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第2章『ガイ-過去編-』
第109障『雪、魔物、新境地にて』
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【4月1日、12:00、西エゲツ大陸にて…】
大陸へと辿り着いたガイ達は魔王が封印されている北の祠を目指し、雪原を歩いていた。しかし、その道中、ガイ達は魔物という獰猛生物に襲われていた。その魔物は巨大な白いムカデの姿をしている。魔物達は群れを成してガイ達を襲う。
「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」
一人の潜水艦整備士が魔物に喰われた。
「これが魔物…⁈」
桜田は魔物を見上げ、その姿に驚きを隠せずにいる。他の皆も魔物の姿を見て恐れ慄いているが、ガイとヤブ助だけは臆せず魔物に立ち向かっていた。
「ッ!!!」
ガイは『飛翼』翼を生やし、『現代のオーパーツ』で作った骨刀で魔物達を切り裂いていく。一方のヤブ助は『人間化猫化』で半猫人化し、素早い動きで魔物の急所を突く。
「氷室!不知火!裏日戸!お前らは戦えるだろ!手伝え!」
ヤブ助は戦いながら三人にそう命令した。彼らのタレントが魔物に有効だからだ。逆にその三人以外は魔物との戦いには不向き。角野や土狛江のタレントはサポート程度には使う事ができるが、桜田と陣野のタレントは対人戦でしか効果を発揮できない。
「言われなくてもやってやるよ!『日光・攻撃』!!!」
日光を浴びている間はいかなるものも破壊する事ができる裏日戸のタレント『日光・攻撃』。裏日戸はそのタレントで魔物達を一掃していく。
「『火炎PSI』!!!」
不知火は高火力で魔物達に火を放つ。しかし、魔物の装甲は厚く、焼き殺すのに時間がかかるようだ。それを見た裏日戸は不知火にこう言った。
「おい!オカマ野郎!もっと本気出せよ!」
どうやら裏日戸は不知火が手を抜いていると思ったようだ。それに対し、不知火は言い返した。
「黙ってろバカ女!PSI温存してんだよ!」
不知火の『火炎PSI』はPSIを炎に変質させている。故に、PSIの消費が多いタレントなのだ。
「『現代のオーパーツ』!!!」
氷室は筋肉を創造し、それを鎧のように自身の体に纏った。そして、その状態のまま魔物に殴りかかった。
「うぉぉおッ!!!」
氷室は魔物の顔面を殴る。すると、魔物の顔面は見るも無惨に潰れた。
「見て下さい!ガイさん!僕凄くないすか⁈」
「いいなそれ。今度俺も使うわ。」
「名付けて『なかやま装甲』です!使う時は叫んで下さいね!ガイさん!パワー!!!」
「え…叫ばなきゃダメそれ…」
【数分後…】
魔物を一掃した後、ガイ達は休息ついでに今後の作戦を話していた。
「この雪原をさらに北に進めば、フリージア王国という国がある。この調子でいけば、今日の夕方頃には着くだろう。」
「まぁそれも、魔物の出現率次第ですね。」
「あぁ。」
陣野の話に桜田がコメントを添える。陣野は話を続けた。
「おそらく白鳥組は今頃、フリージアに到着しているはず。しかし向こうは人員が多い。今日は進行をやめて、フリージアに泊まるはずだ。つまり、フリージアに行けば、俺たちは嫌でも奴らと顔を合わせる事になる。すなわち、奴らとの全面戦争だ。」
その言葉を聞いた途端、皆の表情が固くなる。当然だ。負ければ死ぬ。そう思うだけで、皆、震えが止まらない。
「ただ、真っ向から立ち向かっても勝てる訳が無いのは周知の事実。だからフリージアで俺たちがやる事は、敵の戦力を分断させる事だ。幹部連中を陽道から引き離し、それぞれが別の場所で戦う。そして、一人になった陽道を抹殺する。数で劣る俺たちが勝つには、もうそれしか方法は無い。」
陣野の策は合理的だ。白鳥組には陽道という明確な大将がいる。その首さえ落としてしまえば、戦いは終わる。
