無能はいらないと追放された俺、配信始めました。神の使徒に覚醒し最強になったのでダンジョン配信で超人気配信者に!王女様も信者になってるようです

やのもと しん

文字の大きさ
21 / 81

第21話 「愛のカタチ」

しおりを挟む
「私のスキル、なんだったか覚えてる?」

「覚えてるよ……それが、なんだって……」

「そう。私のスキルは『サーチ』。敵の位置を感知する能力――なんだけど。そんな能力を持ってる割に、おかしい出来事が何度か起こったよね」

 アリシアがいるにも関わらず、「サーチ」があるにも関わらず起きた出来事。
 逆にいえば本来、サーチをすれば起こらなかったはずの出来事。

 その心当たりはあった。

「ナナの時か……っ!」

「うん、正解だよ」

 あの時、アリシアに索敵を任せ、ナナの追手から逃げていた時のことだ。

 サーチを使っていたにも関わらず――俺たちは見つかった。
 俺だってあの時はおかしいと思った。だけど、アリシアも追手に捕まればどうなるか分からない。

 だからこそ、アリシアがサーチをしていないなんて考えもしなかった。
 だけど、改めて考えるとあり得ない。アリシアのサーチをすり抜けて、大量の兵士が近づくなんて。

「でも、それだけじゃないよね? まだあったもんね」

 キマイラのダンジョンの時も、アリシアがいながら魔物の大群に襲われた。あれだって、アリシアには分かっていたはずなんだ。
 分かっていて、言わなかった。寧ろ、俺たちを誘導したのだろう。

 おかしい点はあった。だけど、それら一つ一つがそこまで大きい違和感じゃないから、最初から疑いの目を向けていないと糾弾することはできない。

「何度もカイリに死んでもらおうと思ってたのになぁ……まさかカイリが、あんな力を持ってるなんて驚いちゃったよ。カイリが強すぎて全く死ぬ気配もなかったし……あの日、神様と約束しておいてよかった」

「神様……そんな、こと……」

「覚えてない? 私が神様に身体を譲った時だよ」

 ナナを拾う直前、アリシアは俺を驚かせるために神様に身体を渡していたことがあった。
 アリシアが神様と直接関わるとすれば、あそこだ。

「身体を渡す代わりに、私の願いに協力してって言ったの。カイリが死ぬ状況を作るために」

「だったら……なんで今なんだよ。俺を殺すだけならいつだって……」

「いつ、私が殺したいって言ったの?」

 そこで俺は気づく。アリシアはずっと、カイリが死ぬことを願ってはいても、「自分が殺す」ということを望んでいるわけではないことに。

「私が殺しちゃ、ただの殺人じゃん。それじゃ満たされないの。そんなことじゃあ駄目なの。私の手の届かないところで、私じゃどうしようもない傷を負って、私の目の前で死んでほしいの。私は助けたくても助けられない。だからこそ、良いのよ」

「……」

「自分の身体を傷つけることに快感を覚える人っているでしょ? 私はそれと同じなの。ただ、私が傷つけるのは、心の方。愛する人が死ぬのって悲しいでしょ? 苦しいでしょ? それは私も同じよ。私だって苦しいの。今も、胸がはちきれそう。だけど……だからこそ、その苦しい気持ちが快感なの!」

「……」

「カイリを助けることもできず、目の前で死ぬのを見ることしかできない。そうやってもっと私を悲しませて、もっと私を苦しませて! 私の脳を、身体を、心を壊すほどの辛さを味わわせて欲しいの! 悲しければ悲しい分、苦しければ苦しい分、すっっっっごく、気持ちが良いの!」

 開いた口が塞がらない。アリシアの言っていること一つ一つが理解できない。

 ……狂っている。どう考えても、正常な人間の考え方じゃない。

「狂ってるよ、アリシア……」

「そうかな? 愛って、こういうものじゃない?」

 歪んだ愛を一心に向けてくる。それが、とてつもなく気持ち悪かった。

 でも、アリシアにとって、愛というのはこういうものなのだ。

 一方的で、自己中心的で、理不尽なもの。

「だから、ナナちゃんが一緒に来てくれた時は嬉しかったな……これから数多くの兵士に襲われて、私とナナちゃんじゃカイリを守れない。きっとカイリは私の目の前で殺されて、私は涙を流しながらカイリの綺麗な死に顔を拝むの。それだけを、夢見てたのに……」

 いつか、俺がアリシアに言った言葉が蘇ってくる。

 ナナが厄介ごとに俺とアリシアの二人を巻き込んでしまったと言って謝った時。

『良かった。アリシアがナナのことを恨んでたらどうしようかと思った』

『恨まないよ。むしろ……』

 あの時、アリシアはその言葉の続きを話さず、話を逸らそうとしていた。
 今なら、あの言葉の続きが分かる。

「そろそろ喋るのも辛くなってきた頃合いでしょ? まだまだナナちゃんは帰ってこないね。怖い? 苦しい? 辛い? 気持ち悪い? 寂しい? 死にたい? 死にたくない? ねえ、カイリの気持ちを聞かせてよ」

「アリシアの言ってること、なにからなにまで訳わかんねえって思ってたけど……一つだけ、分かることがあったよ」

「うーん、それって、なんのこと?」

「ナナがまだ来ないってアリシアが思い込んでることが、間違いだってことだよ」

 どうしてか、詳しい理由までは分からないけど、俺はナナの居場所を感じている。ナナが近くにいることが、感覚で理解できる。

 アリシアが背後を振り向く。その視線の先には、アリシアとイオリが立っていた。

「アリシアさん……貴方は、ずっとなにを言っているんですか……?」

「なんで……ナナちゃんが、間に合ってるの……?」

 完全に油断していたアリシアは、突然のナナの登場に驚きを隠せないでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...