誤解は解けたようだ。
「あの警備員め…!トイレのドアに指挟まればいいんだ…!」
猪頭が文句を言いながら大学の廊下を歩いていると、背後から何者かに話しかけられた。
猪頭が振り向くと、そこには桜田の仲間の出口と、とある人物がいた。
その後、三人は何かを話した後、大学の外へと出ていった。
【12月13日、18:20、河川敷付近にて…】
高所から落下し、意識を失っていた山口。そんな山口が、全身に鈍い痛みを感じながら目を覚ました。
「ご主人!!!」
山口が目を開けると、そこには人間の姿の白マロ、猫の姿のヤブ助とチビマルがいた。隣には意識のない裏日戸が横になっている。
「お前ら…なんで…」
山口の問いかけにヤブ助が答えた。
「お前と同じだ。ガイを探しにきた。」
ヤブ助に続き、白マロも山口に言う。
「まさかご主人も来てたなんて。一人?」
「いや、大学にいる。」
山口の返答の後、ヤブ助は話を始めた。
「俺達も桜田についての情報を得るべく、奴の通う大学へ向かう所だったんだ。」
続けて、チビマルと白マロも話す。
「んで、その途中にお前とそこの女が空に上がっていくのが見えてな。」
その時、山口は地面を見た。コンクリートだった地面から大量の植物が生えていた。
コレは白マロがタレントで作った草のクッションだ。白マロは山口の危機を察し、タレントで草のクッションを作り、落下ダメージを軽減したのだ。山口が重傷でないのもそれが理由だ。
「(そうか。白マロが俺たちを…)」
山口は自分達が助かった理由を悟ったその時、ヤブ助は尋ねた。
「何があった?」
【数分後…】
山口はヤブ助達に事情を話し終えた。
「人質か…」
ヤブ助は山口から、有野や広瀬達が土狛江に人質に取られている事を伝えた。そして、ヤブ助は寝ている裏日戸を見て山口に言う。
「コイツは引換券だ。土狛江とやらに捕まった奴らを助ける為のな。」
その言葉を聞いたチビマルは首を傾げた。
「引換券?」
そのチビマルの疑問に白マロが答えた。
「人質交換だろ。」
「あ、なるほど。」
ヤブ助は話を続ける。
「この女を俺のタレントで猫化する。その方が運びやすい。」
ヤブ助が裏日戸を猫化させようとしたその時、山口のスマホに電話がかかってきた。相手は広瀬だ。
山口は電話に出た。
「もしもし?」
〈あ!山口!よかった!やっと出た!〉
どうやら、何度も山口に電話していたらしい。気絶していた山口はそれに気づかなかったようだ。
【18:40、大学前にて…】
大学前には広瀬,有野,土狛江が居た。そこへ山口,裏日戸,白マロ,猫の姿のヤブ助とチビマルがやってきた。山口達は広瀬から事情を聞いた後、裏日戸を起こしてココへやってきたのだ。
山口は広瀬に尋ねた。
「堺とかは?」
「堺と友田は子供達を園に帰しに行ったよ。」
「なんで?」
「だって今から敵の本拠地に乗り込むんだぞ?危ないだろ。だから、ハンディーキャッパーじゃない二人に子供達を頼んだんだ。」
二人が会話する余所で、裏日戸と土狛江は話をしている。
「まさかアンタが桜田以外に賭け事で負けるなんて。」
「とんでもない子が居たんだって。」
土狛江は有野に視線を送って、そう答えた。
「お前は?弱点でも見破られた?」
「まぁ…」
「やっぱり。お前は嘘とか駆け引きとか下手だからな。」
「私、アンタと違って真っ直ぐな人間なんで。」
その時、猫の姿のヤブ助は人語で土狛江と裏日戸に話しかけた。
「出口邸へ案内しろ。」
「「猫が喋った!!!」」
【19:00、出口邸前にて…】
山口達は出口邸へとやってきた。
土狛江は皆に話しかける。