「さて。ココで重要なのは誰が陽道を殺すかなんだが…」
「ちょっと待って。」
その時、ガイが話を遮った。
「アンタ、戦うのか?」
「え…?」
ガイの質問に、陣野は首を傾げる。
「だってアンタの本来の目的は国外逃亡だろ?アンタが俺たちにそこまで義理立てする必要は無いはずだ。」
「まぁ…確かにな…」
陣野は腕を組み、考える。そして、少し笑みを浮かべ、こう言った。
「逃げられない…そう思うんだ。」
皆、首を傾げる。陣野は話を続けた。
「俺は未だに、陽道に支配されている。恐喝とかそういった類じゃ無い。縛られてるんだ。陽道への…恐怖という鎖が、俺の心を縛り付けたまま…きっと俺は、陽道が死ぬのをこの目で見るまで、本当の意味で解放はされない。俺は何も持たず、この外の世界で一から始めたいんだ。そこに陽道が居たんじゃ何も始まらない。潜水艦で『Zoo』が攻めてきた時思ったんだ。奴を殺すまで逃げられないと。」
陣野はガイ達に頭を下げる。
「俺も協力させてくれ。」
皆、顔を見合わせる。そして、桜田は皆の言葉を代弁するかのように発言した。
「僕たちの方こそお願いします。一緒に陽道を殺しましょう!」
「あぁ!ありがとう…!」
桜田と陣野は握手を交わした。一方、ガイは生き残った最後の整備士に話しかけた。
「アンタどうすんの?」
「家に帰りたいです…」
「それは無理だわ。ドンマイ。」
「うぅ……」
整備士は泣き出した。そんな整備士に土狛江が話しかける。
「そういえばおじさん、名前は?」
「柴垣です……」
すると、氷室が自身の乳首に指を当て、柴垣にこう言った。
「柴垣さん!よろちくび~!」
「うぅぅぅ…ッ‼︎」
整備士は再び泣き始めた。そんな柴垣を余所に、ガイは氷室に話しかける。
「相変わらず古いネタやってんなぁ。」
「うっそだぁ~⁈僕の村では最新ネタなんですよ⁈」
その後、ガイ達は作戦を話し合い、再びフリージア王国へと歩き始めた。
「うぅ……家に…帰りたい……」
柴垣。男。44歳。陣野家専属の潜水艦整備士。同い年の妻と二人の子持ちパパである。
大陸へと辿り着いたガイ達は魔王が封印されている北の祠を目指し、雪原を歩いていた。しかし、その道中、ガイ達は魔物という獰猛生物に襲われていた。その魔物は巨大な白いムカデの姿をしている。魔物達は群れを成してガイ達を襲う。
「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」
一人の潜水艦整備士が魔物に喰われた。
「これが魔物…⁈」
桜田は魔物を見上げ、その姿に驚きを隠せずにいる。他の皆も魔物の姿を見て恐れ慄いているが、ガイとヤブ助だけは臆せず魔物に立ち向かっていた。
「ッ!!!」
ガイは『飛翼』翼を生やし、『現代のオーパーツ』で作った骨刀で魔物達を切り裂いていく。一方のヤブ助は『人間化猫化』で半猫人化し、素早い動きで魔物の急所を突く。
「氷室!不知火!裏日戸!お前らは戦えるだろ!手伝え!」
ヤブ助は戦いながら三人にそう命令した。彼らのタレントが魔物に有効だからだ。逆にその三人以外は魔物との戦いには不向き。角野や土狛江のタレントはサポート程度には使う事ができるが、桜田と陣野のタレントは対人戦でしか効果を発揮できない。
「言われなくてもやってやるよ!『日光・攻撃』!!!」
日光を浴びている間はいかなるものも破壊する事ができる裏日戸のタレント『日光・攻撃』。裏日戸はそのタレントで魔物達を一掃していく。
「『火炎PSI』!!!」
不知火は高火力で魔物達に火を放つ。しかし、魔物の装甲は厚く、焼き殺すのに時間がかかるようだ。それを見た裏日戸は不知火にこう言った。
「おい!オカマ野郎!もっと本気出せよ!」
どうやら裏日戸は不知火が手を抜いていると思ったようだ。それに対し、不知火は言い返した。
「黙ってろバカ女!PSI温存してんだよ!」
