障王

泉出康一

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第2章『ガイ-過去編-』

第110障『ぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺ』

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【3月31日、朝、フリージア王国、城下町にて…】

「びぇ~ッくしょんッ!!!」

ヌァ寒い…何なんだぁ?この国の気温はぁ?よくこんな寒い所に国なんか作ろうとしたもんだ。バカか?だが…

「良いッ!実に良いッ!俺今めっちゃ冒険してる感出てるッ!」

俺の名はもょもと。真の勇者を目指し旅を続けるナイスガイだ。え?何故、俺が真の勇者を目指してるかって?ふふふ。いいぞ。教えてやる。それは今から10日前…

【もょもとの回想…】

「ちょっと!もょもと!ゴロゴロしてないで少しは家の事でも手伝ったらどうなの!」

コレは俺の母親。口うるさくて口うるさい。

「アンタも今年で14歳でしょ。将来の夢とかないの?」
「ゆーしゃー。」

母は俺の頬をつねった。

「痛いたいたいたいッ‼︎何すんだよババア!!!」
「いつまでも夢見てんじゃないの!このおバカ!魔王も居ないのに勇者なんてなれるわけないでしょ!現実見なさい現実!」
「俺は本当に勇者になりたいんだよ!魔王が居ないのが悪いんだ!」

そうだ。魔王が居ないのが悪い。俺は不幸な時代に生まれたもんだ。2万5000年前に生まれてりゃ、俺だって勇者になってた…かも。

「お隣の息子さんのみゃもと君、兵士になる為にデカマーラへ行ったそうよ。立派よねぇ、みゃもと君。それに比べてアンタは…」
「みゃもとは関係ないだろ!」
「口答えしない!こばゃし君もたにゃか君も兵士になる為に頑張ってるのに!この村でダラダラしてんのアンタだけなのよ!母さん恥ずかしいわ!」
「うるせぇ!ババア!さっさとあっち行きやがれ!」

あー!うざいうざい!毎日毎日グチグチグチグチ!俺は勇者以外なる気は無いんだよ!

「なんて口の聞き方するの!お父さんに言いつけるからね!」
「えっ…ちょ…おい!お、おやじ…親父は関係ねーだろ!ぜっぜっぜっ…絶対言うなよ!」

親父はやばい。怖い。

「俺は魔王が現れるまでこうやって待機してんだよ!ちゃんと…あぁ…ちゃんと待機してんだよ待機をよぉ!!!」
「じゃあ聞くけど、アンタ、勇者になって一体何がしたい訳?」

え、そりゃあ、人ん家勝手に上がってタンス開けたり壺壊したり…って正直に言ったらやばいよな。

「そそそそりゃあ…ままま魔王を倒してひひひ人々のええがっ笑顔を取り戻したいぃ…んだよ…」
「……お父さんに報告ね。」
「うわぁー!いやぁー!ごめんなさい!お母さん!ごめんなさい!いやぁだやだ!」

そして、母親は親父に報告した。やばい…親父が来る…本気で俺を叱りに来る…!逃げなきゃ…

【現在…】

まぁそんな訳で俺は旅に出た。弾丸登山気分で始めた旅だけど、俺は本気で勇者になるつもりだ。だからこんなクソ寒い国にやってきたんだ。魔王が封印されている祠。俺はそこへ行って、魔王を復活させる!そんで、魔王を倒して勇者になる!そんでそんで、人々にチヤホヤされる!うへっ!うへへっ!タンス開け放題・壺割り放題の未来が俺を待っている!