「俺たちの仲間の一人に木森っていう女がいる。タレントは『封印されし条件獣』。動物を創造する能力だ。発動条件は彼女が定めた条件を他者が満たす事。彼女は今、屋敷全体にタレントをかけている。侵入者を排除する為の。だから先ず、俺と裏日戸で屋敷に入り、木森を説得する。説得に成功したら合図を送るから、そしたら入ってきてくれ。」
その土狛江の作戦にヤブ助は質問をする。
「説得が無効だった場合は?」
「何とかする。彼女を倒してでも。」
土狛江と裏日戸は屋敷の中へと入っていった。
それを見て、ヤブ助は言った。
「あの二人、失敗する。」
そんなヤブ助の発言を聞き、山口は尋ねた。
「なんでそんな事わかんだ?」
「勘だ。」
「勘かよ。」
すると、ヤブ助は屋敷の敷地内へと入った。それを見た皆は驚いた。
「おい!何やってんだよ!」
「侵入者は入られないってさっきアイツが…!」
しかし、ヤブ助が屋敷内に入っても、何も起こる様子はない。
「やはりな。」
それを見て、ヤブ助は何かを察したようだ。
「おそらく、侵入者の対象は人間だ。虫や動物が入ってくる度にタレントが発動しては堪らんからな。」
そう。木森という女が屋敷にかけたタレントの侵入者の条件、それは『敷地内に入ってきた人間』である。つまり、猫のヤブ助は対象外なのだ。
「俺は屋敷を調べる。お前達はそこで待ってろ。」
ヤブ助は屋敷の奥へと向かった。
「あ、おい!」
山口がヤブ助を呼び止めようとしたが、ヤブ助は行ってしまった。
【20分後(19:20)…】
山口達は待った。しかし、説得に行った土狛江も裏日戸も、屋敷を調べに行ったヤブ助も戻っては来なかった。
「おっせぇーな。何やってんだよ。」
一向に帰ってくる様子のない三人を見兼ねた山口は屋敷に入ろうとした。しかし、広瀬はそれを止めた。
「ダメだ山口。待てって言われたろ。」
「これ以上待てねぇ!俺は行くぞ!」
それを聞き、有野も山口に賛同した。
「私も…」
「有野さんまで…!」
その時、チビマルが提案した。
「俺が様子を見に行ってみようか?俺も猫だし。」
「そうだな…」
広瀬はその提案を了承した。
「わかった。それじゃあ、屋敷の様子を…」
広瀬が話をしているその最中、屋敷の中から機関銃のような発砲音が鳴り響いた。
「「「…⁈」」」
一同はそれを聞いて驚嘆した。屋敷の中では何が起こっているのか。
「お、おい…今の銃声じゃ…」
チビマルがその音が銃声だという事に気づき、それを呟いた。
そして、事態を察した山口が屋敷の門を開け、言った。
「もう行こうぜ!全員で!」
「ちょっと!待っ………」
広瀬が山口を止めようとしたその時、広瀬の半身が消し飛んだ。
「え……」
消し飛んだのではない。喰われたのだ。山口が屋敷に足を踏み入れた事で現れた、その巨大な獣に。
その獣は、ゾウと同等並の体躯を持つ獅子のような生物だった。獣は広瀬の腰から上を咀嚼している。
広瀬は死んだ。そう。死んだのだ。あまりに唐突。さっきまで普通に話をしていたのに。何の前触れもなく。一瞬で。
コレが戦いだ。命など一瞬にして消え去る。その事に、山口は気づいていなかった。
「広瀬……」
次の瞬間、獣は山口に襲いかかった。しかし、山口は動けずにいる。
「ご主人!!!」
白マロは山口を押し退け、山口を獣の巨爪から防いだ。しかし、その結果、白マロはその獣の巨爪に右腕を切断され、右胸と右脇腹を切り裂かれた。
「ぐぁッ!!!」
白マロは地面に倒れた。
「白マロ…!」
山口は白マロに駆け寄ろうとした。しかし、それよりも早く、獣は白マロの半身に喰らついた。
「ッ…!!!」
獣は白マロの体を咥えたまま、首を何度も横に振る。すると、白マロの腹から下の部位が千切れ、地面に落ちる。地面に落ちた衝撃で、白マロの下腹部の切断面からは腸や背骨が飛び出てきた。
「ッ…!」