不知火の『火炎PSI』はPSIを炎に変質させている。故に、PSIの消費が多いタレントなのだ。
「『現代のオーパーツ』!!!」
氷室は筋肉を創造し、それを鎧のように自身の体に纏った。そして、その状態のまま魔物に殴りかかった。
「うぉぉおッ!!!」
氷室は魔物の顔面を殴る。すると、魔物の顔面は見るも無惨に潰れた。
「見て下さい!ガイさん!僕凄くないすか⁈」
「いいなそれ。今度俺も使うわ。」
「名付けて『なかやま装甲』です!使う時は叫んで下さいね!ガイさん!パワー!!!」
「え…叫ばなきゃダメそれ…」
【数分後…】
魔物を一掃した後、ガイ達は休息ついでに今後の作戦を話していた。
「この雪原をさらに北に進めば、フリージア王国という国がある。この調子でいけば、今日の夕方頃には着くだろう。」
「まぁそれも、魔物の出現率次第ですね。」
「あぁ。」
陣野の話に桜田がコメントを添える。陣野は話を続けた。
「おそらく白鳥組は今頃、フリージアに到着しているはず。しかし向こうは人員が多い。今日は進行をやめて、フリージアに泊まるはずだ。つまり、フリージアに行けば、俺たちは嫌でも奴らと顔を合わせる事になる。すなわち、奴らとの全面戦争だ。」
その言葉を聞いた途端、皆の表情が固くなる。当然だ。負ければ死ぬ。そう思うだけで、皆、震えが止まらない。
「ただ、真っ向から立ち向かっても勝てる訳が無いのは周知の事実。だからフリージアで俺たちがやる事は、敵の戦力を分断させる事だ。幹部連中を陽道から引き離し、それぞれが別の場所で戦う。そして、一人になった陽道を抹殺する。数で劣る俺たちが勝つには、もうそれしか方法は無い。」
陣野の策は合理的だ。白鳥組には陽道という明確な大将がいる。その首さえ落としてしまえば、戦いは終わる。
「さて。ココで重要なのは誰が陽道を殺すかなんだが…」
「ちょっと待って。」
その時、ガイが話を遮った。
「アンタ、戦うのか?」
「え…?」
ガイの質問に、陣野は首を傾げる。
「だってアンタの本来の目的は国外逃亡だろ?アンタが俺たちにそこまで義理立てする必要は無いはずだ。」
「まぁ…確かにな…」
陣野は腕を組み、考える。そして、少し笑みを浮かべ、こう言った。
「逃げられない…そう思うんだ。」
皆、首を傾げる。陣野は話を続けた。
「俺は未だに、陽道に支配されている。恐喝とかそういった類じゃ無い。縛られてるんだ。陽道への…恐怖という鎖が、俺の心を縛り付けたまま…きっと俺は、陽道が死ぬのをこの目で見るまで、本当の意味で解放はされない。俺は何も持たず、この外の世界で一から始めたいんだ。そこに陽道が居たんじゃ何も始まらない。潜水艦で『Zoo』が攻めてきた時思ったんだ。奴を殺すまで逃げられないと。」
陣野はガイ達に頭を下げる。
「俺も協力させてくれ。」
皆、顔を見合わせる。そして、桜田は皆の言葉を代弁するかのように発言した。
「僕たちの方こそお願いします。一緒に陽道を殺しましょう!」
「あぁ!ありがとう…!」
桜田と陣野は握手を交わした。一方、ガイは生き残った最後の整備士に話しかけた。
「アンタどうすんの?」
「家に帰りたいです…」
「それは無理だわ。ドンマイ。」
「うぅ……」
整備士は泣き出した。そんな整備士に土狛江が話しかける。
「そういえばおじさん、名前は?」
「柴垣です……」
すると、氷室が自身の乳首に指を当て、柴垣にこう言った。
「柴垣さん!よろちくび~!」
「うぅぅぅ…ッ‼︎」
整備士は再び泣き始めた。そんな柴垣を余所に、ガイは氷室に話しかける。
「相変わらず古いネタやってんなぁ。」
「うっそだぁ~⁈僕の村では最新ネタなんですよ⁈」
その後、ガイ達は作戦を話し合い、再びフリージア王国へと歩き始めた。
「うぅ……家に…帰りたい……」
柴垣。男。44歳。陣野家専属の潜水艦整備士。同い年の妻と二人の子持ちパパである。
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