「勇者うぇーい!」

その時、テンションぶち上げの俺の視界にとある物が映った。壺だ…!俺は酒場前に壺を発見した。もちろん俺は…

「う"る"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ッ!!!!!」

俺は壺を蹴り壊した。
キ"ン"モ"チ"ィ"ィ"ィ"ィ"ィ"ィ"ィ"ィ"!!!
その後、俺は酒場の店長にブチギレられ、皿洗いをさせられた。いや、今でもさせられている。はぁ。店長死ね。

【翌日(4月1日)、13:30、フリージア王国、城下町、酒場にて…】

俺は酒場でウェイターをしていた。いや!やらされてんだよ!チクショー!俺は客に酒を提供する。

「ごゆっくりー。」

いい歳して昼間から酒なんて飲んでんじゃねーよ!働けクソが!あ、ブーメラン?
その時、端の方のテーブルで話をしている客の話し声が聞こえてきた。

「イマイチだな。珍しいだけ。」
「あぁ。やっぱ飯はゴルデンで食いてーわ。」

ゴルデン。確か、島国で外からじゃどうやっても入れない幻の…えっ⁈じゃあアイツら、ゴルデンから来たの⁈
俺はその客達を見た。確かに、変わった服だ。真っ黒で、ピシッとしてて…なんか動きにくそうな服だな。ゴルデンの私服なのか?

「あー寒い。こんな国、早くおさらばしたいぜ。」
「ボスが魔王復活させるまでの辛抱だな。」

なっ⁈アイツら、今、魔王復活って…!

「あのぉぉぉぉぉぉぉお!!!」

俺は思わず大声で話しかけてしまった。

「うおっ⁈びっくりしたぁ…!なんだよ…?」
「僕!勇者希望の者です!」
「「「は?」」」

は?

「いやいやいや、僕、勇者希望なんです。おたくら、魔王復活させようとしてるんですよね?いやぁ~聞こえちゃったんでつい~。」

すると、その男達は立ち上がり、俺を囲んだ。え、なに、怖い…めっちゃ怖い、この人たち。と、とにかく敵じゃない事を示そう!うん!それしかない!

「ちゃちゃちゃちゃいまんがな!勇者希望やからっておたくらの魔王復活阻止しようなんか考えてないんすわ!むしろワイはあんさんらに賛成やねん!ワテを信じてくれ!なんでもするさかい!」

やべぇ。焦り過ぎて変な喋り方になっちゃった。もういい!俺の言いたい事を言おう!

「俺も魔王を復活させたいんだ!だからキミらのパーティに入れてくれないか⁈」

頼む。『いーよー。おいでー。』って言ってくれ!それか店長たすけて~!死ねって言てごめんね~!

「てめぇ、俺らの仲間になりたいのか?」
「は、はい!」

おっしゃ!来た!確定演出きた!と思った矢先、俺は腹に鈍い痛みを感じた。殴られたんだ。コイツに。

「テメェみたいなガキ、白鳥組うちのボスが欲しがるかよ。」

すると、その男達は俺を袋叩きにした。

「ぐはッ‼︎」

とでも思ったか?俺は男共を返り討ちにした。そう。俺はハンディーキャッパーだ。こんなノーマル共の攻撃なんか、PSIを込めた俺の肉体には通用しない。

「はんッ!ざまぁみろ!ガキだと思って油断してるからそうなるんだ!バーカバーカ!」

俺、TUEEEEEE!!!!!!!

「俺は勇者を志す者。貴様ら如き下衆にこの俺は倒せんさ…ヌァハハハハハハハハ!!!」

その時、後頭部にチクっとした痛みが走ったと同時に、背後から誰かに話しかけられた。

「やはり外にも居たか。ハンディーキャッパー。」

その男は俺の後頭部にゴツいナイフを突き立てていた。PSIを感じる。コイツ、ハンディーキャッパーだ。

「前田。そこで伸びてる奴らを起こせ。」
「うぃーっす。」

前田と呼ばれる爆発頭の男は俺が倒した男達を起こし始めた。一方、ナイフを突き立てる男は再度俺に話しかける。

「話は聞こえていた。お前、俺たちとの同行を望んでいるようだな。あいにく、お前のような素性の知れない者を組織に入れる訳にはいかない。が、俺たちもこの国に来たばかりで正直戸惑う事が多くてな。俺がボスに言って、案内役としてお前を推薦してやっても良い。どうする?」

『どうする?』そう聞かれた時、俺の後頭部に触れるナイフが少し動く。俺は察した。首を横に振った瞬間、俺は殺される。

「お願いします…」

あぁ。内腿が生暖かい。
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