そのあまりに残酷な光景に有野は吐き気を催し、口を押さえている。
一方の山口はショックでその場から動けずにいた。
「(俺が…門を開けたから…か…?)」
この獣は山口が屋敷の門を開けた事で現れた。その事実は変わらない。つまり、この結果を招いた原因は山口だ。
「違う…こんな事になるなんて…」
山口の頭の中では今、あらゆる感情と思考が交錯し、パニックに陥っていた。
説明不足の土狛江のせい。攫われたガイのせい。そもそもの原因である桜田のせい。いや違う。全ては自分のせいだ。以前にも、ガイには危険な事はやめろと言われていたにも関わらず、今回もまた、友人を巻き込み、危険に身を投じた。こうなったのは自業自得だ。
「あ"ぁ……ぁあ"あ"あぁぁあぁあ……」
山口は頭を抱えてうずくまった。そんな山口に獣は再び巨爪を振り下ろす。
するとその時、獣の動きが止まった。そして次の瞬間、植物のツタが獣の体を内から突き破った。
獣は山口に攻撃を当てる前に絶命し、消滅した。
「白マロが…」
それを見ていたチビマルは、このツタが白マロのタレントだとわかった。白マロはまだ生きていたのだ。白マロは上半身を獣に飲み込まれた後、持っていた植物の種を成長させ、内から獣を攻撃したのだ。主人を守る為に。
消滅した獣の体内から、広瀬と白マロの半身が現れた。二人に息は無い。白マロは最後の力を振り絞って、獣を殺したのだ。
二人の死体の前に、ただ立ち尽くすのみのチビマルと有野。山口に至ってはうずくまり、とても正気では無い。
そんな三人の前に、屋敷の中から一人の男が現れた。
「良い…実に良い…!肉と臓物の艶めかしさ…!それを、さらに味わい深く引き立てる血の香り…!それら全てが、私の創作意欲を引き立てる…!」
男は例えようが無いほど、個性的な格好をしている若い男だ。
「この美学…奥の奥まで見てみたい…!」
猪頭が大学内を歩いている。どうやら、警備員の誤解は解けたようだ。
「あの警備員め…!トイレのドアに指挟まればいいんだ…!」
猪頭が文句を言いながら大学の廊下を歩いていると、背後から何者かに話しかけられた。
猪頭が振り向くと、そこには桜田の仲間の出口と、とある人物がいた。
その後、三人は何かを話した後、大学の外へと出ていった。
【12月13日、18:20、河川敷付近にて…】
高所から落下し、意識を失っていた山口。そんな山口が、全身に鈍い痛みを感じながら目を覚ました。
「ご主人!!!」
山口が目を開けると、そこには人間の姿の白マロ、猫の姿のヤブ助とチビマルがいた。隣には意識のない裏日戸が横になっている。
「お前ら…なんで…」
山口の問いかけにヤブ助が答えた。
「お前と同じだ。ガイを探しにきた。」
ヤブ助に続き、白マロも山口に言う。
「まさかご主人も来てたなんて。一人?」
「いや、大学にいる。」
山口の返答の後、ヤブ助は話を始めた。
「俺達も桜田についての情報を得るべく、奴の通う大学へ向かう所だったんだ。」
続けて、チビマルと白マロも話す。
「んで、その途中にお前とそこの女が空に上がっていくのが見えてな。」
その時、山口は地面を見た。コンクリートだった地面から大量の植物が生えていた。
コレは白マロがタレントで作った草のクッションだ。白マロは山口の危機を察し、タレントで草のクッションを作り、落下ダメージを軽減したのだ。山口が重傷でないのもそれが理由だ。
「(そうか。白マロが俺たちを…)」
山口は自分達が助かった理由を悟ったその時、ヤブ助は尋ねた。
「何があった?」
【数分後…】
山口はヤブ助達に事情を話し終えた。
「人質か…」
ヤブ助は山口から、有野や広瀬達が土狛江に人質に取られている事を伝えた。そして、ヤブ助は寝ている裏日戸を見て山口に言う。
「コイツは引換券だ。土狛江とやらに捕まった奴らを助ける為のな。」
その言葉を聞いたチビマルは首を傾げた。
「引換券?」
そのチビマルの疑問に白マロが答えた。
「人質交換だろ。」
「あ、なるほど。」
ヤブ助は話を続ける。
「この女を俺のタレントで猫化する。その方が運びやすい。」
ヤブ助が裏日戸を猫化させようとしたその時、山口のスマホに電話がかかってきた。相手は広瀬だ。
山口は電話に出た。
「もしもし?」
〈あ!山口!よかった!やっと出た!〉
どうやら、何度も山口に電話していたらしい。気絶していた山口はそれに気づかなかったようだ。
【18:40、大学前にて…】
大学前には広瀬,有野,土狛江が居た。そこへ山口,裏日戸,白マロ,猫の姿のヤブ助とチビマルがやってきた。山口達は広瀬から事情を聞いた後、裏日戸を起こしてココへやってきたのだ。
山口は広瀬に尋ねた。
「堺とかは?」
「堺と友田は子供達を園に帰しに行ったよ。」
「なんで?」
「だって今から敵の本拠地に乗り込むんだぞ?危ないだろ。だから、ハンディーキャッパーじゃない二人に子供達を頼んだんだ。」
二人が会話する余所で、裏日戸と土狛江は話をしている。
「まさかアンタが桜田以外に賭け事で負けるなんて。」
「とんでもない子が居たんだって。」
土狛江は有野に視線を送って、そう答えた。
「お前は?弱点でも見破られた?」
「まぁ…」
「やっぱり。お前は嘘とか駆け引きとか下手だからな。」
「私、アンタと違って真っ直ぐな人間なんで。」
その時、猫の姿のヤブ助は人語で土狛江と裏日戸に話しかけた。
「出口邸へ案内しろ。」
「「猫が喋った!!!」」
【19:00、出口邸前にて…】
山口達は出口邸へとやってきた。
土狛江は皆に話しかける。
「俺たちの仲間の一人に木森っていう女がいる。タレントは『封印されし条件獣』。動物を創造する能力だ。発動条件は彼女が定めた条件を他者が満たす事。彼女は今、屋敷全体にタレントをかけている。侵入者を排除する為の。だから先ず、俺と裏日戸で屋敷に入り、木森を説得する。説得に成功したら合図を送るから、そしたら入ってきてくれ。」
その土狛江の作戦にヤブ助は質問をする。
「説得が無効だった場合は?」
「何とかする。彼女を倒してでも。」
土狛江と裏日戸は屋敷の中へと入っていった。
それを見て、ヤブ助は言った。
「あの二人、失敗する。」
そんなヤブ助の発言を聞き、山口は尋ねた。
「なんでそんな事わかんだ?」
「勘だ。」
「勘かよ。」
すると、ヤブ助は屋敷の敷地内へと入った。それを見た皆は驚いた。
「おい!何やってんだよ!」
「侵入者は入られないってさっきアイツが…!」
しかし、ヤブ助が屋敷内に入っても、何も起こる様子はない。
「やはりな。」
それを見て、ヤブ助は何かを察したようだ。
「おそらく、侵入者の対象は人間だ。虫や動物が入ってくる度にタレントが発動しては堪らんからな。」
そう。木森という女が屋敷にかけたタレントの侵入者の条件、それは『敷地内に入ってきた人間』である。つまり、猫のヤブ助は対象外なのだ。
「俺は屋敷を調べる。お前達はそこで待ってろ。」
ヤブ助は屋敷の奥へと向かった。
「あ、おい!」
山口がヤブ助を呼び止めようとしたが、ヤブ助は行ってしまった。
【20分後(19:20)…】
山口達は待った。しかし、説得に行った土狛江も裏日戸も、屋敷を調べに行ったヤブ助も戻っては来なかった。
「おっせぇーな。何やってんだよ。」
一向に帰ってくる様子のない三人を見兼ねた山口は屋敷に入ろうとした。しかし、広瀬はそれを止めた。
「ダメだ山口。待てって言われたろ。」
「これ以上待てねぇ!俺は行くぞ!」
それを聞き、有野も山口に賛同した。
「私も…」
「有野さんまで…!」
その時、チビマルが提案した。
「俺が様子を見に行ってみようか?俺も猫だし。」
「そうだな…」
広瀬はその提案を了承した。
「わかった。それじゃあ、屋敷の様子を…」
広瀬が話をしているその最中、屋敷の中から機関銃のような発砲音が鳴り響いた。
「「「…⁈」」」
一同はそれを聞いて驚嘆した。屋敷の中では何が起こっているのか。
「お、おい…今の銃声じゃ…」
チビマルがその音が銃声だという事に気づき、それを呟いた。
そして、事態を察した山口が屋敷の門を開け、言った。
「もう行こうぜ!全員で!」
「ちょっと!待っ………」
広瀬が山口を止めようとしたその時、広瀬の半身が消し飛んだ。
「え……」
消し飛んだのではない。喰われたのだ。山口が屋敷に足を踏み入れた事で現れた、その巨大な獣に。
その獣は、ゾウと同等並の体躯を持つ獅子のような生物だった。獣は広瀬の腰から上を咀嚼している。
広瀬は死んだ。そう。死んだのだ。あまりに唐突。さっきまで普通に話をしていたのに。何の前触れもなく。一瞬で。
コレが戦いだ。命など一瞬にして消え去る。その事に、山口は気づいていなかった。
「広瀬……」
次の瞬間、獣は山口に襲いかかった。しかし、山口は動けずにいる。
「ご主人!!!」
白マロは山口を押し退け、山口を獣の巨爪から防いだ。しかし、その結果、白マロはその獣の巨爪に右腕を切断され、右胸と右脇腹を切り裂かれた。
「ぐぁッ!!!」
白マロは地面に倒れた。
「白マロ…!」
山口は白マロに駆け寄ろうとした。しかし、それよりも早く、獣は白マロの半身に喰らついた。
「ッ…!!!」
獣は白マロの体を咥えたまま、首を何度も横に振る。すると、白マロの腹から下の部位が千切れ、地面に落ちる。地面に落ちた衝撃で、白マロの下腹部の切断面からは腸や背骨が飛び出てきた。
「ッ…!」
そのあまりに残酷な光景に有野は吐き気を催し、口を押さえている。
一方の山口はショックでその場から動けずにいた。
「(俺が…門を開けたから…か…?)」
この獣は山口が屋敷の門を開けた事で現れた。その事実は変わらない。つまり、この結果を招いた原因は山口だ。
「違う…こんな事になるなんて…」
山口の頭の中では今、あらゆる感情と思考が交錯し、パニックに陥っていた。
説明不足の土狛江のせい。攫われたガイのせい。そもそもの原因である桜田のせい。いや違う。全ては自分のせいだ。以前にも、ガイには危険な事はやめろと言われていたにも関わらず、今回もまた、友人を巻き込み、危険に身を投じた。こうなったのは自業自得だ。
「あ"ぁ……ぁあ"あ"あぁぁあぁあ……」
山口は頭を抱えてうずくまった。そんな山口に獣は再び巨爪を振り下ろす。
するとその時、獣の動きが止まった。そして次の瞬間、植物のツタが獣の体を内から突き破った。
獣は山口に攻撃を当てる前に絶命し、消滅した。
「白マロが…」
それを見ていたチビマルは、このツタが白マロのタレントだとわかった。白マロはまだ生きていたのだ。白マロは上半身を獣に飲み込まれた後、持っていた植物の種を成長させ、内から獣を攻撃したのだ。主人を守る為に。
消滅した獣の体内から、広瀬と白マロの半身が現れた。二人に息は無い。白マロは最後の力を振り絞って、獣を殺したのだ。
二人の死体の前に、ただ立ち尽くすのみのチビマルと有野。山口に至ってはうずくまり、とても正気では無い。
そんな三人の前に、屋敷の中から一人の男が現れた。
「良い…実に良い…!肉と臓物の艶めかしさ…!それを、さらに味わい深く引き立てる血の香り…!それら全てが、私の創作意欲を引き立てる…!」
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